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「Salesforceの営業はチーム戦。だから成長できる」。IT未経験から常務執行役員になったリーダーのキャリア論

IT未経験でSalesforceに入社し、常務執行役員コマーシャル営業統括になるまでの15年。「Salesforceの営業はチーム戦」と語る西田晶子の組織づくりの哲学とキャリアを聞きました。

Key Takeaways

This summary was created with AI and reviewed by an editor.

2010年、IT未経験でセールスフォース・ジャパンに飛び込んだ西田晶子は、入社3か月で「転職を失敗したかもしれない」と思ったと言います。略語が飛び交い、お客様への説明すらままならない日々に「必死に食らいついていた」と振り返ります。

しかし、15年後の今、彼女は常務執行役員としてコマーシャル(中堅・中小企業)向け営業を統括。事業の成長を牽引するだけでなく、約100人のメンバー全員の強みを把握し、書き出し、一人ひとりのキャリア形成、将来にも向き合っています。鎧をまとわず、自然体で駆け上がった1人のリーダーの15年のストーリーを聞きました。

今回のThe Face of Salesforce

「転職、失敗したかもしれない」。IT未経験の出発

──セールスフォース・ジャパンに入社したのは2010年。IT業界は未経験だったと聞いています。

大学卒業後、4年間は人材系の広告会社で営業を担当していましたが、2010年に「未経験の異業界で営業のキャリアを積みたい」と思って、Salesforceにジョインしました。当時は、IT業界での経験がないとフィールドセールス(外勤営業)はできなかったので、インサイドセールスからのスタートでした。

──入社直後は、どんな感触でしたか。

全てが新鮮というか、わからないことだらけ。社内用語一つ取っても、ACVやAOVなどアルファベット三文字の略語がめちゃくちゃ並んでいて、全然わからない……。ついていくだけで、精一杯でした。

お客様にヒアリングしたり、自社の製品を説明したりする際、その難易度がとにかく高い。最初の3か月ぐらいまで「転職、失敗したかもしれない……」と思いながら、必死に食らいついていました。

──そこからどう軌道に乗ったのですか。

「助け合うカルチャー」に助けられたんです。

2010年当時、セールスフォース・ジャパンの社員は250人ぐらい。インサイドセールスのチームも15人か20人ぐらいの組織でしたけど、困っているとみんなが助けてくれる。わからないことを聞けば、ちゃんと教えてくれるし、調べれば適切な答えが出てくる。

日を追うごとにキャッチアップできるようになって、一個一個解釈して行動に移せるようになっているという肌感覚がありました。進めば進むほどできることが増えていく。それがあったから、楽しかったし頑張れました。

あえて「横道」に。イネーブルメントへの転身と、営業への回帰

──インサイドセールスからフィールドセールスに移り、3年半ほど営業を経験した後、セールスイネーブルメント(人材育成)部門に異動しています。

営業として成果が出始めて、「マネージャーどうですか?」という話がちらほら出始めたタイミングでした。

個人としてパフォーマンスは出ていた。だけど、「人に体系的に教えられるか、再現性のあるマネジメントができるか」と自問すると、自信がなかった。「このままだとマネージャーとしてパフォーマンス出ないな」って思ったんです。

それで、横道に逸れるかもしれないと思いつつ、キャリアを変えてみたくなった。私、感覚というか感性の赴くまま動くタイプで(笑)。

セールスイネーブルメントは当時6〜7人の小さな組織で、コンサルティングファーム出身者ばかり。今まで知り合ってこなかった畑の人たちと一緒に学べると思って、社内公募制度の第1号か第2号として手を挙げました。

──実際にイネーブルメント部門で何を得ましたか。

営業部門にいると、月次や四半期の数字を追い続ける日々で、目線が短期に張り付くんです。そんな視野が根付いていた中でイネーブルメントに移籍したら、一気に目線が長期になった。

人の教育って時間がかかりますよね。でも、その時間の内訳は何で何に使えば効果的なのか。社直後の人が何に困るのか。半年経った人がどこで伸び悩むのか。

第一線で営業をやっていると考える暇もないようなことを客観的に深掘りできる。「斜め横から見る視点」をイネーブルメントで教わりました。あの1年がなかったら、後にマネジメントに就いたとき、時間のかかるトレーニングがなぜ大事なのかを腹落ちして伝えることはできなかったと思います。

──新たな発見や経験を見つけた中でも、1年でイネーブルメントを離れたのはなぜですか。

単純にまた営業をやりたくなったんです。

インプットはたくさんある。でも、アウトプットの刺激が違ったんです。お客様へのプレゼンテーションや商談、あの臨場感がやっぱり好きだってことに気付かされた。学びにはなるけれど、ずっと営業でガリガリ回してきた人間にとって、時間の流れ方が合っていなかったんでしょうね。ほら、私、感性で動くタイプなので(笑)。

