業務と組織の効率化を図るBPRの基礎知識

投稿日:2020.4.3
業務改善とはレベルの異なる、抜本的な改革がBPRです。組織構造や業務プロセスの中に隠れている非効率的なフローをあぶり出し、企業全体レベルでの効率化・最適化を図ります。 ここでは、BPRの概略やメリットのほか、進め方についても解説します。

BPRとは?

BPRとは「Business Process Re-engineering」の略語で、既存の組織構成から、社内制度、業務プロセスなどを抜本的に見直し、再構築を図ることを指します。
企業には理念として掲げた目的があり、そこに至るために達成すべき目標があります。それは、長期的な事業戦略であったり、顧客や市場に対する価値の提供であったりします。その目標を達成するための手段として組織が構成され、さまざまな社内制度が作られ、業務プロセスを動かすのが、本来の姿であるはずです。

しかし、社内の分業化・専門化が進むと、各部門では個々の責任範囲ばかりが重視され、業務全体の効率化の意識が希薄になり、業務プロセスの分断化が起こります。各部門内での小さな効率化が、逆に、企業目標達成の手段であるはずの全体業務の非効率化を招いてしまうことも起こりえます。
こうした状況を打破し、全体としての最適化を追求するために行われるのがBPRです。BPRによって、企業は顧客と市場に対する本来の目標を果たすために、最適化された組織へと変貌するのです。

業務改善とはどう違う?

BPRは、時に「業務改革」と表現されることもあるため、「業務改善」と混同されることもあるようです。確かに似た言葉ですし、意味の上でも違いがわかりにくいかもしれません。しかし、業務改善とBPRは別物です。

業務改善は、現状の業務フローから無理や無駄を取り除くことで、さらなる効率化を果たそうとするもの。つまり、現状を肯定し、より良い状況を目指すものです。
一方の業務改革は、必ずしも現状を肯定しません。むしろ疑問視し、あらゆる企業活動を「利益」ではなく「顧客・市場」に立脚したものに再構築します。ですから、既存の業務フローであっても、それが必要なものなのかというところから見直し、全体効率に照らして問題があれば改善し、不要と判断されれば廃止することもありえます。
これが業務改善とBPRの違いですが、これらは決して相対するものではありません。見方を変えれば、「業務改善はBPRの一環である」ともいえます。

BPRのメリットとは?

抜本的な改革であるBPRですが、それによってどのようなメリットが得られるのでしょうか。 一般的には、BPR本来の目的である企業全体での業務効率化と最適化です。そして、その先にあるメリットとして、従業員と顧客の満足度向上が挙げられます。

全体レベルでの業務効率化を図れる

各部門を横断した広い視野から業務を見渡してみると、所々に不要な業務が見つかることがあります。これは、部門ごとの内部検証ではなかなか発見できないものですが、この余計な作業が全体の業務にブレーキをかけ、効率化を阻んでいる原因ともなっています。こうした組織構造のボトルネックを見つけ再構築することで、全体業務の流れが効率化できます。
部門ごとではなく、企業全体の業務を効率化する。これが、BPRの一番のメリットです。

従業員と顧客の満足度を高められる

全体業務が効率化されると、企業の業務の目的と、各部門が手掛ける業務の目的が一致し、個々人の中で「何のためにこの作業を行うのか」が明確になります。これは、従業員のモチベーションアップを生み、従業員の意識改革にもつながっていきます。また、具体的な業務の効率化やコスト削減も行われますから、生産性が高まり、満足度の向上も期待できるでしょう。
こうした成果は、それまで以上に高品質な製品やサービスの提供を可能にし、顧客満足度の向上にも役立ちます。

BPRに対する基本的な姿勢

部門ごとに縦割りにされた組織でBPRを実行するとなると、大小の混乱が起こることが予測されます。また、実行にあたり、どのような考え方で何を行えばいいのか、判断に迷うことも出てくるはずです。そのようなときのためにも、まずBPRに対する基本的な姿勢というものを確認しておくことが大切です。
ここでは、株式会社日本能率協会コンサルティングが提唱している、BPRにおける7つの基本姿勢をご紹介します。BPRを実践する際には、これらの項目を常に念頭に置き、ここから外れないように作業を進めていきましょう。

