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メトリクスとは?営業・マーケティングを成功に導く管理の流れを解説

メトリクスとは、企業活動などを定量的データとして加工したうえで可視化した指標です。本記事では、メトリクスの概要と重要性、営業・マーケティング活動を最適化するためのメトリクス管理の流れを解説します。

メトリクス(メトリック)とは、さまざま活動や状態を管理しやすいよう定量的に測定・加工した指標です。ソフトウェアのパフォーマンス測定における指標や、ビジネスにおける業績や成長状況を示す指標などを指します。

ビジネス分野では、日頃から各メトリクスの分析を行っていれば、客観的な視点から企業活動における課題の発見や改善を行うことができます。企業活動の改善速度が速まるため、主観的な経営よりも効率的に企業の成長を促進できます。

本記事では、メトリクスの概要とビジネスにおける管理の流れを解説します。メトリクスを活用してデータに基づく意思決定を促進し、企業の成長を加速させましょう。

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メトリクス(メトリック)とは

メトリクス(メトリック)とは「測定基準」や「尺度」などを意味する言葉です。

一般的に、人間のさまざまな活動や機器の状態を定量的に管理することを目的として、測定・加工したデータを指します。

たとえば、キャンペーンバナーのクリック数は、販売促進活動の効果を測定できるメトリクスです。クリック数を加工して、コンバージョン率(※)を算出すれば、クリックの質を評価できます。

クリック数やコンバージョン率などのメトリクスを分析し、課題や効果的な要素を発見できれば、よりコンバージョンさせやすいキャンペーンバナーへと改善が可能です。

このように、さまざまな活動を定量的に分析することで、データに基づく効果的な改善を実現できます。

メトリクスは、以下のようにさまざまな分野で活用されており、呼び方が異なります。

  • ビジネスメトリクス
  • ソフトウェアメトリクス
  • バイオメトリクス

3つの代表的な分野におけるメトリクスの概要を解説するので、参考にしてみてください。

※ コンバージョン率(CVR)とは「(コンバージョン(CV)数÷クリック数)×100」で算出される数値です。コンバージョンとは、実際に商品を購入したり資料をダウンロードしたりと、Webサイトに訪れたユーザーが行動を起こすことを指します。

ビジネスメトリクス

ビジネスメトリクスとは、ビジネス分野における組織や事業の活動・成長状況を定量的に測定・加工したデータです。

ビジネスメトリクスの例には、以下が挙げられます。

カテゴリビジネスメトリクスの例
経営・売上高・営業利益率・キャッシュフロー
営業・受注率・平均契約額・顧客満足度
マーケティング・コンバージョン率(CVR)・顧客獲得単価(CAC)・顧客生涯価値(LTV)
製造・生産効率・不良品率・稼働率
人事・離職率・従業員満足度・採用コスト

ビジネスメトリクスの分析によって、データに基づく意思決定が促進されれば、企業活動の効果的な改善や最適化を図れます。その結果、企業の持続的な成長を期待できるのです。

なお、本記事では、ビジネスメトリクスを中心に解説しています。

ソフトウェアメトリクス

ソフトウェアメトリクスとは、ソフトウェア開発におけるソースコードの品質に対する定量的な評価や、その評価手法などを指します。

ソフトウェアメトリクスの例は、以下のとおりです。

  • CPU使用率
  • メモリ使用率
  • テストケース数
  • 欠陥密度
  • レビュー工数

定量的なデータでソフトウェアの品質を可視化すると、自社内における品質の共通認識を持てるようになります。具体的な目標を決めたうえで、メトリクスを分析しながらテストを繰り返すなかで、品質を高めることが可能です。

バイオメトリクス

バイオメトリクスとは、以下のような身体的特徴・行動的特徴をデータ化し、個人を識別できるようにした生体認証技術を指します。

  • 指紋
  • 眼球の虹彩
  • 声紋
  • 静脈などの身体的特徴を定量的データに起こしたものです。主に、セキュリティ分野における生体認証に活用されます。

暗証番号やパスコードなど人間の手によって設定するセキュリティ方式よりも安全性が高い点が特徴です。最近では、スマートフォンのロック機能や指紋認証型の玄関ドアなど、日常生活で幅広く活用されており、セキュリティ分野において欠かせない技術になっています。

