Salesforceの顧客関係管理(CRM)プラットフォームは、世界の15万社以上に利用され、企業や公共機関、非営利団体が「顧客とつながる」お手伝いをしています。このプラットフォームを活用し、業務を円滑に進めるうえで大事な役割を果たすのが、Salesforceシステム管理者です。
Salesforceで成功している企業には共通点があります。それはSalesforceシステム管理者の存在です。SalesforceのAIエージェント「Agentforce」のような新たなAIがプラットフォームの機能を強化する中、企業にはこれまで以上に熟練した管理者が必要になっています。
「Salesforce 認定資格」をリニューアル!
受験前に知っておきたい5つのポイントも解説

目次
Salesforceシステム管理者とは?
Salesforceシステム管理者の仕事は、Salesforceを適切に運用・管理して、業務上の問題を解決することです。各種機能の開発や設定、自動化を通じて、利便性を高めます。
システム管理者は、社内の各方面と協力しながらシステム要件を定義し、Salesforceをカスタマイズします。とりわけ重要な役目は、ユーザーがSalesforceの機能を有効に使えるようにすることです。
Salesforceシステム管理者は、導入企業が設定した目標を達成するために、Salesforceをどう使えばよいのか熟知しています。規模に応じて、複数のシステム管理者を置く企業もあります。
「Agentforce」を活用することで、システム管理者は既存のスキルとツールを使って信頼性と安全性が高いAIエージェントを構築し、AIの可能性を解き放ちます。
主な業務は、ユーザーの支援、データの管理、セキュリティ対策と管理、アクションにつながる分析の実施です。Salesforceシステム管理者は、次のことを期待されます。
- Salesforceの保守管理を担う
- 利用者の技術レベルに関係なく、Salesforceを誰でも簡単に使えるようにする
- Salesforceの新しいツール、機能、改良点の最新情報を把握する
- Salesforceを企業の目標に合わせて調整し、製品リーダーとして有意義な成果を達成する
Salesforceシステム管理者は、Salesforceを知り尽くした信頼できるアドバイザー(英語)であり、IT技術で日々の業務を支える心強い味方なのです。
Salesforceシステム管理者は、何をする人?
Salesforceシステム管理者を他の職務との兼任にする企業もありますが、要件によっては専任を採用することもあります。どちらの場合も、Salesforceの幅広い機能を理解し、最大限に活用するために、システム管理者の認定資格を持つ人物を選ぶことが大事です。
Salesforceシステム管理者は、Salesforceを最大限に活用できるよう、以下のような幅広い業務を担当します。
- 企業のニーズに合わせてSalesforceプラットフォームを構築・維持する
- 新しいユーザーを作成し、適切なアクセスレベルを確認する
- ビジネス目標を追跡するためのカスタムレポート・ダッシュボードを作成する
- ビジネスプロセスを自動化して時間を節約し、エラーを削減する
- ユーザーをトレーニングし、継続的にサポートする
- 会社のデータをクリーンかつ正確で安全に保つ
- ビジネスプロセスに合わせてフィールドやレイアウト、ワークフローをカスタマイズする
- Salesforceの新機能やアップデートの最新情報を入手する
システム管理者の役割の中核は、ユーザーアクセスとセキュリティの管理です。企業の最も重要な資産であるデータが安全に管理され、適切に維持されていることを確認する責任を担います。
たとえば、営業部門が商談管理や成約促進のために「Sales Cloud」を活用するとします。Salesforceシステム管理者の支援があれば、営業部門は自分たちのニーズに合ったダッシュボード、項目、通知、レポートを設定し、営業サイクルの短縮や、きめ細やかな見込み客への対応を実現できます。これは結果的に、営業担当者や新規顧客の満足度向上につながります。
他の部門でも同様です。Salesforceのソリューションはセールス、マーケティング、カスタマーサービスなど多岐にわたるため、社内のどの部門も、システム管理者からSalesforceの活用方法を学ぶことができます。
Trailblazerとは
Trailblazer(トレイルブレザー)とは、Salesforce界における「Go getter(積極的で行動力のある人)」です。新しいスキルを学習し、会社の成功に役立つより良い方法を見つけ、問題解決に情熱を注ぐ人材です。Salesforceシステム管理者になれば、会社に貢献しながら自身のキャリアを成長させていく、このグローバルコミュニティの一員となることができます。
Salesforceシステム管理者はTrailblazerコミュニティの中核を担っており、需要は今後ますます高まると予想されます。
Salesforceを取り巻く市場には、Salesforceを通じてキャリア、会社、コミュニティの発展を目指すTrailblazerたちが集まっています。その市場が大きくなるほど、Salesforceシステム管理者の重要性も増していきます。システム管理者の活躍の場は幅広く、適切なスキルとツールさえあれば、いくらでも成功をつかむことができるのです。
Salesforceシステム管理者になるには
Salesforceシステム管理者を目指すにあたって、技術職の経験やSalesforceの知識の有無は問われません。パソコンとインターネット環境さえあれば、Salesforceの無料オンライン学習サービス「Trailhead(トレイルヘッド)」を使って、世界のどこからでも勉強を進められます。初心者から経験豊富なベテランまで、ビジネスに役立つ幅広いスキルを身につけられるでしょう。何よりの強みは、オンラインで好きなときに学べることです。
