マーケティングオートメーション(MA)とは?機能や選び方を解説
マーケティングオートメーション(MA)とはマーケティングの自動化・効率化ができるツールで、営業活動の効率化にもつながります。MAの機能やメリット、具体的な活用事例などを解説します。
マーケティングオートメーション(MA)とはマーケティングの自動化・効率化ができるツールで、営業活動の効率化にもつながります。MAの機能やメリット、具体的な活用事例などを解説します。
マーケティングオートメーション(MA)とは、どのようなものかご存知でしょうか?概要を理解することで、マーケティング戦略の幅が広がります。
近年、顧客は製品やサービスそのものだけでなく、企業から提供される体験全体を重視しています。長期的に顧客と良好な関係を築くためにも、マーケティングオートメーションを導入すると安心です。
この記事では、マーケティングオートメーションがなぜ現代のビジネスに不可欠なのか、具体的な機能や選び方のポイントなどを解説します。
マーケティングオートメーション(MA)とは、マーケティング活動の自動化を意味する概念、またはそのためのツールを指す言葉です。ツールを指す場合は「MAツール」といいますが、縮めて「MA」と表記される場合もあります。
MAが得意とするのは、リード(見込み客)獲得から商談に至るまでの業務効率化です。加えて、営業活動の評価・改善のためのツールとしても活用できます。MAを活用したPDCAサイクルを組めば、事業のスピーディーなブラッシュアップも期待できます。
さらに、MAによってマーケティング活動が効率化されれば、担当者のリソースをシナリオ作成やリードの精査といった、本当に注力したい部分に集中させることもできます。ただその一方でMAはツールであり、マーケティング施策の実行をサポートする手段の一つにすぎません。まずは会社としてマーケティング戦略を決め、それをもとに各施策の設計に落とし込むことが重要です。
企業が競争優位性を確立し、持続的な成長を遂げるためには、顧客との強固な関係構築が不可欠です。特に現代において、顧客は自分たちのニーズや好みを深く理解し、それに応じたきめ細やかな対応を期待しています。約3分の2の顧客が、企業とのやり取りにおいてパーソナライズされた体験を求めているというデータも存在します。
しかし、手動によるマーケティング活動では、増え続ける顧客接点や膨大なデータを効率的に処理し、一人ひとりに最適化されたアプローチを行うことは極めて困難です。ここでマーケティングオートメーション(MA)が真価を発揮します。
MAは、テクノロジーを活用してマーケティング活動を自動化し、顧客理解を深めるためのデータ収集・分析から、パーソナライズされたコミュニケーションの実行までを一貫して支援します。これにより、企業は顧客一人ひとりの行動や興味関心に合わせた最適な情報提供やアプローチを、適切なタイミングで、かつ効率的に行うことが可能になります。
結果として、顧客エンゲージメントの向上、質の高いリードの創出、そして長期的な顧客ロイヤルティの醸成へと繋がり、マーケティング投資対効果(ROI)の最大化に貢献します。
特に、サードパーティCookieの利用が制限される今後の状況においては、CRMシステムなどを活用したファーストパーティデータの戦略的な収集と活用が、MAを通じたパーソナライゼーションの鍵となります。
BtoB事業では、商談から受注に至るまで、長い購買サイクルのなかで複数の意思決定者が関与することが一般的です。
BtoB事業においては、MAを活用することで見込み顧客の行動データの収集から、リードスコアリング(商談確度の判定)やリードナーチャリング(顧客へのフォローアップ)までを効率的にすすめることができるため、営業部門に優先順位の高いリードを提供できます。
購買プロセスの各段階に合わせ、自動化されたメッセージの配信やタスク管理もおこなえるため、一人ひとりの顧客に対して迅速かつ的確なフォローアップが行われ、顧客との関係を強められます。
BtoC事業においては、顧客に継続的に商品・サービスを購入してもらったり、顧客ロイヤルティを高めることがが重要な課題です。
