営業活動にAIを導入することで業務を効率化し、顧客とのコミュニケーションに時間を割きたいとお考えの営業担当者の方も多いのではないでしょうか。対人業務の多い営業部門では、どのようにAIを活用すればよいのかわかりませんよね。
AIを導入する前に活用方法を知っておくと、導入後のイメージがしやすくなります。
本記事では、営業にAIを活用するメリットと注意点、活用方法を解説します。AIの活用によるDXの成功事例も紹介するので、AIの導入を検討されている方はぜひ参考にしてみてください。
営業向けAI活用|AIを活用して成約件数を増やす7つの方法
本ガイドでは、AIを活用した営業活動の例を紹介しています。AI導入後のイメージがつかない方は、ぜひご覧ください。

目次
AIの導入で営業の仕事はなくなる?

現段階でAIは、営業業務を完全に自動化できるわけではないため、営業担当者の仕事がなくなる可能性は低いでしょう。
平成29年に厚生労働省が発表した「IoT・ビッグデータ・AI 等が雇用・労働に与える影響に関する研究会報告書」によると、営業部門の業務がAIやIoTなどに全部代替されると回答した企業は0.4%に留まっています。
「一部代替ないし支援」と回答した企業の割合が67.6%と高く、営業担当者の仕事がなくなると考えている人は少ないといえるでしょう。

また、本調査では、AIやIoTによって業務が代替された従業員について、企業は可能な限り新しい業務および役割へシフトさせると考える傾向にあるとしています。
AIは、蓄積されたデータをもとに人間に近い思考やアプトプットができるものの、必ずしも正しいわけではないため、人間による確認や補正も必要です。
さらにAIは、顧客と対面したときに声や表情から感情を読み取る、さまざまな事情を考慮するなど、コミュニケーション能力を必要とする業務を代替することは難しいでしょう。
そのため、営業業務をすべてAIに代替されることは、今のところないと考えられます。
営業でAIを活用するメリット

営業でAIを活用するメリットは、大きく分けて以下の2つです。
- 業務を効率化できる
- データドリブン営業を加速できる
業務の効率化やデータドリブン営業の実現を目指している企業にとって、AIは有効な手段となるでしょう。
業務を効率化できる
AIを導入すると、業務の効率化が図れます。
Salesforceが世界各地の営業関係者7,700人を対象に行った調査によると、営業担当者は、1週間の勤務時間のうち72%を営業活動以外のタスクに費やしていることがわかっています。
たとえば、以下のような対人営業活動以外のタスクは、AIによって効率化が可能です。
- 顧客情報や営業日報の入力
- 提案書の作成
- 事務作業の管理 など
実際、同調査では、AIを導入した10人のうち8人が「営業担当者の時間の使い方が、少なくともある程度改善している」と回答しており、効率化の効果を実感しています。
同調査の詳しいデータは、以下の資料からご覧いただけます。
データドリブン営業を加速できる
AIを活用すると、ビッグデータを分析したうえで営業活動の意思決定を行う「データドリブン営業」を加速できます。
たとえば、AI搭載型のSFA/CRMは、膨大なデータ分析の結果をリアルタイムに表示できるため、スピード感のある意思決定を行えるでしょう。また、製品によっては、AIが適切なデータの選択を提案する機能もあり、専門的な知識がなくても精度の高い分析を行うことができます。
客観的なデータにもとづく意思決定行うデータドリブン営業の実現によって、成約率の向上が期待できます。
以下のウェビナー動画では、データドリブン営業の事例をもとに生産性向上のポイントを解説しているので、ぜひご覧ください。
AIのデメリットと営業で活用する際の注意点

