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【キャリアインタビュー】AIを味方に120点を目指す。「伴奏者」のリーダーシップ論

セキュリティ専門家からCoE統括部長へ転身した大橋尚美が語る、AI時代のキャリアとリーダー像を紹介します。

Key Takeaways

This summary was created with AI and reviewed by an editor.

2019年、セキュリティスペシャリストとしてSalesforceに入社した大橋尚美。キャリアの3分の2以上をセキュリティに捧げてきた彼女が次に選んだのは、組織全体の力を最大化するソリューション統括本部 CoE(Center of Excellence)本部の統括部長への転身でした。

「AIを味方につけて120点を目指す」「合唱部の伴奏者のように、全体を見渡して寄り添う」。テクノロジーの最前線でエンジニアの力を引き出すリーダーに、AI時代のキャリアとリーダーシップ像を聞きました。

今回のThe Face of Salesforce

大橋尚美(Naomi Ohashi)
株式会社セールスフォース・ジャパン
ソリューション統括本部 CoE(Center of Excellence)本部 統括部長

2019年にセキュリティスペシャリストとしてセールスフォース・ジャパンに入社。プレイヤー、マネージャー、ディレクターを経験し、2026年より現職。

セキュリティの「縦軸」からCoEの「横軸」へ

──大橋さんは、セキュリティ領域で長くキャリアを歩んできたと聞いています。Salesforceに入社したきっかけを教えてください。

大橋:社会人になって20年以上になりますが、キャリアの3分の2以上はセキュリティに携わってきました。

最初は、外資系セキュリティベンダーで認証業務やテクニカルサポートを担当。その後、外資系のコンサルティングファームでセキュリティコンサルタントとして経験を積みました。そして2019年4月に、セキュリティスペシャリストとしてSalesforceに入社しました。

Salesforceに入社したのは、クラウドならではのセキュリティの幅広さに魅力を感じたからです。クラウドでは、共通の基盤を多くのお客様が利用します。基盤としてのセキュリティと、製品そのものに組み込まれたセキュリティ機能。その両面から、幅広いお客様の信頼を支えられる点に惹かれました。

──セキュリティのスペシャリストとして実績を重ねる中で、2026年からソリューション統括本部CoE(Center of Excellence)本部の統括部長に就任しました。異動のきっかけは何だったのでしょうか。

セキュリティスペシャリストとしてプレイヤーとマネージャー、ディレクターと経験を積み、手応えを感じていた時期がありました。その時に直面したのが「このままスペシャリストとして専門性を深めていくのか、それともリーダーとして視野をさらに広げていくか」という選択でした。

そんな中、社内の女性リーダーシップ育成プログラム「Amplify Sponsorship、LEAD」に参加したことで、「視野を広げ、リーダーシップを磨いて組織に貢献したい」という思いが強くなったんです。

セキュリティという1つの柱にある程度の手応えを感じたからこそ、もう1つの柱を育てたい。2つの柱を重ね合わせることで、最終的なキャリアのゴールが見えてくるのではないかと考えました。

──「セキュリティを捨てたのか」と言われることもあったのではないですか。

周りからは「もうセキュリティはやらないの?」と聞かれることもありました。でも、私自身は「捨てる」という感覚はまったくないんです。

これまで培ってきたセキュリティという強みを持ちながら、今度はCoEという組織全体を支える領域に視野を広げていく。Salesforceではセキュリティよりも「トラスト(信頼)」という言葉を頻繁に使いますが、信頼を築くという観点ではセキュリティの経験は今の仕事にも深くつながっています。

これまでの経験と新しい経験を掛け合わせていくことで、新しいキャリアの選択肢やその先のゴールが見えてくると思っています。

AIエージェントの時代に限界はありません

Salesforceは、単に未来を形作るだけではなく、壮大なアイディアでブレークスルーを実現しています。世界で信頼されているNo.1のAI CRMカンパニーでは、人間とAIエージェントが協働し、効率の向上、成長、労働力の変革を推進しています。

AIを味方に、100点を120点へ

──AIエージェントプラットフォーム「Agentforce」が急速に進化する中で、エンジニアの働き方はどう変わっていますか。

私たち自身が「カスタマーゼロ」、つまりテクノロジーや製品の最初の利用者として最新のAIやデータ基盤を実際に使いながら、お客様への提案につなげています。ミスが減ったり、単純作業の効率が劇的に上がったりするのはもちろんですが、AIを活用する価値はそこだけではありません。

「人間 vs AI」のような対立構造が頻繁に語られることがありますが、それはすごくもったいないことだと思うんです。AIを競争相手として見るのではなく、思考を広げたり、アイデアを磨いたりするためのパートナーとして使う。

そうやってAIを味方につけることで、自分一人ではたどり着けなかったアウトプットを生み出せると思っています。

──あるイベントで登壇した時に話していた「AIを味方につけて120点を目指す」という考え方について、詳しく教えてもらえますか。

AIは、技術的な知識や大量の情報をもとに、100点に近いアウトプットを出せることがあります。ただ、お客様が求めているのは、必ずしも「正しい答え」だけではありません。

お客様の置かれている状況や、まだ言語化されていない課題まで踏まえて、「このお客様にとって本当に価値があるのは何か」を考える。そこに人間が加える20点があると思っています。

