SLG(Sales Led Growth:セールスレッドグロース)とは、営業担当者が主導となり、顧客のニーズにあわせてプロダクトを提案・販売するビジネスモデルです。
この戦略は、効果的に売上を伸ばす手法として注目されていますが、PLGとの違いや、導入時のメリット・デメリットについて理解が浅い方も多いのではないでしょうか。
本記事では、SLGの基本的な概念から実際の成功事例までを徹底解説します。SLGの導入を検討している方は、ぜひご一読ください。
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目次
SLG(セールスレッドグロース)とは

SLG(Sales Led Growth:セールスレッドグロース)とは、営業担当者が主導となり、顧客のニーズにあわせてプロダクトを提案・販売するビジネスモデルのことです。
営業チームは顧客に直接アプローチし、新規顧客の獲得や既存顧客へのアップセル・クロスセルを推進します。
アップセルは、顧客が購入しようとしている商品よりも高価な商品を提案・販売することです。クロスセルは、顧客が購入を検討している商品に関連する別の商品を一緒に提案・販売することです。
SLGは、顧客との信頼関係を築きながら売上向上を目指す戦略であり、企業の成長を支える重要な手段として、多くの企業に採用されています。
アップセル・クロスセルについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
関連記事:アップセル・クロスセルとは?違いや活用方法、成功事例を紹介
SLGとPLG(プロダクトレッドグロース)の違い
SLGとPLGはどちらも企業の成長戦略ですが、アプローチ方法が大きく異なります。
PLG(Product-Led Growth:プロダクトレッドグロース)は、プロダクト自体が企業の成長を牽引するビジネスモデルです。
無料プランやトライアルを通じて顧客を獲得し、有料プランへと誘導する戦略で、多くのSaaSサービス(例:Slack、Zoomなど)で導入が進んでいます。PLGでは、営業担当者が直接的なセールスを行わなくても、プロダクト自体が解約率低下やアップセル・クロスセルを促進する点が特徴です。
一方でSLGは、営業担当者が主導で顧客に直接アプローチし、プロダクトを販売します。営業担当者のスキルやノウハウが成果に大きく影響するものの、顧客との信頼関係を構築しやすいのが特徴です。
また、PLGは短期間での成果を重視する一方、SLGは長期的な信頼関係の構築を目指す点も異なります。
上記のように、SLGとPLGには明確な違いがあるため、自社の商材やビジネスモデルに適した戦略を選択することが重要です。
PLGについては以下の記事で詳しく解説しています。こちらもあわせて確認しておきましょう。
SLGを導入する2つのメリット

SLGを導入することで、企業は次のようなメリットを得られます。
- 顧客の特性に応じたアプローチができる
- 顧客との信頼関係を構築しやすい
それぞれのメリットについて詳しく確認していきましょう。
1.顧客の特性に応じたアプローチができる
SLGを活用することで、顧客一人ひとりの特性に応じた営業活動が可能となり、営業成果の向上が期待できます。たとえば、顧客の年齢、業界、役職などの属性をもとに、柔軟にアプローチすることが可能です。
SLGの強みは、顧客一人ひとりの状況にあわせてアプローチを変えられる点です。個別対応により、営業活動の精度を高められるため、新規契約の獲得や成約率の向上が期待できます。
2.顧客との信頼関係を構築しやすい
SLGの営業活動では、営業担当者が顧客と直接接する機会が多いため、信頼関係を構築しやすいという特徴があります。
たとえば、顧客がサービスや商品に対して疑問や不安を抱えている場合、担当者が個別にフォローアップを行うことで、顧客に安心感を提供できるでしょう。こうしたきめ細かな対応が、信頼関係の強化につながるのです。
顧客は、信頼している担当者からの提案には前向きに応じる傾向があります。そのため、信頼関係を構築できていれば、提案が受け入れられやすく、アップセルやクロスセルの成功率が高まります。また、契約終了時に適切なフォローアップを行うことで、解約リスクを低減させ、長期的な取引関係へと発展させることも可能です。
SLGの導入により、営業担当者と顧客の関係が深まり、継続的な取引の促進が期待できます。
SLGを導入する3つのデメリット