デジタル化の影響で顧客の購買行動や顧客接点(タッチポイント)が多様化し、企業は顧客ロイヤルティを向上させるため、膨大なデータを分析したうえで顧客にアプローチする必要が高まっています。よって、これまで以上に効果的かつ効率的なマーケティング手法が求められています。
BtoC事業においてMAを使用することで、顧客の行動データや購買履歴など大量のデータをMAが処理、分析し、顧客の嗜好や行動に個別化されたアプローチをおこなうことで顧客との長期的な関係を構築することができます。
たとえば優良顧客への特別なオファーやクーポンの送信、顧客の誕生日や記念日のお祝いメッセージなど、顧客を大切にする取り組みをMAで自動化することで、現場への負担を増大させずに顧客満足度を向上させられるのです。
マーケティングオートメーション(MA)の機能は、ツールの種類やBtoB・BtoCの違いで多少異なりますが、基本的な機能はほぼ同じです。ここでは、おもな機能をいくつか解説します。
リード管理は、展示会、ウェブサイト、オンライン広告、セミナーなど、あらゆる顧客接点で獲得した見込み顧客の情報を一元的に集約し、管理するMAの根幹機能です。
氏名、連絡先、所属企業といった基本情報に加え、Webサイトの閲覧履歴、資料ダウンロード、メール開封、イベント参加状況など、顧客のデジタルな足跡を詳細に記録し、個々の顧客プロファイルをリッチ化していきます。
重要なのは、これらの情報を単に蓄積するだけでなく、CRMシステムと連携し、常に最新かつ正確な状態で共有可能にすることです。これにより、マーケティング、営業、サービスといった全部門が顧客に対する360度の理解を深め、一貫性のあるアプローチを実現するための基盤となります。
データのサイロ化を防ぎ、信頼できる唯一の情報源を構築することで、より効果的なリード育成戦略の立案と実行が可能になります。
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スコアリングは、収集・蓄積されたリードの属性情報や行動履歴に基づき、その興味・関心の度合いや購買意欲の高さ(ホットリード度)を自動的に数値化・評価する機能です。
例えば、特定の製品ページの閲覧、価格ページの確認、料金シミュレーションの実行、ウェビナーへの参加といった行動に対して重み付けを行い、スコアを算出します。これにより、マーケティング部門や営業部門は、膨大なリードの中から特に有望な見込み客を客観的な基準で特定し、優先順位をつけてアプローチできるようになります。
さらに、AIを活用した高度なスコアリングモデルでは、過去の成約顧客のパターンを学習し、より精度の高い見込み予測や、次に取るべき最適なアクションの提案も可能になります。これにより、営業担当者はより効率的に有望なリードに集中でき、商談化率や成約率の向上に大きく貢献します。
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キャンペーン管理とは、リードを商談へと導くためにマーケティング施策をタイミングよく実施する機能です。
キャンペーンには主に以下のような施策が含まれます。
実施のタイミングはリードの属性や行動履歴を考慮し、条件を満たしたときに実施されるように設計することができます。
One to Oneメール配信は、MAの中核機能の一つであり、顧客一人ひとりの属性、行動履歴、興味関心に合わせてパーソナライズされたメールを最適なタイミングで自動配信する機能です。
例えば、特定の製品に関心を示した顧客には関連情報や導入事例を、長期間アクションのない顧客には新たな興味を喚起するコンテンツを、といった具合に、CRMに蓄積されたリッチな顧客データを活用して、きめ細かくセグメントされたターゲットに対し、最適化されたメッセージを届けることができます。
テンプレート機能やA/Bテスト機能に加え、AIが顧客の反応を予測し、最適な件名やコンテンツ、配信タイミングを提案する機能も登場しています。これにより、マーケターはより少ない労力で、高い開封率・クリック率・コンバージョン率を実現するメールマーケティングを実施できるようになります。
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コンテンツ管理とは、メールやソーシャルメディア、LP(ランディングページ)など、さまざまなプラットフォームのコンテンツをまとめて管理する機能です。
