日々の業務に追われるなか、タスクの優先順位を正しく決められず、抜け・漏れが生じてしまっている方もいるのではないでしょうか。
このような状況を改善する手段として、タスクの可視化や進捗管理をスムーズに行える「タスク管理ツール」の活用が有効です。
本記事では、タスク管理ツールの機能や導入のメリット・デメリット、ツールの選び方について詳しく解説します。AIを搭載したタスク管理ツールも紹介していますので、ツール導入時の参考にしてみてください。
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目次
タスク管理ツールとは?

タスク管理ツールとは、各プロジェクトのタスクを可視化し、進捗状況の確認や担当者の割り当てを効率的に行うためのツールです。プロジェクト単位でタスクをリスト化することで、優先順位や期限を設定したり、スケジュールに反映したりできます。
ツールの活用によって、個々のタスクが明確になるだけでなく、チーム全体の進捗がひと目でわかり情報共有も円滑に行えるため、タスクの見落としを防止できます。
具体的なタスク管理の方法やコツについては、以下の関連コンテンツで解説していますので、本記事と合わせて確認してみてください。
タスク管理ツールは属人化を防ぐ方法として注目されている
企業の課題でよくあるのが、業務の属人化によって、進め方や進捗状況をひとりのメンバーしか知らない状態に陥ってしまうケースです。その解決策として注目されているのが、すべての業務のタスクを可視化し、プロセス全体を把握できるタスク管理ツールです。
たとえば営業部門の場合、各顧客案件のタスクをツール上に登録すれば、進捗状況や関連情報をチーム内で共有し、誰がどの作業を担当しているかを明確にできます。担当者不在であっても、顧客情報やタスクの詳細を簡単に共有して引き継ぐことも可能です。
また、コミュニケーション機能も備わっているため、メンバー同士での情報交換が促進され、属人化の防止だけでなく職場の活性化にもつながります。
タスク管理とプロジェクト管理の違い
タスク管理とプロジェクト管理には、以下のように目的や範囲などの違いがあります。
項目 | タスク管理 | プロジェクト管理 |
---|---|---|
目的 | 作業の進捗確認や期限の遵守 | 組織の目標達成に向けた業務・スケジュールの管理 |
範囲 | 日々の短期的な業務・作業 | 複数のタスクで構成された長期的なプロセスの管理 |
期間 | 数日・数週間 | 数ヶ月・数年 |
関与する人 | 少人数・個人 | チーム・複数部署 |
タスク管理は、個々の作業の緊急度・重要度を判断し、優先順位を決めて進捗を管理する方法です。一方プロジェクト管理は、組織の目標達成を目的として、複数のタスクを総合的に管理する方法のことで、マネージャーによるリソース管理や統制を意味します。
プロジェクト管理の要素や手順については、以下の関連コンテンツで詳しく解説していますので、本記事と合わせて確認してみてください。
タスク管理ツールの主な5つの機能

