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DXの現場から〜Salesforceプロフェッショナルメンバーが語る課題と解決策 Vol. 2

ニューノーマルの世界において、これまでと価値観が変わった顧客や社員に選ばれ、成長し続けるには、DXの実現が不可欠であるという認識が広まる一方で、その本質はデジタル技術の革新にとどまりません。真のDXがいかなるものかを理解することが必要です。まざまな業界においてSalesforceのお客様のDXを直接ご支援してきたエキスパート達が、事例を交えながら「DXとは?」について解説します。

顧客を中心としたDXを実現するためには「顧客理解」が重要です。そのためのテクノロジー活用を事例を交えてご紹介します。

お客様のDXを支援するプロフェッショナル「Salesforceアドバイザリーメンバー」によるブログシリーズ。Vol. 2 は、ビジネスアーキテクトリード 坂尻 拓真が解説します。

Vol. 2:データのサイロ化を脱却〜真の顧客理解のために動きはじめた日本企業

これまで商品やサービスの内容や価格で競っていた企業間競争も、大量のモノがあふれる消費市場では、商品やサービスのみでは大きな差別化が難しくなり、いかに顧客中心主義を実現できるのか、という点で競争を強いられる時代を迎えていました。 加えて、新型コロナウィルスによってリーモートワークやオンライン購入など、デジタルを活用した新しい生活様式やワークスタイルへの変化が推奨されるなか、人々の価値観や行動が大きな変貌を遂げようとしています。企業は予測していた以上のスピードで”デジタルカスタマー”を理解し、最高の顧客体験を提供する事が求められています。

顧客体験を起点にサービスや業務プロセスのDXを実現するためには、「顧客を正しく理解する」ことが重要です。「顧客を正しく理解する」ためには顧客接点の記録をつなげ、ひとりの顧客として全方位で理解する取り組みが必要となりテクノロジーの力が不可欠となります。

残念ながら、これまで多くの日本企業は、部門間の連携のないビジネス改善や個別のテクノロジープラットフォームの導入に終始する傾向があり、結果としてせっかく顧客中心の変革に取り組んでもデータが分断・サイロ化されて顧客理解が一部に留まってしまうという状況が多くありました。

正しい顧客理解に立ちはだかるテクノロジーの壁

BtoBであれBtoCであれ、企業規模が大きくなればなるほど商品やサービスのバリューチェーンを最適化、効率化することが求められ、顧客との接点を持つ部門がサイロ化されやすくなります。せっかく顧客視点のビジネス改革を行うにしても、プロダクトアウトな部門最適や部分最適になり、それぞれの部門が独自のプロセスやプラットフォームを採用し、テクノロジーは複雑化しがちです。

顧客接点に関連するようなフロントアプリケーションはユーザの利便性に直結する、UIやユーザビリティを優先し、部門個別の要求は実現しながら、顧客の統合はデータウェアハウスや連携基盤に頼るといったアーキテクチャ構造を採用するケースもあります。 しかし、多くのシステムをまたいで顧客情報を1つにつなげるためには、それぞれのアーキテクチャやデータ構造の思想を統一したり、設計内を横串に通したりといった高度な技術力が求められるため、高いレベルでこのアーキテクチャ構造を実現している企業を目にしたことはほとんどありません。

また、商品やサービスを横断的にまたいだ全社的な改革を行おうとしても、内部調整に多大な時間を要したり、大規模な予算を消費してしまったりといった問題が持ち上がり、本来やりたかったことが十分にできず、把握すべき顧客情報に比べて貧弱なデータベースになってしまうこともままあります。

このような課題は枚挙にいとまがありませんが、複雑化しやすいテクノロジーが足かせになって顧客中心主義を実現できずにいる日本企業は多く存在していると感じています。

プラットフォーム先行で、顧客中心を目指す先進事例

顧客中心の企業、ビジネスへの変革は業務とITの両方を変えなければならず、その道のりは容易くありません。ビジョンから戦略、業務、ITへとトップダウンで落とし込むやり方だけではなく、まずはCustomer 360プラットフォームの展開を行ったうえで、顧客理解が促進・連携されることでシナジー効果が生まれやすそうな特定の領域(営業とサービスや、親和性の高い商品の営業部門間の連携など)からビジネス変革を小さくはじめることで、比較的短期間で成果を出し、経験値を高めながらDXを推進していくというアプローチも選択肢として検討する価値があると考えます。 日本においても先進的な企業は顧客中心を目指したDX推進に取り組みはじめており、具体的な事例をここでご紹介します。

