デジタルシフトとは、デジタル技術を用いて生活を便利にしていく取り組みです。近年はデジタル技術の発展が目覚ましく、企業活動においても、既存のアナログビジネスからデジタルへ、技術を活用して転換することが求められています。
本記事では、デジタルシフトの意味やDXとの違いを解説しながら、デジタルシフトを推進する際のポイントや手順を解説します。ご自身の企業活動にお役立てください。
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目次
デジタルシフトとは?

デジタルシフトとは、デジタル技術を用いて生活を便利にしていく取り組みです。
ビジネス分野におけるデジタルシフトは、企業がアナログで行なっている業務やサービスを、デジタルに移行する取り組みを指し、デジタルシフトの過程で起きる新たな変化も、デジタルシフトに含まれます。
デジタルシフトは、ビジネスのさまざまな場面で導入可能です。
紙でやり取りしていた契約書をWeb上でやり取りできるようにしたり、ポスト投函していたチラシをアプリで見られるようにしたりといった取り組みが挙げられます。
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デジタルシフトが求められる背景
現在、社会全体で急激なデジタル化が進んでいます。
こうした流れの中で、企業のデジタルシフトは避けられません。政府も自治体や中小企業に向けて、後述するDX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進を発表しています。
たとえば経済産業省は、2020年11月に、デジタル技術による社会変革を踏まえた、経営ビジョンの策定・公表といった、経営者に求められる対応を「デジタルガバナンス・コード」として取りまとめました。
このような流れが止まることはありませんので、企業も早急に対応することが求められます。
デジタルシフトとDXの違い
デジタルシフトと似た言葉にDX(デジタル・トランスフォーメーション)があります。2つの言葉の意味は似ており、ビジネスの現場では混同して使われることもあります。
ただし、厳密には両者のもつ意味は異なります。デジタルシフトがアナログからデジタルへ移行する取り組みを指すのに対し、DX(デジタル・トランスフォーメーション)は、デジタル技術の活用によって「変革」を起こすことです。
DXが大きな変革を目指してデジタル技術を活用するのに対し、デジタルシフトは事業単位のデジタル化だけでなく、業務やサービス単位でデジタル化する場合も含まれます。
デジタルシフトを行なうメリット

デジタルシフトには多くのメリットがあり、理解して導入すると効果はさらに高まりやすいでしょう。以下に詳細を解説します。
業務の効率化やコスト削減が実現する
紙や人によるアナログ作業には、時間や人件費がかかります。
IoTやロボット、AIなど、デジタルツールによって自動化や省人化が実現すれば、従来かかっていたコストや作業が短縮可能です。
また近年は、少子高齢化による人材不足も叫ばれています。デジタル化による省人化が進めば、生産性の向上だけでなく、人材不足の解消も期待できます。
よりよいサービス提供ができる
デジタルシフトが実現できると、従来の有人対応では限界だった、時間帯や対応方法の改善もできます。
たとえばチャットボットを活用すれば、お客様からの問い合わせに24時間対応可能です。
高齢者など、デジタル化に対応するのが困難な一部の人には、有人対応を引き続き行なうなど、生活者に応じたサービス提供を行えばビジネスの質の向上につながります。
新しいビジネス創造につながる
デジタルシフトを推進すると、ビジネスの枠組みが変わり、従来のルールが崩壊したりします。その結果、新しいビジネスが創造されることもあるでしょう。
たとえば、「出前」というビジネスは、従来は顧客からお店に電話やネットで注文をして、お店から直接配達してもらうのが一般的な形でした。
しかしデジタル技術により、お店と個人と配達員をつなぐことが可能となり、「Uber Eats」というサービスが誕生したのです。
これは、従来のビジネスモデルがデジタルにより変化した結果と言えます。
リソースを最適に配分できる
デジタルシフトにより業務効率化が実現すれば、リソースに余裕ができ、業務配分を新たに決められます。
たとえば、バックオフィス業務をデジタルで効率化し、できたリソースを新たな事業施策やユーザーニーズの把握、戦略立案といった、企業価値を高める業務に配分ができます。こうした取り組みを行なえば、企業はさらなる価値創造に注力ができるでしょう。
デジタルシフトの具体例

