HubSpotの代替ツールを検討するにあたっては「なぜHubSpotでは運用がうまくいかなかったのか」という点から立ち返り、一部機能のみを代替するのか、CRMツールを丸ごと代替するのか、方針を明確にすることが重要です。
そこで本記事では、HubSpotを代替する理由の整理から、営業・マーケティング・カスタマーサポートの3カテゴリごとの代替候補ツールを解説します。
Starter Suiteで、ビジネスをまるごと前に進めよう
営業・サービス・マーケティングをオールインワンで。AI搭載のCRMで、顧客管理をスモールスタートできます。
Key Takeaways
目次
HubSpotの代替を検討する主な理由
HubSpotから競合製品への乗り換えを検討する理由は、大きく3つあります。
- 営業プロセスの拡張性が限界に達したケース
- 組織拡大に伴って管理要件が増えたケース
- 契約更新時にコスト構造が変わったケース
まずは、自社がどのパターンに該当するのかを特定することが、代替ツール選びの前提になります。
以下で3つの限界パターンを順に見ていきます。
既存顧客の深耕管理や複雑な商材の営業プロセスに限界を感じた
HubSpotの限界が最初に顕在化しやすいのは、営業プロセスが複雑になったときです。HubSpot Sales Hubのオブジェクト構造やパイプライン設計は、単純な商談管理では十分に機能します。しかし、商流が多段構造になると対応しきれなくなる場合があります。
たとえば、複数商材を組み合わせた見積の連動、親会社と子会社をまたいだ階層的な顧客管理、代理店を介した多段の商流などです。こうした場面では、オブジェクト間の関連付けをどこまで柔軟に設計できるかが問われます。HubSpotのカスタムオブジェクトや関連付けには制約があり、複数商材の見積連動や親子会社の階層管理といった要件への対応は難しくなるでしょう。
この段階に達すると、より自由なデータモデル設計ができるツールへの乗り換えが視野に入ります。
営業組織の拡大に伴いより高度なカスタマイズや権限管理が必要になった
営業プロセスの複雑化と並行して起きるのが、組織拡大に伴う管理要件の増大です。チームが複数に分かれ、部門ごとに扱うデータの範囲が異なってくると、細やかなアクセス制御が必要になります。
部門別のデータアクセス制御やフィールドレベルの権限管理が複雑になると、HubSpotのEnterprise層でも設定の柔軟性に限界が生じる可能性があります。「特定の部門には特定のフィールドだけ見せたい」「承認フローを役職階層に沿って細かく分岐させたい」といった要件です。加えて、カスタムオブジェクトの上限やレポートの自由度も、組織が大きくなるほどボトルネックになりやすくなります。
従業員が40名を超え、営業チームが複数に分かれるタイミングでこの種の限界が表面化しやすく、より高度な権限管理を備えたシステムの移行を検討するきっかけになるケースが多く見られます。
契約更新時に料金が高騰するケース
規模の拡大に伴って費用が増えること自体は、どのツールでも起こります。HubSpot固有の問題として挙げられるのは、契約更新のタイミングで料金体系そのものが変わり、想定外のコスト増につながる点です。
実際、2024年3月のシートベース課金への改定では、Enterpriseプランの含有アカウント数が変わりました。旧価格には10アカウントが含まれていたのに対し、新価格では8アカウント分で同じ金額になり、9名以上で利用すると割高になる構造に変わっています(出典:パーソルビジネスプロセスデザイン株式会社「HubSpotの価格大解剖!各Hubの料金プランを徹底比較~2024年3月の価格改訂の内容とは?~」2024年)。すでに運用している企業にとっては、更新時に同じ人数でもコスト感が崩れる変化です。
もう一つの料金高騰ポイントが、StarterからProfessionalへプランを移行するタイミングです。必要な機能の増加に伴って上位プランに切り替えると、月額料金が数倍に跳ね上がります。この段階では、HubSpotの上位プランを続けるか、競合製品とコストを比較するかが現実的な選択肢になります。
更新時の予期しない値上げに直面したことが、代替検討の直接のきっかけになる企業は多いのです。
中小企業・スタートアップの成長を加速させるSalesforce Pro Suite
売上予測や見積もり作成、業務の自動化など高度な機能とカスタマイズ性が追加された上位プラン。営業・マーケ・サポートをひとつのプラットフォームで管理できます。
HubSpotの代替品を検討する時のポイント
自社の限界パターンを特定できたら、次は代替ツールをどう評価するかです。ここで機能一覧の比較から入ると、判断軸が定まらず候補を絞り込めません。評価は「目的整理→移行コスト→機能のトレードオフ→データ移行性とサポート体制」の順で進めると、乗り換え後のミスマッチを防げます。
目的が曖昧なままコストや機能を比較しても優先順位がつかないため、この順序で評価することが重要です。
1.代替する目的を整理する
