営業組織の生産性向上に課題を感じている経営者や営業担当者の方も多いのではないでしょうか。
こうした課題を解決する方法として、インサイドセールスの中でも「SDR」と「BDR」が注目されるようになりました。
これらは組織の成果を左右する重要な要素であり、役割を正しく理解し、効果的に運用することが組織の営業力強化には欠かせません。
本記事では、SDRとBDRの違いから導入時に押さえるべきポイント、成功事例までをわかりやすく解説します。営業体制の見直しや強化を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
エンタープライズ営業でのインサイドセールス実践法
セールスフォースの責任者が徹底解説
約10分の本動画では、The Model型営業組織とその役割、大企業向けのインサイドセールス手法について、わかりやすく解説します。
目次
インサイドセールスとは
インサイドセールスとは、見込み客(リード)に対し、電話・メール・オンライン会議ツールなどを活用して非対面で営業を行う手法です。
フィールドセールス(訪問型の営業手法)とは異なり、時間やコストを抑えながら、迅速に営業活動を展開できる点が特徴です。
地理的制約がなく、全国や海外の顧客にも対応可能なため、営業活動の幅が広がり、新規顧客の獲得にもつながります。
近年、SaaS業界やBtoBビジネスを中心に導入が進み、営業組織のデジタル化やスケール拡大に欠かせない戦略として注目されています。
インサイドセールスやフィールドセールスについて詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご確認ください。
【関連コンテンツ】
・インサイドセールスとは?基礎知識や役割、成功事例など詳しく解説
・フィールドセールスとは?効率化させるインサイドセールスとの連携
インサイドセールスにおける「SDR」と「BDR」
近年、インサイドセールスを取り入れている企業では、業務をより効率的に進めるために「SDR」や「BDR」を導入するケースが増えています。
ここでは、それぞれの役割や特徴について詳しく確認しましょう。
SDRとは、反響型のインサイドセールス組織
SDR(Sales Development Representative)は、反響型のインサイドセールス組織のことで、主に顧客からの問い合わせや資料請求などのアクションを受けてから営業活動を行います。
WebサイトやSNSなどを通じて関心を示したリードに対し、適切なタイミングでアプローチを行い、商談機会を創出する役割を担います。
購入意欲が高いリードをターゲットとするため、成約率が高く、安定した売上を期待できる点が特徴です。
SDRは、リードのニーズを的確に把握し、営業チームへスムーズに引き継ぐことで、効率的な営業プロセスの構築に貢献します。
BDRとは、新規顧客開拓型のインサイドセールス組織
BDR(Business Development Representative)は、新規顧客の開拓を目的としたインサイドセールス組織で、アウトバウンド型の営業活動を行います。
主な役割は、電話やメールなどのアウトバウンド営業を通じて、接点のないターゲット企業に接触し、新たな商談機会を創出することです。
BDRは、自社にとって価値の高い見込み顧客を選定し、計画的なアプローチで関係構築を進めます。そのため、成約に至れば大幅な売上増加を期待できる点が特徴です。
一方で、新規顧客への電話営業などの難易度が高い営業活動もあり、効果的な戦略と継続的なフォローアップが求められます。
SDRとBDRの違い
SDRとBDRは、どちらもインサイドセールスにおいて重要な役割を担いますが、営業スタイルやターゲットなどに明確な違いがあります。
営業効率を高めるためには、ターゲットや目的に応じてSDRとBDRを適切に使い分けることが重要です。
表:SDRとBDRの主な違い
| 項目 | SDR | BDR |
|---|---|---|
| 営業スタイル | インバウンド型(受動的) | アウトバウンド型(能動的) |
| ターゲット | 中小企業・中堅企業 | 大企業・エンタープライズ企業 |
| 目的 | 商談機会の創出 | 新規受注の獲得 |
| 主なKPI | 商談化数、CV率 | 新規リード獲得数、決裁担当者との接触数 |
| アプローチ手法 | 電話、メール、フォーム、ウェビナー | 電話、メール、DM、手紙 |
両者の違いを正しく理解し、組織内での役割を戦略的に分担することで、営業プロセス全体の効率化と成果向上が期待できます。
SDRとBDRが注目されている理由
SDRとBDRが注目されている背景には、顧客の購買行動の変化やリモートを前提とした働き方の広がりがあります。
