強い営業組織の作り方〜改革の手順・リーダーに必要なスキル〜
強い営業組織とは
強い営業組織とは、継続的に高い営業利益を出し続けられる組織を指します。組織を持続的に成長させ、市場での存在感を発揮するには、継続的な資金を獲得し続けられる、高い営業力が必要です。
営業組織として強くあるには、業務改善や人材育成などに取り組み、努力し続けられる体制作りが求められます。簡単に達成できることではありませんが、企業の存続・成長のために、積極的に取り組みましょう。
強い営業組織の特徴
強い営業組織の特徴として挙げられるのは以下の2点です。
- 営業プロセスが可視化されている
- 人材育成が仕組み化されている
強い営業組織では、業務における大部分が数値化・定量化されています。営業プロセスを可視化することで、各ステップの成功要因や改善点を把握できます。また、人材育成の仕組み化にKPIや目標設定による効果検証を組み込めば、育成効果を具体的に計れます。
勘や慣習だけに頼らず、非数値的な要素をデータ化して組織にフィードバックする体制を作ることが、強い営業組織への近道といえます。一部のスーパーセールスパーソンの能力に依存しすぎない、数字に裏付けられたデータに基づく営業組織の底上げが重要になります。
営業組織の強化が必要な理由
営業組織の強化は、組織にさまざまなメリットをもたらしますが、とくに以下の2点が顕著です。
- 売上を安定させることができる
- 営業力を標準化することができる
営業組織として強くあり続けるには、その場限りではなく、恒常的に高い営業成績を出す必要があります。効果的な営業プロセスや人材育成により、安定した売上を生み出すことで、利益の継続的な向上や組織の発展が期待できます。そのためには、営業力を属人的なものから標準化させることが求められます。顧客への対応品質を一定に保ち、組織の基盤強化へつなげましょう。
営業組織の課題とは

調査によると、多くの企業が、「顧客データを活かした営業活動の効率化ができていない」ことを課題に掲げていると分かりました。ほか2つの課題は企業規模とともに減少していく一方で、顧客データを活かした営業活動の効率化は、企業規模に関係なく高くなっています。
データの活用は、顧客への理解を深め、顧客に寄り添うために必須です。ニーズの本質を知り、そこへ向かって業務を最適化していくことで、利益の向上やブランド力の強化につながります。顧客データの活用は、そのための情報基盤を構築し、筋肉質な営業組織作りの土台となる要素といえるでしょう。『いまから始める Sales Enablement 勝てる営業組織を仕組みで作る 5 つのステップ』で詳しく解説していますが、顧客視点の営業フローの設定、営業活動の管理項目設定、マネジメント層によるリアルタイム管理を可能にする環境整備を行うことが筋肉質な営業組織を作るためのファーストステップになります。
強い営業組織の作り方〜改革の手順
強い営業組織を育て上げるには、建設的かつ論理的な手法が求められます。営業プロセスや人材育成と同じように、目に見える形で進めていきましょう。一般的には、以下の手順で進めます。
営業組織の強化は、継続的に結果を出し続けられる環境作りともいえます。企業という土壌から、つねに良質な成果物を生み出すにはどうすればよいのか、その課題に向けた組織全体での取り組みが求められます。それでは、ステップごとに詳しく見ていきましょう。
1)現場の課題を把握
2)目標達成プロセスの明確化
目標達成プロセスの明確化は、チーム全体が同じ方向を向き、効率的に活動するために必要です。全体でゴールと道筋を共有することで、メンバーそれぞれが自立した動きを取れるようになります。目標達成プロセスの明確化にはおもに以下の指標が用いられます。
- KGI:重要目標達成指標
- KPI:重要業績評価指標
KGIとKPIは、どちらも組織の目標とその進捗を明確化するために用いられる指標です。戦略的判断の補助やパフォーマンス改善、意思決定の正確性向上にも活用できるので、常にKGIとKPIを設定するクセを付けておきましょう。
また、目標設定は、SMART(具体的・測定可能・達成可能・現実的・期限付き)を念頭に置いて行うとよいでしょう。
KGIとKPIはどちらも基礎的なものであると同時に、重要度が高い指標です。以下の記事で詳しく解説しているので、正しく使いこなすために、いま一度基礎から学んでおきましょう。
