Skip to Content

Einstein はなぜ「ビジネスに最良のAI」と呼ばれているのか?

Salesforce の AI 「Einstein (アインシュタイン) 」ってなんだ?

生成AI時代が本格化する中、幾多のAIが登場しています。その中でSalesforce の AI である 「Einstein 」は「ビジネスに最良のAI」を謳っています。その理由を詳説します。

個人利用AIとビジネス利用AIの違い

「個人(プライベート)での利用」と「ビジネスでの利用」は何が違うのかーー。結論を最初にお伝えすると、最も大きな違いはデータです。

例えば、「季節の挨拶を含めたメールを書いて」というプロンプトであれば、インターネットのデータを学習し、結果を生成するAIでも問題はないでしょう。

しかし、「最も受注確率が高い商談をリストアップして」というプロンプトにAIが的確に答えるには、そのAIがあなたのビジネスや顧客情報などのデータを熟知している必要があるのです。

詳しく紐解いていきましょう。

生成AIがなんらかの結果を導き出す時、そのプロセスは主に以下の3つの構造に分けることができます。

  • ユーザー・インターフェース
  • モデ
  • データ

ユーザー・インターフェースは、人間とAIが情報をやり取りするための画面です。会話型であり、求める結果を得るためのプロンプトを打ち込むものを想像してください。

モデルは、そのプロンプトから結果をえるための大規模言語モデル(LLM)等です。

そしてデータは、そのAIが質問に対して学習し回答結果の拠り所となるデータを指しています。「ChatGPT」を例にあげると以下のような位置付けですね。

  • ユーザーインターフェース : OpenAI
  • モデル : GPT-4
  • データ : インターネット上に公開されているデータ

この構造を持つAIは「最も受注確率が高い商談をリストアップして」というプロンプトに応えられるでしょうか。そうです、できるわけがありません。これは AI の性能の問題ではなく、データに問題があるのです。

では、 Salesforce の AI 「 Einstein」 はどのような構造かみていきましょう。

  • ユーザーインターフェース : Einstein Copilot (会話型UI)
  • モデル : Einstein 1 
  • データ : CRMのデータ + 外部から収集する顧客データ

「Copilot」 や「 Einstein 1」 という固有名詞を出しましたが、今は一旦無視していただき、データのレイヤーに着目してください。

もし、あなたの会社が Salesforce の「Sales Cloud」 を利用していて、そこに過去の商談データや、顧客とのコミュニケーションデータなどが蓄積されており、自社ウェブに対する訪問や振る舞いのデータもSalesforce に格納されていたらどうでしょう。

Einstein に「最も受注確率が高い商談をリストアップして」と依頼したら、進行中の商談情報とそこに含まれる顧客の動向データから、すでにウェブを多数訪問している取引先責任者を紐付けて回答してくれるでしょう。

それだけではありません。「さらに購入いただけそうな既存顧客セグメントは?」「お客様のサポートチケットに対して追加商談が見込めそうな回答方法は?」など、ビジネス業務で使える質問に的確に応えてくれる可能性が高まるのです。

個人のタスクを高速で処理するといったことではなく、「ビジネスで有効な生成結果や自動化をもたらしてくれる」こと。それが個人利用向けAIとビジネス向けAIの最も大きな違いです。

そして 、あなたの仕事とあなたの顧客を理解しているSalesforce の AI 、Einstein はあなたの顧客データを理解している「ビジネス向けAI」なのです。

Salesforce のメタデータモデルが Einstein のパワーの根源

ここまでお読みいただいた方々の中には、以下のような質問が頭に浮かぶ人もいると思います。

疑問 : CRMはメタデータモデルがあるから、Einstein が整理されたデータを使いこなせることは想像がつく。でも、データレイクに蓄積しているような外部データは様々な形式を持ち CRM のデータとは整合性がなく、取り込むとEinsteinの生成結果に間違いや混乱が生じるのでは?

素晴らしい質問です。この質問の回答を理解していただくには、前提知識として「メタデータモデル」と「Data Cloud」の2つを理解する必要があります。

メタデータモデル?