タスク管理ツールの主な機能は、以下の5つです。
- プロジェクト管理
- スケジュール管理
- ToDoリスト
- 通知・アラーム機能
- レポート機能
各機能を活用すれば、業務効率化はもちろん、タスクの抜け漏れ防止やチーム内の連携促進につながります。それぞれの機能を詳しく解説していきます。
プロジェクト管理
プロジェクト管理は、複数のタスクをプロジェクト単位で整理し、業務プロセスや進捗状況を全体的に管理する機能です。主に以下のような手法を用います。
手法 | 概要 |
---|---|
WBS(作業分解構造図) | プロジェクトを小さなタスクに分解し、階層的に整理する方法 |
ガントチャート | タスクの開始日や終了日など、全体的なスケジュールを視覚化する方法 |
CCPM(クリティカルチェーン法) | リソースを最適化するため、緩衝時間(バッファ)を設定してプロジェクトの遅延を防ぐ方法 |
複数のプロジェクトを同時に進行させながらも、各タスクの進捗をリアルタイムで把握できるため、マネージャーによる納期やリソースの調整も容易です。
スケジュール管理
スケジュール管理は、タスクごとの開始日・終了日を設定してスケジュールに落とし込み、計画的に業務を進めるための機能です。複数のタスクをこなして到達する目標地点(マイルストーン)を設定し、全体のスケジュールを明確にします。
タスクの進捗に応じてスケジュールも自動的に更新されるため、各メンバーの予定が把握しやすくなり、業務が遅延するリスクを最小限に抑えられます。
ToDoリスト
タスク管理ツールは、ToDoリストの作成も可能なため、日々の業務で見落としがちな作業をチェックリストにして管理できます。
タスクごとにToDoリストを作成すれば、個別の進捗(未着手・進行中・完了など)を表示できるため、優先順位をつけながら効率的に仕事を進められます。
また、ToDoリストは一覧表示だけでなく、カンバン形式(カード形式)で表示するツールもあり、目的に応じた使い分けが可能です。
通知・アラーム機能
タスク管理ツールには、タスクの締め切りや更新を知らせるための通知・アラーム機能があります。リマインダーでタスクの開始日や終了日を通知したり、期限を過ぎたタスクをメンバー全員に送信したりできるため、タスクの見落としを防げます。
外部のカレンダーツールやメールと連携すれば、すべてのプラットフォームで通知を受け取れる仕組みも構築可能です。
レポート機能
レポート機能は、プロジェクト全体のパフォーマンスを数値やグラフで可視化し、タスクの進捗を視覚的に把握しやすくするための機能です。具体的には、以下のようなデータを出力します。
- タスクの進捗状況
- 期限が近いタスク一覧
- タスク別の稼働時間
作業効率や進捗の定期的なレビューにより、データにもとづいた評価や改善点の検討がしやすくなるため、迅速な意思決定をする際にも効果的です。また、過去のデータを検索して同じようなタスクを発見できれば、反省点を活かしながら業務計画を立てられます。
タスク管理ツールを導入する4つのメリット

タスク管理ツールの導入によって、以下のメリットがあります。
- プロジェクト単位でタスクを整理できる
- 優先順位の決定を効率化できる
- 通知機能でタスクの見落としを防げる
- タスクを蓄積してナレッジ活用できる
すべてのタスクを整理して可視化できるため、各メンバーも自分の役割や優先すべき業務を把握しやすくなります。それぞれのメリットを詳しく解説していきます。
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プロジェクト単位でタスクを整理できる
タスク管理ツールの導入により、プロジェクト単位でタスクを整理できるため、複数のタスクが絡み合う状況においても管理しやすくなります。たとえば、営業チームが顧客獲得に向けたキャンペーンを進める場合、以下のようなタスクの計画・実行が必要です。
- 市場調査
- ターゲットリストの作成
- 営業資料の準備
- 顧客へのアプローチ
プロジェクト単位でタスクを整理すれば、営業資料の作成後に次のアクション(テレアポや商談日程の設定など)に進むといった、タスク間の関連性を明確にできます。
ガントチャートなどの活用によって、進捗状況をリアルタイムに追跡できるため、メンバー全員が同じ認識を持ちながらプロジェクトを進められます。
優先順位の決定を効率化できる
タスク管理ツールでは、各タスクの重要度や緊急度が設定できるため、自社の判断基準にもとづいて効率的に優先順位を決められます。
手書きのメモやToDoリストでタスクを管理しても、開始日・終了日の設定やタスクの並び替えができないため、優先すべきタスクがわかりにくいです。
しかしツールを導入すれば、タスクの期限と優先度を設定したうえで、重要度の高い順に並び替えたり、カンバン形式でわかりやすく表示させたりできます。
自分に割り当てられたタスクをひとつに集約する機能もあるため、時間管理がシビアな部署でも効率的なスケジュール管理が可能です。以下の関連コンテンツでは、業務効率化の方法やアイデアを詳しく解説していますので、本記事と合わせて確認してみてください。
通知機能でタスクの見落としを防げる
通知やリマインダーの機能を活用すれば、期限間近のタスクを知らせてくれるため、進捗の遅延や見落としを防ぎ、計画にもとづいた業務遂行が可能です。
タスクがチーム全体で共有されることで、各メンバーに対する通知だけでなく、管理職や他のメンバーにも進捗状況を知らせる通知が届きます。管理職は通知によって早期に問題を察知し、個別ミーティングを実施したり、リソースを再配分したりできます。
タスクを蓄積してナレッジ活用できる
タスク管理ツールには、過去のタスクやプロジェクトのデータ(ナレッジ)が蓄積されているため、成功例や失敗例をもとに次のアクションに活かせます。
たとえば、営業部では、新規顧客への提案時に効果的だったアプローチやアクションのタイミングをツールに記録します。これにより、別の担当者が同様の案件を扱う際に、過去の成功例を基にした提案が可能となり、成約率の向上が期待できるのです。業務プロセスや注意点などの知見・教訓のナレッジ活用により、同じミスを繰り返さない仕組みがつくれます。
以下の関連コンテンツでは、ノウハウ共有(ナレッジマネジメント)の手順を詳しく解説しています。便利なツールも紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
タスク管理ツールを導入するデメリット