Salesforceシステム管理者として働くには、適切な準備と学習を重ね、Salesforce認定アドミニストレーター試験に合格するのが、最も合理的です。初心者の場合は、Salesforce製品の役割や機能を学ぶところから始め、徐々に高度なモジュールに進みましょう。試験勉強にかかる時間は、約115~125時間と想定されています。
Salesforceシステム管理者に求められる知識やスキルには、次のようなものがあります。
- 製品管理(Product Management)
- ユーザー管理(User Management)
- データ管理(Data Management)
- 変革管理(Change Management)
- セキュリティ(Security)
- 経営分析(Project Management)
- プロセスの自動化(Process Management)
- データ分析(Data Analytics)
- ビジネス分析(Business Analytics)
- 問題解決(Problem Solving)
- コミュニケーション(Communication)
- 常に学ぶ姿勢(Learner’s Mindset)
- 創造的思考(Designer’s Mindset)
- 細部への目配り(Attention to Detail)
参考:Salesforce Admin Skills Kit(英語)
Salesforceシステム管理者に聞かれるキャリアの可能性
多くのTrailblazerが自分を磨き、存在感を増していくなか、Salesforceシステム管理者の需要も今後ますます高まると予想されます。
Salesforceの調査によると、米国の場合、システム管理者の年間求人数の増加率は148%、平均給与額は8万6000ドルです。新しいことを学んだり、最新技術を楽しむプロフェッショナルにとって最適な仕事と言えます。
Salesforce認定アドミニストレーターの資格を取って、現職でのスキルアップや昇給(英語)を目指す人もいれば、資格で履歴書に箔をつけ、新天地を探す人もいます。
Salesforceは、業界や規模を問わず数多くの企業に導入されているため、この資格があれば、小売、非営利団体、金融サービス、医療機関、ソフトウェア企業、サービス事業者など、幅広い分野で活躍できます。
Salesforceシステム管理者が「Agentforce」で道を切り開く方法
「Agentforce」は、従業員と顧客に特化したサポートを提供するチームを支援します。企業がよりスマートな働き方を模索する中、Salesforceシステム管理者こそが、この変革をリードする比類ない役割を担います。
Salesforceシステム管理者は「Agentforce」を活用して、AIエージェントを構築・カスタマイズ・導入することで、チームの業務効率を高め、より良い顧客体験を創造できます。
1.Salesforceシステム管理者はAIの専門家になれる
Salesforceシステム管理者は、ビジネス課題をテクノロジーで解決することに長けています。その専門知識をAI分野に広げ、「Agentforce」の構築と管理を学ぶことで、就職市場で際立つ貴重なAIスキルを習得できます。企業はAIを実際のビジネスニーズと結びつけられるプロフェッショナルを求めており、「Agentforce」の知識が強みとなります。
2.Salesforceシステム管理者はAgentforceに直接関われる
Salesforceシステム管理者になれば、「Agentforce」の開発段階からいち早くアクセスでき、AIエージェントの作成方法や、ワークフローの設定方法、運用中のSalesforce機能と「Agentforce」の連携方法を実際に習得できます。
3.Salesforceシステム管理者はAIエージェントの企業導入を支援できる
Salesforceシステム管理者は、顧客サービス対応の自動化や、パーソナライズされた営業コーチングの提供、業務の効率化など、「Agentforce」がビジネス課題を解決する機会を見つけ、具体的な成果を示すことで、企業が自信をもってAIソリューションを採用できるようになります。
「Agent Builder(エージェントビルダー)」を使ったAIエージェントの構築・カスタマイズや、チームコラボレーション向上のための「Agentforce」と「Slack」の統合など、専門知識が業務変革を支援します。
「Agentforce」がいかに業務を効率化し、成果をもたらすかを示すことで、企業がAIソリューションを自信をもって採用することを支援できます。
Salesforceシステム管理者の認定資格
Salesforceシステム管理者になることは、長期的なキャリアパスとして価値ある選択肢となります。おすすめしたいのが、次の6種類の認定資格です。
- Salesforce認定アソシエイト
統合型CRMプラットフォームが部門間の連携や顧客データの課題をどのように解決するのかについて基本的な理解を持ち、Salesforceユーザーとして6か月以内の人を対象としています。レポート作成やユーザー管理、共有、カスタマイズ、データ管理の基礎知識があればベターですが、技術的な専門知識は必要ありません。 - Salesforce認定Platformアドミニストレーター
Salesforceの利用経験があり、レポートやダッシュボード、ワークフローの構築およびユーザーやデータ、そしてセキュリティの管理経験を持つ方を対象としています。Salesforceのさまざまな機能を社内で活用する方法を追求している人のための認定資格です。 - Salesforce認定Platformアドミニストレーター上級
