プロジェクトマネジメントとは？意味や5つの手法、必要なスキルを解説

プロジェクトマネジメントとは、決められた期間内に特定の目標を達成するために、プロジェクトを成功に導く活動のことです。

限られた期間内でプロジェクトを完遂するためには、プロジェクトマネジメントが欠かせません。計画立案やQCD（品質・コスト・納期）、進捗管理をスムーズかつ正確に実行できると、プロジェクトもうまく進みます。

本記事では、プロジェクトマネジメントの意味や5つの手法・求められるスキルをご紹介します。プロジェクトが始まる前に知識を深め、円滑な進行にぜひお役立てください。

プロジェクトマネジメントの意味とは？

プロジェクトマネジメントとは、決められた期間内に特定の目標を達成するために、プロジェクトを成功に導く活動のことです。主に以下の項目でマネジメントを行い、プロジェクトを遂行します。

• チーム編成、人材確保
• 目標達成のための計画立案
• 品質・コスト・納期（QCD）の管理
• 進捗の把握や管理
• リスク測定　など

また、プロジェクトマネジメントとセットで知っておきたい言葉が『PMBOK（Project Management Body of Knowledge）』です。『PMBOK』はプロジェクトマネジメントの知識を体系的にまとめた世界標準のガイドラインで、「ピンボック」といわれており、プロジェクトマネジメントの参考書として知られています。

リーダーシップとマネジメントの違いなど、マネジメントの意味や求められるスキルは以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。

プロジェクトマネジメントに資格はいらない

プロジェクトマネジメントと聞くと、資格を必要とするプロフェッショナルなイメージをもつかもしれません。しかし、担当者になっても資格は不要であり、資格よりも実務経験が重要視されます。

とはいえ『プロジェクトマネージャ試験』という、IPA（独立行政法人 情報処理推進機構）が実施する国家資格の試験が存在します。この試験はプロジェクトマネジメントに関する知識と実践能力が必要な試験であるため、資格取得を通して得た知見をプロジェクトマネジメントに活かせるでしょう。

プロジェクトマネージャー（PM）とエンジニアの違い

プロジェクトマネージャー（PM）はエンジニアと混同されがちですが、両者は「役割」や「求められるスキル」「責任範囲」が違います。

エンジニアに比べてPMは全体を統括するスキルが求められ、責任範囲も広いのが特徴です。一般的に、エンジニアを経験した後にプロジェクトリーダー（PL）、そしてプロジェクトマネージャー（PM）になるケースが多いでしょう。

プロジェクトマネジメントを行う目的

プロジェクトマネジメントを行う目的は、クライアント目線とプロジェクトチーム目線で異なります。

クライアント目線で考えると、クライアントの目的達成や利益の最大化が目的となります。期限や予算を守り、予定通りにプロジェクトを完成させることだけがプロジェクトマネジメントの目的ではありません。クライアントが求める目的の達成を目指してマネジメントをし、かつ利益を最大化させるのが重要です。

一方で、プロジェクトチーム目線では、進捗管理やチームの目的達成、効率的に作業を進める環境を整えることが目的といえます。計画通りにプロジェクトを進め、目的を達成できるようにチームメンバーとコミュニケーションを取りながら、効率よくタスクの進捗を管理していきます。

プロジェクトにおけるミーティング内容は部署によってさまざまですが、営業部署であれば商談管理ミーティングは欠かせないでしょう。しかし商談管理ミーティングを苦痛に感じている方も少なくありません。そのようなミーティングを改善するポイントを下記の記事にまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。

プロジェクトマネジメントの進め方

プロジェクトマネジメントの進行・管理は、PDCAサイクルに合わせて進めるのがよいといわれています。

• P・・・プロジェクトの目標を立て、実現のための計画を策定
• D・・・計画にもとづいてプロジェクトを実行
• C・・・計画通りに進んでいるか把握
• A・・・進捗状況に応じて計画を修正

まずは、目標や計画の立案からです。目標達成に必要な作業工程を洗い出して担当者を決めます。スムーズに進むように事業工程計画を立て、各作業を実施する場合の予算を算定・計上しましょう。

プロジェクトに着手した後は、 作業の進捗率や支出額を把握し、遅延や予算オーバーになりそうな作業を洗い出します。懸案事項を考慮しながら、プロジェクトが遂行できそうか、チーム全体で確認しましょう。作業の変更やリスクがある場合は、最適な対策案を立てて軌道修正していきます。