最初にすべきは、HubSpotのどの領域に不満があるのかを整理することです。ここが曖昧なままでは、そもそも比較すべき候補群が定まりません。
前章で見た3つの限界パターンを、Hub単位に置き換えて考えてみてください。営業プロセスの複雑化ならSales Hub、コンタクト数課金やマーケティング機能の不足ならMarketing Hub、問い合わせ対応の限界ならService Hubです。どのHubに不満があるかで、候補となるツールのカテゴリは変わります。
営業SFA・MA・サポートのどこに課題があるかを先に特定することで、無関係なツールを比較検討する無駄を省けます。
2.移行時のコストで選択肢を絞る
目的が定まったら、コストで候補を絞ります。ここで見落としやすいのは、ライセンス料金だけで比較してしまう点です。
実際の移行では、ライセンス費用のほかに隠れたコストが発生します。データ移行の工数、HubSpotで組んでいたワークフローの再構築費用、そして現場チームへのトレーニング費用です。ライセンスが安くても、移行と再構築の負荷が大きければ総コストは膨らみます。
これら3つを含めた総コストで比較することで、移行後の想定外の出費を防げます。
3.乗り換え後に諦める機能と得られる機能を把握する
コストで候補を絞った後に必ず確認したいのが、機能のトレードオフです。ツールの乗り換えは「機能が増える」だけではなく、「今使えている機能が使えなくなる」側面も持ちます。この両面を事前に把握できるかどうかが、移行後の満足度を左右します。
HubSpotエコシステム固有の機能は、乗り換え時に利用できなくなる場合があります。HubSpot CMSとの連携、HubSpotフォームとコンタクトの一体運用、コンタクトタイムラインでの行動履歴の一元表示などが該当します。これらを日常業務で使っている場合は、代替手段を用意しておく必要があります。
一方で、乗り換えによって得られるものもあります。HubSpotでは対応できなかった高度なカスタマイズ性、AIエージェントによる業務自動化、特定領域に特化した深い機能などが該当するでしょう。「何を失い、何を得るか」を並べて見比べることで、自社にとって割に合う乗り換えかどうかを判断できます。
既存データの移行しやすさとサポート体制を確認する
最後に確認するのが、データ移行の実務的な難易度とサポート体制です。ここは選定の締めくくりでありながら、移行プロジェクトの成否を大きく左右します。
確認ポイントは、CSV・APIによるインポートに対応しているか、HubSpotからの移行を支援する公式コネクタや移行パートナーがあるかです。CSVインポートだけに頼ると関連付けの再現に手間がかかる場合があり、APIやコネクタが使えると移行の負荷は大きく下がります。あわせて、日本語サポートの手厚さや導入支援の有無も確認しておくと、移行後に運用でつまずいたときの復旧が早くなります。
HubSpot代替ツール比較一覧
ここでは、この記事で紹介する主要な代替ツールを1つの表にまとめて紹介します。得意領域・最安料金・無料プランの有無・HubSpotから乗り換えた際の主な変化を横並びにすることで、自社の課題に合う候補群を一目で絞り込めます。
個別ツールの詳細は、この後の用途別セクションで乗り換え視点から解説します。
HubSpot代替ツール比較一覧
| ツール名 | 得意領域 | 最安月額料金 | 無料プラン・トライアル | HubSpotから乗り換えた際の主な変化 |
|---|---|---|---|---|
| Salesforce | 営業・MA・サポートの統合 | 月額0円/ユーザー(Free Suite)月額3,000円/ユーザー(Starter Suite) | 無料プラン、無料トライアルあり | 3領域を1環境に統合。高度なカスタマイズとAI自動化を得る代わりに初期設定の学習が必要 |
| Pipedrive | 営業パイプライン管理 | $24/シート(Liteプラン) | 無料トライアルあり | 営業に特化したシンプルさとコスト削減を得る代わりにMA・サポート機能を諦める |
| Zoho CRM | SFA・CRM | 月額1,760円/ユーザー(スタンダード) | 無料プラン、無料トライアルあり | 大幅なコスト削減を得る代わりにUIや日本語サポートの差異に慣れが必要 |
| Brevo | メール配信・MA | $9/月(Starter) | 無料プランあり | コンタクト数課金から送信数課金へ。連絡先の増加でコストが跳ねない構造に変わる |
| ActiveCampaign | メールマーケティング・MA | $15/月(Starter) | 無料トライアルあり | メール自動化と豊富な外部連携を得る一方でHubSpot固有の一体運用は再構築が必要 |
| Zendesk | カスタマーサポート | $19/エージェント(Support Team) | 無料トライアルあり | サポート専門機能の深さを得る代わりにCRM・MAとの一体運用は弱まる |
営業SFA・パイプライン管理に特化したHubSpot代替ツール
