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売上予測の精度を高める5つのヒント

売上予測の精度を高める5つのヒント

この道20年の営業のプロが、正確な売上予測を立てるためのヒントを紹介します。営業計画を作成する前に、まずこの記事を読んでください!

計画的な成長、つまり毎年着実に成長を重ねていくことは、企業にとって究極の課題です。そのために必要となるのが、精度の高い売上予測です。予算、人員計画、投資の配分、見込まれる利益といった重要な経営判断は、期待される売上にもとづいて決められ、今後の会社の方向性を決めます。営業畑で20年以上を過ごすなかで、計画的な売上作りと営業活動に活かせる正確なデータを得るにはどうすればよいか、考え続けてきました。本当に使える売上予測の手法なら、次の2つの問いに答えられるはずです。それは、「売上をいくら作れるのか?」、「売上をいつ計上できるのか?」ということです。

ただ、正確な予測を立てることにどれだけ力を入れても、想定外の事態で状況がガラリと変わってしまうこともあります。この記事では、私自身もっと早く知っておきたかったと思う、5つのヒントを紹介します。これらを活かして、売上予測の課題に賢く対処してください。

さらに詳しく知りたい方のために、今回の記事の内容を掘り下げた売上予測の完全ガイドを用意しています。このガイドには、売上予測について営業担当者や営業リーダーからよく寄せられる質問への回答が書かれています。こちらもぜひ参考にしてください。

予測に関する喫緊の課題
〜 営業とオペレーション連携による予測精度と可視性の向上 〜

従来の予測モデルから顧客の実際のニーズにもとづいた予測にシフトチェンジするにあたって、どのように「実際の顧客ニーズ」を得るのかが大きな課題となっています。本資料では、需要予測に関する現在のリスクと、営業担当者の情報入手から社内展開に至るまで、変革の方法についてご紹介します!

1. 予測は一夜にしてひっくり返るものと知る

異常気象、金融危機、感染症の世界的流行などがひとたび起こると、予測は大きく変わります。順調に伸びていくはずだった売上が、一転して落ち込むことも起こり得るのです。

このようなときは、売上予測のことはいったん脇に置き、思いやりと人とのつながりに重きを置いた営業活動に努めましょう。顧客に寄り添うだけでなく、社内の人間に対しても同様の姿勢で接します。良好な関係を維持できていれば、その結び付きがいずれ業績回復の力になるときが来ます。

思いやりと人とのつながりに重きを置いた営業活動に努めましょう。良好な関係を維持できていれば、その結び付きがいずれ業績回復の力になるときが来ます。

混乱する状況で予測を立てるのは大変ですが、だからこそ意味があります。数か月先や数年先の見通しを立てるうえで、予測は重要な判断材料になります。予期せぬ事態に見舞われたとき、営業や財務の責任者がまず知りたいのは、以下の情報です。

  • 現在の全商談の進捗状況は?
  • 考えられる最善のシナリオと、最悪のシナリオは?
  • 1週間前や1か月前と比べて、予測はどう変わったか?

これらの情報を、地域、リーダー、営業担当者、商品などの項目別に分析しなければなりません。そのためには、営業担当者がすべてのデータを常に最新の状態に保っていることが必要です。Sales Cloudが標準で備えるパイプラインインスペクションなどの機能を使えば、これを簡単に実現することができます。1つの画面上でチームや期間にもとづいて商談を簡単に絞り込み、直近の活動を確認できます。これで、現在の状況、今後予想される事態、不足しているデータを把握できます。

2. “誰”、”何”、”どこ”、”なぜ”、”どのように”も忘れずに

営業の仕事を始めた当初から、私は売上予測を立てるときは、変動要素を考慮に入れることと、How much(どのくらい)およびWhen(いつ)を明確にすることが重要であると認識していました。しかし、当時はまだ、Who(誰)、What(何)、Where(どこ)、Why(なぜ)、How(どのように)の重要性に気づいていませんでした。今では部下を指導するときにも、これらの疑問詞を念頭に置いて予測を立てるよう教えています。

