ビジネス環境が激しく変化する昨今、企業が市場で信頼を獲得し、持続的な成長を実現するには、単なる商品力やサービス力だけでは足りません。
業界内で信頼される発信力と専門性をもち、独自の視点で価値を提供できる存在になること、つまり「ソートリーダーシップ」が、企業価値を左右する時代になりつつあります。
本記事では、ソートリーダーシップの意味やメリット、実践方法、成功事例をわかりやすく解説します。自社のブランド力や信頼性を高めたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
マーケティング
最新事情レポート第9版
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目次
ソートリーダーシップとは
ソート(Thought)は「考え」「思想」「主張」「理念」、リーダー(Leader)は「先導者」「指導者」「先駆者」を表す言葉です。
ここから、ソートリーダーシップは「特定の分野において独自の知見や革新的なアイデアを発信し、業界や社会に新たな価値を提示・影響を与えること」を意味します。
変化の激しい現代において、企業がブランド価値や信頼性を高め、市場での優位性を築くための重要な戦略として、近年注目を集めている考え方です。
ソートリーダーシップが注目されている3つの背景
ソートリーダーシップが企業にとって不可欠な戦略となりつつある背景には、社会的・経済的・技術的な変化が関係しています。
ソートリーダーシップの重要性が高まっている背景について、順に詳しく見ていきましょう。
1.企業の社会的責任(CSR)に対する意識の高まり
グローバル化や環境問題の深刻化により、企業には単なる利益追求だけでなく、社会課題への主体的な対応が求められています。
そこで台頭してきた考え方が「企業の社会的責任(CSR)」です。
CSRとは、環境保護や人権尊重、地域社会への取り組みを通じて、持続可能な社会づくりに貢献する企業の経営姿勢を指します。
近年は、企業がCSRを推進する姿勢がブランド価値や信頼性の向上に直結しており、「社会貢献性の高い企業」であることが支持を獲得するための重要な要素となっています。
こうした背景から、社会課題に対する解決策を提示し、業界を牽引するソートリーダーシップの重要性が高まっているのです。
2.投資家や顧客の評価基準の変化
企業の評価においては、売上や利益といった財務指標だけでなく「知的財産」「ブランド力」「理念」といった無形資産の重要性も高まっています。
投資家は、ESG(環境・社会・ガバナンス)に対する姿勢を重視し、持続可能な成長を見据えた企業選びを行うようになりました。
顧客も製品の機能性だけでなく、企業の社会貢献姿勢に共感を求める傾向が強まっています。
このように、企業の評価軸が大きく変化した結果、社会的責任を果たす姿勢を示すことが経営戦略の要と考えられるようになりました。
ESGについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
関連コンテンツ:ESGとは?意味やSDGsやCSRとの違いや投資の種類を解説
3.技術や市場環境、顧客ニーズの変化
AIやIoTなどの技術革新の進展や、市場環境の急速な変化により、従来型のビジネスモデルでは競争力を維持するのが難しくなりました。その結果、変化をいち早く察知し、適応できる企業が生き残る時代に突入しています。
同時に、顧客の価値観・ニーズも多様化しており、「安さ」「機能性」だけでなく、社会的意義や理念への共感が企業の評価基準となりつつあります。
このような外部環境と顧客ニーズの両面に柔軟かつ戦略的に対応するためには、将来を見据えた思考とビジョンをもつソートリーダーシップが欠かせません。
企業は、単なるビジネスリーダーではなく、業界・社会全体に影響を与える「ソートリーダー」としての役割を果たすことが求められるようになっています。
ソートリーダーシップを取る3つのメリット
ここでは、企業がソートリーダーシップを確立することで得られる3つのメリットを解説します。
- 顧客との関係構築
- 企業ブランドの強化
- 見込み顧客の獲得
それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。
1.顧客との関係構築
1つ目は、専門知識や独自の視点をもとに価値あるコンテンツを継続的に発信することで、業界の権威として認識され、顧客からの信頼を得やすくなることです。
信頼が高まることで、顧客とのコミュニケーションが活発になり、フィードバックの質が向上します。顧客のニーズを深掘りできるようになるため、効果的に製品・サービスを改善することが可能です。
このような積み重ねが、顧客満足度の向上に寄与し、持続的な関係構築を促進します。
2.企業ブランドの強化
2つ目は、専門性のある発信を通じて「信頼できる企業」としての認知が広がり、ブランド価値が高まることです。
