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【前編】#TrAIlblazer放談 生成AIのビジネス活用への道

【前編】#TrAIlblazer 放談 生成AIのビジネス活用への道

生成AIは急速に進化し、たった1年で世界を変革し始めました。この技術について一線を走るテック業界のリーダーたちは何を語るのか。彼らの先進的な洞察と、私たちの生活やビジネスに与える影響、未来のビジョンを解き明かします。

登壇者プロフィール

深津 貴之さん

深津貴之(@fladdict
インタラクションデザイナー/AI活用戦略アドバイザー

株式会社THE GUILD代表取締役、note株式会社CXO、一般社団法人UXインテリジェンス協会理事、横須賀市AI戦略アドバイザー、Stability AI Japanアドバイザー。

けんすうさん

けんすうさん(@kensuu
起業家

アル株式会社代表取締役、nanapiの運営会社元社長/共同創業者。nanapi事業を継承したSupership元取締役。掲示板したらば運営会社の元社長。着せ替えできるNFT「sloth」など様々なサービスを立ち上げている。

深田 紘平

深田 紘平
Salesforce Japan プロダクトマネージャー

お客様の声を本社開発チームに届け、新製品ローンチと長期的な成功を支援する。

「ChatGPT」をはじめとする生成AIが、私たちの業界に与える影響は計り知れません。特にOpenAI社のイベントで発表された最近のアップデートは、さらなる革新の兆しを見せています。

この分野の日本における先駆者である深津 貴之さんと、新しいテクノロジーを駆使したサービス開発だけでなく働き方や生き方についても発信されている​​けんすうさんを招き、Salesforceのプロダクトマネージャー深田 紘平と共に、形式張らずに緩く60分AIに対する本音、好きなことを話し合ってもらいました。今回はそれを現場の温度が伝わる形でレポートします。

※この放談は2023年11月9日に実施されました。

生成AIはどのように進化するのか

深津 僕の持論なんですけれども、新しいテクノロジーというものは、王侯貴族の時代に権力者が持っていたものを民主化していくことだと思っていて。生成AIの進化で民主化されたのは何かっていうと、貴族社会における摂政や関白みたいに、偉い人の下ですべてを取り仕切る存在。つまり、生成AIのおかげで誰もが優秀な秘書を持つことができるようになったというのが本質かなと思います。

けんすう 半年ぐらい前だと、AIを使うのは「優秀な新人がチームに入った」位のレベルでしたが、最新の発表を聞くと、さらに一段階レベルが上がったということなんですかね。

深津 「いろいろ教えてくれるけれど内容は一般論」とか「ちゃんと仕事してくれるけれど積極的にコミットしてくれない」という存在だったのが、これからのAIは、向こう側から勝手にやってきて「向こう側で勝手に仕事しといたよ」みたいなことになるんじゃないかなと思います。

深田 アシスタントがより積極的になってきているんですね。

深津 「Googleカレンダー」と連携していると、例えば「次のミーティングはSalesforceの対談のようです。資料が添付されていたので、対談まであと30分しかないですけれど、ここだけは見といたほうがいいと思います」とアドバイスしてくれて、資料のサマリーとかチェックリストが届くイメージです。

今のテクノロジーでも複数のサービスを組み合わせると同じことができるのですが、それをAIが勝手にやってくれる時代がもうすぐ来る。私のイメージでは、3ヶ月から半年後、遅くとも1年後には実現する感覚です。

note株式会社CXO、株式会社THE GUILD代表取締役 深津 貴之さん
株式会社THE GUILD代表取締役 深津 貴之さん

深田 Salesforceではこれまでの商談やメールの履歴など会議の背景を要約して、目的とアジェンダと共にカレンダーの参加者に送って、準備する。さらには抜け漏れのアクションまで提案してくれる未来が来そうですよね。アシスタントが先回りして対応してくれるような感覚ですね。

けんすう すでに、「Gmail」では予約した航空券の案内メールを受信したら、「Google カレンダー」に自動で入れてくれるので、無意識のうちのAIを使っているとも言えますよね。便利な時代だなと思います。

