組織で働く以上、意見の対立や人間関係の摩擦は避けて通れません。
立場や価値観の違いから生まれる「コンフリクト(衝突)」は、職場の雰囲気を悪化させ、業務の停滞や離職につながるリスクもあります。
組織内で対立が生じた際に、重要になるのが「コンフリクトマネジメント(対立管理)」という考え方です。
対立をムリに排除するのではなく、適切に扱い、組織の成長につなげるアプローチとして注目されています。
本記事では、コンフリクトマネジメントの意味や具体的な原因、解決ステップ、注意点までをわかりやすく解説します。
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目次
コンフリクトマネジメントとは組織内の対立を解決させるマネジメント方法

コンフリクトマネジメントとは、組織やチーム内で生じる対立や衝突を、排除せずに建設的に解決へと導くマネジメント手法です。
対立を避けるのではなく適切に管理することで、関係性の悪化を防ぎつつ、生産性の向上や新たな価値の創出にもつながります。
多様な価値観や立場が混在する職場では、意見の食い違いは避けられません。
しかし、対立した従業員同士を放置すると関係性が悪化し、生産性やモチベーションの低下につながります。
そのため、対立を「創造的な対話のチャンス」と捉える姿勢が重要です。
コンフリクトマネジメントでは、以下のようなプロセスを実施します。
| 対応策 | 内容 |
|---|---|
| 利害や目的の整理 | 双方の立場を可視化し、共通する目標を確認する |
| 中立的立場の介入 | 感情的な対立を避けるため、ファシリテーターが仲介する |
| 妥協点や合意の形成 | 両者が納得できる着地点を設け、協力体制を再構築する |
一時的な衝突を成長の機会に変えることで、長期的な信頼関係と生産性向上を実現できます。
リーダーやマネージャーは、積極的にスキルを習得し、チーム運営に活かしていくようにしましょう。
コンフリクトマネジメントの3つの原因

コンフリクトの原因はひとつではなく、主に3つに分類されます。
- 条件の対立
- 感情の対立
- 認知の対立
それぞれ異なる背景や解決方法をもっています。順番に見ていきましょう。
条件の対立
条件の対立とは、業務の進行や成果に関わる客観的な条件が食い違うことで起こる対立です。
主な事例として、納期や予算・人員などのリソース不足や分配に対する不公平感が挙げられます。
よくある条件対立の具体的な例は以下の通りです。
- 部署間のリソース争奪
- 目標設定の食い違い
- 曖昧な業務ルール
たとえば、営業部が納期短縮を求める一方で、開発部は品質確保に時間をかけたいなど、目標や制約の違いが組織内の食い違いを生み出します。
また、組織の方針やルールが曖昧な場合、各部署の責任範囲や優先順位が不明確となり、条件面での衝突も少なくありません。
対立を防ぐには、上層部が全体の目標を整理し、各部署の役割や資源配分を明確にしておく必要があります。
感情の対立
感情の対立は、業務上の利害関係よりも、人間関係のなかで生じる感情的なすれ違いが原因です。
小さな不満や誤解が蓄積し、やがて嫌悪感や不信感として表面化します。
感情の対立には下記のようなタイプがあります。
| 対立時の対応タイプ | 特徴 |
|---|---|
| 強制 | 自分の意見を一方的に押し通す |
| 服従 | 相手に合わせて自己主張を抑える |
| 妥協 | お互いが譲歩して折り合いをつける |
| 回避 | 対立そのものを避けて関与しない |
| 強調(協調) | 両者の利益を最大化しようとする |
「自分だけが我慢している」「相手の態度が冷たい」といった主観的な印象が根を張り、状況が悪化しやすくなります。
感情の対立は、事実や条件ではなく、個人の感情に深く根ざしているため、解決に時間がかかる傾向があります。
そのため、表面的な問題ではなく、根底にある気持ちの理解と整理が不可欠です。
定期的な1on1やフィードバック面談を通じて、対話の場を設け、未然に深刻な対立を防ぎましょう。
認知の対立
認知の対立とは、情報の受け取り方や物事の判断基準が人によって異なることで生じる衝突です。
同じ出来事に対しても、価値観や立場が異なれば、見方は大きく変わります。
| 認知のズレが起こる場面 | 具体例 |
|---|---|
| 立場の違い | 経営層 vs 現場社員 |
| 専門性の違い | エンジニア vs マーケター |
| 経験年数の違い | ベテラン vs 新人 |
たとえば、効率重視のマネージャーと安全第一の現場担当者とでは、リスクへの許容度や優先順位が食い違うことがあります。
認知の対立は、明確な悪意があるわけではなく、背景となる知識・経験・文化の違いから自然に発生します。
認識のズレを埋めるには、共通の目的意識をもつことが重要です。
共通言語を増やす努力や、議事録共有、ビジョン共有をもとに情報の透明性を高める工夫によって、認識のギャップは縮まりやすくなります。
コンフリクトマネジメントの3つのメリット