ソートリーダーシップを通じて得られる「リーディングカンパニー」としての地位は、企業のブランド価値を高めます。これは認知度の向上にとどまらず、競合との差別化や業界内でのポジショニング強化にも貢献します。
また、強固なブランドイメージは、顧客・取引先・人材など幅広い層に好印象を与え、企業全体の魅力を高める重要な資産のひとつです。
3.見込み顧客の獲得
3つ目は、質の高い情報を発信することで、検索エンジンやSNS経由での流入が増え、新たな顧客層と接点を持てるようになることです。
ソートリーダーシップを活用した専門性の高いコンテンツは、SEOに強く、検索結果で上位表示されやすいため、見込み顧客の獲得につながります。
信頼性・権威性の高い情報発信は、ユーザーからの評価を得やすく、資料請求や問い合わせなどのCV率(コンバージョン率)の向上も期待できます。
コンテンツマーケティングやSNS施策と組み合わせれば、複数チャネルからより効率的に見込み顧客を獲得することが可能です。
ソートリーダーシップを実践する4つのステップ
ソートリーダーシップを効果的に発揮するには、次の4つのステップを意識しましょう。
- ソートテーマを設定する
- ターゲットを細分化する
- 顧客ニーズを分析する
- 質の高いコンテンツを継続的に発信する
上記のプロセスを踏むことで、業界内での影響力を高め、ソートリーダーとしての地位を確立できます。
STEP1:ソートテーマを設定する
最初のステップは「ソートテーマを明確にする」ことです。
ソートテーマとは、自社がどの分野で独自の価値や考え方を発信するかを定める重要な軸のことです。
テーマは、自社の強みや専門知識との親和性が高く、市場での競合が少ない分野から選びましょう。一般的なアイデアやすでに広く知られているテーマでは、差別化が難しいため注意が必要です。
テーマを明確に設定すれば、情報発信に一貫性が生まれ、ソートリーダーとしての信頼と影響力が高まります。
ソートテーマを決める際には「セグメンテーション」を用いるのが一般的です。セグメンテーションの具体的なやり方については、以下の記事をご確認ください。
関連コンテンツ:【成功事例あり】セグメンテーションとは?やり方やターゲティングとの違いを解説
STEP2:ターゲットを細分化する
次に、ターゲットを以下のような視点から分類します。
- 年齢
- 性別
- 地域
- 興味関心
- 購買行動
ターゲットを細分化することで、各セグメントに適したチャネルとメッセージを使い分けられるからです。
たとえば、若年層にはSNS、ビジネス層にはメールマガジンやセミナーなど、ターゲットに応じたアプローチを行うことで効率的にリーチできます。
精密なターゲティングが、検索エンジンからの評価を高め、最終的にソートリーダーとしての影響力拡大につながります。
ターゲティングの手順や代表的なフレームワークについての詳細は、以下の記事をご確認ください。
関連コンテンツ:ターゲティングとは?重要性やフレームワーク、設定方法を簡単に解説
STEP3:顧客ニーズを分析する
ターゲットを細分化したら、顧客の潜在的なニーズを分析しましょう。
顧客が抱える課題や求める情報を的確に把握するには、次のような手法が効果的です。
- アンケート調査
- Webアクセス解析
- SNSのコメント分析
- カスタマーサポートの問い合わせ履歴の分析
GoogleキーワードプランナーやGoogleトレンドなどのツールを活用して、検索キーワードから顧客の関心を定量的に把握するのもおすすめです。
こうしたデータをもとに、顧客の関心にマッチした情報やコンテンツを提供すれば、ユーザーの共感や信頼を獲得しやすくなります。
STEP4:質の高いコンテンツを継続的に発信する
ソートリーダーシップの地位を確立するには、継続的に質の高いコンテンツを発信し続ける必要があります。
コンテンツの質を維持するには、定期的な顧客ニーズの調査が欠かせません。最新の業界動向や自社独自のノウハウ、成功事例などをコンテンツに盛り込むことも重要です。
情報を大量に発信するだけでなく、顧客にとって有益で専門性の高い情報を継続して提供することが、ソートリーダーとしての信頼と影響力を強固にします。
Salesforceは、最新のマーケティング動向と業界トレンドをまとめた以下のレポートを提供しています。質の高いコンテンツ作成のヒントとして、ぜひお役立てください。
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ソートリーダーシップを取る際の3つのポイント
ソートリーダーシップを発揮するには、専門知識や経験があるだけでは不十分です。
ここでは、ソートリーダーとしての地位を確立するために欠かせない3つのポイントを解説します。
- 最新の情報を継続的に収集・分析する
- 業界内外でネットワークを構築する
- 社会課題への積極的なコミットメントを示す
それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。
1.最新の情報を継続的に収集・分析する