上記のようにPDCAサイクルに合わせて、プロジェクトマネジメントを進めていくとよいでしょう。

参考：「プロジェクトマネジメントの手引き 第1編 基礎編」P.3（国土技術政策総合研究所 建設マネジメント技術研究室）

PDCAサイクルに関してさらに詳しく知りたい方は、次の記事を参考にしてください。

プロジェクトマネジメントの主な手法5つ

プロジェクトマネジメントの実施には、主に以下5つの方法があります。

• PMBOK
• PERT
• ガントチャート
• WBS
• CCMP

いずれも代表的な手法です。具体的にどのように進めていくのかを詳しく見ていきましょう。

PMBOK

PMBOKとは、国際標準といえるプロジェクトマネジメントの手法です。第6版では、プロジェクトの開始から完了までを「5つのプロセス」に分類し、プロジェクトマネジメントを行う上で必要な知識を「10個の知識エリア」に分類しています。

各プロセスで何をすべきか、10個の知識エリア（マネジメント）別に手順が詳しく記されています。現在は第7版が発売されているため、内容が変わっている可能性もあることに注意しましょう。

PERT

PERT（Program Evaluation and Review Technique）は、プロジェクトの工程を定量的に管理するための手法です。各プロジェクトをネットワーク状に結んだ『PERT図』を作成し、そこへプロジェクトの所要時間を記載していきます。PERT図を作成すると、プロジェクトの各工程にかかる時間、手順、依存関係などを視覚化できるのが特徴です。

プロジェクト計画とタイムラインのレイアウトができるため、プロジェクト開始前に使用すると役立てられます。また、プロジェクト進行中にも、進捗状況の把握や必要に応じた計画の調整に活用できます。

ガントチャート

ガントチャートとは、プロジェクトの作業工程や進捗状況を管理するために使用される図表（工程表、進捗表）のことです。縦軸にタスクや担当者の名前を記載し、横軸に日時を配置します。横に伸びる棒グラフによって進捗状況を明確に把握できるのが特徴です。

• プロジェクトの全工程を俯瞰して見られる
• 全体スケジュールをチーム内で共有できる
• 構造がシンプルで誰でも扱いやすい

上記のようなメリットが多い一方で、「作業工数の把握が難しい」「タスク同士の関係性が把握しにくい」デメリットもあります。後述するWBSと組み合わせて活用することで、効果的なプロジェクトマネジメントを実現できます。

WBS

WBS（Work Breakdown Structure）とは、プロジェクトの全体的な作業を階層的に分解し、より小さく管理可能な要素に分割する手法です。

プロジェクト全体をいくつかの大きなタスクに分解した後、そのタスクを細分化して実施順に上から下へツリー構造に組み立てます。名前の通り、「タスク（work）」を「分解（Breakdown）」して「構造（Structure）」化する仕組みです。

WBSには、以下の利点があります。

• プロジェクトの全体像が見える
• タスク同士の関係性、処理に必要な所要時間、リソースの把握に役立つ
• 作業範囲の重複を防げる　

進捗状況を把握できるガントチャートと併用するとよいでしょう。

CCMP

CCPM（Critical Chain Project Management）は「タイトな見積もり + 余裕のバッファ」という考え方にもとづいたプロジェクト管理手法です。各タスクの見積もりを通常より短く設定し、プロジェクト全体の最後に余裕時間を設けます。

たとえば、以下のように考えます。

• 3つのタスクをそれぞれ20分と余裕をもたせて設定→合計60分の見積もり
• CCPMでは各タスクをタイトに15分ずつ（計45分）と設定
• 余った15分は「余裕のバッファ」
• 各タスクを15分で終わらせられるように着手
• 仮に2分ずつ（計6分）オーバーしても、当初の見積もり（60分）よりも少ない時間で完了（計51分）

このようにCCPMでプロジェクトマネジメントを行うと、作業の優先順位や進捗の遅れを把握できるメリットがあります。

案件の管理はExcelやスプレッドシートだけでなく、案件管理ツールの活用も有効です。案件管理ツールの導入でどのようなメリットがあるのかを知りたい方は、次の記事をお役立てください。

AIの活用でプロジェクトの進行がスムーズになる

PMBOKやガントチャートなど効果的なプロジェクトマネジメント方法はいくつかありますが、人間が行う点でミスが生じることも少なくありません。そこでおすすめしたいのが、AIの活用です。予測AIの活用でプロジェクトの進行がスムーズになります。

営業部門を例に考えてみましょう。営業活動で利用されるCRMにAIが搭載されていると、取引履歴や売上実績をもとに精度の高い売上予測が可能です。売上が目標に届かないときは、原因を探り改善策の立案にも役立てられます。

