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地方創生2.0から読み解く、地域中堅企業が果たすべき役割

「地方創生2.0」を、地域の中堅企業はどう自社の一手に翻訳できるのか。2025年閣議決定の5本柱を読み解き、地域経済の「負の連鎖」を断ち切る主役としての役割と、DXが生む自律的な循環型モデルを提案します。

Key Takeaways

This summary was created with AI and reviewed by an editor.

筆者が地域に通い続けて見えてきたこと

私は 2022 年からの3年間、地域の事業者を支援するマーケティング担当として、2週間に一度は地域へ足を運んできました。

人の往来がまだ戻りきらないポストコロナの黎明期から、各地の経営者と交流を重ねてきた日々。2026年の今も、中堅・大手の地域事業者を担当し、仕事でもプライベートでも定期的に各地を訪れています。

現地の人と会い、街を歩きながら「生きた実態」として事前に調べた地域経済のデータを肌で確かめる。通い続ける中で、私が痛感したことがあります。それは、地域には都市にはない種類の熱量とポテンシャルが存在することです。

何十年もの間、その土地の暮らしと産業を支えてきた確かな技術。取引先や従業員、そして地元と築き上げてきた数字には表れにくい信頼関係。「この地域は自分たちが背負っている」という経営者の覚悟ーー。

世界に誇れる独自の強みを持ちながら、その価値をまだ十分に世の中へ伝えきれていない。そのような企業に、私は各地で数えきれないほど出会ってきました。

前提として、「なぜIT企業のSalesforceが、地域貢献を語るのか」と疑問に思われる人も多いかもしれません。

その答えは、Salesforceという会社の成り立ちそのものにあります。Salesforceには「1-1-1モデル」という考え方があります。株式の1%、従業員の就業時間の1%、製品の1%を地域社会や非営利活動に還元するという創業時から続く仕組みです。

その根底には、創業者マーク・ベニオフの「ビジネスは、社会をより良く変えるための最良のプラットフォームである」という信念があります。

実は私自身、この考え方に強く惹かれてSalesforceに新卒で入社しました。事業の成長が、そのまま社会や地域への貢献につながっていく。そのような会社の一員として、製品の機能を知っていただくことにとどまらず、「Salesforceは地域経済にどう貢献できるのか」を自分ごととして考え、発信していく。それが、この仕事の一番のやりがいです。

だからこそ、この会社で他ならぬ私が地域事業者のみなさまに向けてこのメッセージを届けたいと思っています。本記事は、その想いを形にした一つの提案です。

地域経済の「負の連鎖」を、誰が断ち切るのか

少子高齢化と労働人口の減少、そして働き手の大都市圏への集中。地域が抱える課題は、年を追うごとに深刻さを増しています。

働き手が減れば地域企業の経営は圧迫され、業績の停滞や採用力の低下がさらなる人材流出を招く。こうした負の連鎖は、いまや一社の経営問題ではなく、地域経済そのものの持続可能性を揺るがす課題になっています。

この連鎖を誰で断ち切れるのか。それは、地域経済を牽引する「中堅企業」です(中堅・中小ではなく中堅にフォーカスした理由は後述します)。中堅企業が事業を拡大し、新たな雇用を生み出すことは、地域に人とお金の流れを取り戻すことに直結します。つまり、地域の中堅企業の成長こそが、負の連鎖を「成長の好循環」へと反転させる起点になります。

今、その動きを制度と資金の両面から後押しする流れが本格化しています。地域活性化をめぐって、いま2つの潮流が重なりつつあるのです。

ビジネスの世界では、地域経済の担い手として中堅企業への期待が高まる。そして国の政策としては、地方のあり方を描き直す「地方創生2.0」構想が動き出しました。ここからは、この2つについて、内容と目的を順に見ていきます。

「地方創生2.0」とは何か。 5つの柱で描く地域の未来

「地方創生2.0」とは、2025年6月に日本政府が閣議決定した新しい政策です。「新しい日本・楽しい日本」の実現を掲げ、地域経済を支える中堅・中小企業の働き方改革や成長支援も施策に盛り込まれています。政策は、次の5つの柱で構成されています。

1.安心して働き、暮らせる地方の生活環境の創生(地域の働き方改革、暮らしの拠点整備など)

2.稼ぐ力を高め、付加価値創出型の新しい地方経済の創生(産官学共創、輸出・海外展開、中堅・中小企業支援など)

3. 新時代のインフラ整備とAI・デジタル等 新技術の徹底活用(GX・DX推進、デジタルライフラインなど)

4.人や企業の地方分散(産官学の地方移転、都市と地方の交流など)

5. 広域リージョン連携(都道府県域を超えた広域圏の交流・連携など)

政府は、生産性の向上や稼ぐ力の強化、職場環境の改善を地域活性化のカギとし、各企業に対応を求めています。5本柱は「国の話」ではなく、地域中堅企業一社一社の経営テーマなのです。

なぜ「中堅企業」が地域経済の主役なのか

日本政府は、従業員301〜2000人規模の中堅企業(国内約9000社)を、地域経済や日本経済の成長を牽引する存在と位置づけています。

2025年2月には「中堅企業成長ビジョン」を策定し、2025年度だけで総額1.4兆円規模の成長促進パッケージを用意するなど、支援を本格化。政府は中堅企業の強みを「成長余力」「変化余力」「社会貢献余力」と評価し、国内投資の拡大・良質な雇用の創出・地域経済への波及を期待しています。

この期待は、メディアの動きにも表れています。経済誌『週刊東洋経済』は2026年に『すごい中堅企業100』(2026年5月2日・9日合併号)を発行。経済メディアが中堅企業に絞った特集を組むこと自体、地域中堅企業への社会的期待の高さを物語っています。