深津 僕のようなサービス設計に関わるデザイナーの立場からお話すると、人が使いこなすという考え方は、その人が勉強したり、マスターしたりしてくれることを前提にしている甘えた姿勢だと思うんです。

そうではなくて、人が使い方を学ばなくても、使えるようにするという方向にAIやサービスが進化していくでしょうね。みんなが知らず知らずのうちにAIを使いこなしている時代になると思います。

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自分を鍛えるためにAIを生かす

深津 僕自身のAIの使い方として、、AIには作業させるよりもAIにチェックさせたり、レビューアさせたりするほうが好きなんですね。

例えばコーディングだったら、AIにコードを書かせるよりも、部下の書いたコーディングをAIにレビューさせて、どう修正すべきか、どうすればこの部下が成長するかをAIに考えさせるほうが効率が良いし、ナレッジが貯まりやすいと思います。

けんすう メールのレビューとか上司がやらなくてよくなったのは楽ですよね。

深津 人材育成をAIが担っていくのはありだと思います。私はそういう使い方をしていますね。

けんすう 私も使っています。例えば、謝罪のメールを送る時。文章を書いて、それを直してもらうだけでなく、「どういう反応が返ってきますか」という質問に対する回答を3パターンほど出してもらって、それに対してどう返信したらいいかを考える。そうすると、怒られるプロセスを事前に経験できるようになります。

アル株式会社 代表取締役 けんすうさん
アル株式会社 代表取締役 けんすうさん

深津 僕も企画を出す時に、「リスク管理が甘いところはどこか」や、「相手が指摘しそうな箇所はどこか」など、社内の反対勢力がダメって言うのはどこで、対策は何かみたいなこと聞いています。壁打ち、あるいは超高度なメンターによるレビューをお願いするみたいな感覚です。

深田 Salesforceでも、プロンプトを作りカスタマイズできるプレイグランドがあるんですが、それはどちらかというとアドバンスの使い方になっていて、営業担当者やマーケティング担当者が一つひとつゼロからプロンプトを書くっていうのは現実的じゃないと思っています。

壁打ちしながら磨いていく必要はあるのですが、プロンプトの良い書き方というのはある程度決まっています。ですので、ユースケースごとに「こうした聞き方をすると良いですよ」というテンプレートがあって、それを呼び出して使う形になっています。

すべてのユーザーのレベルを底上げするという観点で、アウトプットを標準化する方向性に進んでますね。

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ChatGPTにブレストさせるときのポイント

深津 AIとの会話のキャッチボールで、資料を見てレビューしてもらうという使い方からさらに使い込んでくると、資料に対して3つの改善案を出させて、分析して1案に統合するみたいなのを裏側で自動化できるようになる。そういう使い方をするようになると、アウトプットのクオリティが数段上がっていきますね。

けんすう 「企画を作ってください。そして、10人の編集者になってそれぞれ点数をつけてください」というプロセスを10回繰り返して100案出したあとに「そこからベスト5に絞り込んでください」みたいな使い方をすると、クオリティの高い企画が出てきたりするので、そうした使い方はいいなと思っています。

深津 ChatGPTにブレストさせる使い方は、ChatGPTのアウトプットの質を高める1つのコツですが、GPTは考えているように見えて、裏では何も考えずにアドリブで喋っているだけだったりします。

100案から1案を考えるみたいなのは、いきなりやらせようとしても苦手なので、100案を1つひとつ書き出させて、それぞれを評価してから、1案を選ばせるというように、ステップごとに作業をさせるのが大事ですね。

けんすう なんでその案を評価したかということをたくさん書かせるといいみたいなこともありますね。

深津 人間だと明らかに100個考えていないだろうっていうのがありますが、AIにちゃんと指示を出せば、やってくれるのでやらせたほうがいいです。

深田 ChatGPTのストアができたことによって、いろいろな実験や研究をしている方が明らかになったじゃないですか。一般的なユーザーってそこまではしないと思うんですが、そうした研究者とか、業界特化した人の実験の結果、最高のアウトプットを普通のユーザーが享受できるようになるってことがありますよね。

