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急増する“AI経由購買”。起きている変化の深層

AIの本格普及期に入った今、消費者の購買活動にもAIは深く入り始めています。それによって販売側は変化を余儀なくされています。増え始めた「AI購買」と、それによって起きる「地殻変動」を紹介します。

消費財業界のインサイト

今消費財業界のグローバルリーダーがどんなことを考えているのか、調査データにしました。時代の変化に伴い、AIをどこに活用したらいいのかのインサイトも掲載しており、こちらのレポートでご紹介しております。

消費者の約1/3が「AIに買ってほしい」と答える時代

2025年11月、日本経済新聞は Google検索を通じたサイト訪問が過去2年で33%減少した と報じました。検索結果ページに表示されるAI要約によって、ユーザーが外部サイトへ移動しなくても必要な情報を得られるようになったためとのことです。

この変化が示すのは、「ユーザーの意思決定の入口がAIに変わった」現実です。

AIエージェントが、ユーザーに代わってインターネットを探索し、製品の検索や比較検討、場合によっては購入までを担うーー。こんな行動は、もはや遠い未来の話ではありません。特に北米や欧州の一部では、AIを介した購買が増え始めています。

最新のBain & Companyのレポート(英語)では、ショッピング関連のAIプロンプト利用が2024〜2025年で25%以上増加しており、AI検索(AI-assisted search)は検索を置き換える存在として急速に普及しています。

消費者の 30〜45%が、生成AIを用いた「商品リサーチ/比較/検討」に利用経験があるという調査結果もあります。

Salesforceの最新の調査レポート『Customer Expectations Report(顧客の期待に関するレポート)』(英語)によると、消費者の36%が「人による購入よりも、AIエージェント経由での購入のほうが良い」と回答しています。

これは一時的な流行や興味ではなく、明確な「購買行動の合理化ニーズ」が背景にあります。

  • 忙しい時に、最適な選択を代わりにしてほしい(タイムセービング)
  • 膨大なレビューや比較分析を任せたい(情報負荷の軽減)
  • 自分に最適なものを“ブレずに”選んでほしい(客観性・パーソナライズ)

見えない顧客損失、「Invisible Loss」とは何か

AIが購買の“入口”を担い始めると、企業はひとつの大きな問題に直面します。それが Invisible Loss(見えない顧客損失) です。

企業は「公式サイトを見てほしい」「広告を見てほしい」と考えます。しかし、AIはまず、製品を“誤解なく”理解するために、製品の特性や仕様などのメタデータや利用者レビュー、UGC(ユーザー生成コンテンツ)、専門家/第三者サイトの記述などの複数の情報源を、整合性を重視して読み取ります。

AIに評価されないブランドは、そもそも推薦候補リストにすら入ることができません。さらに、AIエージェントが製品を推奨するかどうかはログとして残らず、従来の分析では捉えられない「マーケティングの盲点」が生まれてしまいます。この「見えない顧客」に適切に対応できないブランドは、Invisible Lossに直面するわけです。

前例なき挑戦、「人とAI」を満足させるマーケティングとは

これからのマーケティングは、消費者とAIエージェントの両方に影響を与える必要があります。自社製品が人に愛されるだけでなく、AIエージェントにも「理解され、信頼される」ように、製品のポジショニング、コンテンツ、顧客体験のデザインを見直さなければなりません。

では、どうすればいいか。それは「BtoBとBtoCのロイヤリティ戦略の融合」です。

AIが情報収集をする際、エンドユーザーの声(B2C)だけでなく、販売代理店やリセラー、専門家といったパートナーの声(B2B)も重要な信頼のソースとなります。B2BとB2Cのロイヤルティ戦略を分断することは、「信頼の情報源」の断片化を意味します。

AIが最も高く評価するのは、専門家(B2B)と一般消費者(B2C)の両方から一貫して支持されているブランドです。成功するブランドは、ビジネスパートナー(B2B)とエンドユーザー(B2C)の両方を巻き込む、相互接続されたB2B2Cロイヤルティエコシステムを構築します。

 パートナー(B2B)の推奨が、エンドユーザー(B2C)の体験を向上させ、それが質の高いレビュー(UGC)としてAIに評価される循環型の仕組みを構築します。この二つをシームレスに連携させることで、AIも人も選びやすいブランドが生まれます。

Salesforceなら:1つのプラットフォーム上(Customer 360)で、パートナー向けのB2Bロイヤルティプログラムと、顧客向けのB2Cロイヤルティプログラムを統合管理できます。さらに、「Marketing Cloud」でロイヤル顧客に対し最適なタイミングでレビューリクエストのコミュニケーションを自動化できます。

AIは「新しい顧客」。備えるブランドだけが選ばれる

この記事に合わせて、AI時代の購買ファネルの変化や、B2B2Cロイヤルティプログラムの実践法、Salesforceが提供できる実践的なサポート、事例などを盛り込んだより解像度の高い解説をしているeBookをご用意しています。ぜひ合わせご覧ください。

AI時代のブランドロイヤルティ戦略

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