Skip to Content

【ビームス事例】顧客の“熱量”を可視化する「相思相愛」なカスタマーエンゲージメントへの道

2024年、Salesforce の「Loyalty Management」を導入し、新ロイヤルティプログラムを始動したビームス。CRM基盤の増強に至った背景や、お客様の「購買」だけではなく「行動」を可視化し、お客様との「相思相愛」を目指す新プログラムの戦略を、同社マーケティング本部に聞きました。

Key Takeaways

This summary was created with AI and reviewed by an editor.

1976年の創業以来、日本のセレクトショップのパイオニアとして、ファッションにとどまらず新たなライフスタイルやカルチャーを発信し続けるビームス。

2024年3月には組織再編によりマーケティング本部が設立され、認知から購買以降までのお客様の体験を一貫して管掌できる体制を構築しました。さらに同年9月に、お客様1人ひとりとの関係を深化させる、新たなロイヤルティプログラムを開始しています。

今回のロイヤルティプログラムでは、長年利用してきたSalesforceの「Agentforce Marketing」や「Agentforce Service」に加え、新たに「Loyalty Management」を採用。購買データだけでなく、お客様の「行動データ」も把握することで、LTV(Life Time Value)の最大化を目指しています。

プロジェクトを牽引したマーケティング本部本部長の山崎勇一さんと山村響子さん、郡山祐亮さんの3人に、新しいロイヤルティプログラムの狙いと、Loyalty Managementで描く次世代のカスタマーエンゲージメントを語ってもらいました。

ロイヤルティマネジメントの製品デモ動画

AIを活用して顧客エンゲージメントと収益性を向上
この動画では以下の方法をご紹介します。
・コード不要でクリック操作だけでプログラムを設定
・顧客データの収集とエンゲージメントをカスタマージャーニー全体で実施 など

ビームスが歩んだCRM強化の道

──まずは、ビームスのCRM戦略とデータ活用の歩みをお聞かせください。

山崎:店舗とECで共通のポイントが貯まる会員プログラム「BEAMS CLUB」自体は、2002年から存在していました。振り返ると、最初の10年はデータを貯めることに終始していましたね。2013年にLTVの重要性を会社として認識し、CRM推進部が発足。データを活用しながらお客様との関係をより一層強化するフェーズに入りました。

大きな転機となったのが2016年です。ECサイトのリニューアルとモバイルアプリのローンチに加え、マーケティングオートメーション(MA)の導入、会員システムの刷新。この4つをほぼ同時期に行ったんです。

この時に導入したのが、「Agentforce Marketing」です。導入した目的は、お客様の属性や行動に合わせて各種コンテンツの配信を実現すること。それまでは一斉配信だけでしたが、Agentforce Marketingによりセグメント配信ができるようになったことで、リピート購入を示すF2転換率やメールの開封率が大きく向上しました。

その後、2020年に「Agentforce Service」を導入。それまで、コールセンターでは会員システムとECシステム、問い合わせシステムと3つのシステムを行き来しながらお客様対応をしていましたが、Agentforce Serviceの導入でお客様データを一元化したことで、対応がスムーズになりました。

業務プロセス全体がシステムで管理されるようになったことで、これまでアナログだった業務を数値化できるようにもなり、メンバーが能動的にアクションを起こせるようになったことも大きな成果でした。

──これまで長くAgentforce MarketingAgentforce Serviceをご利用いただいていますが、Salesforceのプロダクトやサービスに対する率直な感想をお聞かせください。

山崎:私たちが求める機能要件を満たしていることはもちろんですが、将来性とビジョンにも共感しています。単にツールを提供するだけでなく、「ビームスの成長にいかに伴走するか」というカスタマーサクセスの姿勢を一貫して示してくれていると感じますね。

──マーケティング本部の中でも、ブランドエンゲージメント、お客様との関係強化を担当している山村さんと郡山さんもご意見ください。

山村:私は普段、システム部門を介してやり取りすることが多いため、直接的なサポートを受ける機会は少ないのですが、打ち合わせなどに参加させていただくと、Salesforceのエキスパートはビームスの状況を深く理解してくれています。その点は、他のテクノロジー企業と比較しても大きな心強さがあります。

