「若手の営業担当者が初対面の商談で緊張してしまい、会話が続かない…」
このような場面に悩むマネージャーの方も多いのではないでしょうか。
営業におけるアイスブレイクは、単なる雑談ではありません。顧客との信頼関係を築き、コミュニケーションを円滑にするための重要なスキルです。
本記事では、営業現場で実践できるアイスブレイクのトーク例や避けたい話題、成功させるコツを詳しく解説します。若手営業の成長をサポートしたい方は、本記事で紹介するアイスブレイク術を活用して効果的な指導を実践しましょう。
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目次
アイスブレイクとは

営業における「アイスブレイク」とは、打ち合わせや商談の冒頭に行う軽い雑談やトークのことです。
商談をスムーズに進めるためのコミュニケーション手法のひとつで、とくに初対面の相手との距離を縮めるために用いられます。「氷(アイス)を溶かす(ブレイク)」という言葉のとおり、緊張感のある空気を和らげるきっかけとして、営業現場で活用されています。
商談の概要やプロセスについては以下の記事で解説しているので、あわせて確認してみてください。
関連記事:商談とは?営業との違いや基本的な流れ、成功のポイントを解説
営業におけるアイスブレイクの役割・メリット

営業活動において、アイスブレイクは単なる雑談以上の役割を果たします。具体的には以下のようなメリットがあり、商談の質を高める効果が期待できます。
- お互いの緊張を和らげる
- 初対面でも話しやすい雰囲気を作り出す
- 顧客が主体的に会話に参加できるように促す
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.お互いの緊張を和らげる
初対面やフォーマルな商談の場では、話し手である営業担当者だけでなく、聞き手である顧客も緊張していることが少なくありません。アイスブレイクを取り入れることで、堅苦しい空気が和らぎ、お互いがリラックスした状態で会話を始められます。
軽い雑談を通じて空気を柔らかくすることで、顧客に安心感を与え、円滑な商談のスタートを切ることが可能です。
2.初対面でも話しやすい雰囲気を作り出す
初めて会う顧客との商談で唐突に本題を切り出すと、顧客が身構えてしまい、会話が弾まない可能性があります。また、緊張によって顧客が本音を話せなかったり、情報がうまく伝わらなかったりすることも考えられます。
そこで、アイスブレイクとして簡単な雑談や日常的な話題を取り入れると、壁が取り払われ、初対面でも話しやすい雰囲気を生み出すことが可能です。会話が活性化すれば、顧客の課題やニーズにも気づきやすくなり、商談の質も向上します。
3.顧客が主体的に会話に参加できるように促す
営業では、顧客が「聞く側」に徹し、会話が一方通行になってしまうこともあります。そこで有効なのがアイスブレイクです。
共通の話題や顧客の関心を引くネタを提供することで、顧客は自分のことを話しやすくなり、会話に主体的に参加できるようになります。アイスブレイクの活用で顧客から自発的に情報が引き出せると、ニーズや課題を深掘りしやすくなり、より効果的な提案や関係性の強化につながります。
営業のアイスブレイクに使える雑談ネタのトーク例

