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【RINGの会】「保険代理店×AIの実装」について考えた1日

7月11日に開催された保険業界向けイベント「第27回 RINGの会 オープンセミナー」に登壇する機会を頂きました。「AIの実装」をテーマにしたセッションの骨子をレポートします。

Key Takeaways

This summary was created with AI and reviewed by an editor.

セッションのテーマは「生成AIの実装」

ChatGPTやGemini、Claudeなど、今や生成AIは私たちの生活の一部になりつつありますが、保険業・経営を含む保険代理業に活用できている人は、まだ少ないのではないでしょうか。

7月11日に開催された保険業界向けイベント「第27回 RINGの会 オープンセミナー」(主催:一般社団法人 RINGの会)にて、シリーズ生成AIのセッションに登壇させていただく名誉をいただきました。

今回は「生成AIの実装」がテーマ。可能性やビジョンではなく、すでに稼働している実例の紹介を中心に解説しました。本記事ではセッションの流れに沿ってポイントを振り返ります。

セッションモデレーターは、RINGの会副会長でdiiの代表取締役を務める永井伸一郎氏。登壇者はベルフェイスの代表取締役、中島一明氏と、セールスフォース・ジャパンでインダストリーアドバイザー第一部部長を務める東山勇介の2人。

セッションの主な構成は下記の4つでした。

  1. データ入力のオートメーション (CRM x AI)
  2. データ活用のオートメーション (SFA x AI)
  3. コンプライアンス管理の強化 (CPM x AI)
  4. AIが完全実装された保険代理店の世界

中島氏はCRMやSFAへのデータ入力ソリューションを開発・提供する立場、筆者はCRMやSFAを開発・提供する立場からお話をさせていただきました。

1.データ入力のオートメーション (CRM x AI)

セッションは、中島氏によるCRM導入企業の課題に関する解説からスタートしました。

CRMを導入してはみたものの、なかなかデータが蓄積されない……。データ入力を徹底したくても、従業員はデータ入力したところで、給与が上がるわけでもないので定着しない……。その壁を乗り越えて一人ひとりに入力を徹底できても、その情報は「主観と記憶」であり、客観性や網羅性を担保できていない……。

思い当たる節はあるのではないでしょうか。

中島氏はこの課題解決に、AIを活用すべきだと強調しました。例えばベルフェイスの「bellsalesAI」を活用すれば、スマホの操作だけで、顧客面談の音声データを自動で記録、CRMへの入力を完了できます。

「録音したデータを文字起こししてシステムに保管するのは、すでに実現できている」といった保険代理店は、少なくないかもしれません。

ただ、そのデータとはテキストファイルでしょうか? だとすれば、そのデータはCRMに適切に蓄積されているとは言いにくい。家族全員分の洗濯物をたたむことなく、リビングのソファに放り投げた状態に近いです。

ご存知のように、CRMには多様なデータの入力項目があります。例えば、お客様の氏名、生年月日、住所など入力する項目は分かれています。文字起こしされた音声データもどの項目に記録すべきか、分類されるべきです。

bellfaceAIは、ただ音声データをテキストファイルとして保存するのではなく、CRMのデータ構造に合わせたデータ入力まで自動化します。洗濯物で例えるならば、家族ごとの分類、シャツ、下着、靴下、どの収納のどの位置にしまうかまでを、自動でやってくれるのです。

CRMへのデータ入力にAIを実装することにより得られる効果・成果、そしてAI活用において目指すべき最初の一歩がわかりやすく紹介されたパートでした。

2.データ活用のオートメーション (SFA x AI)

このパートは、筆者が解説しました。

最初にお伝えしたのが、CRM・SFAの変化です。AI時代に突入し、今やCRM・SFAは、AIに働いてもらうための基盤、つまりAIプラットフォームに進化しています。

CRM・SFAは元々、人が利用する前提でデザインされたソフトウェアでした。中島氏が解説したデータ入力はもちろん、蓄積されたデータを分析するのも人、ワークフローに従って業務を担うのも人。しかし、AIの進化によって、データ入力もデータ分析も、業務の実行すらAIが担うようになっています。

ちなみに、この業務を自律的に実行するAIが、生成AIの次に登場したAIエージェントと呼ばれるAIです。2025年がAIエージェント元年と言われており、2026年は本セッションのテーマ通り、実装の年と言われています。

実装の実例として紹介したのが、三井住友カードの法人営業で今年の1月から実運用が開始された「AIバディ」です。

AIバディは、トップ営業が実際に行う提案準備を再現するAIであり、CRM・SFAの取引先画面からボタンをクリックするだけで起動しますその都度プロンプトを入力する必要はありません。

このAIバディの成果は目覚ましく、45%の提案準備時間の削減と、若手従業員の提案の質向上が認められ、次期中期経営計画においてセールスイネーブルメント(営業トレーニング)へのAI活用が正式に盛り込まれる見通しとのことです

さて、セッションの聴講者や本記事を読んでいただいている人の興味は、「どうやって経営にも認められる成果を出すことができたのか」ではないでしょうか。その答えは「地道なデータ蓄積」。そう、AIそのものではないのです。

