Skip to Content

世界最大のヘルステックイベント「HIMSS 2026」 でみたテクノロジーと人間性が交差する医療の未来

2026年3月10日-12日、世界最大のヘルステックイベントHIMSS 2026」が開催されました。世界70か国以上から2万4000人もの医療イノベーターたちが開催地の米ラスベガスに集結し。現地参加したので、基調講演を中心に、私の学びをみなさんに共有します。

Key Takeaways

This summary was created with AI and reviewed by an editor.

飯田市立病院、Health Cloudで切り拓く地域医療の未来

同院が選んだのが、Salesforceの「Health Cloud」。ノーコード・ローコード開発を活用し、現場職員自らが必要なアプリを迅速に内製化。さらに、全国医療情報プラットフォームとの接続検証を進め、病院内外の情報をつなぐ基盤づくりを始めました。

今年のHIMSSで垣間見た歴史的転換点

HIMSS2026 は、テクノロジーの進化がかつてないスピードで進む中、私たちが医療の在り方を根本から問い直す、示唆に富んだ場でした。

HIMSSでBoard Chairを務めるGVM Care and ResearchのグループCIO Elena Sin氏は、オープニングスピーチで「May you live in interesting times(興味深い時代に生きられますように)」と発言。医療業界が直面する危機を成長への絶好の機会と捉えるよう呼びかけました。

また、HIMSSのPresident & CEOであるHal Wolf氏が「私たちは歴史的な転換点(Inflection Point)にいるのか?」と問いかけたように、今は単に新しいツールを導入するのではなく、全く新しいアプローチが求められているタイミングであることを主張しました。

ここからは筆者に印象に残ったセッションの一部を紹介します。

徹底的な「単純化」がイノベーションを生む

では、変革をどう進めるべきか。その強烈な青写真を示したのが、元TeslaプレジデントでLyftのCOOも務めたJon McNeill氏による基調講演でした。

McNeill氏は、指数関数的な成長を生み出す「The Algorithm(アルゴリズム)」の根幹は「単純化(Simplify)」にあると断言。Tesla時代、64回かかっていたオンラインでの車の購入プロセスを、ピザの注文と同様にわずか約10クリックまで短縮した事例は圧巻でした。

また、「複雑さは名誉ではない」とも語り、すべての要件を疑い、価値を生まないプロセスを徹底的に削除し、自動化は「最後」に行うべきだと強調しました。

AI時代、医療関係者とは異なるMcNeill氏を基調講演のスピーカーに起用した点からも、HIMSSが参加者に何を訴求したかったのか、掬い取ることができたように感じます。

別のセッションでは登壇していた別の医師が「質の悪い業務デザインは、ほぼ確実にバーンアウト(燃え尽き症候群)を引き起こす」と指摘。また、別の医師は「現状のシステムでは、分断されたシステムの複雑さを臨床医が吸収させられている」と警鐘を鳴らしていました。

複雑さを悪として、徹底的な単純化によって現場業務のフリクション(摩擦)を削ぎ落とすこと、これが医療従事者を救う第一歩なのだと感じました。

「病院の壁を越える」ためのプラットフォーム革新

McNeill氏の「10クリックの哲学」に、医療の文脈で力強く呼応したのが、Mayo Clinic Platform代表のDr. John Halamka氏の基調講演でした。

彼は「ピザの注文が10クリックでできるなら、診断や治療も10クリック以内でできるべきだ」と語り、断片化した医療を先制的でシームレスな体験へと変革するビジョンを提示しました。

Mayo Clinicはすでにデータアーキテクチャを駆使し、「Care Beyond Walls(病院の壁を越える医療)」として5万人以上の患者に在宅治療を提供し、500人の癌患者を完治に導いています。

この「壁を越える」ためのデータ連携は、今年のHIMSS全体の大きな潮流でした。そこかしこでInteroperability(相互運用性)という単語を耳にしたものです。

Centers for Medicare & Medicaid ServicesのDr. Mehmet Oz氏も患者起点の相互運用性の重要性を説き、在宅医療のセッションでも「ラストマイルの解消」にはAIとデータの連携が不可欠であると議論されていました。