営業におけるアイスブレイクでは、話しやすく共感を得やすい鉄板ネタを活用するのが効果的です。
なかでも有名なのが「木戸に立てかけし衣食住」です。これは、雑談に使える話題の頭文字を取ったもので、以下の11種類に分類されます。
- 季節
- 道楽、趣味
- ニュース
- 旅
- 天気
- 家族
- 健康
- 仕事
- 衣類、ファッション
- 食事
- 住まい
これらのテーマは誰とでも自然に会話を始められるため、初対面の営業シーンでも緊張を和らげるアイスブレイクとして非常に有効です。
キ:季節に関する話題
季節ネタは、初対面でも気軽に話せる定番の話題です。
気温の変化や旬のイベントを切り口にすることで、自然な会話の流れが生まれます。また、相手の休日の過ごし方や仕事の繁忙期などを探るきっかけにもなります。
【具体例】
- 「急に暖かくなりましたね。休日はどこかお出かけされましたか?」
- 「桜が咲きましたね。今年はどこかでお花見されましたか?」
ド:道楽や趣味に関する話題
道楽や趣味に関する話題は、顧客の個性が出やすい話題です。
共通点が見つかれば、商談の雰囲気も一気に和らぎます。相手に趣味を尋ねる際は、自分の情報も交えて話すと会話が一方通行になりにくいです。
【具体例】
- 「最近ゴルフを始めたんですが、〇〇さんもされていると伺いました。」
- 「スポーツ観戦がお好きだと伺ったのですが、今月は観戦に行かれましたか?」
ニ:ニュースに関する話題
ニュースはタイムリーで共通の関心をもちやすい話題のひとつです。
相手の業界に関連するニュースを選べば、相手の関心を引きやすくなります。相手に意見を聞く形にすると、自然に会話が展開します。ただし、デリケートな内容や議論をよぶような内容、ネガティブな話題には配慮が必要です。
【具体例】
- 「先週のニュースで、新しい製品が発表されていましたね。」
- 「先日のA社の新商品について、御社ではどのような評価をされていますか?」
タ:旅に関する話題
旅行やお出かけに関する話題は、相手の価値観やプライベートをさりげなく探るきっかけとなります。楽しい思い出に触れることで、会話のトーンも明るくなるでしょう。
相手の経験に関心をもつ姿勢を見せると好印象です。自分の旅行体験を語るときは、一方的な自慢にならないように質問を交える工夫をしましょう。
【具体例】
- 「最近行った場所でおすすめの場所はありますか?」
- 「以前に沖縄に行かれたと伺いましたが、どこが楽しかったですか?」
テ:天気に関する話題
天気の話題は誰とでも共有しやすく、初対面でも気まずさを感じにくい鉄板ネタです。
季節の変わり目には、天気に関する話題を使うと自然に会話が始まります。シンプルでありながらも、会話を弾ませるためのきっかけを作りやすいトピックです。
【具体例】
- 「今日はいい天気なので、外に出かけたくなりますね。」
- 「今日は風が強いですね。お帰りの際、お気をつけください。」
カ:家族に関する話題
家族の話題は、親しみや信頼感を生みやすい一方で、プライバシーに関わるデリケートな要素も含まれます。相手の表情や反応を見ながら、無理に踏み込まないことが大切です。
自分の家族に関する話題を交えつつ相手にも問いかけるスタイルが共感を得やすく、商談のスムーズな進行をサポートします。
【具体例】
- 「ご家族で最近どこかお出かけになりましたか?」
- 「先日、子どもが初めて運動会に出まして。〇〇さんも、そういう時期を経験されていますか?」
ケ:健康に関する話題
健康に関する話題は、年齢層が高い相手に好感をもたれやすいテーマです。ただし、相手の体調に関わるセンシティブな情報には触れすぎないよう配慮が必要です。
軽い質問から会話を始め、顧客のライフスタイルに関する話題まで広げることで商談がより親密なものになり、信頼関係の構築に役立ちます。
【具体例】
- 「〇〇さんは健康管理に気を使われていますか?」
- 「最近、運動不足解消のためにウォーキングを始めたのですが、〇〇さんは健康のために何かされていますか?」
シ:仕事に関する話題
仕事に関する話題もアイスブレイクの一環として使えます。自然に取り入れられる会話テーマで、相手の関心や現状を知る手がかりになります。
ただし、話が長くなりがちなので雑談レベルにとどめる意識が重要です。
【具体例】
- 「最近チームの人数が増えたんですが、〇〇さんの部署は何人ですか?」
- 「最近リモートワークを導入する企業が増えていますよね。御社でも導入されていますか?」
衣:衣類・ファッションに関する話題
ファッションや身につけているアイテムの話題もアイスブレイクとして効果的です。
相手のセンスやこだわりに気づく姿勢を見せ、具体的なアイテムを挙げてさりげなく褒めることで会話が円滑に進み、商談にも好影響を与えます。
【具体例】
- 「今日のスーツ、春らしくて素敵ですね。」
- 「〇〇さんのネクタイ、とてもおしゃれですね。ご自身で選ばれたのですか?」
食:食事に関する話題
食事の話題は、世代や性別を問わず共通の興味として活用できる万能ネタです。最近行った飲食店やおすすめの料理など、話を広げやすいのが魅力です。
相手の好みを探る手段としても有効で、ローカルな情報を交えるとさらに親近感が生まれます。
【具体例】
- 「このあたりでおすすめのレストランはありますか?」
- 「このあたりに美味しいカレー屋さんがあると聞いたんですが、ご存知ですか?」
住:住まいや出身地・居住地に関する話題
住まいや出身地に関する話題も、相手のパーソナルな部分にさりげなく触れるきっかけになります。同郷だったり、よく知るエリアの話が出たりすると、一気に距離が縮まります。
自分との共通点を交えて話すと会話が弾みますが、詳細な住居情報などには触れない配慮が必要です。
【具体例】
- 「このあたりにお住まいなんですね。最近いいカフェを見つけましたよ。」
- 「〇〇のご出身と伺いましたが、私も学生時代にその近くに住んでいたんですよ。」
営業のアイスブレイクでタブーとされる話題