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3)進捗管理の徹底
進捗管理の徹底は、活動と目標のギャップを把握するために必要です。活動と目標に差が生じていれば、適切な対策を講じ、ギャップを縮めるよう検討します。
重要なのは、進捗状況をなるべく具体的に可視化し共有することです。たとえば、定型化した管理フォーマットの共有や、SFAのような管理システムの活用が効果的です。これらのフォーマットやシステムの活用は情報のアクセス性向上にも有効で、チームのコミュニケーションを改善する面からもおすすめです。
以下の記事では、すぐに使えるExcelテンプレート付きで、成果の出る営業進捗管理方法を解説しています。初めて取り組む場合でも分かりやすいように説明しているので、ぜひ目を通してみてください。
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4)ナレッジの共有
ナレッジ(知識やノウハウ)を共有することで、組織全体の能力や営業力の底上げが期待できます。持続的に成果を上げるためにも積極的に取り組みたい分野です。
重要なのは、メンバーが持つ情報や経験を共有しやすくする環境整備です。具体的な手法としては社内SNSやクラウドストレージ、オンライン学習プラットフォームの整備などが挙げられます。また、定期的な勉強会や共有会を開催し、メンバー同士で知識やスキルを教え合えば、組織の効率化や競争力強化が期待できます。
組織内における学習環境の整備は、知識の継承や新人の早期教育、自己研鑽意欲の向上など、さまざまな面においてメリットがあります。以下の記事で取り組み方を解説しているので、参考にしてください。
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5)明確な人事評価
明確な人事評価は、メンバーに対する透明性の確保やモチベーションの向上につながります。個々の成果やチームの一体感を損なわないためにも、公平かつ具体的な評価基準を策定しましょう。
代表的な手法としては、定期的な1対1の面談や年次評価などがあります。このとき、メンバーの業績やスキル評価などから、できるだけ具体的にフィードバックや目標設定を行うことが大切です。
また、必要に応じて、成果に応じた報酬額の設定やインセンティブの支給も検討しましょう。評価が報酬に紐づくことで、従業員のモチベーションを向上させる効果が期待できます。
6)人材の育成・改善
営業組織が継続的な成果を上げていくには、人材を育成・改善するための仕組み作りが欠かせません。1人1人が強く、自立した存在になることで、組織全体の層が厚くなり、また、従業員同士の化学反応が起きやすい地盤が整います。
人材育成・改善の方法は、従業員のレベルに合わせて考えましょう。たとえば、新入社員には、研修や営業スキルを向上させる教育プログラムの実施。中堅従業員には、外部研修や勉強会への参加をうながす。ベテラン従業員には、その講師役を務めてもらうことで、知識の継承をしつつ自身の振り返りをしてもらうなどです。人材育成・改善を仕組み化することで人材育成のPDCAサイクルが回るようになり、力強い営業組織を育成することが可能になります。
参考:いまから始める Sales Enablement 勝てる営業組織を仕組みで作る 5 つのステップ
このように、組織が主導して人材育成・改善に取り組むことを「セールスイネーブルメント」と言います。自社を賢く・稼げる組織にしたいと考えているなら、以下の記事にもぜひ目を通してみてください。
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強い営業組織を作るためにリーダーに必要なスキル
強い営業組織を作るためには、リーダーによる適切なマネジメントが欠かせません。そのために必要なスキルには、以下が挙げられます。
- リーダーシップ
- 判断力・分析力
- コーチング力
- 管理スキル
マネジメントには、個々のメンバーを活かし、成果へ導いていくための総合的な能力が必要です。高いリーダーシップはもちろん、現場の情報をもとに戦略的な決断を下したり、メンバーの成長をうながしたり、適切な目標設定や進捗管理を行ったりと、多くの要素が求められます。
