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財布の紐が堅い2022年の年末商戦の買い物客:データを使用してブラウジングから購入へと導く秘訣

財布の紐が堅い2022年の年末商戦の買い物客:データを使用してブラウジングから購入へと導く秘訣

厳しい経済状況でもデータを活用してエンゲージメントを推進し、ロイヤルティを高める方法

厳しい経済状況でもデータを活用してエンゲージメントを推進し、ロイヤルティを高める方法

しっかりとした小売データ戦略を持っている企業は、そのような戦略を持たない企業と比較して2.9倍(英語)もの収益拡大を実現していると聞いて驚かれるでしょうか。73%の顧客が、自分のニーズや期待を企業に理解してほしいと考えているという数字はどうでしょう。この割合は、わずか2年で7%も上昇しています。これらの数字は、小売業者の収益や成長に影響するものです。そのため、今年の年末商戦ではこれらを念頭に置き、しっかりと戦略を立てる必要があります。 

収集した顧客データ(ファーストパーティデータとも呼ばれます)にもとづいてパーソナライズされた体験を作り上げることは、小売企業のデータ戦略においてますます重要になっています。それにもかかわらず、プロファイル情報、購入履歴、サービスを通したやり取りなどのデータをパーソナライズされた体験に活かし、買い物客がVIPのような扱いをうけていると感じてもらえていると答えたのは、小売企業の幹部は32%にすぎません。この困難な経済状況の中で迎える年末商戦で利益を上げるには、小売業者はまず顧客に財布の紐を緩めてもらう必要があります。そのためには、顧客のニーズや期待を理解しているということを明確に示す必要があります。

ここでは、今年の年末商戦で顧客を獲得し、エンゲージメントを推進する方法をご紹介します。 

買い物客に喜ばれる年末商戦のために

実りの多い一年にするためのヒントをご紹介した『小売業界のための2022年 年末商戦ガイド』をご覧ください。

顧客データを使用してあらゆるやり取りをパーソナライズする  

ファーストパーティデータを使用すると、それぞれの顧客の関心に応じてオファーやメッセージをパーソナライズできます。その効果は絶大です。78%の消費者(英語)が、パーソナライズされたメールやその他のメッセージを受け取ると、今後商品を再購入する確率が高まると答えています。ただし、単に大量のデータを集めるだけでは不十分です。どのようなデータをいつ収集し、どのように使うのかを理解する必要があります。あらゆることを一度に要求してしまい、顧客の心が離れてしまうことがないよう注意が必要です。 

年末商戦の小売データ戦略をレベルアップするため、以下の点を考慮しましょう。

押し付けるような要求は避ける

年末商戦時期の買い物客が我慢強いと考えてはいけません。顧客プロファイルを収集しようと数多くの項目に入力を要求しても、進んで入力する顧客はほとんどいません。戦略的に情報を収集する必要があります。まずは、購入後に追加情報を収集できるような形でデータを収集します。頻度と妥当性のバランスを取りながら、複数回に分けてアプローチする手法をとります。すべての内容を一度に詰め込み、かつパーソナライズされていないコミュニケーション手法は、できるだけ避けてください。顧客について深く知るにつれ、メッセージをよりパーソナライズして、顧客の関与を促すことができるようになります。段階的なアプローチにより、徐々に信頼を築きます。十分な信頼を築くことができれば、商品の好みなどの価値ある情報を収集することができます。

年末商戦で選んでもらえるようなロイヤルティプログラムにする

ロイヤルティプログラムは、ゼロパーティおよびファーストパーティデータを収集するための効果的な方法であるだけでなく、ロイヤルティプログラムのメンバーは、多くの場合、小売業者にとってもっとも価値の高い顧客(英語)でもあります。しかし、消費者の購入額と購入店舗数の減少(英語)が予想される今年の年末商戦においては、メンバーが買い物リストを作るときに真っ先に思い出してくれるようなプログラムにする必要があります。そのための最適な方法として、ロイヤルティプログラムが、データの提供と引き換えに最大の価値を提供できる(英語)ことが求められます。 

取引に対してポイントなどの特典を付与するという従来型の仕組みも重要ですが、消費者の財布の紐が堅くなっている現在、VIPのような体験を提供することの価値も見落としてはいけません。X世代やベビーブーム世代と比較して、限定商品や特別な体験を約2倍重視するミレニアル世代やZ世代の買い物客にとっては、このことが特に重要となります。優先的な購入権や無料のギフト包装など、データを提供した見返りとして十分な特典が与えられているとメンバーに感じてもらえるようにします。

