Skip to Content

名寄せとは?データクレンジングとの違いや作業手順を解説

名寄せは、企業の重複データを整理し統合する作業です。企業の顧客情報は、複数システムに異なる形式で管理されている場合も多く、効率的に顧客情報を活用するには、これら情報を整理し統合することが求められます。

企業では、部門ごとに異なるツールを使って顧客情報を管理することがあります。その結果、顧客情報が重複して登録されたり、表記ゆれを起こしたりするケースも少なくありません。こうした問題を解消させる方法が名寄せです。

この記事では、名寄せの意味や行なう目的、具体的な手順や方法を解説します。名寄せによるデータ統合の方法を知り、営業やマーケティング活動にお役立てください。

▶無料お役立ち資料【営業組織を強化し、売上向上に繋がる資料3点セット】をダウンロード

名寄せとは?

名寄せとは、社内の複数のデータベースにある顧客情報の重複や矛盾を整理し、情報を統合する作業のことです。顧客情報は管理するデータベースごとに登録されていたり、データベース内に重複して登録されていたりする場合があります。

顧客情報を整理し統合すると、メールやDMの重複送信の防止や、営業活動の効率化につながる効果があります。

もともと名寄せという言葉は金融用語でした。同一金融機関内にある同一名義の口座をひとつに統合することを指していました。

現在はそこから意味が転じ、データベース上に存在する重複データを統合する意味で使われています。

「個人名寄せ」と「企業名寄せ」の違い

名寄せには大きく「個人名寄せ」と「企業名寄せ」があります。

個人名寄せは、データベース上に重複登録されている同一人物を洗い出し、データ統合することです。顧客管理システムや営業支援ツール上で名寄せを行ない重複をなくせば、正確なデータ管理が実現し、営業やマーケティング活動が効率化できます。

一方、企業名寄せは、データベース内の同一企業をデータ統合させることです。企業名や所在地は表記ゆれが生じやすく、また事業所単位など細分化して登録するほど、統一表記は設定しにくくなる傾向があります。

企業名寄せを行ない、企業や取引先単位でデータを統合すれば、部門や担当者による営業のバッティングを防げるでしょう。

名寄せとデータクレンジングの違い

名寄せと似た言葉に「データクレンジング」があります。データクレンジングとは、データの欠損や表記ゆれ、重複などを見つけて、分析や統合を行なうために加工することです。

名寄せとデータクレンジングは同じタイミングで実施するため、意味が混同されやすい概念です。しかしそれぞれの意味は厳密には異なります。

データクレンジングは、統合前に表記ゆれや重複データなどを整理する作業であり、一方の名寄せは、複数にわかれた重複データを統一する作業を指します。

一般的な手順としては、まずデータクレンジングで顧客や企業の情報を加工し、次に名寄せでデータを統合します。

関連記事:データクレンジングとは?目的と進め方、ツールの必要性を解説

名寄せが必要な理由

企業が名寄せされたデータを持つ意味はいくつかあります。ここでは4つの理由を解説します。

データの重複や矛盾を解消するため

現在企業は、顧客や企業の情報を複数のチャネルを経由して収集しています。たとえば、資料請求やセミナー参加を申し込んだ人の情報は、マーケティングオートメーションや顧客管理システム、営業支援ツールなど、企業が連携している各ツールに登録されます。

顧客情報は、登録すれば1度にすべてのツールに同一形式で登録されればよいのですが、現実的には困難です。各種ツールは登録形式も異なるため、顧客情報は異なるツールに異なる形式で登録されます。

こうした理由から、企業内の顧客情報には重複や矛盾、表記ゆれなどが起こります。同一人物が複数登録されたり、同一企業が別企業として認識されたりするのです。

名寄せを適切に行なえば、これらの現象は解消されます。

重複によるミスを防ぐため

顧客情報が重複したままでは、企業活動の中でさまざまなミスの原因になります。たとえば、同じ人に何度も営業連絡をしたり、案内を何度も送付したりするなどのミスが発生するかもしれません。

こうしたミスは顧客の企業に対する不信をまねき、満足度の低下や企業への信頼感の欠如にもつながります。重複による営業活動のミスを減らすには、名寄せを行ないデータを整理することが重要です。