リーダーのスキルアップにより、営業組織はより強固になります。以下の記事では、マネジメントに必要なスキルを総括的に獲得するための基礎知識を解説しています。マネジメント力アップの出発点として参考にしてください。
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SFAツールを活用した営業管理・マネジメント
SFAツール(Sales Force Automation/営業支援システム)とは、営業活動を効率化・最適化するためのソフトウェアです。SFAツールの活用により、営業活動の見える化や、案件・進捗管理、ナレッジや情報の共有、データ分析などが可能になります。
SFAツールの活用は、チームのパフォーマンスを向上させるだけでなく、リーダーのマネジメントスキル向上にも役立ちます。また、営業チーム全体のコミュニケーションが円滑になり、組織としての競争力向上も期待できます。
SFAツールを活用するには、システムを組織に根付かせ、日常的に使いこなせる環境整備が大切です。組織全体で活用してこそ意義のあるツールなので、上層部を巻き込んで取り組みましょう。
導入の検討には、デモ版を実際に使ってみることがおすすめです。組織にどのような効果をもたらすのか、その効果を自社の環境で実感してみてください。

営業活動をどこからでも可能にする世界No.1のSFAツール Sales Cloud とは?
営業組織改革の成功事例
Sales Cloudに営業情報を集約して可視化。営業タスクを会社の情報資産として管理し、データ共有も可能に。
SES(System Engineering Service)をメインサービスに据えたブルーアルバーロは、2017年の創業以来急成長を続ける一方で、営業周りのデジタル化が課題となっていました。そこで取り組んだのが、顧客管理や対応の属人化からの脱出です。
当時、同社には営業担当が1人しかおらず、営業活動が極めて属人的な状況にありました。そこで、ITシステムを活用した情報管理や営業活動の標準化に取り組むこととなったのです。
そこで導入したのが、SFAツールであるSales Cloudです。営業支援に特化した機能やサポート体制、コストパフォーマンスなどから採用を決定し、Sales Cloudへ営業に関する情報すべてを集約しました。
結果、属人化していた営業の課題は一気に解消され、知識・ノウハウの資産化や社内横断的な情報共有網を実現するに至りました。
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ノウハウの効果的な共有で新人の立ち上がり短期化と共に組織全体の生産性も向上
「お金をつなぐクラウドで世の中を笑顔に」をビジョンに掲げるROBOT PAYMENTは、20年の歴史がある決済代行事業と、請求管理ロボ事業の2つを柱として、フィナンシャルサービスおよびソフトウェアサービス業界で存在感を発揮している企業です。
同社では当時、標準化された営業プロセスやマニュアルが十分に整備されていませんでした。営業ノウハウや成功パターンの浸透にばらつきのある状態で、新人営業が初めて受注を取るまでに6カ月もの期間を要していました。
この課題を解決するために取り組んだのが、学習環境の整備と、それに対する評価制度の導入です。まず、オンライン学習プラットフォームとしてmyTrailheadを導入。その後、「セールスイネーブルメント室」を立ち上げ、営業担当者への展開も開始しました。そして、テストの点数によりバッジを付与するシステムを活用し、学習度合いを可視化。新人営業が初受注するまでの期間を3カ月へ短縮に成功しました。
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自社を強い営業組織へ変えていくには、組織の根本に目を向け、包括的な情報共有や継続的な人材育成ができる環境整備が必要です。そのためには、まず自社における課題を整理し、改善と成長を伴う施策の考案が求められます。
また、これらの課題を可視化し解決するには、SFAや学習プラットフォームのシステムが有効です。組織的に変革を進めていくためにも、基盤となるシステムの導入を検討してみましょう。

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