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AIエージェントの“市場”「AgentExchange(エージェント エクスチェンジ)」とは?

Salesforceの各プロダクト/サービスやテクノロジーの特徴をセールスフォース・ジャパンの専門家に基礎からわかりやすく説明してもらう「教えて!エキスパート」。第3回は、AIエージェントのマーケットプレイス「AgentExchange(エージェント エクスチェンジ)」について鈴木千尋が解説します。

Key Takeaways

This summary was created with AI and reviewed by an editor.

「デジタル労働力」として人と共に働くことが期待されているAIエージェント。業務プロセスを大きく変える存在として期待されています。Salesforceでは、2024年から提供するAIエージェントおよびAIエージェントを容易に開発できる「Agentforce(エージェントフォース)」を提供しています。

ただ、ゼロから開発するのではなく、自社に最適なAIエージェントをそのまま導入できれば、もっと効率的なはず。そこでSalesforceが2025年3月にリリースしたのが、AIエージェントのマーケットプレイス「AgentExchange(エージェント エクスチェンジ)」です。いったいどのようなものでしょうか。エキスパートがわかりやすく解説します。

Q1,AgentExchageってなに?

鈴木:AgentExchange(エージェント エクスチェンジ)とは、AIエージェントを有するアプリケーションを売り買いできるマーケットプレイスです。

マーケットプレイスとは、言い換えれば「市場」。みなさん、Appleの「App Store」やGoogleの「Google Play」でアプリケーションを選んでスマートフォンにインストールしていますよね。

それと考え方は同じで、AgentExchangeには多種多様なAIエージェントが揃っていて、各AIエージェントの特徴や利点もわかりやすく解説しています。自社に適したAIエージェントをWebで検索したり、AIに提案してもらったりするよりも短時間で最適なAIエージェントを探すことができます。

加えて、AgentExchangeに参画いただいたパートナーおよびそのAIエージェントは、Salesforceの厳密な審査を通過していますから、セキュリティなどの信頼性が一定レベルで担保されている。安心して利用いただけることもメリットです。

AgentExchangeに参画しているパートナーは、2025年3月のリリース以来、すでにグローバルで200社以上がパートナー企業として参画しており、日本でもすでに20社以上のパートナーに仲間になっていただいています。

AgentExchangeに参画したパートナーのAIエージェントで業務効率化を実現したお客様の事例を一つ紹介しましょう。

ある企業は、顧客との見積もりから契約までの煩雑な業務プロセスに課題を抱えていました。もともと人が対応していたのですが、事業が拡大するなかで人手が足りなくなり、AIエージェントで代替できないかと考えました。

AgentExchangeのサイトを訪れ、希望に合うと思われたのが、電子契約業務の効率化ツールを開発するDocusign(ドキュサイン)のソリューション。

Docusignは、「Agentforce(エージェントフォース)」と連携させ、Docusign とSalesforceをAIエージェントがシームレスに“行き来し”、見積もりから契約までの業務を一貫して対応するようになり、お客様はスピードもコストも格段に改善することができました。

このようにAgentforceとパートナーのAIエージェントを組み合わせて業務プロセスを抜本から変革できるソリューションを多数用意しています。

Q2,AppExchageとはどう違うの?

Salesforceでは、AppExchange(アップ エクスチェンジ)」と呼ばれる世界最大級のSaaSアプリケーションのマーケットプレイスを20年近くにわたって展開しています。世界中のSaaS企業がサービスを販売でき、その種類は現在7000を超えています。

AgentExchangeが異なる点は、大きく2つあります。1つは、AIエージェント機能を持つアプリケーションのみが掲載されている点です。

AIエージェントは、より企業やビジネスパーソンに入り込むことになるでしょう。Salesforceとしても社運をかけていると言っても過言ではないくらい力を注いでいます。

AppExchangeと切り離して全面的に訴求していくという意思の表れと、AppExchange内でAIエージェント群を混在させるよりもお客様にとってわかりやすいと考え、AIエージェントの専用マーケットプレイスとして差別化しました。

もうひとつは、マネタイズモデルの違いです。AppExchangeの課金方法は、サブスクリプションでした。一方で、AgentExchangeでは、フレックスクレジットとコンサンプションモデルの両方の支払い方法を採用しています。

これによりパートナーは、月々の固定料金に加えて、従量課金での変動収益が増えるため、より細かな収益戦略を策定することが可能になります。このマネタイズモデルの違いによって生まれる混乱を避けるという意味もあります。

誤解されやすい点ですが、AgentExchangeの登場によって、AppExchangeがなくなるわけではありません。今後もニーズやシーンに応じて、それぞれを使い分けていただくことを想定しています。

Q3,AgentExchangeに参画するメリットは?