デジタルシフトの種類は多岐にわたりますが、具体的な例を知ることも自社の助けになるでしょう。ここでは5つの項目を解説します。
- 帳簿のデジタル化
- チャットボットによる自動対応
- 請求書のデジタル化
- チャットツールによるスピーディな情報共有
- CRMツールによる効率的な営業活動
関連記事:中小企業がオンライン営業にシフトするための4つのステップ
帳簿のデジタル化
従来は紙で管理している帳簿をデジタル化できれば、検索や集計は便利になり、業務効率化が実現します。
たとえば、勤怠管理をデジタル化すれば、給与計算システムと連携ができ、スムーズに給与計算業務を進められるでしょう。
帳簿システムのデジタル化には、各自がデータ入力を行なう形式だけでなく、紙ベースのデータを人力で入力したり、OCRといった文字情報をデジタル情報に変換する技術を用いたりする方法があります。
帳簿のデジタルシフトは、バックオフィスの効率化へとつながり、効率化により生まれた時間は、売上アップなどに寄与する活動に充てられるでしょう。
チャットボットによる自動対応
電話やメールで行なっている顧客対応を、チャットボットの自動対応に切り替えられます。
全ての対応をチャットボットに切り替えるのではなく、問い合わせ内容の多い項目や製品紹介、使用方法など、汎用的な内容を自動対応にすると、効果は実感しやすいです。
個別性の高い質問のみを有人対応にすれば、顧客満足を満たしながら効率化やリソースの省人化が叶います。
また、チャットボットによる自動対応は、顧客満足感をアンケートで確認し、随時改善を図るべきでしょう。
請求書のデジタル化
紙で行なっていた請求書や契約書をデジタル化すると、資源や郵送コスト、管理、封入が不要となり、大幅なコスト削減が見込めるでしょう。
紙での保管が不要になれば、コスト削減とあわせて、検索や閲覧の利便性も高まります。
また保管期限の管理も楽になり、契約更新や破棄のタイミングを逃さずに運用可能です。
チャットツールによるスピーディな情報共有
社内外のやり取りにチャットツールを用いると、情報共有のスピードは高まり、ノウハウやナレッジの構築が可能です。また近年はAIを搭載したチャットツールもあります。
AIを搭載したSlackでは、従来の円滑なコミュニケーションができるだけでなく、過去の会話をAIが分析し、スレッドやチャンネルの要約をしてくれたり、回答の検索をしてくれたりする機能も備わっています。
流れてしまう社内コミュニケーションをデジタルの力で蓄積できれば、それが企業の資産となるでしょう。
関連記事:時間を有効に活用し、社員の健康を促進する4つのSlack活用アイデア
CRMツールによる効率的な営業活動
CRMとは、会社全体で顧客情報を一元管理できるシステムです。
顧客に対して、誰が、いつ、何のためにコミュニケーションを取ったかわかり、次に取るべきアクションも明確化できます。
AIを搭載したCRMなら、メールの自動作成や案件の優先度の分析をAIがデータをもとに行います。その結果、より効率的な営業活動が実現可能です。
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デジタルシフトを導入する注意点

デジタルシフトを導入し推進する場合の注意点を、以下に解説します。
優秀なデジタル人材の確保が必要
デジタルシフトの導入には、デジタル人材の登用は不可欠です。
デジタル人材とは、デジタル技術への知見が深く、企業に積極的にデジタル技術を導入し、成果をあげられる人です。
現在日本では、優秀なデジタル人材が不足しています。各社取り合っている状況もあり、自社で採用が難しい場合、サポート会社などを利用してデジタルシフトを進めましょう。
デジタルシフトを目的にしない
デジタルシフトは、企業の目的を叶えるひとつの手段です。
デジタルシフトやDXを意識するあまり、デジタル化すること自体が目的になってはいけません。
デジタルシフトは喫緊の課題ではありますが、あくまでも企業としての導入の目的を見定め、そこに向かって手段として推進することが重要です。
従来の方法で得た企業の資産を失う可能性がある
自社の価値や顧客ニーズを見極めずにデジタル化を推進すると、従来の方法で顧客が感じていた価値は損なわれ、顧客離れや企業の資産価値の低下をもたらします。
たとえば、親身になって聞いてくれるカスタマーサポートが魅力だったサービスに、チャットボットを導入したら顧客離れが起きることも考えられます。
顧客離れが起きた結果、企業価値が低下し、売上にも影響が出る可能性があることは覚えておきましょう。
初期費用や運用費用がかかる
デジタルシフトにはデジタル技術の利用のために、初期費用や運用費用が必要です。
費用は導入するシステムやツールの内容によって異なり、高度なデジタル技術を用いるほど、高額になる傾向があります。
現在、国や自治体は、デジタルシフトに伴う費用を補う目的で、補助金による支援を行なっています。導入を検討する際は、こうした支援事業も積極的に検討しましょう。
デジタルシフト導入の手順