HubSpot Sales Hubの拡張性に限界を感じている場合、まず検討したいのが営業SFAに特化したツールです。パイプライン管理の柔軟性、カスタマイズ性、AIによる営業支援のレベルが選定の分かれ目になります。
ここでは3つの代替候補を取り上げます。営業・MA・サポートをまとめて代替できるSalesforceのAgentforce Sales(旧Sales Cloud)を筆頭に、比較対象としてPipedriveとZoho CRMを紹介します。
Agentforce Sales(旧Sales Cloud)
Agentforce Salesは、Salesforceが提供する営業支援に特化したクラウドサービスです。複数商材の見積連動や親子会社の階層管理など、HubSpot Sales Hubでは対応しきれなかった複雑な営業プロセスを柔軟なデータモデルで受け止められます。
Agentforce Salesの概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 運営会社 | 株式会社セールスフォース・ジャパン |
| サービス種別 | 営業SFA・パイプライン管理(クラウドサービス) |
| 主な利用者層 | 複雑な営業プロセスを持つ中小〜大企業 |
| 主な機能 | 商談管理、カスタムオブジェクト、業界別テンプレート、Agentforceによる営業自動化 |
| 料金 | 月額0円/ユーザー(Free Suite)月額3,000円/ユーザー(Starter Suite) |
Agentforce Salesは、業界別テンプレートと柔軟なカスタムオブジェクト設計を備えています。これにより、複数商材の見積連動や親子会社の階層管理など、HubSpotでは対応が難しかった複雑な営業プロセスにも対応できます。AIエージェントプラットフォームのAgentforceが商談の次のアクションを提案したり、定型作業を自律的に処理したりする点も、HubSpotにはない効率化につながります。
HubSpot Sales Hubから乗り換えると、まず得られるのがデータモデル設計の自由度と営業自動化です。Starter Suiteは月額3,000円/ユーザーから利用でき、HubSpot Sales Hub Starterと同等の価格帯でスモールスタートできます。
Agentforce Sales(旧Sales Cloud)の機能や活用イメージを動画で確認したい方は、こちらをご覧ください。
成長を目指す中小企業に。営業を強くする顧客管理ツール
商談の優先順位を明確にし、営業活動を効率化。AIが会議準備やフォローアップを支援し、成約までのスピードを高めます。
Pipedrive
Agentforce Salesが高度な拡張性を志向するのに対し、Pipedriveは営業パイプライン管理のシンプルさに振り切ったツールです。「多機能ゆえに使いこなせない」というHubSpotの悩みとは逆の方向で、乗り換えの選択肢になります。
Pipedriveの概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 運営会社 | Pipedrive |
| サービス種別 | 営業パイプライン管理(SFA) |
| 主な利用者層 | 営業プロセスをシンプルに管理したい中小企業 |
| 主な機能 | ビジュアルなパイプライン、活動管理、メール連携 |
| 料金 | $24/シート(Liteプラン)から |
PipedriveのLiteプランは$24/シート/月から利用でき、営業パイプラインに特化した直感的なUIを提供します。案件の進捗をドラッグ操作で動かせる画面設計で、営業担当者が迷わず使えます。
HubSpot Sales Hubから乗り換えると、得られるものは操作のシンプルさとコスト削減です。過剰な機能に費用を払っていた企業には合います。ただしPipedriveはMA・カスタマーサポート機能を持たないため、HubSpotの全機能を代替するにはBrevoやZendeskなど他のツールとの組み合わせが必要になります。
営業機能だけを切り出したい場合に合った選択です。
Zoho CRM
コストを重視するなら、Zoho CRMが有力な比較対象になります。SFA・CRM機能を低価格で提供する点が、HubSpotからの乗り換えで最も効きます。
Zoho CRMの概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 運営会社 | Zoho Corporation |
| サービス種別 | SFA・CRM |
| 主な利用者層 | コストを抑えたい中小企業・少人数チーム |
| 主な機能 | 商談管理、ワークフロー自動化、レポート、多数のZoho製品連携 |
| 料金 | 月額1,760円/ユーザー(スタンダード)から |
Zoho CRMのスタンダードプランは月額1,760円/ユーザーで、HubSpot Sales Hub Starterの約半額以下から利用できます。さらに3ユーザーまで永久無料で使えるため、少人数チームでの検証コストがゼロで済みます。乗り換えを本格的に決める前に、実データで使い勝手を試せる点は大きな利点です。