効果的な営業マーケティング活動を行なうため

近年は、営業やマーケティング活動で顧客管理システムや営業支援ツールを使用し、効率的に業務を進める企業も増えています。

こうしたツールの活用は有効です。しかし登録された顧客情報に問題があれば、詳細情報の把握や重要顧客の割り出しなどに時間を要してしまいます。

その結果、戦略的な施策が取りにくくなったり、効率的な顧客へのアプローチができなくなったりする可能性もあるでしょう。名寄せによってデータを正しく整理し、統合されていることは企業活動において重要です。

関連記事:顧客情報とは?一元化の重要性と管理に役立つ5つのツールを紹介

顧客のプライバシーに配慮するため

顧客データは企業にとっての機密情報です。顧客データを営業やマーケティングに活用する際は、情報漏えいが起きないよう安全性への配慮が欠かせません。

しかし名寄せが行なわれていない顧客データは、重複や表記ミスが発生している状態です。こうしたデータを活用した結果、届くものが届かなかったり、受取人とは異なる人が物を受け取ってしまったりといったトラブルが発生しないとも言えません。

これらミスはプライバシー侵害に該当します。企業は名寄せを行ない、顧客のプライバシーに配慮しましょう。

名寄せのメリット

名寄せにはさまざまなメリットがあります。ここでは2つ解説します。

正確なデータ分析ができる

名寄せを行なえば、正確な情報で精度の高いデータ分析が可能です。顧客情報データを分析すれば、良質な顧客を割り出したり、アプローチの進捗を細かく把握できたりします。

ムダのない活動を行なうために、データの正確性は担保しましょう。

コスト削減が実現できる

名寄せによってデータを統合できれば、データベース上の容量を圧縮できる場合があります。圧縮できた結果、サーバーの増設が不要になったり、クラウドサービスの利用容量を減らしたりできる場合があるため、コスト削減につながるでしょう。

また、名寄せによって同一世帯や同一人物が判明すれば、案内の送付をひとつに済ませられるので、郵送コストも削減できます。

名寄せの手順

名寄せを行なう際は、以下の4つの手順で進めます。それぞれ解説していきます。

  1. データ調査
  2. データ抽出
  3. データクレンジング
  4. 名寄せ(データマッチング)

▶無料お役立ち資料【営業組織を強化し、売上向上に繋がる資料3点セット】をダウンロード

1.データ調査

最初に行なうのは、社内にはどういったデータがあるか調査することです。データを把握ができたら、最終的にどのような情報を整理しデータに統一をさせるのか、名寄せの方向性を決めておきます。

たとえば、ECでの購買情報と営業情報を統合させ、より精度の高い顧客データを作成したいとします。その場合、重複や矛盾を取り除くのはもちろん、どこまでの購買情報がどのような形で統合後のデータに反映されていると担当者が使いやすいか、明確にしていきましょう。

同時に、統合後はデータ管理がしやすいような、IDなどの付与ルールも決めておくことが重要です。

2.データ抽出

データ調査で決めた方向性をベースに、名寄せするデータ項目を洗い出し、データベースから抽出していきましょう。複数のデータベースを統合する場合、同一情報でも項目名称や入力形式は異なることがよくあります。

たとえば、企業の名称を問う項目名が「企業名」「会社名」「社名」などにわかれているケースです。データベースごとに異なる名称の場合は、同一情報であることを確認しながら抽出し、どの形式や表示に統合するかを決めておきます。

3.データクレンジング

データクレンジングは、データの重複や表記ゆれなどを探し、調整や削減を行なう作業です。データクレンジングでは、「(株)」を「株式会社」に変更したり、数字を半角に変更したりと、設けた基準に沿ってデータを調整していきます。

このとき難しいのが、表記ゆれの対応です。たとえば旧漢字の扱いや、英語社名の扱いなど、登録の表記を英語にするのかカタカナにするか、迷う項目は多岐にわたるでしょう。

この工程をきちんと行なわなければ、のちの名寄せデータの精度が低下します。ルールを細かく決めて手順を進めていきましょう。

4.名寄せ(データマッチング)

最後の工程は名寄せ作業です。データクレンジングを行なった後に、IDを付与してデータ同士のマッチングを行ないます。

マッチングを行なうと、データベースの情報から重複がなくなり、同じデータとして認識できるようになります。今後データを更新したり変更したりする際も、IDの付与や表記ルールを取り決めれば、重複のない精度の高いデータを維持できます。