大きく3つあります。

1つ目はAgentforceと連携することによる価値の増大。企業規模や業種を問わず、顧客情報を活用しない企業はいないでしょう。顧客情報の活用は、もはや企業の活動そのもの。その顧客情報の管理でNo.1のSalesforceとパートナーのAIエージェントを組み合わせることで、お客様に提供できるソリューションの価値は増大します。

2つ目は提案先の拡大。多くのパートナーが持つAIエージェントのアプローチ先はIT部門で、予算枠はIT予算が多いでしょう。しかし、AIエージェントは単なるテクノロジー、ITツールではなく「人の代替」、文字通りエージェントと捉えることができます。つまり、「人件費」と位置付け、IT部門ではない事業部門にアプローチすることが可能になります。

Salesforceはもともと、顧客情報管理や営業支援でお客様の事業部門との関係が深い。より非IT部門にアプローチしやすくなるという効果を提供できます。

そして3つ目は、AIエージェントの信用性を担保できることです。AgentExchangeのパートナーへの参画には、厳正な審査を設けています。審査をパスした企業のみがAIエージェントを販売できるため、AgentExchangeパートナーという時点で高い信用・信頼が担保されます。

Q4,パートナーに参画するにはどうすればいいの?

まず、SalesforceのWebサイトで公開しているオンデマンドのウェビナーをご覧いただきます。そのうえで、AgentExchangeの概要や参画要件などの情報を確認していただきます。

そこからご希望に応じて、オフィスアワー(相談セッション)に参加していただくことができます。そこでは、AgentExchangeへの掲載を希望されているAIエージェントの詳細や、プロダクト開発状況、掲載後の運用方法、それに向けた取り組み等についてご相談いただけます。やり取りを通じて、パートナーへの参画条件をクリアするための方法を検討していきます。

次に、過去の類似した事例や、想定するユーザー層などを踏まえて、想定するAIアプリケーションの市場ニーズを検証します。必要に応じて、Salesforce社内の担当者や業界知見を持つスタッフとの意見交換の場を設けることもあります。

参画条件をクリアするための方向性が見えてきた段階で、開発後のビジネスプランについてヒアリングし、レビューをさせていただきます。ここで審査を通過すれば正式にSalesforceとパートナー契約を締結することになります。

その後、AIエージェントの開発と、AgentExchangeへの登録に向けた準備フェーズへと進みます。パートナー企業自身で開発できる場合は、そのまま開発を進めていただけます。もし社内に開発環境やリソースがなければ、Salesforceから開発支援パートナーを紹介することが可能です。

開発を終えた後は、システム上の問題やリスクについて審査します。この審査をパスすると、正式にAgentExchangeで販売できるようになります。

厳しいと思われるかもしれませんが、審査を通さなければ、パートナー企業もユーザー企業も安心して使っていただくことはできません。パートナー企業のプロダクトの、品質と信用性を担保するためにも、こうした厳正な審査プロセスは必要不可欠だと考えています。

Q5,今後の発展計画は?

まず、もっともっとAgentExchangeをお客様に知っていただかないといけません。その認知・理解活動に注力するほか、AgentExchangeの価値を高めるために多くの企業に仲間になってもらいたい。そのための活動も活発化させていきます。

もうひとつ重要なのが、MCP(Model Context Protocol)の普及です。MCPとは、LLM(大規模言語モデル)が、他のアプリケーションやデータベースと安全にやり取りするための共通ルール(通信規格)。

Salesforceが目指す「ソフトウェアを誰もが簡単に使える世界」の実現には、世界中のソフトウェアを統合的に連携させる必要があると考えています。その実現に向けて模索しているのが、MCPの活用です。

企業が自社でMCPサーバーを保有し、そこにAgentforceを組み込むことができれば、各社のソフトウェア同士の統合を加速させることができるようになるはずです。

Salesforceでは、これまでのAI活用のフェーズを「3つの波」として分けています。第一の波は、過去の膨大なデータに基づいて将来分析をする「予測型AI」。第二の波は、ChatGPTに代表される「生成AI」。そして第三の波が、AIエージェントをはじめとする「自律型AI」です。

第二の波である生成AIは、ビジネスの業務プロセスを大きく変えてきました。第三の波である自律型AIは、それ以上に巨大なインパクトを企業にもたらすはずです。

SalesforceはAIエージェントがお客様のビジネスを大きく変えると信じ、AIエージェント活用を推進しています。これからは世界中の企業のAIサービスがより進化し、相互に発展させ合うようなプラットフォームを目指していきます。

取材:金藤良秀
執筆:長沼良和
撮影:大橋友樹
編集:金藤良秀、木村剛士

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