やっぱり営業の畑が恋しくなって、マネージャーとして営業に戻りました。ファーストラインマネージャーを3年、コロナ禍でセカンドラインマネージャーになり、その後3年。去年からサードラインの統括を務めています。

AIエージェントの時代に限界はありません

Salesforceは、単に未来を形作るだけではなく、壮大なアイディアでブレークスルーを実現しています。世界で信頼されているNo.1のAI CRMカンパニーでは、人間とAIエージェントが協働し、効率の向上、成長、労働力の変革を推進しています。

コマーシャル営業の醍醐味は「最後まで伴奏できる」

──ここからは組織に話を聞かせてください。コマーシャル営業部門のミッションは何ですか。

日本の企業の99%以上は、中小企業です。人口が減り採用も難しく、人手不足。どうやって生産性を上げ、トップラインを伸ばしていくかが喫緊の課題。その中で、AIなどのテクノロジーの力を使って、日本の企業が活性化し続けるための支援をしていく。これが最大のミッションです。

──コマーシャル営業ならではの醍醐味とは。

まず、意思決定のサイクルが速い。エンタープライズに比べて、3か月から半年で提案の結果がわかります。良かったのか悪かったのか、フィードバックが早く、精度も高い。

そして、”政治”がほとんど働かない。本当にお客様に最適な提案だったら買ってくれるし、ダメなら買ってもらえない。すごくわかりやすい世界です。だから営業にとって の成長スピードはとても速いと思います。

もう一つ。Salesforceの営業は、ヒアリングしてコンサルティングして、ソリューションを提案して、デリバリーして、お客様のカスタマーサクセスまで見届ける。受注して終わりじゃないんです。自分が提案した「こんな効果が出る」が、本当に実現するかどうかまで伴走できる。それを業種・業界を問わず展開できるんです。こんな仕事、なかなかないと思います。

──お客様から言われて一番嬉しかったことは?

Salesforceを導入して営業力が上がり営業利益が改善した結果、社員の給与が上がったお客様がいるんです。「会社の売上が上がりました」だけじゃない。その売上を社員に還元してもらえた。これが一番嬉しかったですね。

──AI活用で営業の働き方も進化していますか。

ものすごいスピードで進化しています。たとえば商談の音声が自動で書き起こされてスコアリングされる。フォーキャスト(売上予測)のAI精度はかなり高くて、狂わないです。

議事録を書いたり上司に報告したりする事務作業はだいぶ減り、提案の「濃度」を上げるために時間を使えるようになった感覚ですね。

「チーム戦。一人じゃない」。低離職率の組織のつくり方

──外から見ると、Salesforceは「ハードワーク・マイクロマネジメント」というイメージを持つ人もいます。

正直に言うと、ベンチャー時代の十何年前はそういう面もあったと思います。でも今は約4000人の会社で、令和世代のメンバーも入ってきている。あの頃のやり方では、メンバーはついてこないし、育ちもしない。結果、ビジネスもスケールしないんです。

今いるメンバーの中心は20代後半から40歳ぐらい。子どもが小さかったり、仕事だけにフォーカスできないライフステージの人たちもいます。だから、ちゃんとパフォーマンスを出せれば、どんな働き方でもいいというスタンスです。

去年、双子が生まれたばかりのメンバーがいて、年に3回ぐらいしかオフィスで会えなかった。でも、ちゃんと結果を出しているんです。いてもいなくてもサポーティブにマネージャーやメンバーが支える仕組みがあるからです。

──実際に離職率はどのくらいですか。

とても減っていますよ。私のチームは100人ぐらいいますけど、数えるぐらいです。

【働きがいのある会社ランキング2026女性版2位】社員に聞いて見えてきた「本当の受賞理由」

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──なぜそこまで定着するのでしょうか。

一つは、トレーニングの手厚さ。中途入社の人からは「こんなに手厚くしてくれるんですか」と驚かれるぐらいです。トレーニングはほぼ毎週ありますし、月に一回は全員で製品の勉強をする時間も設けている。現場からは「トレーニングが多すぎてパンパンです」と言われるぐらい。

大事なのは、できない人だけがやるんじゃなくて全員が学ぶということ。そして売上だけではなく、ちゃんと個人が成長しているかどうかを見ていること。1年目はここまで、3年目はここまでというプロセスの中身も見ているので、とにかく一人にせずにともに成長を目指す。伴走する仕組みがちゃんとあるということです。

「働きがいランキング3位」の根底にある強み。Salesforceの若手社員が語るリアルな評価

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──「一人にしない」というのは、営業スタイルにも言えることですか。