たとえば、複数プラットフォームの同時更新や既存コンテンツの更新作業やリンクチェック、新規コンテンツの作成補助などの機能が搭載されています。
分析レポートとは、MAツールで実施したマーケティングに関するデータを分析し、レポートとして出力する機能です。代表的なレポートの例としては、顧客の行動分析データやスコアリングデータを利用した傾向の分析、複数のデータを掛け合わせた相関の分析などがあります。
データの分析を手作業で実施しようとすると、人材や時間など多くのリソースを必要とするため、これらを自動化できるのはデジタルツールならではのメリットです。
MAの真価は、SFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係管理システム)とシームレスに連携することで最大限に発揮されます。これらは個別のツールとして機能するだけでなく、顧客データを一元的に管理するCRMプラットフォームを基盤として統合されることで、マーケティングから営業、そしてカスタマーサービスに至るまでの顧客接点全体で一貫した顧客体験を提供することが可能になります。
例えば、MAで獲得・育成された有望なリードの情報(行動履歴、スコア、関心事など)は、リアルタイムでCRMおよびSFAに同期され、営業担当者は即座に詳細な顧客情報を把握した上で、最適なアプローチを開始できます。逆に、営業活動の中で得られた顧客の最新情報や反応はCRMを通じてMAにフィードバックされ、その後のマーケティングコミュニケーションのさらなるパーソナライズに活用されます。
このようなデータの双方向連携と部門間での情報共有は、いわゆる「The Model」のような営業プロセスの効率化と成果の最大化に不可欠です。顧客に関するあらゆる情報が単一の信頼できる情報源に集約されることで、企業全体として顧客中心のアプローチを推進し、顧客生涯価値(LTV)の向上に繋げることができます。AIは、この統合されたデータを活用し、部門を横断した最適な顧客体験の設計や、ネクストベストアクションの提案などを通じて、さらなる価値創出を支援します。
画一的な一斉配信ではなく、顧客一人ひとりの行動履歴や興味に基づいたパーソナライズされた情報提供を自動で行います。
価格ページを閲覧した顧客には導入事例を、特定製品の資料をダウンロードした顧客には活用方法を案内するなど、顧客の検討段階に応じたきめ細やかなアプローチが可能になります。
Webサイトへの訪問頻度やメール開封といった行動を自動で点数化(スコアリング)し、購買意欲の高い見込み顧客を明確にします。
これまで感覚に頼りがちだったアプローチのタイミングをデータに基づいて判断し、営業部門へ最も確度の高い状態で引き渡すことができ、商談化率の向上と営業活動の効率化に大きく貢献します。
マーケティング活動で得た顧客の興味・関心やWeb上の行動履歴を、営業部門とリアルタイムで共有します。営業担当者は、商談前に「顧客が何に課題を感じ、どの情報に興味を持っているか」を把握した上で、的を射た提案を行えます。部門間の連携を円滑にし、組織全体での受注確度を高めます。
広告、メール、セミナーなど、各マーケティング施策がどれだけ売上に貢献したかをデータで正確に把握できます。その結果、効果の高い施策に予算やリソースを集中させるといった、客観的な根拠に基づいた意思決定が可能になります。
成功した施策のプロセスや顧客とのコミュニケーション履歴がシステム内に蓄積され、組織全体で共有できます。
個人の経験やスキルに依存していた業務が標準化され、担当者の異動や退職による影響を最小限に抑えます。再現性の高いマーケティング体制を構築し、組織全体のレベルアップが実現できます。
リスト作成、定期的なメール配信、レポート作成といった時間のかかる反復業務を自動化します。これにより、担当者は企画立案やコンテンツの質向上、データ分析といった、本来注力すべき戦略的で付加価値の高い業務に集中できるようになります。
限られた人員でも、多くの見込み顧客に対して計画的かつ効率的なアプローチを行う仕組みを構築できます。特にリソースが限られる中小企業においても、データに基づいた戦略的なマーケティング活動の展開が可能となり、市場における競争力を高めることができます。