生成AIを搭載しているCRMは、営業プロセスの記録やレポートの作成も自動で行えます。営業部門において記録やレポートの作成は、生産性向上のためのPDCAサイクルを回す際に欠かせません。

しかし、手作業では時間がかかります。生成AIの手を借りれば、データをもとに必要な情報を簡潔にまとめられます。

Slackの導入でプロジェクト管理の効率化を図れる

多くの企業がツールを活用してプロジェクト管理をしていますが、予算内かつスケジュール通りに完了するプロジェクトはわずか34%だといわれています。完了率が低い原因として、以下が挙げられます。

• タスクに関するやり取りを別のツールでしていることで、情報が全体に行き渡らない
• 最新情報の把握に何時間も費やしてしまう

上記のような課題を解決するのがSlackの「リスト」機能です。チャットツールとして国内外問わず人気を集めているSlackで、新機能「リスト」が利用できるようになりました。

「リスト」機能とは、Slack上でプロジェクトや優先するべきタスクの管理ができる機能です。プロジェクト進行にあたってアプリ間の切り替えが不要で、部門横断的なプロジェクトやタスクの遂行がスムーズになります。Slack内でプロジェクトを開始から完了まで追跡でき、成果物に優先順位をつけたり、作業を次の段階に進めたりできるのが特徴です。

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「リスト」機能の詳細は、以下の記事をご覧ください。

プロジェクトマネジメントに向いている人の特徴

最後に、プロジェクトマネジメントに向いている人の特徴を解説します。

• コミュニケーション力がある
• QCDの管理力がある
• 全体像の把握力がある
• リスク回避力を兼ね備えている

とくに、プロジェクトマネージャーを選出する際に役立ててみてください。

コミュニケーション力がある

プロジェクトを一緒に遂行するメンバーと円滑な連携や意思疎通ができるような、コミュニケーションスキルのある人は、プロジェクトマネージャーに向いています。

プロジェクトはひとりで行うわけではなく、多くの人が関わります。スムーズに進められるように的確な指示を出しながら、さまざまな人とコミュニケーションを取る必要があるでしょう。

メンバーに指示を出すだけがプロジェクトマネージャーの仕事ではありません。上層部や他部署、クライアントとの連携も重要です。あらゆる関係者と円滑にコミュニケーションを図れる力が不可欠です。

QCDの管理力がある

プロジェクトごとに定められたQCDを管理する力も、プロジェクトマネージャーに求められます。QCDとは「Quality（品質）」「Cost（コスト）」「 Delivery（納期）」のことです。プロジェクトを管理する際は、これらの条件のもとで最大の利益を生み出す必要があります。

プロジェクトマネジメントにおいてQCDの管理を怠ると、以下のような状況に陥り、プロジェクトが失敗する点に注意が必要です。

• 納期は守ったが品質は保証されていない
• コストは予算内だが納期は大幅に遅れている

このような状況に陥らないように、QCDのバランスを見ながらプロジェクトを進める力が欠かせません。

全体像の把握力がある

プロジェクトマネージャーは、プロジェクト全体の指揮と管理をする役割であるため、全体像を把握する力も重要です。個々のタスク進捗状況を管理しながらも、多角的な視点で常に全体を見ておかなければなりません。

とくに大きなプロジェクトを進行する際は関わる人数が増え、取り組む期間も長くなります。目の前の状況を適切に管理する力はもちろん、全体像を把握して行動できる人はプロジェクトマネージャーに向いているでしょう。

リスク回避力を兼ね備えている

先を予測してリスクを回避する力を兼ね備えている人も、プロジェクトマネージャーに向いているといえます。プロジェクトの進行には予期しない課題や問題がつきものです。ミスが起こりやすい箇所やつまずきやすい部分を予測し、あらかじめ対策を取るのもプロジェクトマネージャーの役割です。

問題が生じそうな箇所を予測し、リスクを回避できる力はもちろん、問題が起きた際の柔軟な対応力も重視されるでしょう。

プロジェクトマネジメントでチーム一丸となって目標を達成しよう

プロジェクトマネジメントの成功は個々の努力だけではなく、チーム一丸となって取り組むことにかかっています。

本記事で紹介した手法だけではなく、AIやツールなども効果的に活用することで、より効率的で確実なプロジェクトマネジメントを実践できるようになります。自社のプロジェクトを成功させることはもちろん、利益や提供価値を最大限に高めるためにも、効果的にプロジェクトマネジメントを実践できるようになりましょう。