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【専門家解説】D2Cを成功に導くための3つのモデルとは

数年前から注目を集めるD2C戦略。成功に導くために必要なこととは何か。セールスフォース・ジャパンでインダストリーアドバイザーを務めるヤオ・ヤンが解説します。

競争力の源泉は「個客」との関係

生成AIやパーソナライズAI、AIレコメンデーション……。
デジタルマーケティングもこうしたAIの進化によって、大きな転換期を迎えています。

SNSの普及などによる「情報爆発」により、消費者の注意力は平均8秒まで低下(Alis Behavioral Health 調べ)。旧来のマスマーケティングでは“「届かない」「響かない」「続かない」という現実が、あらゆる業種で顕在化しています。

消費者一人ひとりの行動や感情に応じた体験を創出したAIは、特別なツールではなくD2C(Direct to Consumer)戦略における「標準装備」になりつつあります。
この市場環境で重要なのは「誰に」「何を」「どう届けるか」をリアルタイムで最適化するための戦略とテクノロジー基盤。それこそがD2Cモデルの成功の成否をわけると言っても過言ではないでしょう。

AIがD2Cの本質的な「個客戦略」を支える

近年、一部のD2Cブランドの失速が報じられ「D2Cは終わった」という声も聞かれます。しかし、淘汰されたのは戦略なきD2Cブランドに過ぎません。

顧客の声や行動データをリアルタイムに収集・分析し、AIによってパーソナライズされた製品・コンテンツ・体験をテクノロジーを活用して的確に届ける「One to Oneの顧客戦略」を実行しているD2Cブランドは成功を収めています。

たとえば、Salesforceが提供するAI機能を活用すれば顧客の購入傾向に基づき、最適な商品を自動提案顧客が好むメッセージを、適切なチャネルで出し分け顧客一人ひとりに「次に必要な体験」を予測し、リードナーチャリングといったように、生成AIとCRMを組み合わせることで、真の意味での「個客主義」を実現できます。

D2Cモデルの設計──3つのモデルから最適解を探る

Salesforceでは、「メンタルアベイラビリティ」(購入時にそのブランドを思い出しやすいか)と「フィジカルアベイラビリティ」(どこでその商品を購入できるか)で考え、D2Cモデルを主に3つに定義・区分けしています。

モデル1:D2CによるB2B強化モデル

戦略の特長:小売流通などのB2Bチャネルを維持しながら、自社直営チャネルやイベントを通じて直接的なエンゲージメントを強化する。

適したブランド例:飲料や日用品など、SKU数が多く単価が低く、購入頻度が高い商品。

実践例:飲料メーカーがイベントやファンコミュニティ、デジタル会員サービスを通じて直接ブランドエンゲージメント活動を実行。

モデル2:B2B/D2C相乗効果型

戦略の特長:B2BとD2Cの両チャネルを統合し、相互に補完。自社ECで得られたデータをリアル店舗でも活用し、よりシームレスな体験を提供。

適したブランド例:化粧品、スポーツブランドなど、商品と体験の双方が重要な商品。

実践例:化粧品ブランドがD2Cチャネルで得た顧客情報を店舗でも共有し、パーソナライズ接客を実現(OMO対応)。

モデル3:D2C特化型

戦略の特長:はじめからD2Cに特化し、ブランドの世界観や価値観を軸に、顧客との共創関係を構築。商品そのものよりも、顧客のライフスタイルや価値観への共感を重視。

適したブランド例:D2Cネイティブのファッション商品、PC、電子タバコなど高付加価値商品。

実践例:ファッションブランドがヨガイベントやメンタルウェルネス活動を通じて、ブランド理念と共感ベースのコミュニティを構築。


成功のカギは「顧客起点で動ける組織とAIインフラ」

どれだけ優れたD2C戦略を描いても、それを“実行できる”組織と仕組みがなければ成果にはつながりません。D2Cを動かす力とは、顧客視点で意思決定し、すばやく施策に落とし込める柔軟な組織と、それを支えるAI/データ基盤です。

組織デザイン:部門の縦割りを超えて、顧客視点で一貫した運用ができる体制に再設計する

オペレーション:従来の長期施策中心から、短サイクルでの改善が可能なアジャイル型へ転換する

システム:リアルタイムで顧客データを統合・活用できる基盤(例:Customer 360)を整備する

人材:データ分析やAIを活用できるスキルを持った人材を育成・確保する

文化・働き方:顧客中心で意思決定・協業できる柔軟で連携的な働き方を醸成する

これらを土台とした上で、Salesforceは「Marketing Cloud」「Commerce Cloud」「Data Cloud 」といったプロダクトを通じて、顧客とのつながりを深め迅速かつパーソナライズされた体験の提供をご支援できます。

本記事の内容を詳しく解説しているeBookもご用意していますので、この機会にぜひご覧担っていただければ幸いです。

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