マーケティングオートメーション(MA)は業務効率化や成果向上に役立つ一方で、導入や運用にはいくつかの注意点もあります。
本章では、導入前に理解しておきたいマーケティングオートメーションの主なデメリットについて解説します。
マーケティングオートメーションは多機能であるほど費用が高くなる傾向があり、導入時のコストが大きな負担になることがあります。
ツールの利用料だけでなく、運用に必要な担当者の確保や専門知識の習得、社内教育などにも時間や費用がかかります。
また、価格の安さだけでツールを選ぶと、自社の課題に合わず十分に活用できないケースもあるでしょう。
サポート体制が整っていない製品の場合、機能を使いこなせないまま適切に運用できない可能性もあるため注意が必要です。
マーケティングオートメーションを効果的に活用するには、運用体制を整えることが重要です。
マーケティング部門だけでなく、営業やIT部門など複数の部署が連携しながら進める必要があり、社内での調整や役割分担も求められます。
さらに、CRMやSFA、広告ツールなど既存システムとの連携には開発の手間や時間がかかる場合もあります。
あらかじめ運用スケジュールを整理し、管理者と担当者が協力して準備を進めることが大切です。
導入するツールによっては、専門知識が求められる点もデメリットのひとつです。
多機能なツールほど高度な施策が可能ですが、その分操作や設計が複雑になる場合があります。
たとえば、シナリオの設計やスコアリング設定、セグメント管理などを適切に行うためには、マーケティング知識とツール理解の両方が必要です。
そのため社内で運用する場合は、担当者の育成や教育に時間や費用がかかることもあります。
マーケティングオートメーションは効率的に情報発信できる一方、設定を誤ると顧客に不信感を与えるリスクがあります。
たとえば、問い合わせ直後に営業メールが立て続けに届いたり、クレーム対応中にもかかわらず商品の案内が送られたりすると、機械的な対応と受け取られかねません。
結果的に、顧客一人ひとりの状況が考慮されていないと感じさせてしまい、企業への信頼低下や顧客離れにつながる可能性もあります。
スパムと捉えられないためにも、適切な配信設計と顧客状況の把握が重要です。
マーケティングオートメーションは導入したからといって、すぐに成果が得られるわけではありません。
あくまでも、マーケティング施策を効率的に実行するための仕組みであり、戦略そのものが不十分であれば期待した効果は得られにくくなります。
また、顧客データが不足していたり、情報の精度が低かったりすると、セグメント分けやスコアリングも適切に機能しません。
成果を出すためには、データ整備や戦略設計を含めて段階的に取り組むことが重要です。
マーケティングオートメーション(MA)と関連するツールに、SFA(営業支援システム)とCRM(顧客関係管理)があります。3つのツールは、いずれも営業分野に用いられますが、それぞれ担当する領域が異なります。ここでは、MA、SFA、CRMの目的と役割について解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
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MAは、見込み顧客(リード)の獲得から育成、選別までを主戦場とし、個々の顧客の行動や属性に合わせたコミュニケーションを自動化・最適化します。CRMに蓄積された顧客データを活用し、AIによる分析や予測を取り入れることで、より深い顧客理解に基づいたエンゲージメントを実現し、質の高いリードを営業部門へ送客することが主な目的です。
SFAは、主に営業担当者の活動を支援し、商談の進捗管理、行動管理、予実管理などを効率化します。MAから引き継がれたリード情報や、CRMで一元管理された顧客情報を基に、営業プロセスを可視化し、データに基づいた戦略的な営業活動を展開することを目的としています。
AIを活用することで、成約確度の高い案件の予測や、次に取るべき最適な営業アクションの提案なども可能になります。
