第2章:どのように意思決定するか

察知し、予測し、対応する
 
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今後のビジネスでは、より顧客のニーズに近づくための競争を勝ち抜かなければなりません。
顧客のニーズの変化を察知して予測し、その変化に対応していく必要があるのです。そうすることで、一人ひとりの顧客とのやり取りが毎回初めてであるかのように対応する無駄を省くことができます。
そのためにはまず顧客のプロファイルを整理し、より具体的な状況に応じた機会を特定して、クロスセルやアップセルの対象を広げていきましょう。そうすれば、広範囲での「片付けるべき用事(Jobs to Be Done)」を把握できるため、コモディティな取引を超えてビジネスを拡大できます。 また、現在サービスを提供していない分野を特定し、その分野に進出したり、エコシステムとの連携を深めたりすることができます。
 
「従業員が求めることは大きく変化していません。すなわち、仕事をやり遂げて、組織で起きていることを把握し、キャリアのレベルアップを図りたいというニーズです。リーダーシップ層がその妨げになってはいけません。リーダーは余計なことをせず、従業員にとって最善の判断を下すべきです」  
Dan Torunian氏
PayPal社
従業員テクノロジーおよび経験およびデータセンター部門部長
つまり、顧客像を検証し、顧客のニーズを明らかにする必要があるということです。なお、顧客との間にさらなる信頼を築く中で、このデータを顧客から獲得する方法を考えなければなりません。データを統合し、有用なインサイトを引き出す必要もあります。そのインサイトを適切なチームと共有し、「情報は力だ」と信じる人々が情報を出し惜しみする時代遅れな文化を打破する必要があります。
これは、決して社内をダッシュボードだらけにするという意味ではありません。そうではなくて、データを実践的なインサイトとして視覚化し、共有して、コラボレーションするプロセスが、その企業のデータ文化の醸成につながっていきます。
このデータ文化が深く根付いていると、チームは多くの判断を迅速に下せるようになり、豊富なデータを駆使して顧客へのサービスを改善できます。この循環を重ねることで、顧客のニーズを事前に把握して予測する能力が高まります。
実績のあるデータ文化の構築手法についてはTableau Blueprint(英語)をご覧ください。
顧客の成功を後押しするデータフライホイールを作成
トップ企業は、顧客の信頼を獲得あるいは再び取り戻すことを重視しています。 顧客は、関連する2つの方法で企業への信頼を示します。つまり、お金とデータです。より多くのデータを獲得する最善の方法は、既存のデータからインサイトを導き出して、そのインサイトを体験改善のDNAとして組み込んでしまうことです。こうすることで、結果としてより多くのデータをもたらすことにつながります。そしてこのフライホイール(弾み車)が、顧客が求めているものを得られるまで回り続けることで、顧客が快適と感じる体験につながります。
Salesforceが設立された1999年当時は、現在提供しているテクノロジーのほんの一部しか提供できていませんでした。その後、お客様の要望に応じる形で、カスタマーサービス、マーケティング、Eコマース分野などにも進出・拡大していきました。
私たちのビジネスは、お客様の声に耳を傾けてそれを提供することで成り立っています。顧客のフィードバックは、私たちを前進させる原動力であり、顧客の次の変化に合わせて進化するための土台にもなるのです。
始めましょう:顧客のフィードバックに耳を傾ける姿勢をビジネスに組み込む
たくさんの変革に取り組む前に、まず自分たちに問いかけることから始めてみましょう。「顧客はどんな話をしてくれているだろうか?最近、顧客の声に深く耳を傾けただろうか?」まずは顧客の声に耳を傾けることを企業のDNAに組み込み、顧客のニーズに焦点を当てた変革を実現しましょう。
変革に着手すべき順番を決めるには、それぞれの顧客像に求められるニーズを把握するのが一番良い方法です。ここでは、Salesforceが実践しているベストプラクティスの一部をご紹介します。