HubSpotから乗り換えた場合、最も大きく変わるのはコストです。同じ機能水準を大幅に安く運用できます。一方でトレードオフとして、HubSpotの洗練されたUIや日本語サポートの手厚さと比べると差があり、慣れるまでに時間がかかる場合があります。
コスト削減を最優先する企業に合った選択肢です。
マーケティングオートメーション(MA)に特化したHubSpot代替ツール
HubSpot Marketing Hubで悩みが集中しやすいのが、コンタクト数に応じて料金が上がる課金構造です。連絡先が増えるほど費用が膨らむため、MA領域の乗り換えでは、コンタクト数課金の有無・ワークフローの複雑度・CRM連携の深さが選定の分かれ目になります。
ここでは、Salesforce Account Engagement(旧Pardot)、Brevo、ActiveCampaignを紹介します。
Salesforce Account Engagement
Salesforce Account Engagement(旧Pardot)は、B2Bマーケティングの自動化に特化したクラウドサービスです。HubSpot Marketing Hubで感じやすかった「CRMとの連携の浅さ」を、Salesforce CRMとのネイティブ連携で解消できる点が乗り換えの軸になります。
Salesforce Account Engagementの概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 運営会社 | 株式会社セールスフォース・ジャパン |
| サービス種別 | MAツール |
| 主な利用者層 | 営業とマーケの連携を重視する中堅〜大企業 |
| 主な機能 | リードナーチャリング、スコアリング、Salesforce CRMネイティブ連携 |
| 料金 | 月額150,000円/組織(Growth+)から |
Growth+プランは月額150,000円/組織から利用でき、Salesforce CRMとネイティブに連携するため、リード獲得から商談化までのデータが一貫します。マーケティング施策の成果が営業データと分断されず、投資対象を判断しやすくなります。
HubSpot Marketing Hubと比べると価格帯は高くなります。その代わり、CRMとの連携の深さ、レポートの精度、エンタープライズ規模への対応力で上回ります。連絡先が数万件規模に達し、営業とマーケティングのデータ統合を重視する企業に向いた選択肢です。
SMB Marketing
中小・中堅企業の成果につながるマーケティングCRMツール
説明文:豊富なテンプレートやセグメント配信、自動化機能で適切な顧客に最適なタイミングでアプローチ。リード獲得から顧客との関係構築まで一貫した顧客体験を実現できます。
Brevo
コンタクト数課金そのものから逃れたい場合は、Brevoが直接の解になります。課金構造の違いが、HubSpotからの乗り換えメリットにそのまま直結します。
Brevoの概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 運営会社 | Brevo(旧Sendinblue) |
| サービス種別 | メール配信・MA |
| 主な利用者層 | 連絡先数が多くコストを抑えたい企業 |
| 主な機能 | メール配信、マーケティング自動化、SMS、コンタクト管理 |
| 料金 | $9/月(Starter)から |
BrevoのStarterプランは月額$9からで、無料プランでもコンタクト数は無制限です。課金は保有する連絡先の数ではなく送信数を基準にするため、HubSpotのコンタクト数課金からの移行で大幅なコスト削減が可能になります。連絡先が増えても保有コストが跳ねない構造は、リストを大きく育てたい企業ほど効きます。
乗り換えによって得られるのは、コスト構造の転換です。一方で、HubSpotのような営業・サポートとの一体運用は弱いため、MA機能を切り出して使う前提で検討するのが現実的です。
ActiveCampaign
メール自動化とCRM機能を一体で使いたい場合の比較対象がActiveCampaignです。BrevoがコストならActiveCampaignは自動化の細やかさに強みがあります。
ActiveCampaignの概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 運営会社 | ActiveCampaign |
| サービス種別 | メールマーケティング・MA |
| 主な利用者層 | 細やかなメール自動化を求める中小企業 |
| 主な機能 | メール自動化、CRM機能、豊富な外部アプリ連携 |
| 料金 | $15/月(Starter) |
ActiveCampaignはメール自動化とCRM機能を一体で提供し、1,000以上の外部アプリ連携に対応します。条件分岐の細かいシナリオを組みやすく、行動に応じたメール配信を自動化できます。
