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デジタルトランスフォーメーション(DX)を取り入れる際の6つの課題とは?

デジタルトランスフォーメーション(DX)を取り入れる際の6つの課題とは?

IT化に留まらず付加価値創出のためにデジタルテクノロジーを活用するDX。日本の現状、導入課題について説明します。

単なるIT化にとどまらず、付加価値を生み出すためにデジタルテクノロジーを活用する「デジタルトランスフォーメーション(DX)」という取り組みをご存知でしょうか。

ここでは、DXが注目される背景や日本国内における現状、DX導入にあたり企業が直面する6つの課題について説明します。

デジタルトランスフォーメーション(DX)が注目される背景とは

「事業に活用できる膨大なデータを保有しつつ、それらを最大限に活用できていない」こうした現状は日本企業における共通の課題として長く語られてきました。

たとえば、株式会社あきんどスシローはすし皿にICタグを取り付けて、1年間に10億件以上のデータを収集していたものの、分析手段がExcelに限定されていたためデータ活用に制限がありました。

のちに、大量のデータを処理できる分析システムを導入したことで、同社は未活用であった情報資産を事業改善に活かせる体制へ切り替わっていますが、旧体制では収集したデータを最大限活用できていたとはいえません。

また、有益なデータを組織全体で共有できておらず、部門をまたいだデータの活用がおろそかとなっているケースも珍しくありません。収集したユーザーデータを自社サイトの分析・改善にのみ活用し、別部門が担当する商品企画やサービス改善に活かせていない場合もあるのです。

これでは、ビジネスシーンで注目されている「AI」「ビッグデータ」「IoT」といった、データ活用を前提とするテクノロジーや概念を取り入れる体制として万全とはいえません。そのため、これらの課題を解決するのに、会社をまるごと情報化するDXが必要とされているのです。

日本におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の現状

経済産業省が公表した「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」では、IT専門調査会社であるIDC Japanが提唱する以下の文言が、DXの定義として引用されています。

“企業が外部エコシステム(顧客、市場)の破壊的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラッ トフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術) を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること”

また同資料の「議論のスコープ」には、以下とあります。

”あらゆる産業において、新たなデジタル技術を使ってこれまでにないビジネスモデルを展開する新規参入者が登場し、ゲームチェンジが起きつつある。”

今後の組織にはデジタル技術を活用し、顧客・市場の変化に対応可能な体制構築が求められていると考えられます。

しかし現状を見る限り、デジタルテクノロジーを積極的に活用し、組織改革を始めている日本企業はまだ多くはないと思われます。事実、日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)の調査によれば、日本企業のIT関連費用のうち80%近くが現行ビジネスの維持と運用に割かれており、バリューアップ(価値向上)に割り当てられるIT予算は全体の20%ほどにとどまっているのです。

出所:日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)「企業 IT 動向調査報告書 2020」

ただし「3年後の目標」は、バリューアップ予算に約9ポイントの増加が見られます。デジタルテクノロジーの活用は、現状においてはまだ発展途上といった印象があるものの、今後は徐々にデジタルテクノロジーの活用へ注力する企業が増えてくるものと予想されます。

デジタルトランスフォーメーション(DX)を取り入れる際の6つの課題

では、DXに踏み切れない企業にはどんな障壁があるのでしょうか。DXを取り入れる際に直面することの多い6つの課題を紹介します。

目標設定が難しい

DX導入は単なるIT化ではなく、デジタルテクノロジーを通じた新たな価値創出を目標とするものです。つまり、既存事業をIT技術によって効率化するのではなく、新規にビジネスモデルを組み立てていくイメージに近い取り組みだと言えます。

新しくビジネスモデルを構築する以上、明確なビジョンや目標設定が必要ですが、実現可能であり企業のバリューを高めるような目標設定は容易ではありません。「AIを使って何か始めてみよう」といったような、目指すべきところが定まっていない技術起点のプロジェクトが乱立してしまう傾向があります。

既存ITシステムの複雑化

現行のITシステムが複雑化しているために、DXによるシステム刷新が難しいというケースは珍しくありません。

部署をまたいで別々に管理されてきたシステムは、システムの構築・設定に関わる担当者が組織を抜けると、管理のノウハウがブラックボックス化し、システムの変更を加えたりトラブルを解消したりする手段が分からなくなるケースがあるのです。

そうしたシステムを一本化するには、システム移行に対する各部署からの理解を得ることや新システムに対する運用面での教育などの手間が生じ、改革への歩みを鈍らせる要因となります。

変更管理リソースの不足

DX導入に対する人員が不十分であれば、会社をまるごと情報化するための施策が中途半端に終わり、データ活用のための組織改革という目的を達成できない可能性があります。そのため、いかにDX導入にリソースを集中させ、組織全体の理解と協力を獲得できるかが重要となります。

最高責任者レベルの協力の欠如

DX導入は全社的な取り組みとなるため、指揮を執って組織改革を進めていく最高責任者レベルの人員の協力が欠かせません。仮に社内にDX導入へ反対するグループがいた場合には、最高責任者がリーダーシップを発揮して意思決定を行っていく必要があるのです。

人材不足

DXを導入するにあたっては優秀なIT人材の確保も欠かせません。しかし、日本国内においてIT人材は不足しており、また自社の人材へ高度なIT教育を施す体制を構築できていないケースがほとんどです。

変化を嫌う文化

創業期を越えて仕組みが確立した組織は、新たな手間やコストが生じるような変化を嫌い保守的な考えを持つ傾向にあります。

たとえば、情報が会社の共有資産として残りづらい「メール」から、組織を縦断した情報共有を得意とする「チャットツール」に連絡方法を変えるなどの施策に対して、一定の反発があるケースも見られます。既存のやり方を変える手間に戸惑いや面倒さを感じ、従来の方法を引き続き採用することとなれば、DXを前進させることはできません。

デジタルトランスフォーメーションが企業の価値を高める

DX導入により会社をまるごと情報化することで、記事冒頭でご説明したような「データを最大限活用できない体制」が改善されて、組織が持っている全ての情報を事業に活かせるようになります。

これまで活用できていなかったデータを既存事業の改善に組み入れれば、顧客や競合他社に対する新たなアプローチ手法の発見にもつながるでしょう。DX導入により活用できるデータが増えることで、結果として企業の価値向上に結び付くのです。

また、仕様を熟知している担当者が少ないレガシーシステムは廃止され、書類・印鑑が電子化されることで、価値向上のほかにも業務効率面の改善が期待できます。

まとめ

DXによる社内の改革を目指してはいるものの、さまざまな障害に阻まれて最初の一歩を踏み出せない状況にある企業は多く存在します。また、DXの必要性を感じながらも「何から手をつけていいのかわからない」という企業の経営者や担当者の方もいらっしゃるでしょう。

そこで、多くの企業が直面する課題とその解決策について解説したeBook「デジタルトランスフォーメーション(DX)のはじめかた」をご用意しました。DX実現の最も基本的なヒント集として、ぜひご活用ください。

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