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CRMは、これらMAやSFAを含む、あらゆる顧客接点で得られる情報を集約・統合し、顧客に関する信頼できる唯一の情報源を構築するシステムです。単なる顧客情報管理に留まらず、顧客とのあらゆるやり取りを一元的に把握し、分析することで、顧客理解を深め、長期的な関係構築を支援します。
MAやSFAは、このCRMに蓄積されたデータを最大限に活用することで、その効果を発揮します。さらに、カスタマーサービス部門とも連携し、企業全体として一貫した質の高い顧客体験を提供するための基盤となります。
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マーケティングオートメーションを導入する際には、導入目的を明確にした後、次のようなポイントをもとに比較検討を行いましょう。
BtoBかBtoCかといったビジネスモデルだけでなく、自社が目指す顧客体験や、中長期的な顧客戦略とMAツールが提供する思想や機能が合致しているかを確認します。単に機能を比較するのではなく、自社のゴール達成にどう貢献してくれるかという視点が重要です。
MAツールが既存または導入予定のCRM/SFAシステムとシームレスに連携し、顧客データを一元的に活用できるかは最も重要なポイントの一つです。データのサイロ化を防ぎ、マーケティング、営業、サービス部門が同じ顧客情報を基に活動できるプラットフォームとしての機能性を確認しましょう。理想は、MA、SFA、CRMが同一プラットフォーム上で提供されていることです。
AIを活用した顧客分析、リードスコアリングの高度化、パーソナライズされたコンテンツ推奨、ネクストベストアクションの提案など、AIが実務レベルでどれだけマーケティング活動を強化してくれるかを見極めます。将来的な拡張性も含め、AIのロードマップも確認しましょう。
日常的に利用するマーケティング担当者が直感的に操作でき、かつ自社の独自のプロセスやニーズに合わせてシナリオ設計やレポート作成などを柔軟にカスタマイズできるかを確認します。無料トライアルやデモンストレーションを活用し、実際の使用感を確かめることが推奨されます。
企業の成長や市場の変化に合わせて、機能を追加したり、処理能力をスケールアップしたりできるかを確認します。新しいテクノロジーやマーケティング手法への対応状況など、プラットフォームとしての将来性も見据えましょう。
導入時の支援はもちろん、運用開始後の技術サポート、活用ノウハウの提供、ユーザーコミュニティの活発さなども重要な選定基準です。特に、自社と同様の課題を抱える企業の成功事例や、専門家からのアドバイスが得られる環境があるかは、MA活用の成否を左右します。
初期費用や月額料金だけでなく、導入・運用にかかる人的コスト、そしてMA導入によって期待される具体的なROI(リード獲得数の増加、商談化率の向上、顧客単価の上昇など)を総合的に評価します。単に安価なツールを選ぶのではなく、ビジネスの成長にどれだけ貢献できるかという視点での費用対効果を重視しましょう。
MAツールを導入しても、事前準備が不十分だと十分な効果を発揮できません。
ここでは、導入後にスムーズに運用を開始し、成果につなげるために、MAツール導入前に準備しておくべきポイントを紹介します。
MAツールの導入を検討する際は、まず自社が抱えている課題と導入の目的をはっきりさせることが重要です。
顧客の関心や状況を十分に把握しないまま、アプローチしているケースも少なくありません。
たとえば、見込み客のリストはあるものの商談につながらない場合、リード育成の方法に問題がある可能性があります。
MAツールのスコアリング機能などを活用すれば、見込み客の関心度を可視化でき、それぞれに適した施策を実施しやすくなります。
MAツールを導入する前には、どのような顧客情報を収集・管理するのかを整理しておくことが重要です。
氏名や連絡先などの基本情報だけでなく、Webサイトの閲覧履歴や問い合わせ履歴といった顧客の行動データも活用対象となります。
情報は営業部門の名刺データや過去の取引情報、資料請求の履歴など、社内の複数の場所に分散していることが多いため、関係部署と連携しながら一元管理できる形でまとめておくとよいでしょう。
事前に表計算ソフトなどで整理しておくと、導入後の作業も進めやすくなります。
MAツールの導入を検討する際は、同業他社の活用事例を確認しておくこともおすすめです。