HubSpot Marketing Hubから乗り換えると、メール自動化の柔軟性と連携の広さを得られます。ただしHubSpot固有のフォームやコンタクトタイムラインとの一体運用は再構築が必要になるため、事前に代替手段を検討しておくと移行がスムーズです。
カスタマーサポートに特化したHubSpot代替ツール
HubSpot Service Hubのチケット管理に物足りなさを感じている場合、サポート特化ツールが選択肢になります。チケット管理の高度さ、AIボットの成熟度、マルチチャネル対応の幅が選定の分かれ目です。
ここでは、Agentforce Service(旧Service Cloud)とZendeskを紹介します。
Agentforce Service(旧Service Cloud)
Agentforce Serviceは、Salesforceが提供するカスタマーサポート特化のクラウドサービスです。HubSpot Service Hubのチケット管理では手が回らなかった問い合わせの自動処理を、AIエージェントで担える点が乗り換えの軸になります。
Agentforce Serviceの概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 運営会社 | 株式会社セールスフォース・ジャパン |
| サービス種別 | カスタマーサポート(クラウドサービス) |
| 主な利用者層 | 問い合わせ量が多く自動化を進めたい企業 |
| 主な機能 | ケース管理、ナレッジベース、Agentforceによる自動応答、マルチチャネル対応 |
| 料金 | 月額0円/ユーザー(Free Suite)月額3,000円/ユーザー(Starter Suite) |
Agentforce ServiceはAIエージェントプラットフォームのAgentforceが顧客の問い合わせを自動で分類・回答し、人間のエージェントに引き継ぐべきケースだけをエスカレーションします。定型的な問い合わせをAIエージェントが処理することで、担当者は複雑な案件に集中できます。
HubSpot Service Hubから乗り換えると、AIによる問い合わせ対応の自動化と、営業・マーケティングデータとの統合を同時に得られます。一方で、Salesforce全体の設定を前提とするため、サポート機能だけを軽く使いたい場合は導入の負荷を感じる可能性があります。顧客対応を全社の顧客データと結びつけたい企業に合った選択です。
Zendesk
サポート専門ツールとして深さを求めるなら、Zendeskが有力な比較対象です。カスタマーサポートに機能を集中させている点が特徴になります。
Zendeskの概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 運営会社 | Zendesk |
| サービス種別 | カスタマーサポート |
| 主な利用者層 | 問い合わせ対応を専門的に強化したい企業 |
| 主な機能 | チケット管理、ヘルプセンター、AIボット、マルチチャネル対応 |
| 料金 | $19/エージェント(Support Team)から |
ZendeskのSupport Teamプランは$19/エージェント/月から、Suite Teamは$55/エージェント/月からで、チケット管理・ヘルプセンター・AIボットを包括的に提供します。問い合わせ対応に必要な機能が段階的にそろっており、サポート部門の規模に合わせて拡張できます。
HubSpot Service Hubから乗り換えると、サポート専門ツールならではの機能の深さを得られます。ただしCRM・MAとの連携はHubSpotの一体運用に比べて弱まるため、顧客データを他部門と共有する仕組みは別途整える必要があります。サポート業務そのものを強化したい企業に合った選択肢です。
営業・MA・サポートをまとめて代替できるオールインワンツール
ここまで用途別に代替ツールを見てきましたが、営業・MA・サポートを別々のツールに分けると、部門間で顧客データが分断するリスクが生じます。同じ顧客の情報が3つのツールに散らばると、どこが最新か分からなくなります。この分断を避けたい場合は、3領域を1つの環境に統合できるオールインワン型のクラウドサービスが有効です。
その候補となるのがSalesforce Customer 360です。
Salesforce Customer 360
Salesforce Customer 360は、営業・マーケティング・サポートの顧客データを1つの環境に統合するクラウドサービスです。HubSpotの3つのHubが別々に担っていた機能を、1つの顧客データベースの上で一括して代替できます。
Salesforce Customer 360の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 運営会社 | 株式会社セールスフォース・ジャパン |
| サービス種別 | 営業・MA・サポート統合(クラウドサービス) |
| 主な利用者層 | 3領域をまとめて代替したい中小〜大企業 |