ちなみに別のセッションでApple Healthcare VPのDr. Sumbul Desa氏が、「自宅での日常生活はラストワンマイルではなくファーストマイルだ」と発言されていたことも印象的でした。

医療行為を起点にすれば、患者の日常はラストマイルになるわけですが、予防・健康を考えると自宅での日常こそが中心であり起点であるべきでしょう。

医療課題を解決するAIエージェントの力

病院コンタクトセンターの未来像
Salesforceが提供するAgentforceは、単なるAIチャットボットではなく、自律的にタスクを遂行する次世代AI。病院のコンタクトセンター業務に導入することで、業務効率化や患者さん対応の向上にどのように貢献できるのか、その活用事例をご紹介します。

Salesforceが担う「運営の神経系」としての役割

こうした数々の洞察に対して、私たちSalesforceはどのようなアプローチで日本の医療業界のみなさんのお役に立てるのでしょうか。

日本から参加した医師団の方々に、SalesforceでSVP & GM of Health を務めるAmit Khannaより、Salesforceの考えとアプローチを直接紹介しました。

Amitが強調したのは、2030年に向けて世界で1000万人の医療従事者が不足するという「2030年の崖」に対する強い危機感でした。この課題に対し、Salesforceは既存のEHR(電子カルテ)を置き換えるのではなく、分断されたシステムをつなぐ「信頼されるバックボーン」でありたいと考えています。

私たちが提唱するのは、臨床業務そのものではなく、事務管理や運営といった「臨床外(Non-clinical)」の領域にAIを適用し、コスト削減という実益(ROI)を生み出すアプローチです。

FHIR規格に準拠した「Data 36O」でサイロ化したデータを統合し、「Agentforce Health」という自律型AIエージェントに複雑なワークフローを任せる。これにより、システムが「運営の神経系」として機能します。

例えばMIMIT Healthは、「Agentforce」を活用して予約キャンセルリスクの高い患者を予測し、事前のアウトリーチを自動化することで、多額の収益保護と患者体験の向上を同時に実現しました。

人間の力技で補っていた複雑なプロセスを「単純化」し、(医師・看護師のみなさんに吸収させるのではなく!)テクノロジーに吸収させる。これこそが、私たちが目指すソリューションです。

なおSalesfoceは今回、HIMSSの開催に合わせて新たなアップデートもリリースしています。

関連記事Salesforce、医療機関や保険者向けに「Agentforce Health」を発表

「見えざる力」が切り拓く道

テクノロジーの進化がどれほど加速しても、医療の根源にある「人」の存在意義が変わることはありません。

カンファレンスの終盤、著名な脳神経外科医であるDr. David Langer氏による「Invisible Forces(見えざる力)」と題した講演で、改めてそれを思い起こされた気がします。

彼自身が深刻な脊髄損傷から奇跡的な回復を遂げた経験を通して語ったのは、最先端のテクノロジー以上に、人間関係や医療従事者としての哲学(勇気、正義感、謙虚さ、智慧)といった「非テクノロジースキル」の重要性でした。

彼はマルクス・アウレリウスの言葉を引用し、変革の痛みに直面する現在の医療業界全体への力強いエールを届けています。

“障害が道となる(What stands in the way becomes the way)”

Salesforceは、単なるソリューションプロバイダーではありません。

過酷な労働環境や、分断されたシステムによる摩擦など日本の医療現場が抱える独特の課題に対して、共に悩み、プロセスを単純化し、現場のみなさんが本来の「人間らしいケア」に集中できる環境をどう創り出せるか。みなさんと一緒に考え、道を切り拓くパートナーでありたいと強く願っています。

未来の医療をどうデザインしていくか。ぜひ、みなさんの現場のリアルな声をお聞かせいただき、ディスカッションをさせていただければ幸いです。

関連記事:
▶ 大同病院事例はこちらから
▶ 飯田市立病院事例はこちらから

医療現場を支えるAgentforce in Slackのすべて

本動画では、SlackとSalesforce連携による医療業務の効率化をデモ形式でご紹介します。

今、知るべきビジネスのヒントをわかりやすく。厳選情報を配信します