名寄せの方法

名寄せの主な方法は、Excel/Googleスプレッドシートを使う方法と、専用ツールを活用する方法に大きく分類できます。以下に進め方やメリットなどを解説します。

1.Excel/Googleスプレッドシート

Excel/Googleスプレッドシートを使って名寄せを行なう1番のメリットは、コストがかからないことです。Excelなら抵抗感なく扱える人も多く、関数をしっかりと組めば効率的に名寄せを進められるでしょう。

Excel/Googleスプレッドシートで名寄せを行なう場合、データ処理もデータの絞り込みも、関数を組んで情報を選別します。また最後のマッチングもVLOOKUP関数を使い、処理することが一般的です。

Excel/Googleスプレッドシートでは、手軽で効率的な名寄せ作業ができます。一方で、大規模なデータセットの場合は、Excel/Googleスプレッドシートでは処理能力に限界があります。自社のデータのボリュームとあわせて、名寄せの方法は検討しましょう。

2.専用ツール

名寄せがはじめての方や、名寄せのためにExcelを触って作業する時間がない方には、専用ツールの利用がおすすめです。専用ツールを活用するメリットは、作業時間や人的コストを減らし、精度の高いデータが自動で整備できる点です。

専用ツールを使用する場合は、ツールの使用料が発生します。費用対効果を考え、自社にあった専用ツールの導入を進めましょう。

名寄せ前に注意すべきこと

名寄せを行なう際は、事前に知っておくべき注意点がいくつかあります。以下に解説します。

プライバシーやセキュリティに配慮する

名寄せを行なう際は、プライバシーやセキュリティに配慮しましょう。たとえば、誤って同姓同名の顧客データを同一データとみなした場合、無関係の人に案内送付や営業連絡が行くことになり、トラブルにつながります。

最悪の場合、情報漏えいとして企業の信用問題に発展しかねませんので、取り扱いはには注意と慎重さが必要です。

名寄せのルールを設定すること

名寄せにより精度の高いデータを手に入れるには、データクレンジングを丁寧に行なうことが重要です。データクレンジングをきちんと行なわないまま次の工程の名寄せ(データマッチング)を行なうと、誤字脱字が発生したままだったり、表記ゆれが残ったままとなったりして、名寄せの効果は発揮されなくなります。

名寄せを行なう際は、事前に起こりそうなミスを想定し、誤字脱字チェックを徹底しましょう。

ツールができることを確認しておく

名寄せを行なう方法には、Excel/Googleスプレットシートを用いる方法と、専用の名寄せツールを用いる方法にわかれると先ほど説明しました。ツールを導入し作業を行なう場合、自社が行ないたい作業をツールが機能として実行できるか、きちんと確認しておきましょう。

名寄せツールごとに、強みにしているポイントは異なります。他社ツールとの連携を強みとしていたり、データクレンジングの柔軟性や充実度に強みを持つものがあったり、大規模データに強いツールもあったりします。

導入予定のツールは、自社がやりたいことができるものなのか、きちんと見極めておきましょう。

AIを搭載した「Data Cloud」は名寄せが自動化できる

AIを活用した「Data Cloud」は、企業データを集約し統合することが自動で可能です。たとえば、見込み客の関心や購買予想のデータを組み合わせ、確度の高い顧客を営業担当者に渡すことが可能です。

データの統合が機能として備わっているため、データクレンジングも名寄せも自動で対応できます。ほかにも、顧客離れを予防するため、解約要因がありそうな顧客に事前にアプローチが可能です。

AIが顧客情報を読み取り、ターゲットオーディエンスのセグメントを作成できるため、マーケティング活動に素早く取り入れられます。

関連ページ:Data Cloudとは?

名寄せを行ない効果的な営業やマーケティング活動を行ないましょう

名寄せは、企業の重複データを整理し統合する作業です。名寄せを行なうと、顧客情報が整理され、より精度の高いデータ分析や効率的な営業、マーケティング活動が実施できます。

名寄せを行なう際は、表記や項目のルールを決め、プライバシーやセキュリティに配慮しましょう。

AIを活用した「Data Cloud」を活用すれば、自動でデータクレンジング・名寄せが実行可能です。多彩な機能を活用すれば、営業活動のより一層の効率化も実現できるでしょう。

▶無料お役立ち資料【営業組織を強化し、売上向上に繋がる資料3点セット】をダウンロード

今、知るべきビジネスのヒントをわかりやすく。厳選情報を配信します