AIにはデメリットもあるため、営業で活用する際は以下に注意する必要があります。
- 学習させるデータによって精度が変化する
- 従業員のITリテラシー教育が必要となる
- 運用・保守業務に人材が必要となる
AIの導入準備を整えて、適切に運用しましょう。
学習させるデータによって精度が変化する
AIは、データをもとに分析やアウトプットを行うため、データの内容や量によって精度が変化します。場合によっては正確性にも影響が出るため、質の高いデータを大量に学習させることが大切です。
とくに、分析モデルを構築する際は、データの取捨選択を適切に行いましょう。精度の高いモデルを構築できるまでは、人によるチェックと試行を繰り返す必要があります。
以下の記事では、AIが言葉や概念を実世界と結びつけて理解する「グラウンディング」について解説しています。AIに学習させるデータを精査する際、グラウンディングを理解しておくと役立つので、参考にしてみてください。
従業員のITリテラシー教育が必要となる
AIで顧客情報や企業状況を含むデータを活用する場合、プライバシーや権利の侵害が発生すると法的問題に発展するおそれがあります。従業員が正しくAIを活用できるように、リテラシー教育を行いましょう。
また、社内のセキュリティレベルを高めるために、AIを搭載したツールやシステムへのアクセス権限を厳重に管理することも大切です。
運用・保守業務に人材が必要となる
AIの運用・保守には、専門的な知識が必要となるため、専門人材が必要となります。
IT系の企業でなければ、社内で人材を確保できないケースが多いため、外部委託や専門人材の採用を検討しなければなりません。
最近では、AIの導入から保守までを一貫してサポートするサービスも出てきています。人材登用の前に、専門家の意見を聞いたうえで自社に合った方法を選び、人材を確保しましょう。
営業におけるAIの活用方法

ここでは、Sales Cloudで活用用で切る営業向けAI『Einstein for Sales』の機能をもとに、AIの活用方法を解説します。
- リードの絞り込みと評価を自動化する
- プロンプトを使ってリードへのメールを自動生成する
- 顧客との通話や会議の内容を要約する
- ガイダンスを活用して業務を自動化する
- 優先順位に沿って最適なアクションプランを構築する
- リアルタイムにデータを把握・分析し営業メンバーに指示を与える
- 精度の高い売上予測をもとにKPIマネジメントを行う
営業におけるAIの活用方法を知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
また、以下の記事では、営業におけるAIの活用方法に触れた動画を掲載しています。
リードの絞り込みと評価を自動化する

営業向けAI『Einstein for Sales』は、Webサイトに設置しているフォームを、リアルタイムにチャットを行えるツールに切り替えられます。
この機能を使うと、チャットはリードとのやりとりを収集する手段となり、質問を通じてリードの絞り込みと評価を行います。リードの情報をWebから自動で収集するとともに、既存情報からネットワークを探し出し、つながりを見つけ出すなども可能です。
商談につながる可能性が高いリードに対しては、すぐにアポを取るといったコミュニケーションが可能で、商談までの時間を短縮できます。
営業担当者は、手間をかけずにリードの情報を収集し、商談準備につなげられるでしょう。
プロンプトを使ってリードへのメールを自動生成する

営業向けAI『Einstein for Sales』は、SFA/CRMに蓄積されたデータをもとに、パーソナライズされたメールを自動で作成します。たとえば、営業担当者の自己紹介や打ち合わせの日程、フォローアップのための連絡などを文章に盛り込み、本文を作成できます。
できあがった文章に修正が必要であれば、プロンプト(※)を通じて指示を出し表現を変える、あるいは担当者が微調整を行うことも可能です。AIによって、担当者が頭を悩ませながら行っていたメールの作成業務を大幅に効率化できるでしょう。
※ プロンプトとは、AIの動作を促す指示のこと
以下の記事では、営業活動に効果的なプロンプトを紹介しているので、生成AIを活用する際の参考にしてみてください。
顧客との通話や会議の内容を要約する

営業向けAI『Einstein for Sales』は、顧客との通話や会議などの音声データを文字に起こし、要約します。
たとえば、しばらくコンタクトを取っていなかった顧客から数ヵ月後に連絡がきても、過去の通話の要約から内容を思い出せるため、質問の回答や新たな提案を即座に行えます。
このように、担当者は重要な情報を要約から探し出せるようになり、顧客へのアクションの構築に時間を割けるようになるでしょう。従来発生していた、議事録の作成業務も削減できます。
ガイダンスを活用して業務を自動化する

