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【SXフォーラム】三重で考えた「雇用課題の解決とデジタル活用」の両立を探った1日 

セールスフォース・ジャパンは2026年6月17日、三十三銀行の協力のもと、三重県四日市市で「三重SXフォーラム」を開催しました。三重県、三重大学、三十三銀行、四日市事務機センターなど、地域を代表する産官学金のリーダーが集結。三重県が直面する深刻な雇用課題に対し、デジタル活用と地域連携をどう両立させていくのかを議論しました。参加者満足度は 4.5と高い評価を得たフォーラムの様子をレポートします。

地域経済への貢献と事業成長を、デジタルで両立する

あなたの会社の成長が、地域の未来をつくる。「地方創生2.0」から読み解く、地域中堅企業のための地域と事業の課題解決ガイド

三重SXフォーラムとは

セールスフォース・ジャパンでは、地域の企業や行政、金融機関など多様なステークホルダーとともに、地域の未来を考えるイベント「SXフォーラム」を全国で開催しています。

SX(Sustainability Transformation)フォーラムとは、人口減少や人材不足などの課題に対し、地域貢献と事業成長のヒントを共有する場。今回はその三重版で、テーマは 「地域貢献と事業成長の両立:デジタルで拓く、三重の持続可能な未来」

特に三重県が直面する「地域雇用」課題を中心に、デジタル活用と地域連携のあり方を探りました。会場となった「都ホテル四日市」には、三重県の事業者、行政、大学、保険医療、金融機関など、地域ステークホルダー80人が集結しました。

当日のプログラムは、以下の4部構成です。

基調講演

三重県のデジタル関連施策と雇用課題への対応

特別講演

なぜ地方は”選ばれない”のか? ― 女性・若者・DXで再設計する地域の競争力 ―

パネルディスカッション

地域雇用の課題と打開策

事例講演

金融機関|三十三銀行のDX推進の取組み
事業者|倒産・廃業の危機から蘇った、四日市事務機センターのDX

基調講演:住み続けられる地域へ、三重の伴走型DX

基調講演には、三重県デジタル推進局 局長の稲葉崇氏が登壇しました。

稲葉氏が冒頭で示したのは、三重県の人口減少という厳しい現実です。

三重県の人口は2007年の187万人をピークに減少局面に入り、2050年には135万人まで落ち込むと推計。なかでも生産年齢人口(15〜64歳)は、1995年の124万人から2050年には68万人と、ほぼ半減することが見込まれています。

こうした人口減少に対し、三重県が掲げているのは 「誰もが住みたい場所に住み続けられる三重県」 という持続可能な地域社会のビジョンです。その実現に向け「暮らし」「しごと」「行政」の3領域でDXを推進する「みえデジプラン」を展開しています。

その中核を担うのが、2021年9月に開設された 「みえDXセンター」 です。県内外の専門家や企業と連携し、県内の事業者や行政機関などのDXを推進する「ワンストップ相談窓口」として機能。「みえDXアドバイザーズ」「みえDXパートナーズ」を委嘱し、相談者がDXに取り組むための「第一歩」を踏み出すことを応援しています。

また、雇用経済部では「みえDXリテラシーセミナー」「みえDXスキルアップアカデミー」「みえDXトライアルサポート」「みえDX推進ラボ」など、企業のDX人材育成や伴走支援に向けた重層的な取り組みを展開していることが紹介されました。

施策の導入や検討の手前で立ち止まる事業者に対して、「相談から実装まで伴走する」(稲葉氏)。稲葉氏が語ったのは、上から旗を振るのではなく、地域に寄り添う行政の姿でした。

特別講演:DXは女性にとって、働き方多様化のカギ

続く特別講演には、前内閣総理大臣補佐官(賃金・雇用担当)の矢田稚子氏が登壇しました。

矢田氏は、政府の「女性の職業生活における活躍推進プロジェクトチーム」での議論を踏まえ、日本における男女間賃金格差の構造的な課題を解説。そのうえで、開催地・三重県の現状を全国データと照らし合わせながら示しました。

矢田氏が示した三重県のデータは、会場に大きな衝撃を与えました。

・男女間賃金格差:全国47位(最下位。男性の所定内給与を100とした場合、女性は73.6)

・女性のフルタイム就業割合の男女比:全国43位

・三重県のジェンダーギャップ指数「経済」分野:全国47位(最下位)

・平均継続勤続年数の男女差が大きく、管理職に占める女性割合は低い という象限に位置

さらに矢田氏は、こうした賃金格差や雇用環境が、若年女性の県外流出を加速させていることを指摘。三重県は人口の転出超過が継続しており、若年女性の流出は未婚男性比率の上昇、少子化、地域経済の縮小という「負の連鎖」につながる可能性があると警告しました。