メトリクスとKPIの違い

メトリクスとKPIは、指標という意味では同じですが、指し示す範囲が異なります。

たとえば、ビジネス分野におけるメトリクスは、収益率のような経営指標から顧客満足度といった顧客指標まで、広い範囲の定量的な指標を指します。一方、KPIは企業や事業の目標を達成するために、メトリクスのなかから選定された重要指標です。

このように、数あるメトリクスのうち目標達成度を測定する指標としてKPIがあります。

具体的なメトリクスの例

ここでは、メトリクスについての理解を深めるために、ビジネス分野におけるメトリクスの例を2つの部門に分けて紹介します。

  • 営業のメトリクス
  • マーケティングのメトリクス

メトリクスの活用目的も紹介するので、メトリクスを活用する際の参考にしてみてください。

なお、いずれの部門でも、メトリクスを分析することで、現状の課題を定量的に把握し、効果的な戦略立案や目標達成のための意思決定の促進が可能です。

営業のメトリクス

営業におけるメトリクスの例と活用目的は、以下のとおりです。

メトリクス例活用目的
受注金額営業活動の成果を金額で評価し、目標達成度を測定する
受注率提案件数に対して、どれだけの案件が受注につながったかを把握し、営業プロセスの改善に役立てる
案件数営業活動の量を測定し、適切なリソース配分やパイプラインの充実度を評価する
リードタイム顧客へのファーストコンタクトから受注に至るまでの期間を短縮し、営業効率を改善する
顧客獲得単価(CAC)1人の顧客を獲得するためにかかったコストを把握し、営業活動におけるコストを最適化する
見積もり対クロージング率見積もりが契約に至る割合を測定し、営業提案の質やフォロー体制を改善する

営業では、メトリクスによって成果や目標の達成度を可視化することで、現状とのギャップを明らかにできます。その結果、営業プロセスやリソース配分の課題を特定しやすくなり、効率的に改善を図れます。

マーケティングのメトリクス

マーケティングにおけるメトリクスの例と活用目的は、以下のとおりです。

メトリクス例活用目的
顧客生涯価値(LTV)顧客1人あたりが契約から契約終了までの間にどれだけの収益をもたらすかを測定し、マーケティング投資の適正化を図る
投資収益率(ROI)マーケティング活動に投入したコストに対して得られた利益を評価し、投資の優先順位を決める
コンバージョン率(CVR)Webサイトや広告キャンペーンにおける目標(商品購入・メール登録など)の達成度を測定し、施策の効果を評価する
離脱率Webページの内容がユーザーのニーズに合致しているかを評価し、改善点を特定する
メール開封率メールキャンペーンがどれだけターゲットに届き、興味を引いたかを測定し、コンテンツを改善する
リード生成率マーケティング施策からどれだけの新規リードを獲得できたかを評価し、施策の効果やターゲティング精度を向上させる

マーケティングでは、メトリクスによって施策の効果やユーザーの反応を可視化することで、現状の成果や課題を客観的に分析できます。分析結果に基づいて改善を繰り返せば、リソースの最適化やターゲティング精度の向上が実現し、効果的な戦略・戦術の立案につながります。

メトリクスはデータドリブンな組織において重要

メトリクスは、企業活動や課題に対してデータに基づく判断を行う「データドリブンな組織」において、意思決定の精度を向上させるために重要です。

総務省が2020年に発表した「デジタルデータの経済的価値の計測と活用の現状に関する調査研究の請負報告書」によると、先行研究によってデータ活用には以下を含むさまざまな効果があることが明らかにされています。

  • ビッグデータを活用している企業はイノベーションを創出しやすい
  • データに基づく意思決定や分析によって生産性が向上する
  • データへの投資が組織を変革させ、より多くの利益をもたらす

参考:デジタルデータの経済的価値の計測と活用の現状に関する調査研究の請負

報告書(総務省)(2024年12月11日に利用)