コンフリクトマネジメントは、単に衝突を回避するための手法ではなく、組織全体の健全な成長や成果の最大化に貢献する重要なマネジメントです。
意見の対立を適切に扱うことで、対話が活性化し、革新的なアイデアが生まれる環境が整います。
コンフリクトマネジメントには以下の3つのメリットがあります。
- オープンに話し合える組織になる
- 離職率低下につながる
- 創造性・イノベーションが生まれる
ここでは3つの観点から、コンフリクトマネジメント導入のメリットを解説します。
1. オープンに話し合える組織になる
コンフリクトマネジメントを導入することで、職場全体にオープンな対話文化が根づきます。
対立を否定せず、正面から向き合う姿勢が組織に浸透すると、「意見を言っても否定されない」「本音を話しても大丈夫」という信頼感が生まれるでしょう。
そして、話し合える組織になると、課題やアイデアが早期に共有され、意思決定の質とスピードが向上します。
オープンな対話は、単なる会話ではなく、組織の風土を変える要因になります。
管理職が率先して対話の場を設け、話せる空気を作るようにしましょう。
2. 離職率低下につながる
コンフリクトマネジメントによって、対立や摩擦への適切な対応を行えば、社員の離職を防ぐことにもなります。
職場の対立や摩擦を適切に解消できない状態が続くと、社員の不満が蓄積され、やがて離職につながります。
コンフリクトマネジメントによって、意見や感情を丁寧にすくい上げる体制が整えば、社員の心理的な負担が軽減され、安心して働ける環境になります。
結果として、職場への満足度や帰属意識が高まり、離職率の改善へとつながるのです。
離職防止には報酬や制度も大切ですが、人間関係や心理的な満足感に配慮した組織設計こそが、優秀な人材の定着につながります。
関連記事:コールセンターの離職率を下げるためのポイント | セールスフォース・ジャパン
3. 創造性・イノベーションが生まれる
対立はネガティブに捉えられがちですが、新しい発想や価値を生み出すきっかけにもなります。
異なる価値観や立場がぶつかることで、それぞれの視点が浮き彫りになり、新たなアイデアが生まれやすくなるのです。
コンフリクトマネジメントによって対立を建設的に扱う文化が育つと、多様な意見が歓迎され、試行錯誤を許容する「創造の土壌」が整います。
衝突を前向きに捉える組織こそが、変化の激しい時代に生き残り、飛躍していきます。
自発的な創造性・イノベーションを生み出したい組織は、コンフリクトマネジメントを進めていきましょう。
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コンフリクトマネジメントの5つのステップ・解決方法