SLGを導入することで営業成果の向上が期待できる一方、以下のデメリットに注意が必要です。
- 営業活動が属人化しやすい
- 営業活動に多くの時間と労力を要する
- 製品・サービスの価格が高くなりやすい
導入前にどのようなリスクがあるかを把握したうえで、対応策を考える必要があります。それぞれのデメリットについて詳しく見ていきましょう。
1.営業活動が属人化しやすい
SLGでは、営業担当者個人に多くの権限が委ねられるため、営業活動が担当者に依存するケースが多く見られます。営業活動が属人化すると、顧客の情報や進捗状況が担当者ごとに管理されるため、チーム内での情報共有が難しくなります。万が一担当者が休職や退職した場合、顧客対応が滞ることもあるでしょう。
営業成績が担当者のスキルや経験に左右されるため、個々のパフォーマンスにバラつきが生じると、売上が不安定になることもあります。
SLGを導入する際は、全社的な管理体制を整備し、営業情報の共有を徹底することが重要です。
2.営業活動に多くの時間と労力を要する
SLGでは、顧客一人ひとりにパーソナライズされたアプローチを取るため、営業活動に膨大な時間とリソースを費やす必要があります。
個別対応が求められるため、営業プロセスが長期化しやすく、効率的に案件を進めることが困難です。複数の案件を同時に処理する場合は、担当者の負担がさらに大きくなります。その結果、営業効率が低下し、売上の成果が期待通りに出ないこともあるでしょう。
このような状況では、単純に数をこなす営業活動よりも、計画的かつ戦略的なアプローチが必要となります。時間とリソースの配分を慎重に考慮することが、SLG導入のポイントのひとつです。
3.製品・サービスの価格が高くなりやすい
SLGでは、営業担当者が顧客に個別対応するため、人件費が上昇します。追加コストを補うために、企業は製品・サービスの価格を引き上げなければなりません。
しかし、価格が高くなると、顧客の購買障壁が高くなり、契約に至らないリスクが増加します。顧客の意思決定に時間がかかるようになるため、営業効率が低下する可能性もあります。
SLGの効果を最大限に引き出すためには、価格の上昇を抑える工夫が必要です。
Salesforceでは、SLGの成果をさらに引き出すために役立つ資料3点セットを提供しています。ぜひダウンロードして、さらに効果的な戦略を実践しましょう。
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SLGを導入した企業の成功事例
SLGを戦略的に取り入れて急成長を遂げた企業の代表例として『Salesforce』が挙げられます。Salesforceは、主に顧客関係管理(CRM)ソフトウェアを提供するSaaS企業です。
同社はSLGを中心に、営業活動やマーケティング、サービス提供を一体化させ、顧客中心のアプローチを強化しました。営業チームは、潜在顧客の発掘から商談成立に至る一連のプロセスを通じて、ニーズに応じた最適な提案を行い、製品やサービスの価値を効果的に伝えることに注力しました。
上記の戦略により、Salesforceは急速に市場でのシェアを拡大し、現在では世界的な企業へと成長しています。
SLGの実現に必要な組織体制

