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SaaS営業に必要な視点と課題を解説

SaaS営業に必要な視点と課題を解説

SaaSの商品が広まっている今日、SaaS営業として業務をする方が増えています。従来の営業とどのように違うのでしょうか。SaaS営業として仕事をするために必要な知識をご紹介します。

SaaSの価値が広まるにつれて、「SaaS営業」の重要性も日々増しています。SaaS営業は従来の営業とは性質が大きく異なり、従来の営業スタイルでは思うような成果が得られないかもしれません。

本記事では、SaaS営業として成果を出すために知っておくべき用語や大事な意識、課題に至るまで幅広く紹介します。

SaaS営業とは

サブスクリプション型(月額などの定期購入型)が主流のSaaSでは、営業に求められる役割も売り切り型とは異なります。その違いを見ていきましょう。

一般営業との違い

最大の違いは、顧客に対する継続的なフォローアップが求められることです。

SaaSはサービスの継続利用で成り立つビジネスです。解約にならぬよう、顧客にできるだけ満足した状態で契約してもらい、持続させる必要があります。定期的にコミュニケーションを取ったり、満足度調査をおこなうなどのフォローアップが必須です。

SIer営業との違い

ITで解決策を提示するSIer営業は、アカウント営業とソリューション営業の2種類に大別できます。アカウント営業は、ある企業に対して自社のさまざまなサービスをカスタマイズして提供し課題解決を目指す、顧客主眼の営業です。一方、ソリューション営業は、自社サービス(ソリューション)を多数の企業へ提案していく、サービス主眼の営業です。

SaaS営業はソリューション営業に近い形式ですが、サービスの導入よりも継続にさらに大きな比重を置くイメージです。

SaaS営業を理解するうえで必要な用語

続いて、SaaS営業で重要となる用語を5つ紹介します。

ARR

ARR(年間経常収益:Annual Recurring Revenue)は、1年の営業期間に、少なくとも得られると見込まれる収益・売上を指す用語です。通常、初期費用等の一時的な収入は含まれません。サブスクリプション型であるSaaSでは、瞬間ではなく継続的な売上を表すARRが重要です。

LTV

LTV(顧客生涯価値:Life Time Value)は、顧客が生涯のうちにどれだけ自社に収益をもたらしてくれるかを意味します。SaaSでは特に、契約から解約までの間に得られる収益を指します。

CAC

一人の顧客を獲得するための費用をCAC(顧客獲得費用:Customer Acquisition Cost)と呼びます。広告費はもちろん、営業の人件費など顧客獲得に関するさまざまな費用が含まれます。

Churn Rate(チャーンレート)

SaaSビジネスで最重要ともいえる指標が「Churn Rate(解約率)」です。継続収益が大切なSaaSは、サービスの解約率が高ければ長期的な繁栄は困難です。目安として、Churn Rateは2.0%を下回るとよいと考えられています。

Break-even Point

SaaSにおける「Break-Even Point(損益分岐点)」は、CACの回収が終了し、利益が発生し始める転換点を意味します。損益分岐点後の期間をいかに伸ばしていくかが、SaaSビジネスの成否を左右します。

SaaS営業に必要な意識

続いて、SaaS営業として成功するために必要な意識も見ていきましょう。

長期的な視点を持つ

もっとも大切なのは、長期的な視点で考えることです。仮に月額5万円の契約を勝ち取ったとして、10年継続してもらえれば、単純計算で600万円の案件となります。目先の金額にとらわれないことが成功への第一歩です。

よい製品を作る

「売れない商品を売るのがよい営業」だとする考え方は、SaaS営業には適していません。顧客からの不満を受け取り、開発部門に伝え、よい製品へと常に改善していくことが大切です。従来以上に部門にとらわれない密な連携が求められます。

売り切り営業ではない

SaaS営業では、顧客との信頼関係の構築がビジネス成功の肝となります。売り切り営業のように少し強引な手法で契約を結んでも、早期に解約されてしまえば意味がありません。LTVを伸ばせるように、顧客の声に真摯に耳を傾けましょう。

課題解決としての存在を意識する

「自分たちのサービスがこれほど優れている」と伝えるだけでは、なかなか契約には結び付きません。顧客の抱える課題を理解し、それを解決できるのだと示す必要があります。アドバイザーのような、顧客を助けるための存在であることを意識しましょう。

SaaS営業の課題

新しいスタイルの営業手法が求められる一方で、SaaS営業にはこれまでの営業にない課題も存在します。

新ビジネスモデルによるデータ不足

2018年に日本経済新聞が「SaaS元年」と報じるなど、SaaSは近年急速に発展したビジネスモデルです。まだまだデータも不足しており、各指標をどのように評価するべきかなど、手探りの部分が多いのが実情です。

SaaS営業人材の不足

SaaS営業には従来とは異なった視点や切り口が求められるため、既存の人材をそのまま転用してもうまくはいかない場合があります。知識を持った人材を雇い入れたり、既存社員にあらためて優れた営業像を教育したりと、さまざまな対策が求められます。

SaaS営業を効果的におこなうには

最後に、SaaS営業で成果を挙げるためのポイントを紹介します。

データの確保

ノウハウが確立されていないSaaS営業では、自社内でデータを蓄積していくことが重要です。営業相手の情報、興味を持ってもらえたキッカケ、抱えている課題と提案した解決策、契約に結び付いたかなど、細かく記録しましょう。「この業種や〇〇の悩みを持った相手は成約率が高い」と、傾向の把握と対策が可能となります。顧客の一人ひとりにIDを付与し、またセグメント作成によって分析も可能にするSalesforceのCustomer360は有効に機能するでしょう。

ノウハウの共有

SaaS営業では、個人よりもチームとしての活躍が求められます。1件1件の売り上げが少ない特性上、顧客数を続々と増やしていく必要があるため、少数の優れた営業パーソンだけでは行き詰まってしまうからです。チーム全体で惜しみなくノウハウを共有しあう意識が成功の鍵となります。SalesforceのJouney Builderによる顧客体験の設計やEmail Studioによるメールの最適化は遠慮することなく共有していきましょう。

マーケティング部門との連携

営業部門内だけでなく、マーケティング部門との連携も欠かせません。企業としての目標や、目標達成に必要なリード(見込み客)など、全体のイメージを細部まで共有することで、スムーズな営業が実現できます。定期的なミーティングなどで率直に意見を交わし、風通しのよい仕組みづくりを行いましょう。dataromaのような一元管理ツールを部門間で一緒に利用することはひとつの手段といえるでしょう。

営業プロセスモデル「The Model」の活用

近年、部門間のスムーズな連携のために多くの企業が取り入れているのが、営業プロセスモデル「The Model」です。SaaSに代表されるサブスクリプションタイプのビジネスモデルで、営業プロセスをマーケティング・インサイドセールス」・外勤営業・カスタマーサクセスの4段階に分類し数値化していきます。全体を可視化することで、部門間の連携や顧客満足度を持続的に高めていく仕組みです。

The Modelの詳細は以下で解説しています。あわせてご参照ください。
営業効率を最大化する「The Model」(ザ・モデル)の概念と実践

まとめ

SaaS営業は従来とは異なる視点や知識が必要な新時代の営業です。各種用語を理解するだけでなく、長期的視点やチーム意識など、知っておくべきポイントは多岐にわたります。

自社内でのデータ収集・分析や、ノウハウの共有、「The Model」の取り入れなどを通した速やかな対策により、他社よりも一歩進んだSaaS営業体制の構築を目指してください。

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