S認定アドミニストレーターとして十分な経験を積み、Salesforceの高度な機能を使いこなして、業務上の幅広い問題を解決する人のための認定資格です。 - Salesforce認定CPQスペシャリスト
Salesforce CPQ(Configure, Price, Quote)を利用して、営業チームのために見積フローを設計、構築、実装する人のための認定資格です。 - Salesforce認定Marketing Cloudアドミニストレーター
「Marketing Cloud」の設定、トラブル解決、ユーザーからの要望に対応するシステム管理者のための認定資格です(登録者のデータ管理や、セットアップ操作のスキルも必要)。 - Salesforce認定Platformアプリケーションビルダー
目的に合ったアプリを設計、構築、実装する人のための認定資格です。
さらに、AIと「Agentforce」を使用する管理者は、「認定 AI アソシエイト」と「認定 Agentforceスペシャリスト」の取得も検討しましょう。
【期間限定!】
AI認定資格を無料で取得する方法
Salesforceは、AIスキルの需要拡大に応え、無償のAIトレーニングを提供開始しました。

Salesforceについての専門知識やスキルを証明する方法は、システム管理者向けの資格を取ることだけではありません。その他にも、Salesforceアーキテクト、デベロッパー、セールスプロフェッショナル、マーケター、コンサルタント、デザイナー向けの認定資格があるので、目指すキャリアに応じて取得を検討してください。
Salesforce認定アドミニストレーターの試験は、誰でも受験でき、前提となる資格はありません。しかしながら、認定上級アドミニストレーターになるには、まず認定アドミニストレーターの資格を取っておく必要があります。認定上級アドミニストレーターの試験では、Salesforceシステム管理者の知識に加えて、さらに高度な知識が問われるためです。
試験に臨む前に少なくとも半年から1年間は、Salesforceの実務を経験することをおすすめします。
Salesforceの無料オンライン学習サービス「Trailhead」で知識を身につけ、システム管理者の認定資格を取得しましょう。
Salesforce認定アドミニストレーター試験に備える
試験に向けての勉強方法はいくつかあります。「Trailhead」で学ぶ利点は、一緒に学習する仲間「Trailblazer」がいることです。Trailblazerコミュニティを通じて、ともに学び、質問し、協力し合うことができます。
Salesforceシステム管理者向けのYouTubeチャンネル(英語)で学ぶ方法もあります。システム管理者の役割について説明する動画や、Webセミナーの録画など、学習に役立つコンテンツが公開されています(試験合格のヒントを紹介するブログ記事もお勧め)。
その他にも、オンラインとオフラインの教材が数多く公開されています。最新のお役立ち情報を発信するブログに加えて、AIおよび「Agentforce」のスキルを構築・認定する新しいプログラム「Agentblazer Status」を開始しました。
Salesforceシステム管理者の支援があれば、営業部門は自分たちでダッシュボード、項目、通知、レポートを設定できるようになり、営業サイクルの短縮や見込み客へのきめ細やかな対応が可能になります。これにより、営業担当者や新規のお客様の満足度が高まるでしょう。
Trailheadのモジュールやプロジェクトを一通り終えたら、Salesforce認定アドミニストレーター試験の受験ガイドに目を通してください。
準備ができたら、受験の申し込みをします。会場での試験か、オンライン試験を選択できます。多肢選択/複数選択方式の 60 問が出題されます。試験時間は105分、正答率65%以上で合格です。初回でも再受験でも、申し込みの際には受験料が必要です。
試験に合格すると、Salesforce認定アドミニストレーターとしてキャリアの幅が広がりますが、合格したらそこで終わりではありません。認定資格を更新するために、定期的に更新モジュールを修了して、常に最新の知識やスキルを学ぶ必要があります。
よくある質問
- Salesforceシステム管理者とは?
- Salesforceを管理・カスタマイズして、ユーザーがプラットフォームを最大限に活用できるよう支援します。
- Salesforceシステム管理者になるには?
- Salesforceプラットフォームを学習し、認定資格を取得しましょう。
- Salesforceシステム管理者の主な担当は?
- セキュリティ・ユーザー管理・データ管理・製品管理・分析です。
- Salesforceシステム管理者が取得できる認定資格はどんなものがあるのか?
- 基礎的な管理者認定を提供しており、経験を積むにつれ高度なオプションも提供されます。
- Salesforceシステム管理者にはどのようなキャリアチャンスがあるのか?
- プラットフォームマネージャー・コンサルタント・ソリューションアーキテクトなどがあげられます。
- Salesforceシステム管理者になるには技術的な知識や経験が必要?
- いいえ。しかし、テクノロジーの概念を理解することは、プラットフォーム習得に役立ちます
認定資格追跡してみた、聞いてみた
~認定アドミニストレーター編~
資格の概要と取得方法を説明に加え、学び方、キャリアパスへの影響についてインタビューを行い、その声をご紹介します。

※本記事は米国で公開された “What Is a Salesforce Admin?” の抄訳版です。本ポストの正式言語は英語であり、その内容および解釈については英語が優先されます。