| 主な機能 | Agentforce Sales・Account Engagement・Agentforce Serviceの統合運用 |
| 料金 | 各Suite・製品の構成に準拠 |
Customer 360では、Agentforce Sales(Sales Hubの代替)、Account Engagement(Marketing Hubの代替)、Agentforce Service(Service Hubの代替)が同じ顧客データを共有します。営業が記録した商談履歴も、マーケティングの接触履歴も、サポートの問い合わせ履歴も、1人の顧客に紐づいて見えます。
HubSpotの3Hubをまとめて代替すると、統合管理とデータ連携の一貫性を得られます。その一方で、複数の製品を組み合わせて運用するため、初期設定と学習には相応の時間を見込む必要があります。分断のない顧客データを重視する企業にとっては、この学習コストに見合う統合効果が期待できます。
▶公式サイトはこちら
営業・マーケティング・サポートの顧客データをどのように統合できるのか、Customer 360の概要を動画で紹介しています。
HubSpot代替品としてSalesforceが選ばれる理由
HubSpotからの乗り換え先としてSalesforceが選ばれる背景には、3領域を1つの環境で代替できる統合性、スモールスタートから大企業まで対応する拡張性、そしてAIエージェントによる自動化があります。用途別ツールを組み合わせる方法と違い、データの分断を最初から避けられる点が大きな理由です。
乗り換えの具体的な理由と得られた効果は、この後の「HubSpotの代替ツールでSalesforceを検討すべき理由」で詳しく整理します。
Starter Suiteで、ビジネスをまるごと前に進めよう
営業・サービス・マーケティングをオールインワンで。AI搭載のCRMで、顧客管理をスモールスタートできます。
HubSpotから代替ツールへの移行手順
乗り換え先が決まったら、次は実際のデータ移行です。HubSpotからの移行は「引き継ぎ可能データの確認→無料トライアルでの検証→段階的な移行と現場への定着」の3ステップで進めることで、データ消失と現場の混乱を最小化できます。
移行手順の全体像は次の通りです。
- HubSpotのどのデータが引き継げるかを確認する
- 無料トライアルで操作感とデータ移行のしやすさを確認する
- 段階的に移行して現場への定着を優先する
それぞれのステップを具体的に見ていきます。HubSpotからSalesforceへの移行のように統合型への移行では、ガイド付きのオンボーディングが用意されているケースもあり、手順を追いやすくなります。
ステップ1:HubSpotのどのデータが引き継げるかを確認する
最初に、HubSpotから何を引き継げて、何を引き継げないかを整理します。ここを曖昧にしたまま移行を始めると、後から取り返しのつかないデータ消失につながります。
HubSpotのコンタクト・会社・取引・チケットのデータは、CSVでエクスポートできます。一方で、ワークフロー設定・メールテンプレート・レポート設定は移行先で再構築が必要です。引き継げるデータと再構築が必要な機能を、次のように分けて把握しておきます。
- CSVエクスポート可能:コンタクト、会社、取引、チケット
- 再構築が必要:ワークフロー、メールテンプレート、カスタムレポート、フォーム埋め込み
特に注意したいのが、CSVエクスポート時にコンタクトと会社の関連付け(Association)が消失する点です。これは最も修復が困難な落とし穴になります。関連付けを維持したまま移行したい場合は、CSVではなくAPIを使った移行を事前に検討しておいてください。
ステップ2:無料トライアルで操作感とデータ移行のしやすさを確認する
引き継ぎ範囲を把握したら、いきなり全データを移すのではなく、少量のテストデータで移行を検証します。この段階で問題を洗い出しておくと、本番移行での事故を防げます。
具体的には、100件程度のテストデータで移行検証を行います。コンタクト100件と、それに紐づく取引データを用意し、インポートと確認のサイクルを回します。このとき確認すべきは、フィールドのマッピングが正しいか、関連付けが再現されるか、カスタムプロパティが正しく変換されるかの3点です。
Salesforceの場合、無料トライアルとガイド付きのオンボーディングが用意されているため、テスト移行の手順を追いながら検証を進めやすくなっています。本番移行の前に、この検証を済ませておくことが重要です。
ステップ3:段階的に移行して現場への定着を優先する
テスト検証が済んだら本番移行ですが、全社一斉ではなく段階的に進めるのが安全です。一度に全部門を切り替えると、問題が起きたときの影響範囲が全社に及びます。
まず1つのチーム(たとえば営業部門)で移行を完了させ、そこで出た問題を洗い出して修正します。その後、2〜4週間の並行運用期間を設け、旧ツールと新ツールを併用しながら動作を確認します。この期間で問題がないことを確かめてから、次の部門へ展開してください。