まず100個出させてからじゃないと、最高なものが出てこないとか、普通のユーザーは知らないと思うので、そうしたものを、あらかじめパッケージにして提供できるっていうことが大事ですよね。

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これから本当に向き合うべき仕事とは

深津 現場レベルの業務の話としては、プロンプト大辞典をいかにシステム側でつくるかが重要ですよね。そうすれば、解決していくことが増えていくと思います。そうなってくると、これからの課題は「AIに合わせて業務オペレーションをどう再構築するのか」というさらに高度な問いにフォーカスすべきでしょう。 

発注フローを直さなきゃというか、業務の許可のフローをして決済して意思決定するフローを直すとか、そっちのほうが人間の仕事になってくる。

けんすう 深田さんにお聞きしたいんですけど、日本って「人に合わせてシステムを作る」ことを求めるじゃないですか。アメリカの人って、どちらかというと「システムに人間を合わせようとする」っていう印象があるんですけど。 

深田 古い慣習、組織、プロセスに合わせてしまうということですよね。Salesforceのプラットフォームはカスタマイズ性に優れているんですけど、理想の業務のオペレーションはあります。欧米でSaaSのパッケージを導入する場合、「これがベストプラクティスですと伝える」とそれを活用してくれるんですが、日本のお客さんは技術があるのでカスタマイズする傾向があるというのは、確かによく聞きます。

Salesforce Japan プロダクトマネージャ 深田 紘平
Salesforce Japan プロダクトマネージャ 深田 紘平

けんすう あれはやめたほうがいいですよね。

深津 それは、ChatGPTに託したいと思ってます。業務改善のコンサルタントに入ってもらって「御社の業務プロセスは間違っています」って直球ではいいづらい。結局、効率の悪い業務プロセスに合わせてカスタマイズすることになってしまって、最終的に誰も幸せにならないことがあると思います。ChatGPTに「御社の業務プロセス間違ってるから直せ」って堂々と言ってもらいたいですね。

けんすう 日本は「すり合わせ型」が得意らしくて、難しい調整とかを空気を読みながらやるのはできるけれど、アメリカ・中国って、「組み合わせ型」でモジュール的に組み合わせるのが得意らしいんです。向いてないところまですり合わせでやろうとすると、コストがすごいかかってしまうんですよね。

深津 Salesforceがベストプラクティスを提案してくれているんだからそれに従ったらいいですよって、AIにはっきりと言ってもらいたいですね。

深田 AIってどんどん進化していくじゃないですか。それを牽引しているのはOpenAIで、OpenAIなどの業界をリードしている企業の標準モデルや仕様に合わせて業務フローを進化させていくべきだと思うんですけど、カスタマイズにこだわってその進化に対応できなくなってしまうと、経営のスピードが一気に落ちたり、コンサルティングしにくくなったりすると思うんですよね。

深津 そういうのをビシっと直してくれる商品とかって出たりしないですかね。雑なイメージですが、Salesforce業務フローの人間ドッグみたいなものとか。「御社の意思決定速度はC。再検査必要です」みたいな感じの結果が届いて、「コンタクトするならここです」と言ってくれる。

けんすう 日本企業の場合、だいたい「自社のベストプラクティスはこれです」のように、自分たちはこれが良いと思ってやっていることが多いので、客観的な評価ができないことがありますよね。

深津 そうなんですよ。企業と経営者に業務フロー診断を受けさせるサービスがあって、その結果が悪かったら、Salesforceのどこかに改革をお願いしますってボタンがあるみたいなそういうサービスが欲しいですよね。

生成AIの進化について語られた前半に続いて、後編では「生成AIが業界の競争やビジネスにどんな影響を与えるか」をテーマに、生成AIのセキュリティリスクやAIをビジネスにどう取り入れるべきかを掘り下げます。(つづきはこちらをご覧ください)

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