講演で繰り返し語られたのは、「女性活躍は社会課題ではなく経済政策である」 という視点。全国には追加で労働供給を望む女性が約310万人存在するとされており、女性が能力を発揮できる環境づくりは、人手不足解消だけでなく地域経済成長の重要なカギだと語ります。

矢田氏が代表理事を務める「官民連携DX女性活躍コンソーシアム」の取り組みも紹介され、「DXを活用し、生産性高く利益が増える中小企業が増えれば、地域が活性化する」というメッセージが示されました。

講演後半では、株式会社Surpass 代表取締役社長の石原亮子氏が登壇。地方女性のキャリア形成をSalesforceスキルの習得を通じて支援する 「TECH WOMAN」 の取り組みが紹介されました。

出産・育児で退職した女性、結婚を機に地方へ移住した女性、夫の転勤に伴い移住した女性……。多様な背景を持つ受講者が、研修と実務OJTを経てSalesforce認定資格を取得し、地元に住みながら新たなキャリアを切り拓いている事例が示されました。

DXは、地方に住む女性にとって「働き方を多様化するカギとなるーー。

矢田氏と石原氏の講演は、ジェンダーギャップ最下位水準にある三重県の参加者に、強い当事者意識を呼び起こすセッションとなりました。

パネルディスカッション:地域雇用の課題と打開策

特別講演に続いて行われたのが、本フォーラム最大のテーマ 「地域雇用の課題と打開策」 をめぐるパネルディスカッションです。

人口減少、人材不足、産業構造変化など、地域・企業を取り巻く課題は複雑化しています。DXを地域活性化のカギの一つと捉え、行政・教育・金融機関・地域事業者の立場から、それぞれの領域における課題と、現場で進めているアプローチが議論されました。

登壇したのは、三重の課題を多角的に捉えるべく、産官学金それぞれの立場のリーダーたちです。

・稲葉 崇 氏(三重県デジタル推進局 局長)

・豊福 裕二 氏(三重大学 人文学部長)

・堀内 浩樹 氏(株式会社三十三銀行 取締役 常務執行役員)

・北川 風太 氏(株式会社ユナイテッドワークス 代表取締役)

・田村 英則(株式会社セールスフォース・ジャパン 専務執行役員)

ファシリテーター:立田 裕介(株式会社セールスフォース・ジャパン 執行役員)

議論を貫いていたのは、「サステナブルな地域社会の実現には、デジタル人材育成と企業のDX化が不可欠である」 という共通認識です。

Salesforceを活用して企業のビジネスに貢献し、雇用を増やし、企業が元気になることで、金融機関の支援も活性化し、地域全体が自律的にDXを推進していく。そんな好循環をいかに地域でつくるかが、議論の中心になりました。

行政の立場からは県が抱える課題と他者に期待する役割、教育機関の立場からは地域採用に向けた人材育成のあり方、金融機関の立場からは地域企業のDX伴走と自社のDX推進、地域事業者の立場からはIT人材の輩出・育成と人材定着のための環境整備と、それぞれの観点から議論が積み重ねられました。

通底していたのは、「行政だけではできない」「教育だけでもできない」「金融だけでもできない」という共通認識。三重の雇用課題の解決には、それぞれの主体が自らの役割を果たしながら、積極的に連携し、共に第一歩を踏み出すことが不可欠であるという視点が、改めて示されました。

地域経済への貢献と事業成長を、デジタルで両立する

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事例講演①:三十三銀行が進める「DXによる地域循環型社会」の構築

事例講演では、まず三十三銀行 常務執行役員 DX戦略部長の中尾淳氏が登壇。地域金融機関としての本格的なDXの取り組みが紹介されました。

三十三銀行は2021年に三重銀行と第三銀行の合併で誕生した、三重県四日市市に本店を置く地域金融機関。預金等は4兆円超、店舗数は172、従業員は2205人を擁する三重県を代表する金融グループです。

2023年4月に頭取直轄で「DX推進プロジェクトチーム」を発足し、同年7月にDX戦略部を設立。「営業」「事務」「システム」「データ利活用」「組織・人材」の5領域に焦点を絞り、全体最適の観点から本格的なDX施策を推進しています。

代表的な成果として紹介されたのが、店頭改革の第1弾として2025年11月に全店展開を完了した窓口タブレット 「AGENT」 です。普通預金口座開設や届出事項変更などの手続きをタブレットで完結させることで、1か月あたり2583時間(正職員約16人相当)の業務効率化 を実現したといいます。

また、生成AIを活用した面談記録作成ツール「bellSales AI」やAIロープレ「iRolePlay」を2025年5月に正式採用。商談後の事務作業時間を約30〜60分から約10分に短縮するなど、現場の生産性向上に直結する成果も生まれています。

