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中小企業担当者が知っておくべきデジタルマーケティングの基礎 Vol8. ウェブ広告の戦略の立て方

中小企業担当者が知っておくべきデジタルマーケティングの基礎 Vol8. ウェブ広告の戦略の立て方

本Blogでは、「中小企業担当者が知っておくべきデジタルマーケティングの基礎」と 題して、マーケティングの基本知識から、SEOの基礎、ウェブ広告の基礎などを連載 でお届けしています。連載8回目となる今回は、前回の最新事情を踏まえて「ウェブ広告の戦略の立て方」について解説します。

本Blogでは、「中小企業担当者が知っておくべきデジタルマーケティングの基礎」と題して、マーケティングの基本知識から、SEOの基礎、ウェブ広告の基礎などを連載でお届けしています。連載8回目となる今回は、ターゲットのファネルに合わせたウェブ広告の戦略の立て方について解説します。

ウェブ広告、何をするのが正解?

ウェブ広告にはさまざまな種類があります。リスティング広告(検索連動型広告)、ディスプレイ広告、ショッピング広告、リターゲティング広告、動画広告、SNS広告…。ウェブ広告でターゲット(見込み顧客)へアプローチしたいと考えても、どの広告から始めるべきなのか迷う方が多いのではないでしょうか。

一番良くないのは、「リスティング広告って聞いたことがあるからとりあえずやってみよう!」「最近はSNSが流行っているって聞くからとりあえずSNS広告をやってみよう!」という「とりあえず」の思い付きだけで始めてしまうことです。それでは配信の仕方まではなんとか理解して実際の配信まではできるかもしれませんが、コンバージョンが取れない、クリックもしてもらえない…そんな事態に陥ってしまいます。 ウェブ広告を始めるためにまずしなくてはいけないことは、「どの広告から始めるのか」を決定することではありません。実は「自分が売ろうとしているターゲットはいまどんな状況なのか」を知ることなのです。そうすればおのずと「どの広告をすべきなのか」が見えてくるでしょう。

ターゲットの「ファネル」を理解しよう

ウェブ広告に限らず、マーケティングのプランニングをする際に使われる考え方に「ファネル」があります。「ファネル」とは漏斗を意味する言葉で、アピールしたい商品やサービスの購入に対して、ターゲットがどのような段階にいるのかを分類しモデル化する考え方です。 購入へ近くなればなるほど人数が少なくなっていくことから、図にした際は逆三角形の漏斗のような形になります。

上の図は、ある商品の購入にいたるまでのファネルを、商品認知もしくは商品に対するニーズの有無で、潜在層・準顕在層・顕在層と分けた図です。 一番上にいる潜在層は、商品のことを知らずニーズがあるのかも不明な層、準顕在層は、ニーズはあるものの自社製品が検討に入っていない層です。一番下の顕在層は商品を知っており、ニーズもある層、競合他社の商品も含め検討段階にいる、購入に最も近い層と定義しています。 この定義づけは、多くの商品やサービスに当てはめることができますが、常にこの通りのファネルになるわけではありません。たとえば、同じ「購入」と言っても家と靴下では1回の購入の重みが違います。家は多くの場合、顧客ひとり1回の購入で終わりますが、靴下は、日々身に着けるものですから、顧客ひとり1回の購入では終わりません。靴下を売りたいのであれば、靴下を1回買ってもらえたことがゴール、つまりファネルの1番下となるわけではなく、繰り返し購入してくれる「リピーター」や「ファン」がゴールになるのではないでしょうか。ご自分がアピールしたい商品やサービスにあった定義づけを、紙に書きながら考えてみてください。

各ファネルにあったウェブ広告とは

分類ができたら、それぞれの段階にいるターゲットがどうなってほしいか考えていきますましょう。

商品のことを知らないうえにニーズの有無も不明な潜在層には、いきなり購入を迫るのではなく、まず、こういう商品があるんだということを知ってもらい、興味を持ってもらうことから始めなくてはいけません。 次に、ニーズはマッチしているが、商品が検討段階に入っていない準顕在層には、自社商品が自分のニーズにマッチしていることを知ってもらい検討のひとつに自社商品を入れてもらうことを目指していきます。 最後に、商品を知っていて、ニーズもマッチしている顕在層には、他社ではなく、自社商品の購入をしてもらうことがゴールになります。