旧ツールを完全に停止するのは、並行運用で動作確認が完了した後にします。この進め方なら、現場が新しいツールに慣れる時間を確保しながら、リスクを分散できます。
HubSpotからの移行で失敗しないためのポイント
中小企業では専任IT担当者がいないケースも多く、移行手順を踏んでも失敗するケースの大半は移行前の準備不足に起因します。リソースが限られる分、事前準備を整えることで、多くの失敗を防げます。
準備すべきは3点です。データのクレンジング、移行できない機能の棚卸し、そして現場のトレーニングです。順に見ていきます。
- 移行前にHubSpot内のデータを整理・クレンジングをしておく
- 移行時に設定を引き継げない機能を事前にリストアップする
- 現場スタッフへの周知とトレーニングを移行前に済ませる
1. 移行前にHubSpot内のデータを整理・クレンジングしておく
最初にすべきは、HubSpot内のデータを整理することです。汚れたデータのまま移行すると、代替ツール側でも同じ散乱が再現されてしまいます。
移行前に完了させておきたい作業は次の3つです。
- 重複コンタクトの名寄せ:同一人物が複数レコードに分かれていないか確認する
- 未使用プロパティの削除:使われていないカスタムプロパティを整理する
- 古い静的リストの整理:役目を終えたリストを削除する
これらを済ませないまま移行すると、不要なデータごと新ツールに持ち込むことになり、移行後の運用でも同じ問題を抱え続けます。クリーンな状態で移行することが、新環境をすっきり使い始める前提になります。
2. 移行時に設定を引き継げない機能を事前にリストアップする
データの整理と並行して、自動移行できない機能をリスト化しておきます。何が引き継げないかを把握しておかないと、移行後に「あの機能が使えない」と気づいて業務が止まります。
ワークフロー・シーケンス・カスタムレポート・HubSpotフォームは自動では移行できません。これらは代替ツール側で再構築が必要な機能として、事前に洗い出しておきます。各機能の再構築難易度の目安は次の通りです。
- ワークフロー・シーケンス:ロジックの再設計が必要で難易度が高い
- カスタムレポート:項目の対応付けを行えば再現しやすい
- HubSpotフォーム・CMS連携:代替の埋め込み手段の検討が必要
再構築の優先順位を先に決めておくと、移行直後から重要な業務フローを止めずに済みます。
3. 現場スタッフへの周知とトレーニングを移行前に済ませる
データと機能の準備が整っても、現場が新ツールを使えなければ移行は失敗します。トレーニングは移行後ではなく、移行前に済ませておくことが肝心です。
移行前に代替ツールの操作研修を実施し、主要な業務フローを一通り体験させておきます。コンタクトの登録、取引の作成、レポートの確認といった日常業務を事前に触っておけば、移行初日からの業務停滞を防げます。Salesforceの場合は、Trailheadという無料のオンライン学習を活用でき、現場スタッフが自分のペースで操作を習得できます。
研修を移行前に組み込むことで、切り替え当日の混乱を最小限に抑えられます。
ビジネスフェーズに合わせて、すぐに始められるCRM
Starter Suiteなら無料ですぐに始められ、チームでの活用も簡単。成長に合わせて柔軟にスケールできます。
HubSpotの代替ツールでSalesforceを検討すべき理由
ここまでの比較と移行検討を踏まえると、HubSpotの包括的な代替としてSalesforceが有力な理由は3つに整理できます。営業・MA・サポートの3領域をまとめて代替できる統合性、スモールスタートから大企業まで対応する拡張性、そしてAgentforceによるAI自動化です。
それぞれを順に見ていきます。
Sales Hub・Marketing Hub・Service Hubをまとめて代替できる唯一のプラットフォーム
Salesforceの第一の強みは、HubSpotの3つのHubを1つの環境でまとめて代替できる点です。用途別ツールを組み合わせる方法では避けられないデータ分断が、Salesforceでは起こりません。
Agentforce Sales(Sales Hubの代替)、Account Engagement(Marketing Hubの代替)、Agentforce Service(Service Hubの代替)が、1つの顧客データベースを共有します。営業・マーケティング・サポートが同じ顧客情報を見ながら動けるため、部門をまたいでも情報の食い違いが生じません。3領域を別々のツールに分けたときに起きるデータの散乱を、最初から回避できます。
スモールスタートから大企業まで同一プラットフォームで対応できる拡張性
第二の強みは、ビジネスの成長に合わせて同じ環境のまま拡張できる点です。HubSpotで問題になった「Starter→Professional移行時のコスト急騰」が、Salesforceの段階設計では緩和されやすくなります。