これにとどまらず、2027年10月にはCRM刷新としてSalesforceの金融機関向けクラウの稼働を予定。顧客起点でのデータ連携やグループ会社との情報共有を実現し、地域に根ざしたコンサルティング営業の基盤を強化していく考えです。

印象的だったのは、講演の最後に示された将来構想です。「事務量3年3割削減プロジェクト」で生まれた人材をリスキルして内製開発要員として再配置。蓄積した活用ノウハウをもとに、取引先事業者へのSalesforce導入支援や内製開発支援を提供し、「DXスキルが地域内でマネタイズできる地域循環型社会」を目指す という構想です。

地域金融機関が、自社のDXに留まらず、地域全体のDX生態系を育てる担い手になる。三十三銀行の取り組みは、地域に根付いた伝統企業のデジタル活用と地域貢献を両立するモデルを示していました。

事例講演②:倒産・廃業の危機から蘇った、四日市事務機センターのDX

最後のセッションは、YONJIMグループ CEOで株式会社四日市事務機センター 代表取締役の佐野智成氏による事例講演。「倒産・廃業から蘇る。起死回生はSalesforceにあった。」 というドラマチックなタイトルで、自社のDX変革のリアルが語られました。

冒頭、佐野氏は自社の過去をこう振り返ります。

2009年、同社は 2期連続の減収減益、売上5億円、従業員15人、有給消化率0%。情報は属人化し、社員は定着せず、紙書類が事務所を埋め尽くす……。そんな状況でした。

「人材確保」と「自社DX推進」が必要だと痛感した佐野氏は、2010年の代表取締役就任とともに働き方改革とDXに着手します。

SalesforceやSlackを業務の中核に据え、顧客管理や商談管理、修理対応の通報・進捗管理から、勤怠管理、福利厚生、評価制度、ピアボーナス、ダッシュボードによる進捗の可視化まで、業務全体をプラットフォーム上に集約していきました。結果、同社グループは大きく変貌を遂げます。

・売上:5億円 → 21億円(グループ)

・従業員数:15名 → 65人

・有給消化率:0% → 110%(2023年)

加えて、独自の福利厚生制度群「126(いいチーム)制度」 を整備。家族や子育てを支援する「生まれてくれてありがとう制度」「入学おめでとう制度」「ありがとう制度」「奥様バースデイ制度」など、ユニークな制度を通じて社員と家族の満足度(Team Family Satisfaction)を高めてきました。

さらに同社が特徴的なのは、自社オフィスを「体験型ショールーム」として地域に公開している 点です。

四日市の「カメレオンオフィス」と伊賀の「忍者屋敷オフィス」では、最先端のオフィス環境やサイバーセキュリティ、働き方改革のノウハウを実体験できるツアーを提供。これまでに900社以上が訪れ、四日市事務機センターは地域企業のDXを学ぶ「場」として機能しています。

そして佐野氏が掲げる「YONJIMの4つの仕事」の中でも特に印象的だったのが、最後に語られた 「その四:三重県の人口を増やす」 というメッセージです。企業のDXが、自社の成長を超えて、地域の人口課題に向き合う原動力となっている。そのスケールの大きさに、会場では多くの参加者が深く頷いていました。

「DXはツール導入ではなく、関わるすべての人の “未来を笑顔” にする取り組みである」(佐野氏)。佐野氏の言葉は、本フォーラムの締めくくりにふさわしい一言として、会場の心に強く残るものとなりました。

参加者の声と、フォーラムを通じた示唆

参加者からは、次のような声が寄せられました。

「三重を盛り上げる、女性が活躍できる場、といったテーマにとても共感した」

「地域密着・地域共創を標榜する弊社にとって、参考にしたい取組みだった」

「Salesforceで仕組みづくりまで出来ると知り、さらに深く使いたいと思った」

フォーラムを通じて、どの登壇者も「雇用課題」「人材不足」を前提に、いかにテクノロジーと向き合い、地域ステークホルダーと連携していくかに焦点を当てていました。

一人ひとりがより高い価値を生み出せる仕組みをどうつくるのか。若者や女性に選ばれる職場・地域をどう設計し直すのか。地域企業のDXを、地域全体の活性化につなげていく循環をどうつくるのか。

行政、教育、金融機関、事業会社、それぞれ立場は異なっても、デジタルを通じて目指している方向は共通していました。三重で交わされた議論は、同様の課題を抱える全国の地域や企業にとっても、多くのヒントを与えるものとなりました。

今後もセールスフォース・ジャパンは、地域の皆さまとともに持続可能な成長のあり方を考えるSXフォーラムを各地で開催していきます。

地域経済への貢献と事業成長を、デジタルで両立する

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