一方で、人間がすべてをゼロから考える必要もありません。情報の整理や論点の洗い出し、仮説の展開、技術的な検証など、AIが得意な領域はどんどん任せていく。そこで生まれた時間を使って、人間はより本質的な判断や、お客様に合わせた提案に集中する。

たとえば、こだわりが強くて細かなミスが気になり先に進めない人がいたとします。AIにチェックしてもらって「問題ありません、次に進んで大丈夫です」と背中を押してもらえるだけで、安心して前に進める。

あるいは、取りかかりが苦手な人にとっては、AIにまずドラフトを作ってもらい、そこから手直しして仕上げていくこともできます。苦手な部分をAIに任せ、自分が力を発揮できるところに集中する。それが「AIを味方につける」ということだと思います。

──AI時代のエンジニアに求められる「人間ならではのスキル」とは何でしょうか。

1つは、「自分が何に困っているのか、何を実現したいのかを言語化する力」だと思います。AIは優秀ですが、目的や問いが曖昧なままでは、その力を十分に引き出せません。自分自身の課題はもちろん、お客様が本当に実現したいことは何なのかを明確な言葉にしてAIに伝える。そこは、これからも人間に求められる重要なスキルだと思います。

そして、もう1つが「アウトプットに対するアカウンタビリティ(責任)」です。AIが出した答えをそのまま受け取るのではなく、それが本当に正しいのか、目的に適しているのかを判断する。

そして、エンジニアとして責任を持ってお客様に届ける。最終的な判断と責任を引き受けることは、AI時代も変わらない。むしろこれまで以上に重要になる役割だと思っています。

伴奏者のように寄り添い、ブレない軸を持つ

──大橋さんがマネジメントやリーダーシップで一番大切にしていることは何ですか。

メンバーとのコミュニケーションと共感、そして「この会社でロングランしてほしい」という思いです。負の感情を抱えて会社を去るようなことは絶対にしてほしくない。だからこそ、日頃から「今どんなことに取り組んでいるのか」「どんなサポートが必要か」の解像度を上げる対話を重ねています。

話はそれますが、私は学生時代に合唱部でピアノの「伴奏者」をやっていたんです。伴奏者って、ステージの端から全体が見えるポジションなんですよ。指揮者に合わせながら、歌っている一人ひとりの表情を見て、「今日声が出ているかな」「気持ちよく歌えているかな」ということにも気を配りながらピアノを弾くんです。

振り返ってみると、私のリーダーシップはまさにその感覚なんです。先頭で旗を振るというより、全体を見渡しながら、「あの人、今ちょっと困っているのかな」と感じたら声をかける。そうやって、メンバーが気持ちよく力を発揮できるように支えていくタイプなんだと思います。

──寄り添いながらも、リーダーとして譲れない部分もあるのではないですか。

はい。自分が正しいと信じていることしか言わないことを大事にしています。

「なぜこう思うのか」「なぜこうしなければならないのか」を自信を持って言えるからこそ、反論が返ってきても受け止められるし、打ち返せる。「誰かが言ったからやっています」ではなく、自分の考えを持ったうえでチームに伝える。寄り添うことと、ブレないことは、両立できると思っています。

──メンバーのキャリアと向き合ううえで、気をつけていることはありますか。

「言葉の曖昧さを残さないこと」。たとえば、面談でメンバーが「メンターをやりたい」と言ったとしますよね。それが「将来的にマネージャーやリーダーを目指したい」という意味なのか、それとも「マネージャーには興味はないけれど、後輩の指導を通じて専門性を磨きたい」という意味なのかで、キャリアビジョンは大きく変わってきます。

そこを曖昧にしたまま進めてしまうと、本当に必要なフィードバックができなくなってしまう。だからこそ、1on1の場では殻を剥いて、核心の話をしようと伝えています。

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ゴールは走りながら見つければいい

──ソリューション統括本部で活躍する人には、どんな共通点がありますか。

「知る・試す・変える」を繰り返せる好奇心と、周囲を巻き込む力ですね。

AIやテクノロジーが目まぐるしく進化する時代ですので、最初からすべてを知っている必要はありません。新しいものが出てきたら、まずは実際に使ってみる。そこで得た気づきや学びを自分の言葉にし、仕事やアウトプットに生かしていく。そうやって学びながら前に進み、自分なりのやり方をつくっていける人が強いと思います。

──最後に、Salesforceへの応募を検討している方へメッセージをお願いします。

ハードルが高いとは決して思わないでほしいんです。私自身も最初からAIに詳しかったわけではなく、日々の業務の中で実際に使ってみて、気づきを取り込みながら自分を変えてきました。

テクノロジーの世界は変化が早いので、最初からすべてを知っている人なんていません。大事なのは、興味を持ったらまずやってみること。分からなければ学べばいいし、1人で難しければAIや周りの人の力を借りればいい。そうやって少しずつ、自分のできることを広げていけばいいと思います。

キャリアも同じで、最初からゴールが明確である必要はありません。目の前の仕事に向き合いながら、興味のあることに手を挙げて、経験を重ねていく。その先で、自分でも想像していなかった可能性が見えてくることがあります。

Salesforceには、そうやって学びながら挑戦できる環境と仲間がいます。少しでも面白そうだと思ったら、まず一歩踏み出してみてください。

執筆:蓮見勇太、編集:木村剛士

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