Salesforceは、無料のFree Suite(2ユーザーまで)から、Starter Suite(月額3,000円/ユーザー)、Pro Suite(月額12,000円/ユーザー)へと段階的に拡張できる設計です。必要なときに必要な分だけプランを上げられるため、機能が増えるタイミングで料金が一気に跳ねる負担を抑えられる場合があります。少人数で無料から始め、組織の成長に合わせて拡張していけるのは、HubSpotの限界に直面した企業にとって現実的な移行パスになります。
AgentforceによるAI自動化でHubSpotにはない業務効率化を実現できる
第三の強みが、AIエージェントプラットフォームのAgentforceによる業務自動化です。Agentforceは全Salesforceプランに標準搭載されており、追加費用なく利用できます。
また、Agentforceは、案件創出・顧客対応・データ分析といった業務を、AIエージェントが自律的に遂行します。商談機会の掘り起こしや問い合わせの一次対応をAIエージェントが担うことで、担当者はより判断が必要な業務に集中できます。HubSpotのBreeze AIが主に既存機能の支援にとどまるのに対し、Agentforceは複数のAIエージェントが業務そのものを自律的に進める設計です。
追加費用なしで全プランに含まれる点も、コストを抑えたい企業には効きます。
HubSpotの料金高騰や拡張性の限界に直面しているなら、営業・MA・サポートを1環境に統合し、無料から段階的に拡張できるSalesforceが、乗り換え後の運用を安定させる選択肢になります。まずは無料のFree Suiteで操作感を確かめ、自社の課題領域に合うかどうかを検証してみてください。
Agentforceがどのように業務を自律的に支援するのか、実際の活用イメージは以下の動画をご覧ください。
Salesforce CRMをずっと無料で使えます。
Starter Suiteなら無料ですぐに始められ、チームでの活用も簡単。成長に合わせて柔軟にスケールできます。
HubSpotの代替ツールに関するよくある質問
最後に、HubSpotの代替ツール検討で頻出する5つの質問に答えます。
HubSpotから乗り換えると費用はどう変わりますか?
乗り換え先によりますが、コスト削減になるケースが多く見られます。たとえば5名チームでHubSpot Professional以上を利用している場合、Salesforce Starter Suite(月額3,000円/ユーザー)やZoho CRM Standard(月額1,760円/ユーザー)への乗り換えで、月額費用を抑えられる可能性があります。
ただし、ライセンス料金だけでなく移行工数や再構築費用も含めた総コストで比較することが大切です。
無料で使えるHubSpot代替ツールはありますか?
あります。主な無料代替ツールは次の通りです。
- Salesforce Free Suite:2ユーザーまで永年無料
- Zoho CRM:3ユーザーまで永久無料
- Brevo:無料プランあり(1日300通の送信上限)
無料プランには機能やユーザー数の制限があるため、本格運用の前に自社の用途で足りるかを確認してください。
HubSpotとSalesforceの最大の違いは何ですか?
最大の違いは、拡張性とカスタマイズの自由度です。HubSpotは導入の手軽さとインバウンドマーケティングに強みがあります。一方のSalesforceは、組織の複雑性に合わせた高度なカスタマイズと拡張に強みがあります。
シンプルにすばやく始めたいならHubSpot、複雑な要件に合わせて作り込みたいならSalesforce、という使い分けが目安になります。
HubSpotのデータ移行はどのくらい手間がかかりますか?
チーム規模によって異なります。小規模チーム(10名以下)で4〜8週間、中規模以上で2〜3か月が目安です。最も工数がかかるのは、ワークフローやレポートの再構築です。
データのエクスポート自体は短時間で済みますが、機能の再構築に時間を要します。具体的な進め方は「HubSpotから代替ツールへの移行手順」を参照してください。
中小企業がHubSpotから乗り換えるときに注意すべき点は何ですか?
中小企業は移行リソースが限られるため、負荷の分散が特に重要になります。段階的移行で一度の負担を抑え、代替ツールの無料トライアルで事前検証し、導入パートナーを活用することがポイントです。
専任のIT担当がいない場合は、ガイド付きのオンボーディングや無料の学習環境が用意されたツールを選ぶと、自社主導でも移行を進めやすくなります。Salesforceのガイド付きセットアップやTrailheadは、中小企業が移行を進める際の支援策として活用できます。
本記事に掲載している各ツールの料金・機能・サービス内容は、記事執筆時点(2026年7月)の情報にもとづいています。最新情報は各社の公式サイトをご確認ください。また、本記事に掲載している他社製品・サービスに関する情報は、各社の公開情報をもとに作成しています。掲載情報の完全性・正確性を保証するものではありません。各製品の詳細・正確な仕様については、各社に直接お問い合わせください。