独自のデータがしっかりとCRM・SFAに蓄積されていたからこそ、AIバディは単なる一般論ではなく、価値ある提案準備をユーザーに提供することができるーー

この点について三井住友カードは「AIツールそのものはコモディティ化する」と踏み込んだ発言をされており、今後の展開としてはさらなるデータの蓄積、具体的には暗黙知の言語化を目指すとしている点を紹介しました。

図らずも、中島氏が解説したデータ入力の重要性が、AI実装を実現した企業によって改めて示された形となりました。

三井住友カードの事例紹介動画はこちらからご覧いただけます (動画の12:15前後)

3.コンプライアンス管理の強化 (CPM x AI)

CPMは「Compliance Management」の略で、永井氏の造語ですが、実はこのCPMに該当する領域は、AIが特に成果を発揮しやすい分野であると筆者は考えています。

代理店品質評価制度に則り、保険代理店経営者は態勢整備や証跡保管、PDCAの仕組みづくりに注力をされているのではないしょうかそこで筆者が問いたいのは「その仕組みをどれだけ実際に運用できているか」です。

例えば、システムに保存された証跡の妥当性や正確性をどれくらいの頻度で、どれくらいの件数をチェックできるのでしょうか。

筆者がこのパートで紹介したのは、AIによる24時間365日のデータ自動監視です。

bellsalesAIのようなソリューションから次々に保存されるデータを、AIエージェントが全件監視。面談時の音声から判断される顧客の意向と、最終的に契約された保険商品の性格が合致しないケースがあれば、AIエージェントはアラートを挙げます。

人は挙げられたアラートにフォーカスして、疑義のある商談や契約について、担当募集人に確認をすれば良いのです。

このAIは都度プロンプトを入力する必要がないどころか、ボタンを押す必要すらなく、ずっと働き続けてくれます

コンプライアンス・ガバナンスの強化により、行わなければならない業務は増えるわけですが、24時間365日、指示不要で働き続けることができるといったAIの強みを活用することで「業務の増加 = 人の仕事の増加」を避けることができるのです。

大事なのは逆説。AIを活用できないことは、今後もコンプライアンス・ガバナンスによる負荷を、人で受け続けなければならないということです。果たしてそれは現実的な選択なのでしょうか。ぜひ検討していただきたいです。

24時間365日の監査AIエージェントの紹介動画はこちらからご覧いただけます (動画の5:00前後)

4.AIが完全実装された保険代理店の世界

最後のテーマでは、永井氏からAIが完全実装された保険代理店の世界が提示されました。

AIによる見込み客の自律的な開拓から始まって、コンテンツ作成やアポの自動取得などもAIが行う。アポが取れた案件に対しては類似の成功事例から情報を取り出し、訪問前にはAIで商談ロープレを行って練習する。

そして人による面談があり、リアルタイムでAIのアドバイスを受けながら進行、面談内容は自動的に記録されて、ただのテキストデータではなく、構造化された形でCRMに収納され、24時間365日AIによってモニタリングされる。お礼メールや営業日報が自動作成が行われ、商談は分析・スコア化され、商談フェーズの一次判断もAIが行うーー。

あらゆるフェーズでAIが活躍する世界を想像できるが、永井氏の質問は「本当にここまで実装できるのか」という問い。そこで自らも経営者である中島氏は回答しました。

「全体像を一見すると、自分でもここまではできていないように感じましたが、一つひとつを確認したら、8割くらいはすでに実現できていた」といいます。

隣で聞いていて素晴らしいと感じたのは、「AIを活用するぞ!」と意気込んだわけではなく、「自然とAIが活用される形になっていった」という点。

人でしかできないこと、人にしか創出しえない価値についても中島氏は言及。それを最大化することを目指した結果でここまで自然にAI実装が進んだのであれば、それは1つの理想系と言えるのではないでしょうか。

筆者は保険以外の業界関係者からも「まだまだAIには負けません! 人にしかできないことがあります!」といったハツラツとしたコメントを受けることがあります。

皮肉ではなく、その心意気や良し。人にしかできないことがある。間違いない。とは言え、AIと勝負する必要はない。そう考えています。

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速さで自動車と競争する人間はいないし、人間より力のないパワーショベルなんてないでしょう。AIも同じ、人間より賢いからこそ価値のあるAI。一緒に働いて、大いに活躍してもらおうではありませんか。

ちなみにAIは、まだまだ、ますます、賢くなります。できることも増えます。社会も一人ひとりの生活も変わるでしょう。ビジネスの在り方も、コンプライアンスも変わるでしょう。

「では保険は、保険代理店はどう変わるのか?」とかく私たちは、未来予測をしたがる生き物。第27回 RINGの会 オープンセミナーのテーマは”本質”でした。本質を問うならば、何が変わるかではなく、何が変わらないかを問うのはいかがでしょうか?

ちなみにセールスフォース・ジャパンには、1999年の創業以来変わらず、最も大切にしている価値があります。信頼です。成長もイノベーションも、信頼より優先されることはありません。どれだけAIが進化し、環境が変わろうとも、信頼が最優先であり続けることは、変わらないのです。

最後にこの場を借りて、RINGの会 オープンセミナー関係者の皆様には格別の御礼を申し上げます。1700人以上が参加する大規模イベントを、保険代理店の経営者の皆さまが手弁当で企画・準備・運営をこなす様子は圧巻であり感動でした。登壇者としてご縁を頂戴できましたことは私の財産です。本当にありがとうございました。

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