ソートリーダーシップを発揮するには、業界の最新トレンドや社会の変化に常にアンテナを張り、質の高い情報を収集・発信することが重要です。
単なる情報収集ではなく、ニュースや市場調査、研究論文などの信頼性の高い情報源からデータを収集・分析し、独自の視点を交えて解釈することを意識しましょう。
こうした取り組みが、他社にはない独自性を生み出し、競争力の強化につながります。
2.業界内外でネットワークを構築する
影響力のあるソートリーダーになるには、他の専門家や業界リーダーとのつながりを広げることも重要です。
業界イベント、セミナー、オンラインフォーラムなどに積極的に参加し、人脈と知識の幅を拡大しましょう。
他のソートリーダーの発信にコメントを返すなど、双方向のコミュニケーションを通じてネットワークを構築するのも効果的です。
3.社会課題への積極的なコミットメントを示す
ソートリーダーは、自社の利益追求だけでなく、業界や社会全体の課題解決に貢献する姿勢が求められます。
そのため、環境問題やダイバーシティ、地域活性化など、社会的関心の高いテーマに対して、自社の専門性を活かした発信や行動をすることが重要です。
こうした姿勢をコンテンツや実際の活動に反映させることで、ブランドの信頼性が高まり、ソートリーダーとしての評価を確固たるものにできます。
事例から学ぶ「実践的なソートリーダーシップ戦略」
世界中の企業がソートリーダーとしての存在感を高めようとするなかで、Salesforceは代表的な成功事例のひとつとしてしばしば取り上げられます。
Salesforceが実践したソートリーダーシップ戦略について詳しく見ていきましょう。
社会貢献をビジネスに組み込む:Salesforceの「1-1-1モデル」戦略
Salesforceは創業当初から、株式・製品・従業員の1%を社会に還元する「1‑1‑1モデル」を掲げてきました。これは、単なる慈善活動ではなく、企業活動そのものに社会的責任を組み込む考え方にもとづいています。
この考え方は他社にも広がり、世界中のスタートアップや大手企業が同様の取り組みを採用するなど、企業の社会貢献のあり方を変えるムーブメントにまで成長しました。
こうした「社会を巻き込む影響力」こそ、ソートリーダーに求められる資質のひとつです。
参考:Salesforce(セールスフォース)が創業時から取り組む統合型社会貢献「1-1-1モデル」とは何か
環境分野でも業界を牽引:SalesforceのESGテック戦略
サステナビリティの分野においても、Salesforceは実用的なテクノロジーを通じて社会課題にアプローチしています。
たとえば、Salesforceが自社開発した『Net Zero Cloud』は、企業が自らの温室効果ガス排出量やESGデータを可視化・分析できるプラットフォームです。つまり、自社だけでなく、顧客企業の環境対応をも加速させるエコシステムを構築しています。
また、森林再生活動「1t.org」や再生可能エネルギーの活用など、持続可能な社会に向けた具体的なアクションも同時に推進しています。
参考:持続可能な社会の実現に向けた、Salesforceの社会的インパクトの歩み
AI活用の模範を示す:Salesforceの「責任あるAI」戦略
近年、生成AIをはじめとするAI技術の発展とともに、AI運用に伴う多大なエネルギー消費や環境負荷への懸念が高まっています。
Salesforceは、この点においてもリーダーシップを発揮し、「責任あるAI」の実現に向けて次のような明確なビジョンを打ち出しました。
- AIモデルのエネルギー効率向上、小型モデルの開発
- 二酸化炭素排出量の開示
- NPOやスタートアップと連携し、AIを環境・教育・医療といった社会課題の解決に活用
また『Einstein 1 Platform』や『Agentforce Assistant』などのAI機能を通じて、ビジネスの効率化だけでなく、社会全体の持続可能性を見据えた活用モデルを提案し続けています。
このように、Salesforceは理念の発信にとどまらず、製品・サービスの提供、社会貢献、業界連携を通じてソートリーダーシップを体現している企業です。
参考:セールスフォースが描く持続可能なAI開発戦略。AIを社会のために活用する「AI for Impact」 とは
ソートリーダーシップ戦略で企業の信頼性とブランド力を高めよう
急速に変化するビジネス環境において競争優位性を確立するには、ソートリーダーシップの確立が効果的です。
専門的知見をもとに社会課題や業界課題に関する情報を発信することは、企業ブランディングの強化と信頼獲得に直結します。
市場で選ばれる企業であり続けるためには、戦略的にソートリーダーシップを実践しましょう。
Salesforceは、ソートリーダーシップの実践を支援するために、最新のマーケティングトレンドをまとめたレポートを提供しています。最新情報を取り入れて、ぜひ今後の戦略の立案・推進にお役立てください。
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