まさにそうです。Salesforceの営業って、一人でやることが少ないんですよ。チームセリングが普通なんです。

前職の経験を引きずって「お客様からの質問は全部自分でさばかなきゃいけない」と思い込んでいると、それは潰れます。プロダクトも複雑化し進化し続ける中、一人で抱えて完遂できるなんて、どんな優秀な人でも無理。Salesforceの営業はチーム戦なんです。

──西田さん自身は、マネジメントで何を大切にしていますか。

とにかく、望んだキャリアを叶えてあげること。これが根っこにあります。

「こういうポジションに行きたい」「次はこのキャリアに進みたい」と言ってくれた人で、叶えられなかった人はほとんどいないと思います。その人のキャリアゴールに対して、最短距離で行くにはどうしてあげたらいいかをセカンドライン、ファーストラインのマネージャーと共有して、一緒に考えています。

──100人のメンバーのキャリアを、全部把握しているのですか。

あまり良くないと思うんですけど、相当下まで降りてますね。毎年12月に、100人ぐらのメンバー全員の「私から見た強み」を2つずつ書き出すんです。そのメッセージを「はい、クリスマスプレゼントです」って(笑)。これをマネージャーになってからずっと続けています。

──100人分の強みを把握するのは、並大抵のことではありません。

トップセールスとは毎週のように一緒にいるので自然にわかります。難しいのは、入ったばかりの人や売れていない人との接点ですね。オフィスですれ違った時に声をかけたり、トレーニング中に雑談したり、Slackのチャンネルを見て「あの商談、キーディールだね」と声をかけたり。

一年の中で一度も接点がない人はほとんどいないと思います。100人までは私の感覚ではいけます。他にこんなことやっている人はいないと思います。

コアバリューの実践と「自分らしくいられる」組織文化(Trailblazing Women)

──Salesforceのコアバリュー(Trust, Customer Success, Innovation, Equality, Sustainability)は現場でどのように実践されていますか

特に「Customer Success(カスタマーサクセス)」は徹底されています。1契約のお客様であっても数百契約のお客様であっても熱量は変わらず、Salesforceを使って成功していただくことが最優先です。

創業以来サブスクリプションモデルで成長してきたからこそ、「売って終わり」ではなく、お客様からの長期的な信頼(Trust)と成果へのコミットメントが根底にあります。

──Equality(平等)の観点で、大切にしていることは何ですか。

「自分らしく、自然体で仕事ができる環境」であることです。私自身、これまで何か過度に気負ったり鎧をまとったりすることなく、言いたいことを言い、やりたいことに挑戦させてもらえてきました。

先日開催した「Trailblazing Women(AI時代の女性リーダーをインスパイアするイベント)」に登壇した際にも強く感じたことがあります。

それは、各所で活躍されている女性リーダーも、意図的に何か特別な振る舞いをしているというより、それぞれの個性を活かし「自分らしく満足のいく働き方」を素直に表現した結果が、周囲を巻き込むリーダーシップにつながっているということです。

多様な価値観やバックグラウンドを持つ人たちが、それぞれの個性を発揮し、一人ひとりの「掛け算」によってチームとしての強みが最大化される。この「チーム戦の文化」こそが、Salesforceの強さを支えています。

「ぼんやりでもいい。発信して」。これから挑戦する人へ

──活躍している人の共通点は何ですか。

2つあります。1つ目は、学び続けられるかどうか。テクノロジーも進化するし、商材も増える。どんなロールになっても、ゼロから愚直に学び続けられる人が強いです。

2つ目は、巻き込み力です。あるお客様の課題を解決するために「こういう人の知恵が欲しい」「この人の力を借りよう」と思える人は、やっぱり大きくなりますね。複雑な提案をしていかないといけない以上、自分一人ではほとんど何もできない。マネジメントもまったく同じです。

──キャリアの作り方について、西田さんの考えを教えてください。

正直に言って、明確なキャリアプランを持ってこなかった人間なんです。「このポジションを目指して何年頑張ろう」とは思わず、与えられた場所で成果を出すことを積み重ねてきた結果が今。「逆算してきたんですよね?」ってよく言われるんですけど、全然してません(笑)。

私のことは置いとして、今マネージャーとしてメンバーと向き合っていてみんなに伝えたいことは、「こうなりたい。これに興味がある」はあったほうがいいし、それを言って欲しいということ。ぼんやりでもいいんです。

なぜかというと、その人がやりたいポジションや機会が生まれた時に、サポートできるから。発信がないと、チャンスが巡ってきてもつなげてあげられないんですよね。

コンサルティングからデリバリーまで、お客様のカスタマーサクセスを見届ける仕事。それをオールインダストリーでできるのは本当に刺激的。20代、30代のうちに経験すると、キャリアの選択肢が一気に広がる。

切磋琢磨できる仲間の中で、チーム戦の中で自分自身を大きく成長させたい人の挑戦を心から楽しみにしています。

取材・文:蓮見勇太、撮影:大橋友樹、編集:木村剛士


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