営業向けAI『Einstein for Sales』は、蓄積したデータから担当者の質問に回答します。
たとえば、顧客のニーズや好みを質問すると瞬時に答えてくれるため、情報を検索する時間の削減が可能です。また「この商談の戦略を作って」といった高度な指示にも対応可能で、どのように商談を進めていけばよいかアドバイスをもらえます。
AIの視点を加えることで、従来とは異なるアプローチや成約確度の高い戦略を立てられるでしょう。経験が浅い担当者の営業スキルを補う形でも利用できます。
優先順位に沿って最適なアクションプランを構築する

営業向けAI『Einstein for Sales』は、成功または失敗した商談の共通点を導き出し、成約確度を分析してスコアリングを行います。導き出された商談スコアをもとに商談の優先順位づけを行うため、担当者は優先度の高い商談を即座に判断可能です。
また、スコアをクリックすると各商談のプラス要因・マイナス要因を確認でき、顧客に合った最適なアクションの構築に役立てられます。
成約確度が高い商談がわかれば、優先的に進行することで、成約率の向上につなげられるでしょう。
AIを活用すると、担当者の経験や推測をもとにした営業活動よりも、効率的に成約を獲得できるはずです。
リアルタイムにデータを把握・分析し営業メンバーに指示を与える

営業向けAI『Einstein for Sales』は、Web情報だけではなくメールや通話などのコミュニケーションから、顧客情報を自動で取り込むことができます。
営業マネージャーは、AIが提示する商談の進捗に関するインサイトや担当者のエンゲージメントレベルなどを参考に、担当者へ指示を出せます。適切な担当者が案件に関わっているかどうかも見極められるため、適材適所の配置で効率的に業務を遂行させられるでしょう。
営業マネージャーがデータを根拠として指示を出すと、主観や推測を排除できるため、担当者の納得感も高まります。
精度の高い売上予測をもとにKPIマネジメントを行う

営業向けAI『Einstein for Sales』は、精度の高い売上予測をリアルタイムに実行し、営業マネージャーはダッシュボードを見るだけでKPIマネジメントを行えます。エクセルを使用した場合と比較して、数値の入力や分析業務が格段に効率化されるはずです。
売上予測だけではなく、あらゆる収益タイプごとの予測やコンバージョン率、担当者ごとのパフォーマンスなども数値として表示できます。
たとえば、担当者ごとの売上予測やパフォーマンスをもとに、評価と指導を行うことも可能です。データにもとづく教育によって、効率的な営業スキルの向上を期待できるでしょう。
以下の動画では、SalesforceのAI『Einstein』の活用方法をよりわかりやすく解説しているので、あわせてご覧ください。
AIによる営業DXの成功事例3選

ここでは、AIを活用して営業DXを成功させた事例を3つ紹介します。
- 事例1.AIを人材育成に活用し営業スキルを向上
- 事例2.AIによるスコアリングで営業活動の具体化を実現
- 事例3.AIが算出したリードスコアをもとに架電活動を改革しアポイント獲得率を向上
成功事例におけるAIの活用方法から、自社で活用する際のヒントを得られるので、営業DXで企業に変革をもたらしたい方は参考にしてみてください。
事例1.AIを人材育成に活用し営業スキルを向上
ある生命保険関連会社では、人手不足を背景とした人材確保競争の激化に課題を感じていました。未経験を採用するとしても、生命保険という商品の性質上、習得しなければならない知識が多いため、十分な研修が必要です。
営業スキルを向上させるため、対面の研修会やマンツーマンの指導を行っていましたが、負担が大きいデメリットがありました。
そこで、AIを顧客と見立てて新商品のシミュレーションを行えるソフトを開発。AIは、営業担当者の説明から新商品の基本情報が網羅できているか、不適切な発言や口癖がないか、説明速度に問題はないかなど、いくつかの項目から採点を行います。
ソフトを導入したことで、担当者は自分で営業スキルを磨けるようになりました。ソフトを利用した研修を完了した担当者は、未完了の担当者と比較して販売実績が高いという効果も出ています。
従来発生していた研修会の時間を削減するとともに、浮いたリソースをほかの業務に充てられるようになった事例です。
参考:AI等の導⼊により労働者の更なる活躍を実現している企業の取組事例集(暫定版)|厚生労働省
事例2.AIによるスコアリングで営業活動の具体化を実現