タスク管理ツールの導入によってさまざまなメリットがありますが、以下のようなデメリットも存在します。
- 運用体制を整えなければならない
- 費用対効果が見合わない可能性がある
企業規模や業種によっては管理コストが大きくなる可能性もあるため、デメリットも考慮したうえで導入を検討しましょう。
運用体制を整えなければならない
タスク管理ツールの効果を最大限に引き出すためには、メンバー全員が使い方を理解し、実際の業務に取り入れられるような運用方法を確立しなければなりません。
タスクの入力方法や優先順位のつけ方、進捗確認のスケジュールなどをルール化し、オンボーディングによる社内教育が必要です。ツール導入の初期段階においては、マニュアルの作成や教育・研修の準備などのリソースが必要なことを考慮しておきましょう。
費用対効果が見合わない可能性がある
タスク管理ツールの導入には一定のコストがかかるため、実際に業務効率化につながるかどうかを見極めることが重要です。機能やサポートを過剰に求めすぎると、すべての機能を使いこなすのが困難なうえに、必要以上の投資になってしまう可能性があります。
ツールを導入する前には、実際の業務に活用できるかを体験デモや無料トライアルで確認し、費用対効果に見合うか検討しましょう。
タスク管理に便利なSalesforceのツール

タスク管理に便利なSalesforceのツールを2つ紹介します。
- 営業活動を効率化する「Sales Cloud」
- 円滑なコミュニケーションを実現する「Slack」
Salesforceのタスク管理機能を活用することで、営業プロセスが可視化され、チーム全体の生産性向上につながります。
Sales Cloud
Sales Cloudは、見込み客の管理から商談のクローズまで、営業活動のあらゆる業務を効率化するクラウドベースのCRM(顧客関係管理)です。
営業プロセス全体の一元管理によって、各プロジェクトにおけるタスクの割り当てや進捗管理もしやすくなり、AIによる自動化も可能です。
また、顧客との商談や書類作成など共同で作業を進められるため、どのメンバーでもすぐに進捗を確認でき、チーム一丸となってプロジェクトを進行できます。
顧客とのやり取りや商談内容を記録すれば、一元化されたプラットフォームにより内容が自動的に更新され、次のアクションやタスクの見落としを防げます。
Slack
Slackは、メンバー同士の円滑なコミュニケーションを支援するツールですが、新機能の「リスト」によりタスク管理も可能になりました。主に以下のような機能を利用できます。
機能 | 概要 |
---|---|
プロジェクト開始から完了までを追跡 | ・成果物に優先順位をつけ、責任の所在をわかりやすくする・すべてのタスクをリストで追跡する |
チームのコラボレーションを促進 | ・リストのスレッドで適切なメンバーを会話に引き込む・チームが直面しているサイロ化した議論を整理する |
タスクの優先順位づけを自動化 | ・コード不要のツールで定型業務を自動化する |
Salesforceの他製品と統合することで、Slack内に直接タスクを作成し進捗を追跡できるようになるため、チームの生産性向上にもつながります。
Slackでのタスク管理については、以下の関連コンテンツで詳しく解説していますので、導入を検討する際の参考にしてみてください。
AI機能のあるツールでタスクを自動的に推測