コンフリクトマネジメントを効果的に進めるには、段階的なアプローチが必要です。
とくに、感情や利害が絡む対立は、感覚だけで対応しても解決しません。
ここでは、対立が発生した際に組織として取るべき5つのステップを、実践的な観点から解説します。
- 状況把握
- 対立している者同士で話し合いの場を設ける
- 第三者がコミュニケーションに加わる
- コンフリクトの原因を把握する
- 解決案を提示する
順番に見ていきましょう。
1. 状況把握
コンフリクトを解決するには、まず事前の情報整理が大切です。
当事者の感情や状況を把握せずに進めると、誤解が広がったり、対話が上手くいかなったりする可能性があります。
そのため、話し合いの前段階で関係者にヒアリングを行い、問題の背景や意見の食い違いを整理しておきましょう。
状況を把握する際のポイントは以下の通りです。
- 各当事者から意見を収集する
- 対立の原因や論点を明確にする
- メモ・資料で事実を整理しておく
状況把握を行うことで、対話のゴールが明確になり、冷静な話し合いが可能になります。
感情論での話し合いに陥らないためにも、客観的なデータや第三者視点での整理が大切です。
2. 対立している者同士で話し合いの場を設ける
状況を整理したら、当事者同士が直接話し合う場を設けましょう。
一方的に状況を判断したり第三者に委ねる前に、本人同士が率直に立場や感情を伝え合うことで、初期段階の歩み寄りが生まれやすくなります。
建設的な対話を行うためには、以下の3つのポイントを意識しましょう。
- 会話のルールを決めておく
- 感情と事実を切り分ける
- 共通の目的を確認する
話す順番や発言のタイミングなど、基本的なルールを共有しておくことで、話し合い中のストレスや混乱を防げます。また、主観的な感情と客観的な事実を混同しないよう意識することで、冷静で前向きなやり取りが可能になります。
さらに、対話の目的を共有しておくことも大切です。対立しているように見えても、「組織にとってどうあるべきか」という視点を持つことで、協力的な解決策を導きやすくなります。
3. 第三者がコミュニケーションに加わる
当事者だけでは対話が難しい場合は、信頼できる第三者が介入することで解決の糸口が見えてきます。
組織として意見が対立した際に中立的な立場で調整や仲介を担う第三者的な役割をあらかじめ明確化しておくと、問題が大きくなる事態を未然に防げます。
調整役には、上司や人事、場合によってはファシリテーターや外部専門家が担い、役割は以下の通りです。
- 感情のクールダウンを促す
- 事実の整理をサポートする
- 解決策の仲介をする
ポイントは「中立性」と「俯瞰的な視点」で、双方の主張や感情を整理し、公正に場をリードすることです。
特定の人に依存しない体制づくりは、安定したマネジメントに不可欠であり、信頼できる第三者はその仕組みを支える重要な存在となります。
4. コンフリクトの原因を把握する
話し合いを通じて、対立の本質を明確にしていきます。
単なる意見の違いに見えても、利害の不一致や誤解が潜んでいるケースが多いため、原因を深掘りする必要があります。
対立のよくある原因は以下のとおりです。
- 予算・納期・責任範囲のズレ
- 不満や不信の積み重ね
- 情報や価値観の受け取り方の違い
問題の可視化は、解決のための土台づくりで、関係者全員で共通理解をもつことが求められます。
曖昧な部分を放置せず、論点を明確にする姿勢を意識しましょう。
5. 解決案を提示する
最後に、複数の解決案や妥協案を出し合いながら、双方が納得できる着地点を見つけます。
重要なのは、合意形成だけでなく、決まった内容を現場で実行し、行動に落とし込むところまで見据えることです。
合意内容は文書化し、関係者の共通認識とすることで、対立の再発防止にもつながります。
信頼関係を維持・強化していくためには、合意を守る姿勢を徹底する文化づくりが大切です。
コンフリクトマネジメントの注意点

コンフリクトマネジメントを成功させるには、解決のステップだけでなく「やってはいけないこと」にも注意が必要です。
対話の場は繊細であり、進め方をひとつ間違えるだけで、関係の悪化や組織の分断を招きかねません。
以下の3つの注意点を意識することで、対立を円滑に解消し、信頼を守るマネジメントが可能になります。
- 相手を侮辱する姿勢をしない
- 適切なタイミングでヒアリングする
- 思いやりをもって対応する
順番に見ていきましょう。
相手を侮辱する姿勢をしない
コンフリクトマネジメントの場では、相手の人格や感情を否定する発言は厳禁です。
侮辱や非難の言葉が相手の防御反応を引き起こし、対話の場が感情的な争いに変わってしまいます。
NGな対応例は以下の通りです。
| NG対応例 | 改善例 |
|---|---|
| お前のせいだ | この状況をどう改善できるか一緒に考えたい |
| そんなの常識だろ | この点について違う考えもあると思う |
| 全然わかってないな | どう捉えていたか教えてもらえる? |
意見を述べる際には人ではなく、行動や事実にフォーカスしましょう。
「あなたはいつもダメだ」ではなく、「この場面でこの対応が課題に感じた」といった伝え方が大切です。
冷静かつ丁寧な言葉遣いで、相手を不快にさせない話し合いを意識しましょう。
適切なタイミングでヒアリングする
対立が表面化した際に、すぐに話し合いをはじめるのは逆効果になることがあります。
感情が高ぶっている状況では、冷静な意見交換ができず、誤解やさらなる衝突を招きやすいからです。
そのため、クールダウンの時間を設け、両者が落ち着いて話せるタイミングを見極めることが大切です。
| 注意すべきタイミング | 対応例 |
|---|---|
| 感情的な言動が見られるとき | 一旦距離をおき再設定 |
| 忙しさや混乱がピークのとき | 落ち着いた場での対話を調整 |
| 小さな不満が見えたとき | 1on1や雑談で早めに声をかける |
深刻化する前の小さな兆しを見逃さず、落ち着いて丁寧に対応することが、タイミングを逃さない要因となるでしょう。
関連記事:ビジネスにおけるヒアリングとは?流れや効果的に行う方法などを解説
思いやりをもって対応する
コンフリクトマネジメントにおいては、相手への思いやりをもつことが大切です。
対立の裏にはある個々の事情や背景を無視して、解決策だけを押し通すと表面的な合意しか得られないからです。
相手の立場に立ち、丁寧に意図を汲み取ることで、信頼と納得感のある解決が可能になります。
思いやりをもった対話を実践するためには、具体的な行動に落とし込むことが大切です。以下のような姿勢を意識することで、相手との信頼関係を築きやすくなります。
- 言葉選びに配慮する
- 相手の話を丁寧に聞く
- 共通の目的を意識する
「自分が正しいかどうか」ではなく、「相手とどう歩み寄れるか」を重視し、共感をもって冷静に対話する姿勢が、双方が納得できる解決につながります。
コンフリクトマネジメントが起こりやすい具体例