一口に「ターゲット」といっても、ファネルよって、なってほしい像というのはかなり違います。よって、ウェブ広告に限らずマーケティングでは、ファネルにあった戦略を立てていくことが重要なのです。 では、各ファネルにあったウェブ広告にはそれぞれどんなものがあるのか、それを次に見ていきましょう。

  • 潜在層へのアプローチ

商品のことを知らず、ニーズの有無が不明な潜在層へは、まず知ってもらい興味を持ってもらうことが必要です。つまり、広いターゲティングで配信でき、印象に残りやすい広告が向いています。 ウェブ広告では、YouTubeやFacebookの動画広告があります。動画広告は、ターゲットに広告に対してクリックなどのアクションを促すものではなく(もちろんLPの設定をしますのでクリックをしてもらうことも可能ですが)、広告を見てもらうことを目的としていますのでテレビCMなどのマス広告に似た側面があります。動画を見たからといってすぐに購入に至る、というわけではありませんが、より多くの人に知ってもらう、認知度を拡大する効果が期待できる広告と言えます。

  • 準顕在層へのアプローチ

ニーズはあるものの、自社商品が検討には入っていない準顕在層には、ターゲットのニーズに自社商品がマッチしていることを知ってもらいましょう。この層はおそらく検索などウェブ上で情報収集をしていると多いと考えられます。ですから準顕在層には、情報収集しているタイミングで広告を見せることが重要になってきます。 例えば、シルクの靴下を買えるECサイトを探している人が「靴下 シルク 通販」などの語句で検索しているときに広告を配信できるリスティング広告やショッピング広告、靴下の通販サイトを比較しているサイトに広告を配信できるディスプレイ広告がマッチします。 ほかには、情報収集場面ではありませんが、興味関心やユーザー属性で精緻なターゲティングができるSNS広告なども准顕在層には効果的です。

  • 顕在層へのアプローチ

商品のことを知っており、かつ他社の商品も含めて検討段階に入っている顕在層へは、細かなアプローチと他社との差別化が重要です。 一度サイト訪問したユーザーに対して広告を配信するリターゲティング広告では、商品の再想起を図り何度もサイトへ流入させることで商品の理解を深めてもらうことができます。また、一度見た商品やそれに類似する商品を見せることができることができる動的リターゲティング広告なら、商品の再想起だけではなく、ほかの商品や商品数の豊富さなどのアピールにも活用することもできます。 準顕在層への有効な広告としてご紹介したリスティング広告では、商品名で検索されたときに他社にはない売りを訴求し最後の一押しをする、という戦略も顕在層には有効です。

最初に、「自分が売ろうとしているターゲットはいまどんな状況なのか」を知れば、おのずと「どの広告をすべきなのか」が見えてくる、と申し上げました。では、ウェブ広告を使って訴求したいものが新規開設したスイーツのECサイトだったら、と仮定して簡単にプラニングをしてみましょう。 新規開設ということは、そのECサイトのことはほとんどの人に知られていないと考えられるので、まずは潜在層へのアプローチとして動画広告でそのECサイトで売っているのおいしそうなスイーツとECサイトの名前をアピールすることが必要そうです。 ほかには、スイーツに関するキーワードを使ってリスティング広告とショッピング広告を実施すれば、誰かへのプレゼント用にスイーツを探している準顕在層へのアプローチもできますし、もしかしたら動画広告を見たユーザーが、なんとなく記憶に残っていたECサイトの名前で検索して購入に至ることがあるかもしれません。 さらには一度ECサイトに来たものの購入には至らなかったターゲットに対してはリターゲティング広告を実施し、再訪問を促すこともできます。

これでざっくりとはしてはいますが、スイーツのECサイトの全体的なウェブ広告のプランニングが出来てしまいました。これからそれぞれの広告でどのように訴求していくか、というのを具体的に考えていく段階に入っていきます。

次回は、広告を始めるための準備として「自社とお客様を知る」ことの重要性を解説します。

Watanabe Mamiko アユダンテ株式会社 SEMコンサルタント

不動産特化のインターネット広告代理店で新築分譲マンションのWEBプロモーションに携わったのち、2016年よりアユダンテ株式会社に入社。現在は、主にBtoB企業を担当。

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