白紙姿勢(ゼロ・リセット)

従来のやり方や既存のフローにとらわれず、一度白紙の状態にリセットします。顧客の存在をはっきり認識するとともに、顧客満足のためにどのような価値を提供するのかを明確にしつつ、顧客を起点として業務プロセスを再構築していきます。

経営力と現場力の連携

改革にあたっては、経営者の強力なリーダーシップが必要です。基本方針を全社内に通達し、キーパーソンとなる人員の配置や、改革を阻害する要素の排除など、全体を見渡すポジションからの活動を行います。 また、ミドルリーダーは、トップと密接に連携し、現場での改革リーダーとして先頭に立ち、組織の基盤整備を強く推進していきます。

段階的な成果の実現

組織の構造改革は、そう簡単にできるものではありませんし、一度に成果が表れるものでもありません。ですから、短期・中長期に分け、段階的に成果を実現していきます。
現場の成果を経営的な成果につなげ、オペレーションの成果をマネジメントやマーケティング、さらには事業創出へと結びつけるイメージで進めていきます。

ITの活用

各種ITツールやシステムは、それを使えば万事解決というものではありません。ITありきではなく、改革後の組織と業務プロセスのどこに導入し、どう使うかを明確にしておきましょう。

業務面、情報面の基盤整備

業務の流れやルールの標準化・共通化など、実務上の改善を進めます。また、情報システムは全社で共通して利用できるよう、整備・構築が必要でしょう。

人材変革の重視

組織と業務が改革されても、肝心の「人」が旧態依然としていては、改革の成果は上がりません。まずは経営陣が、みずからの能力や役割を見直し、新たな組織にふさわしい人材像を作り上げ、人材変革に取り掛かるべきです。また、改革された業務の中で、課題解決を推進できる新たな人材を、開発・育成するプランも必要になります。

業務改革の徹底実施

BPRは徹底して行わなければ、その価値が表れません。中途半端に終わってしまっては、むしろ逆効果です。また、改革の前後でどれほどの成果が上がったのか、モニタリングできるしくみを設けておきましょう。

BPRはどう進めればいいか

BPRの実施にあたり、どんな手順を踏むかは企業によって異なります。
大きな組織を持ち、いくつもの事業を展開するような大企業が一気にBPRを実施してしまうと、混乱が起こったときに収拾がつきません。ですからこの場合は、BPRの対象とする事業を1つ選び、成功させたところでそれをモデルとし、他の事業にも適用していくという手順が一般的です。

中規模以下の組織規模の企業の場合は、同様のやり方をとるか、あるいは全社一斉に実施するかのいずれかとなります。 どちらの方法をとるにせよ、経営陣をはじめ、各部門のリーダーによる協力と、従業員の理解が必須です。なぜBPRを行うのか、それによって何がどう変わるのか。目的とゴールを明確にし、社内に周知して意識の統一を図っておきましょう。 また、BPRを成功に導くポイントや失敗しやすい点など、他社の事例から学んでおくことも有意義です。
ここでは、BPRの実施にあたっての基本的な手順をご紹介します。

1. 基本計画を立てる

まずは基本計画を策定します。社内の一部を対象とする場合には、その対象範囲を確定させます。 また、改革によってどのような成果を目標とするかを設定し、改革後の姿を描き出しておきます。「組織」「システム」「人」の3つの領域に分け、それぞれをどのように改革するのか、方針を明確にしておきましょう。

次に、方針に沿った実行シナリオを作成します。改革すべきテーマには優先順位がありますし、成果が出るまでの期間にも差がありますから、それに合わせた実行手順をとらなければなりません。そのほか、改革推進の体制や投下できる予算など、さまざまな事情を勘案しながら、現実的に成功する確率の高いシナリオにまとめましょう。 こうして出来上がった基本計画はトップの承認をとり、改革推進の関係者全員で共有します。

2. 各業務を仕分けて分析し、優先順位をつける

ここからは、実際の改革作業が始まります。
まずは、現在行われている各業務を可視化して、より小さな単位に仕分けます。BPRは組織全体に関わる変革ですから、組織全体の業務フローを可視化し、見渡せるようにする必要があります。