データ活用の効果を活かして企業成長を促進するために、データドリブンな組織への変革が必要です。データドリブンな組織では、メトリクスの活用が欠かせません。

たとえば、ROIを測定すれば、もっとも収益を生んでいる広告チャネルを特定できます。SNS広告よりリスティング広告のROIが高いのであれば、予算をリスティング広告に集中させるという意思決定を行えます。投資効率を最大化するとともに、予算の無駄遣いを防げるのです。

このように、メトリクスを正しく設定・運用することで、意思決定の精度を向上させられます。

以下の動画では、データに基づく意思決定を行うデータドリブン営業の事例を基に、データ活用の方法を紹介しているので、あわせてご覧ください。

データドリブン営業 事例に学ぶ売上を最大化するデータ活用

メトリクス管理とは

メトリクス管理とは、メトリクスを活用して計画通りにプロジェクトを進める管理手法で、メトリクス・コーポレーションの代表である石橋良造氏が開発・実践しました。

メトリクス管理は、複数人のチームでひとつのゴールに向かってプロジェクトを進める際に統制がとれる、進捗状況を把握しやすいメリットがあります。そのため、計画的にプロジェクトを進めたいときに役立ちます。

メトリクス管理の流れ

石橋良造氏が考案したメトリクス管理では、メトリクスを任意に選定するのではなく、基本メトリクスセットと呼ばれる4つの指標を基にプロジェクトを管理します。

大まかな流れは、以下のとおりです。

  1. プロジェクトを可視化する
  2. 基本メトリクスセットを測定する
  3. 軸進捗管理を行う

ここでは、簡単に各フェーズの進め方を解説します。企業のプロジェクト管理に活用する場合にお役立てください。

参考:メトリクス管理の手法|メトリクス・コーポレーション

1.プロジェクトを可視化する

まずは、メトリクスを活用して、プロジェクトの状況を可視化します。そのために利用するのが、後述する基本メトリクスセットです。

企業において、メトリクスは多数存在し、細かく設定しようと思えばいくらでもできてしまいます。しかし、分析および評価の工程を考えると、ある程度厳選しなければ手間と時間がかかるでしょう。

そのため、基本メトリクスセットを土台として、必要最小限のメトリクスを選定することが大切です。

2.基本メトリクスセットを測定する

基本メトリクスセットとは、プロジェクト管理における最低限必要な指標で、以下の4つを指します。

  • 工数:作業にどれくらいの時間がかかったかをあらわす指標
  • タスク:作業成果物を生み出すまでに発生するタスクで、作業規模の指標
  • 作業成果物:タスクの末アプトプットされた成果物で、開発規模の指標
  • 課題:成果物の品質をあらわす指標

生産性や効率性を高めるためには、基本メトリクスセットを適宜確認し、計画と実績の差異を最小限に留めることが大切です。メトリクス管理では、差異をコントロールすることに主眼が置かれます。

3.2軸進捗管理を行う

計画と実績の管理をする際は、アクティビティとプロダクトの2軸を用いて可視化します。

  • アクティビティ:活動をどのような作業工程で進めるのかをあらわしたもの
  • プロダクト:プロジェクトのゴールを階層化したもの

アクティビティ軸では、プロジェクトのタスクの進捗状況がわかり、プロダクト軸では、成果物の完成具合がわかります。

これを活用すると、たとえばリードの案件化までに2週間要した案件において「もっとも時間を消費したタスクが資料作成だった」といった状況が可視化されるのです。

メトリクス管理の注意点

データドリブンを進めるときは、メトリクスの信頼性を担保するためにも、十分なサンプル数の確保が重要です。

たとえば、ECサイトで新商品の購入率を検証するとき、10件の購入データだけで「売れている」と判断すると、たまたまニーズの高いユーザーに届いただけの可能性があり、正しい分析ができません。

このように、サンプル数が少ないとノイズや一時的な変動の影響を受けやすく、誤った意思決定につながるリスクが高まります。

信頼性のある分析結果を得るためには、統計的に意味のある数値を得られるだけのデータ量を確保し、必要に応じて母集団の特性や目的に応じたサンプリング設計を行うことが必要です。