郡山:サポート体制に頼もしさを感じています。私は2016年のAgentforce Marketing導入時から担当しているのですが、当時は今よりも手探りの状態。そんな中、Salesforceのカスタマーサクセスチームに伴走してもらいながら、シナリオの構築やデータ活用法を一緒に考えてくれて、ノウハウを社内に蓄積することができました。

また、システムトラブルが起きた際も、問い合わせするとすぐに対応してくれ、解消するまでの状況を逐一報告してもらえることも頼りになります。

熱量を可視化する「相思相愛」なプログラム

──2024年のBEAMS CLUB刷新に伴い、Salesforceの「Loyalty Management」を導入いただきました。改めて、会員プログラム刷新に至った背景を教えてください。

山崎:2021年頃から、さらにお客様とのエンゲージメントを強くするために「お客様とどう向き合うか」を社内全体で議論し始めました。

きっかけは、コロナ禍です。お客様の価値観が変化し、企業とお客様の関係性が問われる中で、これまでのような購入金額だけで会員ステージが決まり、ポイントという対価で企業がお客様の行動を評価しようとする手法に対して、違和感を感じるようになったんです。

そこで私たちがたどり着いたコンセプトが「相思相愛」。企業が一方的にお客様を評価するのではなく、お客様を愛し、お客様からも愛される関係をつくりたい。そのためには、「購買」という結果だけでなく、ビームスと過ごしてくれた時間や熱量といった、「行動」そのものも見守り続けたいと考えました。

──「相思相愛」というコンセプトを会員プログラムで実現するうえで、Loyalty Managementに着眼いただいた理由を教えてください。

山崎:従来のポイントシステムでは、単純にポイントを付与・利用する機能しかなく、お客様の多様な行動を可視化することができませんでした。

たとえば、これまでのシステムは「1円=1ポイント」という購買データの処理には長けていましたが、「イベントに参加した」「マイバッグを持参した」といった、金銭以外の多様な行動データをロイヤルティとして蓄積し、可視化する設計にはなっていませんでした。これを無理に改修しようとすると、莫大なコストと時間がかかってしまうことがわかっていました。

その点、Loyalty Managementであれば、蓄積された多様なデータを柔軟に活用し、お客様の熱量を見える化できます。

また、Agentforce MarketingAgentforce Serviceと同じプラットフォーム上にあるため、貯まったデータを一元管理し、即座にマーケティング施策や店舗での接客に還元できます。こうした他のSalesforceのプロダクトおよびデータとの連携のしやすさも、他社のプロダクトにはない強みで、選定の決め手になりました。

──「行動」を可視化するために、具体的にどんな仕組みを導入したのですか。

山崎:新たにアクションマイルを導入することにしました。最大の特徴は、このマイルが永久不滅である点です。当社の従来の購買マイルは年間でリセットされる「フロー型」の評価でしたが、アクションマイルはお客様がビームスに向けてくださった時間や熱量を「ストック型」で積み上げていくことができます。

長くお付き合いいただいているお客様ほど、当然アクションも多くなります。そうした行動の一つひとつを大切なロイヤルティの指標として捉え、「購買」と「行動」の両輪で関係性を深めていく。これこそが、私たちが目指す中長期的な「相思相愛」のかたちです。

また、評価のアプローチも変えました。これまではアプリのダウンロードやLINE連携を促すために、ポイント付与をインセンティブとして使うキャンペーンも行っていました。しかし、それはあくまで“企業都合”の施策。そうではなく、お客様の能動的なアクションそのものを資産として評価できる仕組みをつくりたいと考えました。

山村:イベント参加やマイバッグ持参、メールの購読など購買だけではない多様な行動にマイルを付与しています。社内からも「このイベントでマイルを付与したい」という声が上がってきていて、ビームスらしい施策が広がっています。

お客様のアクションデータが取れるようになったことで、購買だけでは見えなかったお客様との接点や関係性が可視化されてきました。この先、そうしたデータを活用したビームスらしいコミュニケーションをもっと増やしていきたいと考えています。