顧客ライフサイクル全体のデータを統合する

年末商戦の買い物客は時間に追われており、無駄な手間を好みません。電話をかけたときに自分の情報を毎回伝えなければならない、店舗スタッフにオンラインキャンペーンについて説明しなければならない、購入した商品を店舗で返品できないために郵便局までわざわざ足を運ばなければならないといった手間をかけさせてはいけません。最終的に、顧客は物理的なやり取りとデジタルでのやり取りの統合を求めています。営業、カスタマーサービス、マーケティング、Eコマースのデータを、共有のCustomer Data Platform (CDP)へと統合することで、顧客の全体像をいつでも把握し、常にパーソナライズされ、一貫性があり、ブランドの意図に即したやり取りを実現できます。 

オーディエンスデータをセグメント化して関連するコミュニケーションを自動化する

年末商戦の買い物客は、大量のメール、テキストメッセージ、アプリ通知、ソーシャルメディア広告を受け取っています。買い物客の固有のニーズや関心に合わせてパーソナライズされたインテリジェントなメッセージ送信の仕組みを使用することで、それら大量の情報に埋もれずに関心を引くことができるような小売データ戦略が必要です。しかし具体的にはどうすればよいのでしょうか。 

共通の属性にもとづいて顧客データを整理することにより、カスタマイズされたメッセージに反応する確率の高いオーディエンスをターゲットにすることができます。たとえば、特定の地域でゲーム機器の順番待ちリストに掲載されている顧客のセグメントを作成したとします。その地域の店舗に、人気のコンソール、ヘッドセット、コントローラーが在庫として再入荷されました。セグメント化および自動化されたメッセージ送信の仕組みを使用すると、これらの商品の入荷を待っていた関心の高い顧客セグメントに対して、再入荷のお知らせを送ることができます。さらに、過去にゲーム機器を購入したことのある類似のオーディエンスにもメッセージを送ることができます。このようなパーソナライズされた体験を提供することで、収益拡大を実現できます。

直感的にわかりやすく、財布にやさしい、簡単操作のオンライン体験にする

厳しい経済状況の中で利益を拡大するには、顧客の好みに合わせてパーソナライズされたメッセージを送るだけでは不十分です。新規の買い物客が関心を示すような情報を適切なタイミングで表示し、それらの顧客が簡単に購入できるような小売データ戦略が求められます。 

既存の顧客から収集したデータを活用して、以下のような仕組みを用意します。

  • インテリジェントな商品ディスプレイ。スポーツ用ソックスをスニーカーと並べて掲載するなど、顧客が買い物で訪れたページに関連するレコメンデーションを表示します。ただし、やみくもに表示すればよいのではありません。実際に在庫のある商品(少なくとも年末商戦の配送に間に合う商品)を掲載することで、優れた顧客体験を提供できます。
  • 財布にやさしいキャンペーンのセット商品。財布の紐が堅い年末商戦の買い物客は、お金も時間もどちらも無駄にすることを嫌います。何度もタップしなくても商品を見つけられるようにするとともに、関連性の高い商品を財布にやさしいセット商品として提供することにより、平均注文数量の増加を図ります。たとえば、ランニングマシンとフィットネストラッカー、トレーニングウェア、ダンベルをセットにした商品を提供します。
  • パーソナライズされた決済(しかもスピーディ)。第2四半期には、トラフィックの71%をモバイルデバイスが占めており、小さな画面に最適化された買い物体験を提供することがかつてなく重要となっています。新規の顧客に対して、プロファイルを作成して支払い方法の設定を行うように案内し、モバイルデバイスの商品ページで「今すぐ購入」ボタンをタップするだけですぐに決済できるような仕組みを用意します。

小売データ戦略の次のステップ

困難な経済状況と消費者心理の変化により、2022年も小売業界にとってこれまでに経験しなかったような課題が立ちはだかる年となるでしょう。あらゆるツールを駆使して新規顧客を獲得し、ロイヤルティの高い顧客により多くの買い物をしてもらう必要があります。 

適切な小売データ戦略と、時間に追われる年末商戦の買い物客のニーズに応えた効率的なデジタル体験により、顧客に満足感を与えることができます。

年末商戦を成功へと導くための新しいガイド

世界のショッピングトレンドを学び、年末商戦を成功に導きましょう。

Matt Marcotte
グローバル産業アドバイザー担当SVP

Mattは消費者向け小売業分野における30年の経験があります。Salesforceの前はBergdorf Goodmanで最高執行責任者を務め、120年の歴史を持つ象徴的ブランドを、デジタル対応の顧客体験を提供できるブランドに変革しました。彼は消費者人類学の観点からビジネスにアプローチしており、人間の行動、関係、体験に深い関心を持っています。

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