株式会社淵本鋼機は、働き方改革が求められるなかで、限られた時間と人員で生産性を高め、収益を上げる手段として『Sales Cloud』を導入していました。
『Sales Cloud』の利用によって、月1回の営業会議と資料の作成が不要となり、別の業務にリソースを割けるようになったのです。
続いて同社は、『CRM Analytics(旧:Tableau CRM、 Einstein Analytics)』を導入。AIによるスコアリングをもとに、商談の確度を分析するようになりました。
担当者の感覚に頼らず営業活動を具体化したうえで実行することで、2017年5月期の決算で約30億円だった売上高が2年連続で最高値を更新しています。
参考:「このままでは社の未来はない」老舗商社がSalesforceで業務大改革に挑む
事例3.AIが算出したリードスコアをもとに架電活動を改革しアポイント獲得率を向上

SALES ROBOTICS株式会社は、営業担当者の働き方を改革するために「今すぐ営業できるリードとアポ」が自動で追加される営業支援サービス『SALES BASE』を提供しています。
『SALES BASE』は、Salesforceをはじめとする他社のシステムとも連携可能で、営業現場の業務を効率化し、生産性の向上と働き方の改革につなげられます。
同社は『SALES BASE』はSalesforceと連携するなかで、営業向けAI『Einstein for Sales』の効果を自ら実証しました。
まずは、リードのスコアリングを活用するにあたって、担当者にスコアを意識させずにインサイドセールスを行わせました。その結果として、従来通りのインサイドセールスにおけるアポイント獲得率は以下のとおりです。
- 『Einstein』のリードスコアリングが60ポイント以下のリード:10%前後
- 『Einstein』のリードスコアリングが81ポイント以上のリード:60~70%程度
つまり『Einstein』が提示したリードスコアが高いほど、アポイント獲得率が高いことを確認できたのです。この結果を受けて、インサイドセールスの架電活動をハイスコアなものから取り組むように業務プロセスを変更しました。
現場の感覚としても、獲得できたアポの数は確実に増えていると、効果を実感しています。
参考:営業活動に人工知能Einsteinを組込み営業力の平準化と底上げへ
営業を変革させるAI搭載型SFA/CRM『Sales Cloud』

営業向けAI『Einstein for Sales』を搭載したSFA/CRM『Sales Cloud』は、営業活動と営業におけるデータ活用を効率化するシステムです。顧客情報と営業活動の記録を一元化し、精度の高い売上予測や業績予測を実行します。
AIは、蓄積されたデータをもとに、顧客に合わせたセールスメールを自動生成します。また、通話記録の文字起こしから要点の編集を行い、営業活動に必要な情報を整理することも可能です。
さらに、AIがリアルタイムに精度の高い成約確度の予測を行い、優先順位の高い商談を提案してくれます。
主観や推測ではなく、客観的データにもとづく営業活動をスピーディーに実行できるようになり、成約率の向上を狙えるでしょう。
Sales Cloud デモ動画
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「Sales Cloud」の使い方をまとめた動画をぜひご覧ください。

まとめ:AIを活用した営業で成約率を向上させよう

AIを活用すると、営業業務が効率化され、生産性の向上や働き方の改善が可能です。浮いたリソースを別の業務に充てることで、対人営業の質と量を増やすことも可能で、成約率の向上も期待できるでしょう。
営業で導入するAIとしては、AI搭載型のSFA/CRMがおすすめです。蓄積されたデータの分析・活用が容易になり、データにもとづく意思決定も実現できるでしょう。
Saleceforceでは、AI搭載型のSFA/CRM『Sales Cloud』を提供しています。まずは無料体験をお試しいただき、機能性をご確認ください。また、営業向けAI『Einstein for Sales』の活用方法をより詳しく知りたい場合は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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