近年、Web検索やSNSなどで情報収集を行う顧客が増えたことで、営業担当と接触する前に意思決定を済ませているケースが増加しました。
このような顧客の購買行動の変化に対応するため、リードの関心度に応じて迅速にアプローチできる「SDR」と、接点のない顧客へ能動的にアプローチする「BDR」が重要視されています。
また、リモートワークの普及や人手不足の影響を受け、対面営業から非対面型のインサイドセールスへの移行が加速したことで、営業活動の効率化が急務となっています。
こうした流れを受け、多くの企業でSDRとBDRを活用した営業体制の構築が進んでいるのです。
SDRとBDRを導入する際に意識すべき4つのポイント
SDRとBDRの導入を検討する際は、次の4つのポイントを押さえる必要があります。
- 導入目的や方針を明確にする
- 適切なKPIを設定する
- 最適な人材を配置・育成する
- ツールやシステムを有効活用する
これらのポイントを踏まえてSDRとBDRを導入することで、効率的な営業体制の構築が図れます。
より実践的なノウハウを知りたい方は、以下の資料をご活用ください。
エンタープライズ営業でのインサイドセールス実践法
セールスフォースの責任者が徹底解説
約10分の本動画では、The Model型営業組織とその役割、大企業向けのインサイドセールス手法について、わかりやすく解説します。
1.導入目的や方針を明確にする
SDRとBDRの導入を成功させるには、導入の目的と戦略の方向性を具体的に定めることが重要です。
SDRは主にインバウンド経由で獲得したリードへの対応や育成を担当し、BDRは新規開拓を中心にアウトバウンド営業を行います。
まずは自社の営業課題を詳細に分析し、どの領域に、どのようにSDRとBDRを活用して目標達成を目指すのかを明確にしましょう。
ターゲット顧客や扱う商材によって、アプローチ方法やコミュニケーション方針も変わるため、方向性を決める際は営業全体の戦略と連動させる必要があります。
2.適切なKPIを設定する
SDRとBDRの業績を正しく評価するためには、明確かつ具体的なKPI(重要業績評価指標)の設定が欠かせません。
SDRのKPIは「問い合わせ対応数」や「商談化数」、BDRのKPIは「新規リード獲得数」や「ターゲット接触率」などが中心です。
KPIを設定することで、営業活動の進捗や成果が可視化されるため、課題の早期発見に役立ちます。個々のパフォーマンス評価や改善点の共有にも効果的です。
KPIを組織全体の営業目標と連動させ、進捗をリアルタイムで追跡できる仕組みを構築しましょう。
KPIの設定方法や設定のポイントについては、以下の記事で詳しく解説しています。
【関連コンテンツ】
・営業のKPIとは?KGIとの違いや項目例一覧、立て方を詳しく解説
3.最適な人材を配置・育成する
SDRとBDRのパフォーマンスは、役割に適した人材配置と計画的な育成に依存します。
SDRには、顧客ニーズの理解力と迅速な対応力がある人材が求められます。BDRは、新規開拓に積極的でコミュニケーション能力の高い人材が理想的です。
営業プロセスの理解度が高いフィールドセールス経験者をリーダーに抜擢するのも効果的です。
育成面では、トークスクリプトの作成や顧客データの活用方法、効果的なフォローアップ手法に関する研修を実施し、属人化を防ぎます。人材定着を図るには、定期的なフィードバックとキャリアパスの整備も欠かせません。
4.ツールやシステムを有効活用する
SDRとBDRの業務効率を上げるには、適切な営業支援ツールの導入が不可欠です。
主に活用される営業支援ツールには、SFA(営業支援ツール)・CRM(顧客管理システム)・MA(マーケティングオートメーション)の3種類があります。
【各ツールの機能・特徴】
これらのツールを連携させることで、リアルタイムに情報を共有できるようになり、営業チーム全体の生産性向上につながります。
ただし、単にツールを導入するのではなく、業務フローに適したカスタマイズや現場での定着を促す操作トレーニングも欠かせません。
SDRとBDRの業務効率化に最適なツール
SDRとBDRの効率的な営業活動を実現するツールとして、次のようなSFA/CRMやMAがあります。
表:代表的なツールと効果
| ツール | 効果(SDR) | 効果(SDR) |
|---|---|---|
| Sales Cloud | ・顧客情報の一元管理やリードの進捗管理で、対応漏れを防止・属性データを活かしたパーソナライズ営業で商談化率アップ | ・架電やメール配信の効果を分析し、営業戦略を最適化・過去の接触履歴を活用した初回アプローチで、新規開拓の成功率向上 |