  • 営業、生産、サービス部門の連携を目指す製造業A社
    半導体関連や精密機器製品を海外および国内で展開する製造業A社では、海外現地法人のフロント営業、国内本社のマネジメント、生産ライン、サービス会社それぞれで基幹系システムが個別化されていました。このため、サプライチェーンが複雑化し、ビジネススピードが上がらない、フロントの情報がリアルタイムに生産ラインに伝わらず在庫コストが高止まりするなどが問題視されていました。 A社は基幹系システムをグローバルで統合しサプライチェーンを最適化するとともに、カスタマーフロントシステムのプラットフォームとしてSalesforceをグローバル採用することをまずIT戦略の大方針として意思決定し、Customer 360の構築に着手しました。 顧客との商談の進捗度合いを生産部門とリアルタイムに共有することで、生産ラインの最適化を図るとともに、サービス部門との顧客接点のやりとりを細かく共有することで、保守レベルの向上、確実な製品リプレースの獲得、クロスセリングへの寄与を実現しようとしています。
  • 商品部門を跨いだ顧客の360°Viewによって高度な金融提案を目指す金融業B社
    金融業B社は生命保険、損害保険商品を扱う大手保険会社であり、過去に大規模な企業統合を繰り返してきました。企業統合時のそれぞれの前身となる企業体の商品群やプロセス、部門を完全に統合しきれなかったため、金融商品によって顧客データが分断された状態になっていました。 また、複雑化し大量の紙書類を前提とした業務プロセスがあちこちにあり、ペーパーレス化、業務のスピードアップを目標にした全社的なDXの推進が求められていました。 B社はこの全社プロセス改革と合わせてCustomer 360を採用することにより、複数の金融商品の部門(生保、損保など)だけでなく、マーケティング、顧客のコミュニティ、サービスも跨いだ顧客情報の統合に着手し、生保や損保といった商品部門をまたいだ情報の共有とお客様に最適な金融商品の提案を行うための基盤を整備しようとしています。 加えて、この基盤によってリードとしての情報から保険加入時の営業経緯、顧客の契約情報などをいつでも、顧客に関わる全員が参照できる状態を実現し、例えばコールセンターの電話応対時にすべての履歴を把握したうえで、的確な対応を行うことを目指しています。
  • ビジネスとコンシューマーの両領域で同一の顧客体験を提供しようとする製造業C社
    ビジネス領域と個人コンシューマー領域の両方のビジネスラインを持つ製造業C社では、これまでのモノ売りからコト売りとよばれるサービス提供型であるサブスクリプション型のビジネスモデルへの変革が求められていました。サブスクリプションビジネスにおいては、新しく顧客を獲得することと同時に顧客を魅了し維持し続けるためのカスタマーサクセスを実現し、マーケティングからセールス、サービスが顧客情報を中心にしっかり連携することが不可欠になります。 C社はビジネス用途の顧客と、個人用途で購入した顧客のデータは完全に分断されていましたが、まずはサービス提供型のビジネスラインを中心に顧客データを一元化することでビジネスとコンシューマーの両領域で同一の顧客体験を提供できるよう変革するため、マーケティング、セールス、サービス領域でSalesforceをプラットフォームとして採用し、Customer 360の実現に着手しました。

終わりなき顧客理解へのチャレンジ

Salesforceの打ち出しているテクノロジーコンセプトであるCustomer 360の解説には顧客を中心としてさまざまなSalesforce製品が取り巻く図が用いられますが、これは必ずしもSalesforce製品だけがCustomer 360を実現できるものという意味ではなく、企業が持つ多様な顧客接点を1つのプラットフォームCustomer 360でつながった状態に維持し、正しい顧客理解を得ることが重要であることを意味しています。

Customer 360のコンセプトを中心に、Salesforce以外のテクノロジーともつながる事で、より深い顧客中心の企業システムを実現することが可能となります。2019年11月に発表された「Customer 360 Truth」は 、Customer 360を拡張したプラットフォームです。Mulesoftテクノロジーを活用しデータの相互運用性を標準化することで、基幹系、販売管理、会計なども含むより幅広いITテクノロジーとの相互運用を可能にします。

変革はどの企業においても困難ですが、先にあげた先進企業の例のようにCustomer 360のテクノロジーコンセプトを導入し、顧客中心にビジネス変革するための基盤を一気に導入してしまうことで、顧客を中心としたビジネスを実現するDXを進めている例が多くあります。

移り気な顧客の行動を正確に把握、理解し続ける挑戦に終わりはありません。お客様がSalesforceおよびCustomer 360の導入を、新型コロナウィルスによってこれまで以上に加速するデジタル化の波の中で競争力を高めるためのきっかけと捉え、顧客理解力や洞察力を高めると同時に、顧客体験の差別化に向けた次の打ち手へと繋いでいけるようにご支援することが、我々の理想です。

ブログシリーズ:DXの現場から〜Salesforceプロフェッショナルメンバーが語る課題と解決策

Vol. 1: バズワードからの脱却〜Salesforceが考える真のDXとは?
Vol. 2: データのサイロ化を脱却〜真の顧客理解のために動きはじめた日本企業
Vol. 3: DXにおいて打破すべきデジタルマーケティングの壁とは?
Vol. 4: 顧客中心主義を実現する「Customer 360」テクノロジー鳥瞰図
Vol. 5: DX成功のカギを握る「組織風土変革」と実現のためのフレームワーク
Vol. 6: 継続的なDX実現のために〜顧客エンゲージメント推進組織「Salesforce CoE」とは?

Takuma Sakajiri カスタマーサクセス統括本部 アドバイザリー本部 ビジネスアーキテクトリード Takuma の他の記事

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