Key Takeaways
【ガイド】そのAI理解、本当に合っていますか?
「LLM」「RAG」「ハルシネーション」を正確に説明できなければ、AIとの付き合い方を誤るかもしれません。今さら聞けない基本を10ページに整理しました。
AIとは、人のように「考える」「学ぶ」「判断する」力をコンピューターで再現しようとするテクノロジー。ただし、現状は人の能力を完全に再現できてはいません。たとえるなら、頭が良く速い一方で、業界知識や社会常識はまだ足りない「期待の大型新人」です。
AIの正体は「期待の大型新人」。実力を決めるのは「情報の渡し方」
この新人の実力は、「情報の渡し方」で決まります。
方法は2つ。社内資料をその都度「参考書」として渡すグラウンディングは、低コストで即効性があり、参照範囲を絞れて安全です。大量の情報を丸暗記させるファインチューニングは強力ですが、高コストで、覚えた情報が誰にでも出てしまう“横出し”のリスクもあります。
実務では、まず運用しやすいグラウンディング(代表例が「探す→加える→作る」のRAG)で、業務データにつなぎ、足りない部分をファインチューニングで補うのが定石です。RAGは、LLMの学んだことしか知らない弱点を補う仕組みです。
AIの進化は3段階で捉えられます。生成AI登場前のそれはデータで「判断・分類」するのが得意でした(犬か猫かを見分けるなど)。
生成AIは「新しいものを創り出す」ようになりました(猫の絵を描く)。ただし指示待ちで、「言われたことだけやる部下」に近い存在です。
AIエージェントは、目的を伝えれば自ら知識を集め、計画し、行動します。「来週、大阪の顧客を訪問したい」と言えば、アポ調整・ホテル予約・会食候補づくりまで自律的に進めます。24時間働く「デジタル社員」に近い存在です。
▶︎関連ガイド:日常業務の即戦力となるAIエージェント「Agentforce」の始め方と3つのユースケース
▶︎関連ウェビナー:AIエージェントとセキュリティ、どう考える?
その賢さを左右するのが、「コンテキスト(背景・経緯)」です。「契約を解約したい」というデータだけでは、事務的に処理してよいか判断できません。しかし「5年来の重要顧客で、先週トラブルがあり、別商談も進行中」という背景が加われば、取るべき対応は変わります。人もAIも同じです。
この背景が“つながった状態”で蓄積される場所が、CRMです。AIエージェントプラットフォーム「Agentforce(エージェントフォース)」も、このコンテキストを土台に動きます。
Salesforce自身、従業員向けITサポートや営業支援、顧客・パートナー対応、業務全般の効率化という4つの領域で実装し、すでにROIを実感し始めています。
▶︎関連ガイド「Salesforceが実践する業務改革。部門別AI活用ユースケースガイド」
ここからは、生成AIを業務で使うときの勘所を4つ紹介します。知っていれば、事故は避けられます。
【ガイド】 グラウンディングとRAG、結局何が違う?
コスト・リスク・データの扱いを比較表でひと目で整理。AIエージェントの土台となる「コンテキスト」の仕組みも図解でおさらいできます。
生成AIを使う時の基礎的な4つの勘所
1. 同じ問題なのに、AIの答えが食い違う。
円卓に6人を座らせる条件パズルを複数の生成AIに解かせると、答えが食い違いました。
総当たりの正解は29通り。ところが、ある生成AIは29通りと正しく答えたのに、計算過程には2か所の誤りがあり、偶然それが相殺されていただけでした。
正解に見えて、中身は間違っていたのです。AIは文脈の読み取りが苦手なことがあり、答えは必ず人が確かめる必要があります。
2. AIは、忖度してくれない。
同じ「キッチンをデザインして」でも、「可愛いキッチンをいくつか」という曖昧な指示と、「無垢材・天窓・北欧風・夕方・16:9・高品質」という具体的な指示では、出来がまるで違います。
AIに「いい感じにやっといて」は通じません。「何を・なんのために・どんな形で」を、人に頼むときと同じ具体性で伝える必要があります。
3. AIは、平気で嘘をつく(ハルシネーション)。
生成AIは「もっともらしいが事実ではない回答」を出すことがあります。これがハルシネーションです。
2025年、米インディアナ州の連邦地裁では、弁護士がAIの生成した存在しない判例を3件の書面にそのまま引用し、計1万5000ドルの制裁金を勧告されました(Mid Central Operating Engineers v. HoosierVac LLC事件)。
タイプは事実・文脈・構造・創造的の4つ。避ける要点は、①指示を具体的にする、②引用元を示させる、③最終チェックは人が行うの3つです。
4. 個人向けAIに、“お喋り”しすぎない。
個人向けの生成AIは、入力データがクラウドに保管され、学習に使われることがあります。
機密情報を入れれば、他者への回答に漏れ出す恐れがある。いわば「聞いた話をよそで話す人」です。企業は、入力を学習に使わずデータを保護するエンタープライズ向けを使い、従業員も仕事と私用で使い分けるべきです。デジタル庁のガイドライン(2025年5月27日)も、この使い分けに触れています。
AIを“最高の相棒”にする「心得三箇条」
ここまでの4つのポイントを、経営者の心得として集約すると、三箇条になります。
一、出てきた答えを鵜呑みにしない。
それは本当に正しい内容か。頭の整理も兼ねて、常に確認を心がけます。
二、目的・条件・背景は、はっきり伝える。
プロンプトは、人へのお願いと同じ。目的・条件・背景(コンテキスト)を具体的に、わかりやすく渡します。
三、大事な情報は、渡さない。
貴社の情報が、知らないところで広まるかもしれない。機密や個人情報は入れず、私用と業務でサービスを使い分けます。
AIは、使い方を誤れば事故のもと。しかし使いこなせば、これほど頼りになる相棒はいません。
無料ガイドには、本記事で“いいところで切った「中身」が揃っています。グラウンディングとファインチューニングの比較表、RAGの図解、ハルシネーション4タイプ、プロンプトの良い例・悪い例、コンシューマー/エンタープライズの比較、そして持ち歩ける「心得三箇条」。今さら聞けなかったAIの基本が、この1冊で埋まります。全10ページ、無料です。
【ガイド】AIを”最高の相棒”にする心得三箇条
ハルシネーション4タイプの見分け方、プロンプトの良い例・悪い例、そして持ち歩ける心得三箇条。記事で紹介した内容を全10ページにまとめました。