メトリクス管理を支えるAIツール

メトリクスを管理する際は、データを自動で収集・分析し、可視化するツールがあると便利です。

Tableau』は、企業内のさまざまなシステムやプラットフォーム、エクセル・CSVからデータを集約できるデータプラットフォームです。搭載されているAIがデータを可視化するとともに、分析データの文脈や意味を自動的に付加します。

担当者は、時間や手間をかけずにメトリクスの選定・分析を行うことが可能です。また、Tableau Cloud 上でメトリクスを調べて、データの変化に影響を与えた要因を確認できるため、複雑な分析を行わなくてもデータに基づく意思決定を促進します。

『Tableau』は無料のトライアルを提供していますので、ぜひお試しください。

『Tableau』の無料トライアル

ツールによるメトリクス活用の成功事例

ここでは、ツールを使ってメトリクスの活用を成功に導いた2つの事例を紹介します。

  • 事例1.KPIの可視化・分析で意思決定が加速
  • 事例2.メトリクスの可視化・分析でマーケティング施策を最

ツールのメリットがわかるので、導入に迷われている方は参考にしてみてください。

事例1.KPIの可視化・分析で意思決定が加速

バリュエンスジャパン株式会社は、ブランド買取専門店「なんぼや」や「BRAND CONCIER」などのリユース事業を中核に据える企業です。

ビジネスの拡大に伴って、データの利活用におけるさまざまな課題が表面化されたことをきっかけに『Tableau』を導入しました。

導入前は、各種数値やメトリクスの定義が部署ごとに異なっており、都合のいい数値を選択する状況でした。『Tableau』の導入後は、営業部門全体の実績を可視化できるようになり、だれでもKPIの進捗が見られるようになったのです。

その結果、月1回の数値報告が毎日届くようになり、データに基づく意思決定や業務改善が加速。従来行っていたデータの加工作業もなくなり、業務の効率化も実現できました。

参考:KPI の可視化と分析で意思決定・業務改善が大幅に迅速化|バリュエンスジャパン株式会社

事例2.メトリクスの可視化・分析でマーケティング施策を最適化

株式会社ポニーキャニオンは、音楽・アニメ・映像等のコンテンツの企画・制作・販売を事業の柱とする総合エンターテインメント企業です。

同業界では、作品収支を正しく把握できなければ、経営判断を誤る可能性が高いという特性があります。そのため、正確なデータをリアルタイムに把握・分析する必要がありました。

そこで、社内で開発して20年使い続けていた基幹システムを刷新し『Tableau』を導入したのです。

これにより、従来は、定説にしたがって盲目的に実行していたケースも、『Tableau』による分析で相関がない事例もあることがわかるようになったのです。このように、従来は見えなかった作品収支が可視化され、リソースの配分やコストの最適化、適切なマーケティング戦略の立案が可能となりました。

参考:作品収支の可視化・分析で営業・マーケティング施策を最適化|株式会社ポニーキャニオン

まとめ:メトリクス管理で営業・マーケティングを成功に導こう

メトリクスは、さまざまな企業活動を定量かして可視化した指標で、データに基づく意思決定を促進するために欠かせません。

主観や経験に基づく意思決定だと、うまくいかなかったときに課題や原因を分析することが難しく、適切な改善ができません。これに対し、客観的なデータに基づく分析結果を基にPDCAサイクルを回せば、的確な改善が可能です。

これを支えるのがメトリクスであり、企業が持続的に成長を遂げるためには、メトリクス管理が重要だといえます。

企業において、収集できるメトリクスは多様に存在するため、手作業で収集・分析すると手間と時間がかかります。そこで、メトリクス管理を効率化するツールの導入がおすすめです。

Tableau』なら、企業のあらゆるデータを収集・可視化できるうえ、AIが分析をサポートします。必要なメトリクスを設定すれば、あとはダッシュボードを見るだけで、リアルタイムに状況を把握できるのです。

『Tableau』は無料トライアルを用意していますので、ぜひお気軽にお試しください。

BtoBマーケティングの成果を向上させる手法は、メトリクス管理だけに留まりません。以下のページでは、成果向上につながる3つの手法をそれぞれ解説した資料をまとめていますので、ぜひあわせてご覧ください。

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