  • Who(誰)
    商談の相手は誰かを考えます。相手が意思決定者であるか、あるいは意思決定に影響を与える存在であるかによって、予測の正確さは変わってきます。
  • What(何)
    具体的に何を売るのかを考えます。商談相手が抱えている課題を念頭に置き、どの商品ならそれを解決できるかを検討します。
  • Where(どこ)
    相手企業のどの部門が購入の判断を下し、どの部門が実際に商品を使うのかを見極めます。営業チームが現場を訪問して様子を確認できると、より的確な予測を立てられます。
  • Why(なぜ)
    見込み客や既存顧客が、なぜ検討を始めたのかを考えます。大きなイベントに向けて新サービスの導入を検討しているなど、後押しする要因があるとないとでは、商談の進み具合に影響が出る可能性があります。
  • How(どのように)
    商談相手がどのようにして購入の意思決定を行うかを確認します。相手のやり方を知らないままでは、上手くいくものもいかなくなります。

このなかには、顧客から引き出すのが難しい情報もあります。それでも、現場の状況をできるだけ正確にデータに反映することが肝心です。困難な状況でも、予測をあきらめてはいけません。

商品の出荷、マーケティングの予算、従業員の採用などは、売上予測を踏まえて計画が策定されます。精度の高い予測によって、会社は的確な投資を行えるのです。

また、明らかな事実もあれば、推測を含むものもあります。営業の経験を積むことで、不確定要素も織り込んだ予測の精度が上がってきます。実践と理論の両方のバランスが大切です。

3. ネガティブ予測でビジネスリスクをあぶり出す

予測を通じて、目下のビジネスリスクを評価することもできます。これをネガティブ予測と言います。たとえば、あるお客様はSales Cloudに新型コロナの項目を追加し、コロナ禍の影響を受ける商談にタグを付けて、ひと目でわかるようにしました。この変更により、2つの効果がありました。

  • 新型コロナ関連の商品を必要としている顧客との商談を迅速に進められる
  • 新型コロナの影響で失注や受注に至った案件を把握できる

ネガティブ予測でリスクを評価すれば、ビジネスの変化に合わせて予測を修正できます。

4. 売上予測は、営業だけのものではない

営業の仕事を始めてすぐに、営業リーダーに認めてもらうには正確な予測を出すことが必要だと学びました。そして、キャリアを重ねていくなかで、売上予測は営業部門だけに関わる話ではないことを理解しました。予測が外れれば、社内のすべての部門に影響が及びます。

たとえば、商品の出荷、マーケティングの予算、従業員の採用などは、売上予測を踏まえて計画が策定されます。精度の高い予測によって、会社は開発者を新たに20人採用する、最重要地域に新たな営業拠点を開設するといった的確な投資を行えます。

しかし、予測の精度が低いと、価格設定から、商品出荷、カスタマーサービスまで、社内のあらゆる業務に影響が及びます。社内のすべての人が、営業部門がはじき出す予測を頼りにしているのです。したがって、予測の重要性を見くびってはいけません。状況が目まぐるしく変化しているときでも、さまざまな人の意思決定を助けるために、常に正確な予測を提供する必要があります。

5. 予測に最新技術を取り入れる

今の営業リーダーは、最先端の高度なIT技術を手軽に使える環境にいます。昔ながらの計算やベテラン担当者の予想に頼るより、最新の売上予測テクノロジーを使った方が効果的です。

たとえばSalesforceでは、Sales Cloudを利用して、次のような方法で売上を予測しています。

  • 全商談の進捗状況を可視化して、ビジネスの状況を総合的に把握する
  • 成績の良い営業担当者を把握する。リアルタイムのランキングを通じて、目標に向けて順調に進んでいる担当者を確認する
  • 売上計上が複雑な営業チームの成績を予測する。オーバーレイ分割を利用して、営業に関与する複数チームのメンバーに、売上や契約額などに応じてクレジットを適切に分配する

予測精度をさらに上げるために、人工知能を利用した予測分析も実施しています。たとえば、Sales CloudのEinstein会話インサイトを使うと、顧客との通話中に使われた特定の言葉から傾向を把握できます。マネージャーは、この情報にもとづいて営業戦略を練り直し、適切な製品を適切な方法で見込み客や既存顧客に提供できます。

精度の高い予測は、営業の分野に限らず、適切な意思決定を後押しします。天気予報を見て傘を持つか帽子をかぶるかを決めるように、これから起きることに備えることができます。正確な売上予測を立て、しかるべきところに資金と労力をつぎ込むことで、成功への道はおのずと見えてくるでしょう。

Andy Kofoid
北米営業統括責任者

Andy Kofoidは、Salesforceの北米営業統括責任者です。以前は、ExactTarget社で副社長と最高執行責任者を兼務していました。米国シカゴ在住で、妻と3人の子供がいます。

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