営業におけるアイスブレイクは、相手との距離を縮めることが目的ですが、話題の選び方によっては関係を悪化させてしまうこともあります。とくに政治や宗教・学歴といった価値観に深く関わるテーマは、意見の相違や不快感を招くリスクがあるため避けるべきです。
また、愚痴や不満といったネガティブな話題や、好みがわかれやすい政治や芸能ネタなども、初対面の営業シーンにはふさわしくありません。
営業のアイスブレイクでは、相手が安心して話せる雰囲気づくりが最優先です。信頼関係ができるまでは、無難で共通点を見つけやすいテーマ選びを意識しましょう。
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営業のアイスブレイクを成功させる3つのコツ

営業シーンでアイスブレイクを効果的に活用するには、次の3つのポイントを押さえる必要があります。
- 実施する目的を明確にする
- 全員が話しやすい話題を選ぶ
- 簡潔に終わらせる
商談の初期段階では、話題の選び方や時間配分が相手の印象を大きく左右します。それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.実施する目的を明確にする
営業でアイスブレイクを行う最大の目的は「顧客の緊張を和らげ、会話をスムーズに進めること」です。ただ雑談をするだけでは意味がなく、その後のヒアリングやプレゼンへの導入として機能させる必要があります。
「何のために話すのか」を意識して会話を組み立てることで、商談に結びつけやすくなり、効率的に営業活動を進められます。
ヒアリングのコツを詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
関連記事:
ビジネスにおけるヒアリングとは?流れや効果的に行う方法などを解説
営業ヒアリングのコツとは?基本的な流れやフレームワークを解説
2.全員が話しやすい話題を選ぶ
営業のアイスブレイクでは、誰もが安心して話せる共通性のある話題を選ぶことが重要です。
参加者が興味をもちやすいテーマを選ぶことで、会話が活発になり、商談の雰囲気が和やかになります。逆に、全員が参加できる話題を選ばないと、一部の人しか会話に入れず、場の一体感を損なうことになります。
天気や季節・食事・趣味など、誰もが答えやすいテーマを選ぶことで、自然な会話のスタートを切りましょう。
3.簡潔に終わらせる
アイスブレイクはあくまでリラックスした雰囲気を作るための手段であり、本題の営業トークの妨げになってはいけません。雑談が長くなりすぎると、顧客に「本題はまだか」と思わせてしまうかもしれないため、話が盛り上がった場合でも適度なタイミングで切り上げることが重要です。
目安としては1〜3分程度を意識し、程よい長さで会話を締めくくりましょう。
営業成果を高めるためにアイスブレイクを活用しよう

営業におけるアイスブレイクは、顧客との信頼関係を築き、商談を円滑に進めるための重要なステップです。
適切な話題で緊張を和らげることで、相手の心を開きやすくなります。営業活動にアイスブレイクを取り入れ、より効果的に営業成果を高めましょう。
営業成果を高めるためには、アイスブレイクを効果的に活用することはもちろん、商談中に顧客からの「お断り文句」を受けた際にどのように対応するかも重要なポイントです。以下の資料を活用し、商談を有利に進めるための切り返し術を習得しましょう。
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