メタデータモデルとは、端的にいうと「データそのものを管理するデータ」です。ゲシュタルト崩壊しそうですよね(苦笑)。例を挙げて説明します。

「株式会社コーディのIT責任者であるアインシュタインさんと100億円の商談を進行中」という情報があったとします。これをメタデータで整理したいとすると

  • 取引先 : 株式会社コーディ
  • 取引先責任者 : アインシュタイン
  • 商談金額 : 100億円

とまとめることができます。「取引先・取引先責任者・商談金額」というデータを説明するためのデータがメタデータであり、「株式会社コーディ・アインシュタイン・100億円」がデータです。この構造を Salesforce では「メタデータ = オブジェクト」「データ = レコード」として取り扱っています。

Einstein はなぜ「ビジネスに最良のAI」と呼ばれているのか?

Salesforce CRM のデータ構造を理解したい場合は、このTrailheadに取り組みましょう。このモジュールでデータ構造について解説しています。

では、Salesforce の CRM が持つメタデータモデルに、外部のデータをどう一致させるのか。その役割を担うのが「 Data Cloud」 です。

Data Cloud?

Einstein がビジネスデータを理解して有効な学習と結果を返せるようにする仕組みが、魔法を使うウサギのマークの Data Cloud です。ここで Data Cloud とは何か、Product Marketing Manager である由井さんの解説をみてみましょう。

Salesforce の Data Cloud ってなんだ?

動画では Data Cloud の基本的な機能として「データ収集」「データ統合」「データ活用」の3つを説明しています。

特に外部データを CRM のメタデータモデルに一致させるためのルール設定をGUIベースで行えるため、外部データを取り込む際にCRMのメタデータモデルとして扱うことが可能になっています。

この Data Cloud が持つ「外部データをCRMのメタデータモデルに一致させる」機能があることで、Einstein は1人の顧客に対してより適切な生成結果を生み出すことができるようのです。

つまり、Salesforce に外部の関連顧客データを取り込めば取り込むほど、Einstein はより強力で、よりお客様のことを理解した回答を生み出してくれるようになるわけですね。なので先ほどの疑問にお答えるすると、

回答 : Einstein は Data Cloud を利用しデータレイク等から外部データを取り込むことで、混乱するどころか、さらに賢く、ビジネスに役立つ解像度の高い回答を生成してくれるようになる。

となるわけです。

Data Cloud は Einstein を「ビジネスに最良のAI」に変革する

これまでビジネスのためのAI、それが Einstein だという構造を説明してきました。

では、実際にビジネスや顧客データをより多く取り込みメタデータモデルとして扱うことで、どの程度の違いが出るのでしょうか。実際に営業担当者がお客様へのアプローチメールを生成AIに任せてみるシーンを、Salesforce AI の Product Manager である深田さんの解説でみてみましょう。

Einstein と Data Cloud でビジネスに使えるAIを。

この動画では、Einstein が顧客データをグラウンディングして、よりパーソナライズした文面を作成するために Einstein Prompt Builder を用いています。

Einstein Prompt Builder – 近日公開予定

AIから顧客データでグラウンディングされた結果を得るためのプロンプトを開発しカスタマイズ。SalesforceのCRMレコードを参照し、結果の生成時に実際のCRMデータに置き換える。適切な顧客データを生成結果に反映できるだけでなく、各プロンプトが生成した出力をテストし、組織全体で一貫した成果を展開することが可能になります。

いかがでしたでしょうか。例えば、経験値がまだ低い営業やインサイドセールスが、いきなりお客様を理解したコミュニケーションをとることができたら……。もし、100人の営業チームやカスタマーサービスのオペレーター、一人ひとりに顧客データを理解したAIアシスタントが寄り添っていく未来がきたら……。あなたのチームは100人ではなく、200人のパワーを発揮できるようになるかもしれません。

Einstein のパワーは、近日さらに多く公開されていきますのでお見逃しなく。

合わせて読みたい

今、知るべきビジネスのヒントをわかりやすく。厳選情報を配信します