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人口減少社会とテレワーク 和歌山県白浜町の例に見る「地方創生」のヒント

人口減少社会とテレワーク 和歌山県白浜町の例に見る「地方創生」のヒント

2015年国勢調査の速報値で、初めての人口減少が明らかに。深刻な影響を受ける地方自治体では、ITを利用した地方創生の動きが出てきています。テレワークを活用した、和歌山県白浜町の事例をご紹介します。

総務省から発表された2015年の国勢調査の速報値で、1920年の調査開始以来、初めての人口減少が明らかになりました。10年前から約0.7%人口が減っている状況です。2012年の国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、「出生率」が仮に1.35で推移した場合、2060年には8674万人になると予測されています。

最近では、人口減少が生活に影響する事象もでてきています。例えば水道料金においては、老朽化で維持費がかかる一方、人口減で地域格差が広がり、自治体間で10倍近い差が出てきています。

人口減少の影響は、特に地方自治体にとって深刻です。そこで政府は2014年11月の臨時国会において、「まち・ひと・しごと創生法」が成立させました。この法律は、少子高齢化への対応や、東京圏への過度の人口集中の是正、地域社会の個性を活かした住みよい街づくりを行うことを推進するものです。

この中で、IT技術の活用は、地方自治体の活性化において重要視されており、政府の高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT総合戦略本部)は、地方自治体に対して「地方版総合戦略」を作成するよう要請しました。この中で「全国各地でのIT利活用に係る挑戦的な取組と、全国への横展開の推進」が掲げられており、IT活用の具体的な場面は以下の3つが想定されています。

  1. 地域産業の活性化(ひと、しごとをつくる)
  2. 住みやすさの向上(まちをつくる)
  3. 地方公共団体業務の効率化(まち、ひと、しごとをささえる)

和歌山県白浜町でのIT活用事例

セールスフォース・ドットコムでは、政府が推進する3つのIT活用に向けて様々な取り組みを官公庁と行っています。そのひとつとして、総務省の「ふるさとテレワーク推進のための地域実証事業」への参画です。これは過疎化が進む地方公共団体に新たな移住者を呼びためのテレワークの仕組みづくりと、移住者の定着支援を図る生活支援サービスをITテクノロジーで提供していくというものです。

ここで示唆するテレワークは、従来のパートタイムのような位置付けではなく、東京で行っている仕事を白浜町でも同じように実施することを目的としています。Salesforceのパブリッククラウドサービス基盤上には、各種営業支援ツールや、勤怠管理、Web会議、社内コラボレーションツールなど、距離を感じさせないためのテレワーク機能が既に構築されています。昨年2015年10月和歌山県白浜町には、リモートオフィス「Salesforce Village」を建設し、これらのテレワークツールを利用して、セールスフォース・ドットコムの社員が移住し、東京同様の勤務内容で生活しています。業務効率が11%改善したという効果も見られ、さらに2時間の通勤時間が10分に短縮したことで、ワークライフバランスの両立も図れているようです。

また移住者、もしくは地域外の来訪者向け支援ITサービスとして、「白浜町モバイルアプリ」を開発し、テスト運用を行なっています。

  • 白浜町モバイルアプリトップ
  • 観光情報(白浜町は観光客が多く年間300万人が訪れるため)
写真:左から観光情報一覧、イベント情報、観光地図
  • 防災(緊急避難するための地域案内等)
写真:左から、防災お知らせ画面、避難ルート検索、防災に関する情報投稿画面
  • 子育て(子育て世代にどのようなサービスがあるのか、町からの告知情報等)
写真:左から、子育て情報一覧、子供の予防接種設定画面
  • ボランティアマッチング(新規移住者などが町にとけこむためのきっかけとして利用)

この和歌山県白浜町での活動は4月1日に総務省から発表された、「テレワーク先駆者」として認定されました。今後セールスフォース・ドットコムでは本活動を通じて得た知見をもとに、今後全国の自治体で活用いただけるような情報サービス、ノウハウを開発・提供していき、地方創生とテレワーク推進に貢献していきます。

参考文献:

  • 国勢調査で初の人口減…1億2711万47人(読売新聞 2016年2月26日)
  • 日本の将来推計人口(国立社会保障・人口問題研究所 2012年1月30日)
  • 水道代、地域格差10倍 老朽化・人口減、各地で値上げ(朝日新聞 2015年9月7日)

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