コンフリクトマネジメントは業界や職種を問わず必要とされる考え方です。
ここでは、現場で発生しやすい対立と乗り越え方について具体例を3つ紹介します。
- 医療現場
- 営業・BtoB業界
- Web制作・IT
問題の本質を捉え、仕組みやコミュニケーションを改善することで、組織の力に変えていったプロセスに注目してください。
医療現場
医療現場では、医師と看護師の間で判断基準や処置の優先順位をめぐる対立が発生しやすく、すれ違いが生じやすいです。
たとえば、緊急対応の場面で「なぜその判断になったのか」が十分に共有されていないと、看護師側に疑問や不安が残り、現場に緊張感が生まれることもあります。
原因は、医師の意図や判断の背景が共有されず、納得感をもてないことが主な要因です。
そのため、定期的なカンファレンスを導入し、処置の意図を医師が丁寧に説明する機会を設ける対策が有効です。
看護師からも現場の声や懸念を共有できる場を作ることで、相互理解が進みやすくなります。
立場を問わず意見を言いやすい環境が整えば、日常的な連携もスムーズになり、結果としてチーム全体のパフォーマンス向上にもつながります。
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営業・BtoB業界
BtoBの営業現場では、部署間の連携不足が摩擦を生むことがあります。
たとえば、新人営業が「提案が通らないのは社内サポートが遅いため」と不満を抱いているとします。
一方でサポート側は「営業準備が不十分に感じている」といったすれ違いが見られるケースです。
対立を防ぐために、営業プロセスをあらためて洗い出し、業務の流れや責任の所在を可視化するアプローチが考えられるでしょう。
双方の役割と課題をKPIに落とし込み、連携の成果も評価制度に反映させるなど、「個人の問題」ではなく「仕組みの改善」として対応する視点が重要です。
仕組みを変える取り組みによって、対立は責任の押し付け合いから、建設的な改善提案へと変わりやすくなるでしょう。
Web制作・IT
IT業界の現場では「スピード重視」のディレクターと「品質重視」のエンジニアが対立する構図がしばしば見られます。
たとえば、プロジェクト終盤で「このまま納品するか、品質を優先して調整時間を取るか」といった判断で意見が分かれるケースです。
ズレを防ぐには、プロジェクト初期の段階で「納期優先か、完成度優先か」といった方針を明確にし、関係者全体で認識をすり合わせておくことが有効です。
また、品質基準や納品定義をあらかじめ明文化しておくと、感覚の違いによるトラブルを減らせます。
役割の違いを尊重し合いながら合意形成を進める姿勢が、スムーズな連携とゴールの達成を後押ししてくれるでしょう。
まとめ:コンフリクトマネジメントは組織が強くなるチャンスに

コンフリクトマネジメントは、単なる「対立回避」ではなく、組織が成長するチャンスです。
意見の衝突を前向きに捉え、企業の構造的な改善や従業員の心理的安全性の向上につなげられます。
事例のように、日々の現場にこそ改善のヒントが隠れています。
組織としては、マネージャー層に向けた研修や、定期的な対話の仕組みを導入することが有効です。
実践的なコンフリクトマネジメントを通じて、より強いチームを目指しましょう。
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