デジタルシフトを導入する際は、適切な手順を踏むことで効果の高い推進が実現可能です。以下にデジタルシフト導入の手順を、4つのステップに分けて解説します。
1.目的や現状の課題を出す
もっとも重要なのが、デジタルシフトを導入する目的や課題を明確にすることです。
目的や課題が明確でないままデジタル技術を導入しようとすると、導入が目的になってしまいます。
また、実現したい業務や状態が明確でないと、工数や余計な機能が増えるなど、本末転倒な事態にもなりかねません。
デジタルシフトは目的ありきで進む点を忘れず、企業にとっての課題や目指すべき姿から整理を進めましょう。
2.あるべき姿とのギャップを明確にする
目標や解決したい課題が明確化されたら、現状とのギャップに目を向けます。ギャップが明らかになると、解決すべき問題や、導入すべきデジタル技術が見えるでしょう。
たとえば営業シーンでのデジタルシフトを検討したとします。従来の営業は、顧客情報は担当営業にのみ蓄積され、新たな営業活動を行なう際や、担当者に引き継ぐシーンで、情報連携にばらつきが生じます。
このギャップを解決したいと思ったら、「属人化する顧客情報の解消」が求められるといったイメージです。
ギャップが思い描けない場合、前段の目的や課題の明確化が、曖昧な可能性があります。しっかりと整理し、ツール選定時に後悔がないよう進めましょう。
3.適正なツールや技術を選択する
目的とギャップが明確になれば、最適なデジタル技術は選択しやすくなります。
先ほどの例であれば、属人化する顧客情報をデジタルで一元化するCRMの導入が、解決方法がひとつとして出てくるでしょう。
ここで注意したいのが、デジタルシフトは専門人材なしには推進が難しい場合がある点です。社内に適切な人材がいない場合は、専門知識を持った外部のサポートを受けましょう。
4.選択したツールや技術を活用する
選択したデジタル技術を導入したら、適切に運用するフェーズに入ります。
デジタルシフトは導入したら終わりではなく、安定した運用が叶って、はじめてデジタルシフトが実現したと言えます。
最初に設定した目的や課題の達成状況を計測し、改善のアクションを繰り返しましょう。
AIを搭載したCRMで効率的なデジタルシフトが実現可能になる

CRMとは、会社全体で顧客情報を一元管理できるシステムです。CRMを使えば、購買行動履歴や行動データ、サービスの利用情報を集約して管理できます。CRMは、営業活動をデジタルシフトさせる際に、なくてはならないツールのひとつです。
AIを搭載したCRMを活用すると、売上予想や管理ができたり、CRMデータをもとにして、顧客にあったメールの自動作成ができたり、案件の優先度の分析をAIが行なってくれたりします。業務の大幅な効率化が叶うだけでなく、人間の精度を超えた緻密な顧客分析ができ営業活動に大きく貢献します。
AIを搭載したCRM「Sales Cloud」なら、充実した学習コンテンツやサポート体制があり、導入すればスムーズな業務効率化が実現可能です。
関連記事:AIを活用したCRMとは?従来型との違いや導入ポイントを解説
目的を意識してデジタルシフトを推進しよう

デジタルシフトは、ビジネス分野では企業が現在アナログで行なっている業務やサービスなどを、デジタルに移行する取り組みです。近年デジタル技術は目覚ましい発展を遂げており、デジタルシフトを行なうことは避けて通れません。
デジタルシフトが実現できれば、業務効率化やコスト削減が達成でき、空いたリソースで新たなビジネス創造や価値提供をしていけます。
闇雲にデジタル技術を取り入れても、導入後に活用しきれなかったり、したかったことがやれなかったりと、満足度の高い運用が実現できなくなる可能性もあります。推進をする際は、導入の目的を意識し、現状とのギャップを明確化させ、適切な技術を取り入れていきましょう。