セールスフォース・ジャパンは、新しいテクノロジーやプロダクト・サービスを発表した時に、定期的にアナリストや記者をお招きして会見を開いています。
ただ、Salesforceやテクノロジーに精通するプロ向けの説明になるだけに、わかりにくいことがあるかもしれません。また、プレスリリースには「一定の型」があり、読み解きにくい体験をされている方もいらっしゃるかもしれません。
そこでSalesforce blogでは、セールスフォース・ジャパンの広報担当者に内容をわかりやすく、そしてフランクに解説してもらいました。
Salesforceはこう使ってる AIエージェントデモ動画5本
世界No.1 CRM企業のSalesforceが、AIエージェントをどのように活用しているか。自社事例をわかりやすくご紹介する、デモ動画をまとめてご紹介します。
目次
今回の発表内容
・Agentforce 360 Platformのアップデート(Agent scriptとAgentforce Builderの発表)
・UCCジャパンのAgentforce活用事例
▶プレスリリースはこちら
説明する広報担当者

セールスフォース・ジャパン株式会社
マーケティング統括本部 広報部 シニアマネージャー
Question1 今回のニュースは何?
「Agentforce 360 Platform」のアップデートとして「Agent script」と「Agentforce Builder」という2つのプロダクトをリリースしたことです。1つずつ説明しますね。