SLGの成功には、営業プロセスをひとりの担当者がすべて担うのではなく、部門ごとに専門的な役割をもつ分業体制が欠かせません。この体制は「THE MODEL」と呼ばれ、営業活動を細分化し、各部門が異なる役割を担います。
The Modelの営業プロセスは、次の4段階に切り分けられます。
- マーケティング
- インサイドセールス
- フィールドセールス
- カスタマーサポート
各プロセスをそれぞれ見てみましょう。
The Modelの詳細は「5つの短編動画で学ぶ!SaaSビジネス成功の基礎「The Model」」の動画でも解説していますので、ぜひチェックしてみてください。
マーケティング
SLG戦略は、マーケティング部門によるリード(見込み顧客)の獲得から始まります。
マーケティングの段階では、ターゲット市場を詳細に調査し、顧客が求める価値やニーズを把握することが欠かせません。市場調査を通じて、顧客の行動パターンや購買傾向を明確にし、適切なアプローチを設計することが重要です。
たとえば、WebサイトのSEO最適化やSNS運用、Web広告を活用して認知度を高め、見込み顧客にリーチします。セミナーや展示会などのオフライン施策も積極的に活用し、オンラインとオフラインの両方でアプローチを強化することがポイントです。
マーケティングは顧客と初めて接点をもつ部門であり、最適なリードをインサイドセールスへと引き継ぐ役割を担います。
マーケティングやリードの概要については以下の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
関連記事:
・マーケティングとは?実施する目的や戦略の立て方を初心者向けに解説
・リード(見込み顧客)とは?マーケティング・営業での意味・種類から獲得方法と育て方を解説
インサイドセールス
インサイドセールスは、マーケティング部門が獲得したリードの育成と商談創出を行う部門です。主に電話やWeb会議、メールを通じて、見込み顧客と非対面で関係を構築します。
このプロセスでは、リードの関心度をもとにアプローチを個別に最適化することが重要です。具体的には、高い関心を示すリードには迅速に商談の提案を行い、関心が低いリードには定期的に価値のある情報を提供するなど、リードの反応に応じた柔軟な対応が求められます。
インサイドセールスは、顧客の反応を見極めて商談につながるリードを精査し、次のステップであるフィールドセールスへと引き継ぐ役割を担います。
インサイドセールスやリードの育成方法に関心がある方は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:
・インサイドセールスとは?基礎知識と組織の作り方・ポイントを解説
・リードナーチャリングとは?4つのプロセスと実践的な手法を紹介
フィールドセールス
フィールドセールスは、インサイドセールスが育成したリードと直接商談を行い、契約へと導く役割を担います。商談は主に対面で行われますが、オンライン商談が増加している昨今では、リモートでの商談も重要な手段となっています。
フィールドセールスの主な仕事は、顧客のニーズに応じた提案を行い、課題解決を図ることです。商談中には顧客の承認手続きのサポートや、決裁者に向けたプレゼンテーションを行う場合もあります。そのため、顧客に対する深い理解と優れた提案力が求められます。
フィールドセールスについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
関連記事:フィールドセールスとは?効率化させるインサイドセールスとの連携
カスタマーサクセス
カスタマーサクセスは、契約後の顧客との長期的な関係構築を担当する部門です。顧客が自社の製品やサービスを最大限活用できるようサポートします。
具体的には、顧客の利用状況を分析して、活用促進のための提案を行います。顧客に対してアップセルやクロスセルの機会を提供し、継続的な関係の構築を図ることもカスタマーサクセスの重要な役割です。
カスタマーサクセスの概要や運用のポイントについては、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:カスタマーサクセスとは?5つのKPIや業務内容、成功事例も解説
SLGの実現にはデジタルツールの活用が効果的

SLGの実現には、部門間の情報共有と連携が欠かせません。マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールスなどの各部門が緊密に連携することで、より効果的な営業活動が可能となります。
しかし、手作業での情報共有は効率が悪く、営業活動に支障をきたす可能性があります。そこで、次のようなデジタルツールを活用することが効果的です。
- MA(マーケティングオートメーション)
- SFA(営業支援システム)
- CRM(顧客関係管理)
たとえば、Salesforceの『Marketing Cloud』と『Sales Cloud』を活用すれば、顧客情報を一元管理し、マーケティングと営業活動をシームレスに連携できます。その結果、営業チームは必要な情報をタイムリーに取得でき、顧客対応により多くのリソースを集中できるようになります。
デジタルツールを活用することで、営業活動の効率化が進み、SLGの成果向上につながるのです。
MA・SFA・CRMの違いや活用方法については、以下の記事を参考にしてみてください。
関連記事:SFA・CRM・MAの違いや活用方法とは?連携のメリットや事例も解説
AIとの連携でさらなる営業成果を達成
さらなる営業成果を達成するためには、デジタルツールにAI技術を組み合わせることが効果的です。
AI技術は、顧客の行動データをリアルタイムで分析し、営業活動に役立つインサイトを提供してくれます。AIを活用することで、営業担当者は効率的にターゲットを絞り込み、より効果的なアプローチができるようになります。
たとえば、Salesforceの『Einstein』は『Sales Cloud』に組み込みのできるAI機能です。予測分析やレコメンデーション機能を活用し、営業担当者が最適なタイミングで効果的なアクションを取れるようサポートします。商談の成功率を高め、さらなる営業成果の達成に寄与します。
AIは、時間とリソースを効率的に活用し、SLGの強化と営業活動の最適化を支援する重要なツールです。デジタルツールとAIの連携により、営業プロセスがさらに効率化され、成果の向上を実現します。
SLGは営業プロセス最適化と成果向上に有効な戦略

SLGとは、営業担当者が主導し、顧客のニーズにあわせてプロダクトを提案・販売するビジネスモデルです。PLGとは異なり、営業がリードする点が特徴です。
SLGを導入することで、営業活動の最適化や成果向上が期待でき、実際に多くの企業が売上の増加や成長を実現しています。
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