AI機能のあるツールの導入によって、手動で実施していたタスクの整理や優先順位づけを自動化し、より効率的なプロジェクト進行を実現できます。Salesforceの製品にもAI「Einstein」が搭載されており、ホーム画面では以下のような情報を自動表示できます。
- 目標の達成状況
- タスク
- 活動インサイト
AIの活用により、過去の商談や顧客データをもとに当日に行うべきアクションを決められ、より戦略的にプロジェクトを進められます。
タスク管理ツールの選び方・比較ポイント

タスク管理ツールを選ぶ際は、以下のポイントを確認しておきましょう。
- 目的に合った機能が備わっているか
- 外部ツールと連携できるか
- シンプルかつ直感的に操作できるか
- 無料のトライアル期間があるか
これらのポイントをもとに、業務効率化と生産性向上につながる最適なツールを見つけてみてください。
目的に合った機能が備わっているか
タスク管理ツールを導入する際は、目的に合った機能が備わっているかどうかを確認し、必要以上の機能やサポートを求めるのは避けましょう。
- 基本的なタスク管理が効率的に行えるか
- タスクの細分化や分類ができるか
- コミュニケーションツールとしても活用できるか
複数のプロジェクトを効率的に進めるために、タスクが混在しないようプロジェクト単位で管理できるかも重要な比較ポイントです。
また、営業に関する情報を一元的に管理したい場合は、顧客情報や商談管理ができるCRM(顧客関係管理)やSFA(営業支援システム)の導入がおすすめです。
外部ツールと連携できるか
タスク管理ツールを選ぶ際は、すでに使用しているツールやアプリケーションと連携が可能かどうかを確認しましょう。
SlackやGoogleカレンダーなどの外部ツールと統合できれば、タスク管理ツールで作成したタスクを共有したり、スケジュールに反映させたりできます。
各ツールの連携により、タスクや期限の更新があった場合でも自動的に同期されるため、情報の一元管理と共有が可能になります。
シンプルかつ直感的に操作できるか
シンプルかつ直感的に操作できるタスク管理ツールは、導入後の教育やマニュアル作成といった手間を減らし、スムーズに運用を開始できます。
操作が複雑で使いにくいツールだと、かえって管理コストが増えてしまったり、操作ミスが発生したりする可能性が高まります。
タスクをリストやボードビューで表示できるツールや、ドラッグ&ドロップでタスクの順番・優先度を簡単に変更できるツールを選定しましょう。
無料のトライアル期間があるか
無料トライアル期間があるツールを選ぶことで、操作性や使い勝手を試してから導入を決められます。
- 業務に合ったタスクの作成や割り当てができるか
- メンバーがツールを使いこなせるか
このような点を事前に確認することで、費用対効果を含めてツールへの投資が適切かどうかの判断が可能です。
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タスク管理ツールを導入してチームの生産性を高めよう

タスク管理ツールは、プロジェクトごとのタスクを整理・可視化するだけでなく、チーム内の情報共有を円滑にし、生産性の向上につながる有効な手段です。
タスクの優先順位づけや進捗管理、スケジュール調整などを効率よく行い、プロジェクトをスムーズに進行できます。ただし、目的に合った機能があるツールを選定しないと、かえって業務が複雑になる可能性もあります。
自社に最適なタスク管理ツールを導入し、DXの実現と業務プロセスの円滑化に取り組んでみましょう。
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