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SIerがSaaSアプリの開発に挑む理由とは?

SIerがSaaSアプリの開発に挑む理由とは?

SIerがSaaSアプリを開発し提供することが中長期での経営上のビジネスメリットに繋がる事例をSIerであるアグレックス社・ケイズ社に伺います。 また投資家であるジェネシア・ベンチャーズの相良氏よりSIビジネスの市況と将来性について伺います。

ビジネスニーズに最適な完成済みソリューションをSalesforceに導入でき、部門や業種、業界毎の更なる業務効率化やSalesforceの機能拡張を簡単に行えるアプリを多数扱うマーケットプレイスであるAppExchange。今回は、近年SIerによるSaaSアプリ開発が増えていることを受けて、マーケットの状況や事例を理解するべくオンラインイベントを開催しました。

登壇いただいたのは、SaaSビジネスに精通する投資家のジェネシア・ベンチャーズの相良俊輔氏、実際にSIサービスを展開しSaaSアプリ開発も手掛けるアグレックスの森紳太郎氏、ケイズコーポレーションの神林幸康氏。

イベントでは相良氏による「SIビジネスの市況と将来性」をはじめ、セールスフォース・ドットコムの執行役員でアライアンス事業に従事する大岡剛がファシリテーターを務め、パネルディスカッションを実施しました。こちらのレポートでは、イベント内容の一部をご紹介したいと思います。

IT市場でプレゼンスを発揮しはじめたSaaS

国内のIT市場では、SIer企業の売上高が約8兆円なのに対して、SaaSの売上高は約1,000億円ということで、比較するとシェアはわずかです。アメリカではSaaSが主要マーケットの時価総額のうち約4%を占めていますが、日本では10分の1程度に留まっています。しかし、これから将来にわたって、SaaSプロダクトのIT市場に占める割合は伸びしろがあると考えています。特にエンタープライズ向けに、プロダクトと役務の折衷型のモデルを提供していくという部分で、大きなポテンシャルがあるはずです。

また、米国ではZoom、SlackなどProduct-Led Growth型に立脚したサービスの伸びが著しく、パブリックカンパニーも増えています。今後、日本でも同様のモデルが増加するという見解が多く聞かれます。しかし、成長モデルのプロダクトは、高いリテラシーやリサーチ能力を持つエンジニアなどの職種に向けたものです。日本のIT人材はベンダーに偏っていることから、技術選定のスキルを持つ人材が不足していることが考えられます。米国では、IT人材の65%がユーザー企業に属しているのに対して、日本では70%を超えるIT人材がベンダー企業に属しています。

つまり、セールスのプロセスを踏まずに企業に導入されるプロダクトを手掛けたとしても、利用する側に知見がなければスキルを伸ばすことは困難ということです。逆に、ユーザーの利に叶う視点で日本なりのプロダクトを開発し、役務も合わせて提供していくことができれば、ユーザーの課題を包括的に解いていくアプローチによって、ビジネスに勝機をもたらすと考えています。

SIビジネスとSaaSアプリがシナジーを生み出す

続いて、SaaSアプリの開発にチャレンジされている、アグレックスの森氏、ケイズコーポレーションの神林氏が加わり、パネルディスカッションを実施しました。

アグレックスは、BPO、SS、SIの3領域で企業の業務を受託しています。また、ケイズコーポレーションは、クラウド技術を利用した各種アプリケーションサービスの提案から稼働後まで、ワンストップでサポートしています。

両社ともSalesforceのパートナーとして、インプリやアプリ開発などで、長年にわたり協業を続けている企業です。SaaSアプリを手掛けるにあたり、社内の反応はどのようなものだったのか、お二人は次のように話しています。

アグレックス森氏: 当社は、役務型のマインドセットのため、他拠点の部門長からインプリの売上が減る可能性を指摘されたこともありました。しかし、話し合いを重ねるにつれ、アプリのアセット化を目指して作っていけば、会社の価値も上がるということで共通認識を持つことができました。

ケイズコーポレーション神林氏:

当社は、SIビジネスで収益が安定していたので、ぜひやってみようということで、スムーズにスタートしました。サブスクリプションモデルの導入も視野に入れていたため、SaaSアプリの開発を機に、社内で汎用的な仕組みを作ろうということで着手していきました。

では、現在のSaaSアプリの開発はどのような状況なのか、またSIビジネスとのシナジーをどう捉えているのでしょうか。

アグレックス森氏: 2年前にSalesforce Sales Cloud の⾰新性・⽣産性を⽇本の商⽂化に適⽤させた業界・業種特化型テンプレート「Incubate Block」をリリースしました。現在は、導入されたお客様からの要望で機能を追加しバージョンアップしています。こうした取り組みをはじめてから、労働集約型ビジネスからの脱却の兆しがあります。SIビジネスとのシナジー効果としては、自社が持つ多様なソリューションを融合させて、お客様に価値を提供できていると感じています。

ケイズコーポレーション神林氏: もともとインプリが事業の柱ですが、アプリ開発が営業トークのきっかけになっています。SIビジネスのシナジーはこれからですが、約20年にわたりSalesforceのパートナーとしてノウハウを蓄積しているので、お客様にとって有益なものをかたちにして提供していきたいです。また、お客様の課題には共通している部分が多々あるので、ある程度汎用的なプロダクトを作って、提供していくことも視野に入れています。

また、最近は国内で次世代型SIerが見受けられるようになったと相良氏は話します。

ジェネシア・ベンチャーズ相良氏: 受託型のシステム開発に携わりながら、中長期でプロダクトを作り、役務の比率を低下させていくというアプローチのビジネスを展開している次世代型SIerがあります。一般的なSIerとは毛色が異なり、システム開発をIT単体で捉えるのではなく、その先にあるエンドユーザーの課題を捉えてシステムを作っています。システムが誰に使われて、どういう価値を提供するかというところから逆算して作っているので、より滑らかで持続可能なオペレーションを提供しています。

まとめ

自社の事業で培ったノウハウをプロダクト開発に繋げていくことで、同業他社との差別化はもとより、ビジネスモデルをサブスクリプション型にチェンジできることが、パネラーの皆さまの実体験や考察から理解することができました。

SalesforceのAppExchangeでは、多様なプログラムを通してSaaSアプリ開発を体験することが可能です。ご興味をお持ちいただいた方は、ぜひ下記バナーよりAppExchangeプログラム説明ウェビナーをチェックしてみてください。また、イベント動画の全容は下記のURLからご確認いただけます。

本オンラインイベントのオンデマンド配信はこちら(60分)

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