Agentforce World Tour Tokyoは、約2万3000人の登録者を集めたセールスフォース・ジャパンが主催する最大イベントで、今回は175種類のセッション、78個のデモを用意し、64社のスポンサーに賛同をいただいたハイブリッドイベントです。
これまでの年次イベントは「Salesforce World Tour Tokyo」と社名を冠した名称でしたが、今回初めてエージェント型AI(Agentic AI)の「Agentforce」(エージェントフォース)」というAIブランドを掲げており、SalesforceのAIにかける強い姿勢を示しています。

この記事では複数あるセッションの中でも、基調講演(アーカイブ映像、配信中)にを取り上げ、そこでSalesforceが示した新たなビジョンやテクノロジーにフォーカスして紹介します。
人とAIが共に働く時代へ ようこそ
2025年11月20日(木)ー 21日(金)に開催しましたAgentforce World Tour Tokyoのアーカイブ配信です。ぜひご活用ください。
Point 1:Agentic Enterpriseってなんだ?
Salesforceが新たに定義したAgentic Enterprise(エージェンティック エンタープライズ)とは、人とAIエージェントが共に働き新たな価値を創出する新たな企業体のことです。
基調講演では、Salesforce自らがAgentic Enterpriseへと進化するために手がけてきた実例を紹介。カスタマーサポートにおけるHelpサイトの事例を披露しました。
SalesforceのHelpサイトは、2024年10月にAgentforceを実装し、その後改良を続け、今年5月には100万件の問い合わせをAgentforceが処理。現時点では200万件の問い合わせにAgentforceが対応しています。その解決率は77%で、今も進化し続け精度の高度化を進めています。
すでに効果は出ており、たとえば削減したサポートコストは年間で1億ドル、問い合わせ経由で創出した商談総額は6000万ドルにも及びます。

なお、基調講演では、Agentforceを活用してAgentic Enterpriseへと進化した国内外4社の事例も紹介しています。
Case1:PANDORA(ジュエリーブランド):オンラインショッピングにおける顧客対応
Case2:PepsiCo(飲料・菓子メーカー):販売店向けの提案および問い合わせ対応
Case3:FedEx(運送):休眠顧客の活性化施策
Case4:三井住友フィナンシャルブループ(金融):企業向けの提案業務支援
各社がどのようにAgentforceを活用しているか、実際の活用シーンもご覧になれるデモ形式で解説しており、理解が深まりますので、ぜひアーカイブ映像をご覧ください。
また、三井住友フィナンシャルグループからは、中島達・取締役執行役社長 グループCEOと磯和啓雄・執行役専務 グループCDIOが登壇し、トップ自らAI活用に積極的な姿勢とテクノロジービジョンを語っていただいています。
人とAIが共に働く時代へ ようこそ
2025年11月20日(木)ー 21日(金)に開催しましたAgentforce World Tour Tokyoのアーカイブ配信です。ぜひご活用ください。

Point 2:Agentforce 360ってなんだ?
Agentforce 360は、Agentic Enterpriseへの進化のために必要不可欠なテクノロジー・ソリューション群であり、Agentforceの最新版です。2024年10月に提供を開始し、約1年の間に3回のバージョンアップを経て誕生しました。

このAgentforce 360は、過去のバージョンアップとは重みが異なります。
Salesforceは、1999年の創業当初から「新しいカタチで顧客とつながる」というビジョンのもとで製品を開発してきました。AIの開発に関しても同様で、企業が顧客とシームレスにつながり、信頼関係を築き続けるために必要なテクノロジーを研究・実装してきました。
そのビジョンを今回大幅にアップデートしました。顧客だけでなく、従業員、従業員が手がける業務、そしてAIエージェントの4つとつながるプラットフォームとして位置付けています。
💡One Point
Agentic AIとは:自律的に認知し、推論し、行動し、学習するAI。予測AIや生成AIは、人が指示を出し、その指示に応じた回答や行動しかできないが、Agentic AIは成し遂げたいゴールを与えれば、人を介さずにそのための方法を見つけ行動し完遂する。
AIエージェントとは:Agentic AIがテクノロジーであるのに対し、AIエージェントはそれを実装した、文字通り代行者(=エージェント)。デジタル労働力、サイバー人材のイメージ。
下記の図は、そのアップデートしたビジョンに沿って「顧客」「従業員」「業務」「AIエージェント」それぞれに適したアプリケーション(Customer 360アプリ)を配置し、それら全てにおいて必要なデータ活用基盤「Data 360」を中央に配置。
それを下支えするAI基盤として「Agentforce 360 Platform」とセキュリティ基盤「Agentforce Trust Layer」を位置付けていることを示しています。

従来は、下記のようにSalesforceのテクノロジーおよびソリューション群を示していました。

「顧客」のみに特化し、下から統合的なテクノロジー基盤「Salesforce Platform」の上にデータ基盤「Data Cloud(現Data 360)」があり、その上にアプリケーション群「Customer 360」、アプリ上で動くAgentforceというカタチと比較すると、その違いをわかっていただけると思います。
基調講演ではこれ以外にもAgentforce 360 Platformに関する4つの新たな機能を発表しています。
- Intelligent Context:構造化、非構造化問わず、データの文脈を読み取り、AIエージェントが正確な回答や行動を取れるようにする
- Agentforce Voice:AIエージェントと音声でやりとりすることが可能
- Agentforce Builder:AI:エージェントを構築ツールの進化版
- Agent Script:複雑になりがちなスクリプトを簡素化し正確に実行させることが可能
これらは基調講演でデモを交えて紹介していますので、ご興味があるものだけでもぜひ映像で理解を深めていただければ幸いです(基調講演のアーカイブ映像はこちら)。


基調講演では、このほかデータ活用基盤の最新版「Data 360」の進化点、新たなアプリケーション開発の世界を披露した「Agentforce Vibes」もデモを交えて紹介しています。
とくに自然言語で指示を出しアプリケーションを瞬時に開発できるAgentforce Vibesのデモはおすすめですので、ぜひそれだけでもチェックしてみてください。
人とAIが共に働く時代へ ようこそ
2025年11月20日(木)ー 21日(金)に開催しましたAgentforce World Tour Tokyoのアーカイブ配信です。ぜひご活用ください。











