企業がDXに取り組むべき理由

投稿日:2021.08.11

デジタルテクノロジーは、私たちの生活において日々存在感を高めています。ビジネスも時代に適応していかなければなりません。大まかに言えば、選択肢はついていくか、遅れるかしかありません。とはいえ、自社ビジネスにとってのDXの本質を理解するには、もう少し探究してみる必要があります。

デジタル化とDXを推進する力

ビジネスにおけるあらゆる変革の根本にあるのは顧客です。変革とは、顧客に幸せをもたらすことでビジネスを成長させるものでなければなりません。

現代の顧客がビジネスに寄せる期待の大半は、デジタルテクノロジーとデジタルイノベーションにもとづくものです。顧客は常にネットにつながり、常に新しい可能性を見出しています。あるサイトで新しい体験をした顧客は、他のサイトにもそれを求めます。そこで新しい体験を得られなければ、顧客はそれを得ることができる別のサイトへと流れていきます。デジタルでつながった世界ではブランドの比較が容易なため、手軽に別のブランドに乗り替えることができるのです。

 

コネクテッドカスタマーの最新事情

消費者及びビジネスバイヤーへの調査で明らかになった「ニューノーマル」時代の体験、テクノロジー、信頼の相関関係についてのインサイトをご確認ください。

デジタルイノベーションがあらゆる業界のビジネスを形成

DXはあらゆる業界に影響を及ぼします。クライアントサービス、デジタルメディア、物販など、どのような業界であっても、技術革新による製造、流通、カスタマーサービスの変革は可能です。 

ビジネスの種類によって、顧客が一般消費者の場合もあれば、企業間取引(B2B)顧客の場合もあるでしょう。さらに視野を広げて、従業員もそこに加えましょう。後ほど説明するように、従業員が抱く期待は自分たちが消費者として行動しているときの体験から生まれます。特に職場のデジタルイノベーションへの期待には、自らの消費者体験が色濃く映し出されています。

顧客はデジタルテクノロジーとイノベーションを期待

デジタル時代の到来で、今日の顧客は常にネットにつながっており、そのメリットを享受しています。24時間365日ネットに接続しているため、取引先の企業に対しても24時間対応を求める声が高まっています。消費者行動にこのような変化をもたらした主な要因が、モバイルデバイスとソーシャルメディアです。 

Salesforceのレポート『コネクテッドカスタマーの最新事情』(第1版)では、顧客の半数以上が、テクノロジーが企業に対する顧客の期待値を大きく変化させたと回答しています。ハーバードビジネスレビュー誌によると、73%の顧客が、ショッピング体験をパーソナライズしてくれるブランドとの取引を望んでいます。 

Salesforceの調査でも、57%の顧客が、購入先の企業が革新性に富んでいることは必要不可欠または非常に重要だと考えています。回答者の70%が、新たなテクノロジーの発達により取引先の乗り換えが容易になったと回答していることから、革新性に富んでいない場合、別の企業からの購入を検討する可能性があるということが伺えます。

従業員の意見がデジタルソリューションを推進

一般的に、職場における消費者向けのテクノロジーの採用の流れを生み出した主な要因はAppleのiPhoneであると言われます。iPhoneは元々ビジネス向けに販売されていませんでした。しかし急速に人気が高まったため、他のデバイスではなくiPhoneを使いたいという従業員の要望を、企業のIT部門が受け入れざるを得なくなったのです。複数の大企業が採用したことで、職場におけるiPhoneの採用は急速に進みました。

iPhoneが職場におけるテクノロジー導入の常識を打破したわけです。使用してもよいデバイスをITリーダーが従業員に指示するのではなく、相当数の従業員がiPhoneの使用を求めたことにより、最終的にIT部門が同意する形になりました。この傾向は現在も続いており、「消費者向け」のテクノロジーが職場で採用されるケースは増加しています。それ以上に注目すべきなのは、この流れが持つもう1つの意味合いです。企業向けソフトウェアが、消費者向け製品のデザインや機能の流れに追従するようになったのです。結局のところ、使いやすいものが一番ということです。

デジタルファーストな従業員とは、「つながっている従業員」

ミレニアル世代の従業員は、他のどの世代よりもデジタルファーストな思考を持っています。PC、電化製品、スマートフォンアプリに囲まれて育った彼らは、職場でも、私生活で慣れ親しんでいるものと同じく、強力で使いやすいデジタルツールを使用したいと考えています。

DXとは、このデジタルファーストな思考にもとづいてすべての従業員を機能強化することにあります。消費者が企業に対し、ソーシャルメディアや他のチャネルを通じて24時間365日の積極的な対応を求めるのと同様に、今日の従業員は、時間や場所を問わず、簡単に情報へのアクセスやコラボレーションが行える環境で力を発揮します。デジタル環境に慣れ親しんだ従業員にとって、デジタル化は力強い味方なのです。

中堅・中小企業にとって、デジタル化されたビジネス環境を整えることには非常に大きなメリットがあります。デジタル化は、顧客の期待に応えて従業員の機能強化を図るために重要なだけでなく、コストを抑えて生産性を上げる効果もあります。たとえば、全社で包括的なデータベースを共有し、顧客データにもとづいてメッセージやサービス戦略のパーソナライズを行い、従業員がモバイルデバイスで業務を行えるようにするなどのデジタル化を進めることで、業務効率が上がり、小規模なチームでも新規顧客の獲得と維持により多くの時間を割けるようになります。

さらに、会社の立ち上げ時からデジタル環境を構築しておけば、ビジネスの成長に合わせて容易にシステムを拡張できます。

業界を変革するデジタルイノベーション

職場の情報にいつでも簡単にアクセスできることで恩恵を得られるのは従業員だけではありません。機械自体も、だんだんスマートになります。AI(人工知能)、モノのインターネット(IoT)、クラウド分析、さまざまなサイズと機能を持つセンサーなどが、製造、生産、調査など、あらゆる業界のほぼすべての部門に変革をもたらします。

 

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このTrailmixでは、AIのTrailblazerになるために役立つさまざまなトレイルとモジュールをご用意しています。
具体例は無数にあります。AIやIoTなどのデジタルイノベーションは、耐久消費財から自動車やトラックまで、あらゆる製品の製造にさまざまな進化をもたらしています。製造プロセスを最適化することで、消費者需要の変化に対応できます。クラウドベースのソフトウェアにより、サプライチェーンのロジスティクスをリアルタイムで可視化できます。また、機械学習を活用した顧客体験マッピングは、商品企画担当者やマーケティング担当者、予算管理者の業務改善に役立つ重要なインサイトをもたらします。こうしたさまざまなイノベーションの融合が、あらゆる面からビジネスのあり方を変えています。

デジタル時代においてビジネスに変革が求められる理由

DXとはビジネス変革です。ビジネスを従業員や顧客などすべての人にとってより好ましいものに変えていきたいという基本的な欲求によって推進される変革です。これまで見てきたような要因が主な原動力となって、現在ビジネスの世界を大きく揺るがせている変化が生じています。それに加えて、すべてのビジネスが顧客を獲得するために競争しなければなりません。競合他社がDXを推進し、製造プロセスを合理化し、物流を拡大して、従業員の働きやすい職場作りを行い、顧客体験全般の質を向上している中、自社もレベルアップする必要があります。

とはいえ、こうした変化はどのように具現化されているのでしょうか?企業のさまざまな部署において、DXは実際にどのようなものになっているのでしょう?具体例を見ていきましょう。