次に、各業務の内容を分析し、優先順位をつけていきます。社内の各部署では、日々さまざまな業務が行われています。しかし、それぞれの業務を細かく分析していくと、「この業務は何のために行っているんだ?」というものも出てきます。半ば、慣習のように行われているものもあるかもしれません。
つまり、一連の業務を仕分けして分析することで、各業務の重要度と優先順位が見えてくるのです。

3. 分解した業務を再構築する

仕分けした業務を再び組み合わせ、再構築します。問題がある業務については、抜本的な見直しが必要です。対象となるのは、企業全体の業務の流れを阻害してしまっている業務や、他部門と重複している業務、意思決定のしくみが複雑になってしまっている業務、必要ではあるが優先順位が低く、人的リソースを圧迫している業務などです。

これらの業務をどう扱うかは、ケースバイケースでしょう。業務そのものの改善で対応できれば、それでいいでしょうし、他部門との重複であればいずれか一方を残しておけばいいということになります。
優先度が低い業務なら、アウトソースを利用するという選択肢もあります。そもそも必要性が低いのであれば、廃止してもいいかもしれません。業務の内容と問題の種類によって対応してください。

4. 改革後は定着化と検証を十分に

各業務の改革が完了したら、新しい組織構造と、新しい業務プロセスを定着させることも重要です。 人は環境の変化を嫌う傾向がありますから、しばらくは「前のやり方のほうが良かった」という不満が出てくるかもしれません。そうした声は頭ごなしに押さえつけるのではなく、新たな方法の長所を伝え、それによって現場の業務にどのようなメリットが生まれるかを説明していきましょう。

また、改革の効果を検証することも大切です。BPRが完了しても、生産性向上の余地はまだ残っているかもしれません。その際は、継続的にBPRを行うことで、その効果をさらに高めることができます。

BPRで活用できる「ERP」とは?

ERPとは「Enterprise Resources Planning」の略語で、日本語では「企業資源計画」と訳されます。 企業は自身の活動のために、さまざまなリソースを必要としますが、そのほとんどが「人」「モノ」「金」「情報」に分類できます。これらを最大限に活用できるかどうかが生産効率に直結し、企業の利益にも結びついていきます。ERPは、これら企業の持つ資源を有効に活用し、生産能力を最適化するための管理手法です。

ERPは全体を統合・最適化するツール

BPRでは、組織や業務の改革が起こり、それによって人や物資、資金の再配分が必要になります。そこで、最適な資源配分を行うために、人、モノ、金、情報を一元管理するツールもERPと呼ばれます。

これまで、多くの企業内のシステムは部門ごとに独立していました。会計、営業、人事など、部門ごとに最適化されたツールを使うことで、それぞれの業務の効率化を実現してきたのです。その反面、部門を超えた情報共有や利活用ができないという点が問題視されるようになりました。 ツールとしてのERPは、情報を一元管理するとともに、社内に散らばる複数の業務ツールをも統合管理し、全社の業務を情報というフィールドで連携させることができます。

ERPはCRMとはどう違う?

CRMは、顧客満足度を高めて良好な関係を築き、それを維持するための一連の業務をサポートするためのツールです。顧客情報や商談情報など、顧客との関係に関する情報を蓄積し、一元管理する機能を持ちます。
このように、ERPとはまったく異なる機能と目的を持つCRMですが、SalesforceのようにCRMの範疇を超えて、情報プラットフォームとして機能する製品もあります。こうした製品であれば、必要に応じたカスタマイズをすることで、企業の基幹系情報システムとして活用することもできます。

BPRを行うには、混乱を避けるために十分な準備を

BPRは、業務プロセスや組織構造に対して、一般的な業務改善以上の大規模な変更・再構築を伴います。そのため、BPRを進めていく中で、混乱が起こることもありますし、やり方によっては期待した効果が出ないことも考えられます。
そうしたことを避けるためには、まず何のためにBPRを行うのか、その目的を明確にしておき、目的に沿った形で進めていくことが大切です。十分な準備を整えた上で、実行に踏み切ってください。
 

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