皆さんはLLM(大規模言語モデル)を使った時、「指示した内容と違う動きをした。指示した質問に的確に答えてくれなかった」という経験はありませんか?
AIエージェントは、LLMを活用して動作する中で企業のルールや決まった手順を時々忘れてしまうことがあります。そんな課題を解決するためにSalesforceが提供するのが、「Agent Script(エージェント・スクリプト)」です。
これは、一言でいうと、AIエージェントのための「絶対に外してはいけない手順書」です。LLMは、膨大なデータから「次に来る言葉」を予想して動いていました。
しかし、ビジネスの現場では「Aという条件なら、必ずBという処理をする」といった100%の正確性が求められる場面が多くあります。Agent Scriptは、この「ビジネスの論理」と「LLMの柔軟性」をハイブリッドで組み合わせて、AIエージェントを動作させることを可能にしたんです。
専門知識がなくても「普段の言葉(自然言語)」でAIエージェントへの指示を記載。たとえば「返品希望のお客様には、まず購入履歴を確認して」と指示を書き、これをAIの力を使って所定のスクリプト書式に落とし込むだけで、AIエージェントはそのルールを厳守しながら、顧客一人ひとりに合わせた正確な業務を行います。
さらに、AIがどう考えてその結論に至ったのか、そのプロセスを後から「見える化」できるのも特徴です。まるで新入社員に仕事の進め方を教え、その成長を見守るような感覚でAIエージェントを育てられます。
Agent Scriptは、AIを「優秀だけど気まぐれなアシスタント」から、企業のルールを完璧に守る「信頼できるプロフェッショナル」へと進化させる、これからのAIエージェントを活用するビジネスに欠かせない技術なのです。
もう1つの「Agentforce Builder」についても説明しますね。
いま、ビジネスの現場では「AIをどう使いこなすか」から「自社の業務に特化したAIをいかに素早く作るか」へとステージが移っています。その鍵を握るのが、Salesforceが提供する革新的なプラットフォーム「Agentforce Builder」です。
一言でいえば、専門的なプログラミング(コード)を一切書かずに、自社の業務を完璧にこなす「AIエージェント(AI社員)」を組み立てられる、直感的な開発ツールです。
最大の特長は、ITの専門家でなくても、現場の担当者が自然言語でAIを構築できる点にあります。
例えば、新しい部下に業務マニュアルを渡すように「お客様の購入履歴を確認して、最適な提案をして」と指示を入力するだけで、AIエージェントがその意図を汲み取って自律的に動くようになります。
さらに、Salesforce内に蓄積された「生きた顧客データ」や、既存の業務フローとAIを直接つなげられるため、単なる回答役に留まらない、実務に強いAIエージェントが完成します。
「Agentforce Builder」は、AI開発をエンジニアだけの特権から、誰もが触れるツールへと変えました。これにより、企業はアイデアを即座に形にし、単純作業はAIに任せ、人間はより創造的な仕事に集中できる「新しい働き方」を最短距離で手に入れることができるのです。
Question2
そもそもAgentforce 360 Platformと
Agentforceって何が違うの?
似た名前に聞こえますが、「家を建てるための土台と道具」と「そこで実際に働く専門家」というくらい明確な違いがあります。
Agentforce 360 Platform(=土台と道具)は、企業が独自のAIエージェントを構築・運用するための技術的な基盤(プラットフォーム)そのものを指します。以前は「Salesforce Platform」と呼ばれていた領域が進化し、AIエージェント時代に合わせて再定義しました。
具体的には、AIエージェントに「思考力」を与えるエンジン「Atlas推論エンジン」や、安全性を守る仕組み「Trust Layer」など、AIを動かすためのテクノロジーやツール群を指します。先ほど紹介したAgent ScriptやAgentforce Builderもここに含まれます。
一方で、Agentforceは、そのプラットフォーム上で作られ、実際に現場で活躍するAIエージェントそのものを指す言葉です。
具体的には、セールスやカスタマーサービス、マーケティングといった具体的な業務の中で、人と協力しながら自律的にタスクをこなします。例えば、お客様からの問い合わせに答えたり、商談の準備をしたりする「デジタルな社員」たちがAgentforceです。
まとめると、Agentforce 360 PlatformはAIエージェントを生み出し、支えるための仕組みやテクノロジー、ツールの総称。一方、Agentforceはその仕組みを使って生まれたデジタルな労働力ということになります。
プラットフォーム(土台)がしっかりしているからこそ、Agentforceという優秀なエージェント(主役)が安心・安全に私たちのビジネスを助けてくれるのです。
Question3
Agentforce 360 Platformはどの程度広がっているの?
AI界の“超・即戦力ルーキー”が、異例のスピードで成果を出し始めているというイメージをもっていただければ幸いです。
「AIエージェントはまだ実験段階。試用期間では?」という声も聞こえてきそうですが、Agentforceはその予想を良い意味で裏切っています。
2024年9月の発表からわずか1年余りで、導入実績として制約件数グローバルで2万9000件を突破(2026年度第4四半期決算より)。Salesforce製品として歴代最速の成長を達成しています。
検証から本番運用へ移行するお客様も前四半期比で50%増という勢いです。もはや「期待の新人」というより「頼れる中堅社員」のような安定感さえ漂わせています。
気になる「成果」、事例も続々と公開しています。例えば、フィンランドの航空会社であるフィンエアー(Finnair)では、対応できる会話の数を7倍に増やしながら、初回の問い合わせで問題を解決する割合を2倍に高めました。
日本国内でも、その「働きぶり」は高く評価されています。富士通ではマーケティングの修正・レビュー時間を83%も短縮。LINEヤフーでは月間30万件もの問い合わせ対応を検証中。さらに、Salesforce自社のサポートサイトでは、140万件を超える相談のうち、なんと約76%を「人を介さずに」完結させてしまいました。
24時間365日、文句ひとつ言わずに膨大なデータから正確にアウトプットを出すAgentforceは、まさに「未来の技術」から世界中の企業のオフィスで欠かせない「エース社員」へと進化を遂げています。
Question4
UCCが発表したAgentforceの使い方を教えて
UCCジャパンは、2025年の最優先IT戦略としてAIエージェントの活用を掲げ、Agentforceを実務にいち早く導入しました。単なる技術検証に留まらず、本番環境で具体的な成果を上げている同社の取り組みは、AI活用のベストプラクティスとして注目されています。私もお聞きすることを楽しみにしていました。
具体的には、UCCグループの中で特に飲食店やホテル向けの業務用卸を担う「UCCコーヒープロフェッショナル」のインサイドセールス部門にAgentforceが導入されました。
主な役割は、膨大な顧客データの中から「今、どのお客様に、何を提案すべきか」をAIエージェントが自律的に判断し、オペレーターを支援することです。具体的には、以下の4つのステップを自動化・高度化しています。
Step1:優先順位付け
基幹システムの発注実績データを「Data 360(旧Data Cloud)」で解析し、注文が減少している等の「フォローが必要なお客様」を自動抽出します。
Step2:商品選定
過去の購入履歴に基づき、そのお客様に最適な「おすすめ商品」をAIが選定します。
Step3:スクリプト作成
営業未経験のオペレーターでも自信を持って話せるよう、パーソナライズされた「提案トークスクリプト」を瞬時に生成します。
Step4:アクションの実行
生成された情報を元に、オペレーターが迅速に架電やフォローを行います。

これによって、驚異的な成果をUCCジャパンは出しています。40分が40秒に、リーチ顧客数は2倍へ。特筆すべきは、その圧倒的なスピードと効率性です。
従来、オペレーターが顧客データを調べ、話す内容を考える事前準備には1件あたり約40分かかっていました。これがAgentforceの導入により、わずか約40秒へと劇的に短縮されました 。
準備の大幅な効率化により、同じ人数でリーチ(対応)できる顧客数が2倍以上に増加。AIが最適な台本を用意してくれるため、営業未経験者であっても初日から高い水準での提案が可能になり、人手不足解消の切り札となっています 。
UCCジャパンの取り組みが非常にユニークな点は、AIを単なる「自動化ツール」ではなく、いわば人の「納得感を高めるコーチ」として位置づけている点です。
UCCジャパンは、AIに単純作業を任せて生まれたリソースを、ブランド価値向上やファン作りといった「人間にしかできない創造的な業務」にシフトさせることを目指しています。まさに、人とAIが共に働く「エージェンティック・エンタープライズ」の理想を体現した事例と言えるでしょう。
5つのデモ動画でわかる 最新ユースケース集
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