──今回、Loyalty Managementというプロダクトではなく、導入・活用を支援する「Salesforce Professional Service」も導入いただきました。お客様によってはSalesforceのパートナーから支援を受けるケースもあります。

山崎:前述した通り、過去に複数のプロダクトを導入している過程の中で、Salesforceのカスタマーサクセスチームに全面的にバックアップしてもらい、その力を存分に感じたので、今回の導入も必然でした。

そのサポート力を評価する一方で、パートナーではなくプロダクトメーカーと直接関わることには別の意味もあります。実際にプロダクトを開発する企業、Salesforceと直接コミュニケーション取る機会を増やすことで、社内のプロダクト習熟度が上がり、トレーニングコストを削減する効果があります。

加えて、メーカーが何を考えているのか、どのような開発思想とビジョンを持ち、将来どのようなプロダクトやテクノロジーを出していこうかを解像度高く知ることができる。

当社のシステムに関わっているパートナーとは、単純なツールの提供だけでなく、考え方やビジョンをお互いに知ることが大事です。そういう意味でもSalesforce Professional Serviceは必然でした。

デジタルで拡張するビームス流コミュニケーション

──2024年9月のリリースから1年以上経ちましたが、現時点での成果や手応えはどう感じていますか。

山崎:LTVへの影響を測るにはまだ時間が必要ですが、お客様の行動には確かな変化を感じています。

これまではキャンペーンを打たないとアプリやLINEなどに触れていただけなかったのですが、アクションマイルの導入によって、お客様が能動的にアクセスしてくれるようになりました。

これは、「マイルを貯める」というアクション自体を楽しんでいただけている証拠だと捉えています。 実際、メール配信許諾率が以前は40%ほどだったのが、現在は50%近くまで向上しています。

山村:店舗での活用も進んでいます。接客後にパーソナライズされた「お礼メール」を送れる仕組みを、Agentforce Serviceの導入とともにつくりました。

これまで手書きのお礼状で伝えていたような温もりのあるコミュニケーションを、デジタルを使うことでよりタイムリーに、より多くのお客様へ届けられるようになりました。

デジタルがアナログな接客にとって代わるのではなく、むしろその良さを拡張してくれている好例だと感じています。

さらにLoyalty Management導入により、購買以外の来店、例えばイベントへの参加などの状況も把握できるようになったため、コミュニケーションの幅がさらに広がりました。

──今後の課題や展望をお聞かせください。

郡山:Loyalty Managementの導入後、これまでは見えなかったアクションデータが可視化され、お客様の解像度が上がりました。今後はこのデータをメルマガなどのコミュニケーションにも活かし、お客様一人ひとりの興味関心に合わせた情報を届けることで、エンゲージメントをさらに高めていきます。

山崎:これからのマーケティングではデータ活用を避けて通れません。蓄積された膨大なアクションデータとAIを掛け合わせることで、人間の勘だけでは気づけない「お客様のインサイト」を見つけ出し、ライフスタイルを彩る提案につなげていきたいと考えています。

今はAIの進化のスピードが早く、複雑なデータの分析や活用がより手軽にできるようになってきました。テクノロジーの力を借りながら、3年後、5年後を見据え、「相思相愛」の状態を高めていきます。

──その将来に向けて、Salesforceはどんな役割を担えるでしょうか。

山崎:「変わらない存在でいてほしい」。これに尽きますね。

Salesforceには、グローバル企業としての先進性や、業界をリードするビジョンを持ち続けてほしいと思っています。それと同時に、私たちのビジネスの現場に深く寄り添い、成長に伴走してくれるパートナーであり続けてほしい。企業規模は大きくなり、業容が拡大したとしても、それを失わないように(笑)。期待しています。

ロイヤルティマネジメントの製品デモ動画

AIを活用して顧客エンゲージメントと収益性を向上
この動画では以下の方法をご紹介します。
・コード不要でクリック操作だけでプログラムを設定
・顧客データの収集とエンゲージメントをカスタマージャーニー全体で実施 など

執筆:加藤学宏
撮影:竹井俊晴
取材・編集:木村剛士

今、知るべきビジネスのヒントをわかりやすく。厳選情報を配信します