「地方創生2.0」の5本柱を、自社の一手に翻訳

ここからが本題です。5本柱を「国の政策」として眺めるのではなく、それぞれを「自社は何を考え、どう動くべきか」に“翻訳”します。それが地域中堅企業の出発点になります。

各テーマを、「考えるべきこと」「行動すべきこと「課題」「デジタル活用の考え方」の4つの視点で見ていきましょう(各テーマの詳しい対応と事例は、eBookにまとめています。下の「eBookを読む」からダウンロードください)。

【その①くらしの安心】若者・女性に「選ばれる会社」へ

政策5本柱の1つ目が目指すのは、地域が若者・女性にも選ばれる存在になることです。地方創生2.0のWebサイトにも「地域の働き方・職場改革を起点とした社会変革」が記載されています。

中堅企業は、「選ばれる魅力ある会社」へ変わる必要があります。それに向けて行動すべきことは、共感を生む成長ビジョンの明確化や、給与水準の引き上げ、柔軟な働き方の実現です。

しかし現実には、データに基づく事業判断ができない、生産性向上や業務の標準化・見える化が追いつかないといった課題が立ちはだかります。

ここでデジタルの1つの生かし方を考えてみましょう。 顧客との取引や実績をデータとして蓄積・分析すれば、注力すべき事業・市場の経営判断が精緻になります

業務の標準化と生産性向上が進み、事業拡大が給与水準の向上や新たな雇用を生み、ITを活用した魅力ある職場に人が集まる。そのような好循環につながります。

▶︎Salesforceを活用して成長・進化を遂げた中堅企業の事例

【その②付加価値創出】技術と顧客の声を「組織の資産」に

「高付加価値化」は地方創生2.0のWebサイトに複数回登場するキーワードです。「付加価値創出力」によって「稼ぐ力」を高めるために、政策は専門技術・ナレッジの継承と共有を挙げています。

顧客接点を強化した高付加価値サービスの提供や、属人化した専門技術・ナレッジの継承と共有が有効打となりますが、顧客ニーズが蓄積できていない、技術のデータ化やAI活用の進め方が分からない、部門横断・海外拠点との情報基盤が未整備、といった課題が生じがちです。

ここでデジタルの活用手段として、ベテランの行動履歴を蓄積し、AIで営業力強化や自動化に生かすといったベテランと若手の協働で技術継承を進める動きが考えられます。

【その③新技術の活用】官民の投資を追い風に変える

政府はGX(グリーントランスフォーメーション)やDX分野の大規模官民投資(AI・半導体分野で50兆円超、GX分野で150兆円規模)、人材育成を計画しており、中堅企業はこれをAI・DX・GX推進の好機と捉えるべきです。先送りは競争力の喪失に直結します。

行動すべきことは、サプライチェーン全体のGX推進への同調、DXによる市場競争力の維持・拡大、AI活用による生産性向上です。もっとも、DX/GX人材の採用・育成やソリューション選定、AI基盤整備が難しいという課題は多くの企業に共通します。

まずはAIを活用するための、データ基盤とプロセスを整えることが重要です。ITベンダーのサポートやトレーニングは人材育成にもつながり、Salesforceは自治体・商工会議所などと連携した地域向けのDX人材育成支援も提供しています。

【その④&⑤人や企業を各地に】大都市・地域の枠を越えてつながる

政策は、本社機能の地方移転や都市部人材の地域活用、広域リージョン連携を掲げています。中堅企業はこれに呼応して大都市の企業・人材と交流することで、販路開拓やグローバル展開、新しい視点・ナレッジの取り込みが得られます。

地域に閉じない多様な主体との交流とオープンイノベーションの推進を目指しましょう。

確かに、地域や部門間で情報が分断され、社外はおろか社内でも連携が進まないといった課題も見られます。しかし、もしクラウドサービスを利用する場合、所在地を問わず活用でき、都市と地域の距離を実質的になくせます。

また、Salesforceは連携協定を通じて、DXに取り組む自治体との連携協定を広げています。さらに、日本各地で開催するイベントを通じて地域事業者・公的機関との連携も深めています。参加加者は地域発の産官学金医連携の取り組みや、地域外の都市の取り組みやグローバルITソリューションのノウハウを吸収することができます。

▶︎Salesforceと愛媛県が包括的連携・協力に関する協定を締結

5本柱の先にある地域貢献と事業成長の「自律的な循環型モデル」

「地方創生2.0」への貢献は、中堅企業のミッションであると同時に、自らの成長につながる経営戦略でもあります。Salesforceは、ITツールの導入で終わらせず、地域貢献と事業成長をつなぐ「自律的な循環型モデル」を提唱しています。

①デジタル変革で事業を拡大・高付加価値化し、②その成長に合わせて高付加価値な雇用を生み、③産官学連携で地域の人材育成を進め、④育った人材がさらなる成長を牽引する。この循環をどれだけ力強く回せるかが、これからの地域中堅企業の強さそのものになると、私は考えています。

地域の熱量を、次の成長へ

地域を訪ね歩く中で、私はいつも「この熱量を、もっと事業の成長と地域の未来につなげられるはず」と感じてきました。

その想いを、各地での対話を重ねて見えてきた課題と可能性を一冊にまとめたのが、今回ご案内するeBookです。

上で述べた5本柱について、地域中堅企業の論点を「課題解決の施策・施策遂行のハードル・施策を後押しするデジタル活用例」の枠組みで図解しています。5本柱それぞれを同じフォーマットで整理しているので、自社の状況と照らし合わせながら読み進めていただけます。

地域中堅企業のみなさまが、地方創生2.0という追い風を自社の成長と地域貢献の両方に変えていく。ぜひeBookをご覧ください。地域での活性化イベントや個別のご相談も承っています。あわせてお気軽にお問い合わせください。