1.「お客様の声」担当の部門を設置。ビジネスを重視する調査リーダーと、中立的な報告体制の両方を設置していることが、正しいプログラムのあり方です。こうすることで、改革推進チームとそれを評価するチームを分けることができます。まずは基準設定のために顧客からのフィードバックを収集し、改善目標を1つだけ定めます。
2.あらゆるレベルでリスニングに投資。エコシステム内のすべての顧客像を対象とします。どの顧客グループがもっとも不満を抱えているか?どのグループが収益にもっとも貢献するか?誰が最高のブランドアドボカシー(支持者)なのか?顧客のフィードバックを恐れる必要はありません。
3.インサイトを1つの体験談としてまとめる。数字の裏にあるストーリーを読み取ります。チャネル間でリスニングのバランスを取るように、ストーリーとデータのバランスを取りましょう。リスニングツアー、諮問委員会、フォーカスグループは、スコアカードやトレンドラインに色や文脈を付加します。
4.インサイトの分析結果を反映。顧客を戦略的な計画に組み込み、リスニングで得た情報から引き出した個々の指標や測定値に担当者を割り当てます。経営陣は、オフサイトまたは毎週月曜朝に今後の製品やプログラムの計画を立てているでしょうか?場所はどこであれ、計画に関する話し合いには必ず顧客の声を代弁する席を設けましょう。
5.テクノロジーがもたらすインテリジェンスと自動化に投資し、説明責任を果たす。分析と報告を自動化することで、チームの貴重な時間を節約できます。定性フィードバックに対して検出ツールや機械学習を活用すると、インサイトの発見が非常に効率的になります。
6.顧客の声を聞くリスニング活動を奨励。顧客のフィードバックを共有するチームは、時に「悪いニュース」をもたらすチームと受け取られる場合があります。そうではなくてむしろ、彼らの集めた情報を評価し、最も貢献したチームに報酬を与えることで、チームやステークホルダーが顧客のニーズに対応し続けられるように働きかけるべきでしょう。
7.顧客とのフィードバックループを完結。リスニングにはコミュニケーションが不可欠です。すべてのフィードバックに対応するのは現実的ではなく、顧客もすべての要望が満たされることを期待していません。しかし、成功するパートナーシップのために、顧客は企業がやっていること、できていないことのほかに、企業側が顧客に対して何を望んでいるかを聞きたいと考えています。
十分な時間とリソースをかけて、現在のニーズを察知して対応する能力を見直し、改善しましょう。今までの体制から脱却し、さらなる価値を生み出す体制に進化するにはどうすればよいでしょうか?まずは顧客の声にしっかりと耳を傾けるために、マーケティング、セールス、コマース、サービス、ITチームの統合に真剣に取り組みましょう。
このプロセスを通じて、リーダーはチームメンバーの心理的な安全性を担保した環境を築きます。そうすることで、新しいことを試して学ぶ自由をチームにもたらすとともに、全員が安心して批評を述べられ、うまく機能していないことも正しく共有できるようになるのです。
実行すべき主なアクション
 
  •  データ文化とセンターオブエクセレンスを確立する
  • データ能力に関する従業員トレーニングプログラムを構築し、関連するデータソースへのアクセスを統合して、センターオブエクセレンスでデータコミュニティの活動を促します。 
  • すべてのチームが、データ、あるいは試行錯誤から得たインサイトをビジネスに反映できるようにします。
 
  •  明確なフィードバックループを作成する
  • 社内の従業員と、社外の顧客やステークホルダーの両方からフィードバックを収集、把握、対応できるリスニングメカニズムを開発します。 
  • 進捗状況を収集、表示、ソーシャル化するプロセスで統一し、チームでタイムラインとKPIを把握できるようにします。
 
  •  柔軟で反復可能なサイクルで構築する
  • 反復的なプランニングプロセスで、定期的に成果を振り返り、段階的に改善を進めます。 
  • 予算プランニングを柔軟なプロセスの一部とすることで、より効果的に改善を適用できるようにします。
 
 

その他のリソース

 
調査
コネクテッドカスタマーの最新事情
ガイド
2つの簡単なステップでCustomer 360を構築(英語)
ホワイトペーパー
変化の時期におけるデジタル変革の影響(英語)
 
 

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