| Marketing Cloud | ・リードスコアリングにより確度の高い見込み客を抽出・効率的なナーチャリングを支援 | ・潜在顧客の行動データを分析し、最適なタイミングでのアプローチを実現 |
これらのツールを統合的に運用すれば、SDRは質の高いリードの管理・育成に専念でき、BDRは効率的に新規リードを発掘できます。
ツールの選定は自社の営業スタイルや課題に応じて行い、導入にあわせて運用ルールや体制を整備することが重要です。
SDRとBDRを活用したインサイドセールスの成功事例
ここでは、SDRとBDRを活用したインサイドセールスの成功事例を紹介します。
具体的な取り組みを参考に、自社での導入イメージを膨らませましょう。
「失注案件の再活用×スピード対応」で成約率向上|株式会社アイダ設計
株式会社アイダ設計では、Salesforceを活用し、以下の2つの活動を軸にインサイドセールス体制を構築しています。
- 失注案件への継続的なアプローチ
- 顧客の反響に対するスピーディな初動対応
これらの活動を支える基盤として、Salesforceの『Sales Cloud』と『Account Engagement』を導入しました。その結果、属人的な営業から脱却し、成約率の向上を達成しています。
具体的な導入効果は、以下のとおりです。
【導入効果】
- 反響対応時間:平均3時間から最短2分に短縮
- 成約率(分譲住宅):4割超
- 成約の半数:失注案件の再活用
こうした取り組みによって、見込み客の機会損失を最小限に抑えつつ、持続的かつ高精度な案件創出を実現しています。
インサイドセールス体制の構築で紹介営業を仕組み化|栃木建築社
栃木建築社は、インサイドセールスの一環としてSDRを活用し、紹介営業の仕組み化に成功しました。
この成功には、Salesforceの『Sales Cloud』と『Account Engagement』を導入し、リードの情報を一元管理したことや、顧客同士の関係性を可視化したことが寄与しています。
主な導入効果は、以下のとおりです。
- 会議時間を60%削減
- リアルタイムの情報共有で、迅速な経営判断を実現
- 親戚や友人の関係図を活用し、紹介率アップを支援
- 営業・工務の進捗を可視化し、業務の抜け漏れを防止
これにより、SDRが効率的にアポイントを取得し、質の高いリードを営業部門へスムーズに引き継げる体制が構築されました。
Salesforce製品群を活用したSDR主導のインサイドセールス体制は、紹介営業の安定化と顧客生涯価値の向上に大きく貢献しています。
SDRとBDRの成果を最大化するなら「AI搭載型」のツールがおすすめ
SDRやBDRの営業成果を最大化するには、AI機能が搭載されたSFA/CRMやMAの導入がおすすめです。
AIは蓄積された顧客データを分析し、最適なアプローチのタイミングや手法を提案します。メールの件名から送信タイミングに至るまでを自動で最適化してくれるため、顧客の反応率が高まり、商談化や新規開拓の成功につながります。
また、AIは日々の業務フローを分析し、自動化できるプロセスを提案してくれるため、属人化の防止や作業の効率化にも効果的です。
AI機能が充実した『Sales Cloud』や『Marketing Cloud』では、コンテンツの自動生成や売上予測などの高度な支援も可能です。
営業活動の効率化と成果向上を目指す企業にとって、AI搭載型ツールは戦略的に導入すべきソリューションといえます。
AI搭載型のCRMを導入するリスクや実際の導入事例について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
【関連コンテンツ】
・AIを活用したCRMとは?従来型との違いや導入ポイントを解説
SDRとBDRの役割を活かした組織運営で、営業力を高めよう
SDRとBDRは、営業プロセスを分業化することで、営業効率と成果を高める重要な役割を担います。
これらの役割を適切に設計・運用することで、営業組織全体のパフォーマンス向上が期待できます。
とくにエンタープライズ営業では、SDRとBDRがそれぞれの役割を最大限に発揮できるよう、明確な役割分担と連携体制を整えたインサイドセールスの仕組みづくりが欠かせません。
「インサイドセールス体制をどのように構築し、エンタープライズ営業で成果を上げるのか」
実践的なノウハウをまとめた以下の資料を、自社の営業力強化にぜひお役立てください。
エンタープライズ営業でのインサイドセールス実践法
セールスフォースの責任者が徹底解説
約10分の本動画では、The Model型営業組織とその役割、大企業向けのインサイドセールス手法について、わかりやすく解説します。