自社と近い業種や規模の企業がどのようにMAを活用しているのかを調べることで、具体的な活用イメージをもちやすくなります。
成功事例だけでなく、導入時に直面した課題やうまくいかなかったケースにも目を向けることが大切です。
とくに、自社と似た課題をもつ企業がどのツールを選び、どのような工夫で成果を上げているのかを把握することで、ツール選定の参考になります。
マーケティングオートメーションを効果的に活用するためには、MAツールの導入までの手順を理解しておくことが重要です。
以下では、ツール選定から運用開始まで、MAツールを導入する際に押さえておきたい手順をまとめました。
MAツールの導入を検討する際は、まず自社のマーケティングや営業活動における課題を整理することが重要です。
現状の業務フローや成果を確認し、どの部分に問題があるのかを明確にしたうえで、それを解決するための手段を検討します。
検討の結果によっては、MAではなく名刺管理ツールやCRM、SFA、メール配信ツールなど別の仕組みが適している場合もあるでしょう。
この段階で、MAツールの導入が最適な選択ではないと判断されることもあります。
MAツールの導入を決めた後は、自社の課題やマーケティングの目的に合った製品を選定しましょう。
実施したい施策や必要な機能を整理し、それらを満たすツールを比較検討します。
機能面だけでなく、操作のしやすさやサポート体制、既存システムとの連携の可否なども確認しておくことが大切です。
また、MAは月額課金のクラウド型が多く、長期間利用するとコストが増えるため、必要以上に高機能なツールを選ばないよう慎重に判断する必要があります。
MAツールを選定した後は、提供会社と契約を結び、社内で利用できる環境を整えます。
クラウド型のツールであればソフトのインストールは不要で、アカウント発行後すぐに利用を開始できる場合が多いです。
そのうえで、自社の運用方針に合わせてユーザー権限や顧客データの管理方法などの初期設定を行います。
ツールによってはデータベース構築や他システムとの連携設定が必要になることもありますが、Webサイトに計測用コードを設置するだけで使いはじめられるケースもあります。
MAツールの初期設定が完了した後は、具体的な活用方法を設計します。
まずはペルソナの設定やカスタマージャーニーの整理を行い、どのようなコンテンツや施策を提供するかを検討しましょう。
そのうえで、既存の見込み顧客データをツールに取り込み、属性情報や行動履歴を整理して管理します。
情報をもとに顧客をグループ分けし、関心度や属性に応じたセグメントを作成することで、より効果的なマーケティング施策を実施することが可能です。
MAツールを活用する際は、見込み顧客を段階的に育成するためのシナリオを設計します。
シナリオとは、顧客が情報収集から検討、導入に至るまでの流れに合わせて、どのような情報やアプローチを行うかを計画したものです。
とくに、BtoBでは契約までの期間が長くなる傾向があるため、顧客の行動や関心度に応じてフェーズごとに施策を組み立てます。
たとえば、資料請求後に関連情報や課題解決に役立つコンテンツを段階的に提供するなどの方法が考えられます。
MAツールを活用するには、マーケティング施策で使用するコンテンツの準備が欠かせません。
たとえば、Webサイトに掲載するノウハウ記事や製品資料、ダウンロード用のホワイトペーパーなどが挙げられます。
コンテンツを発信することで、見込み顧客に役立つ情報を提供し、関心を高めるうえで重要な役割を果たします。
すべてを一度に用意するのが難しい場合でも、まずは需要の高いテーマから優先的に作成し、段階的に増やすとよいでしょう。
MAツールの運用をはじめる際は、事前に社内の役割分担を整理し、誰がどの業務を担当するのかを明確にしておくことが重要です。
体制が整っていないと、担当者を確保できず、導入したツールを十分に活用できない可能性があります。
また、マーケティング部門だけでなく営業部門との連携も欠かせません。
双方が役割や対応範囲を共有しながら情報を連携し、施策の効果を確認・改善していくことで、MAツールを継続的に活用できるようになります。
MAツールは導入するだけでは十分な成果を得られない場合もあります。
ここからは、導入後によく見られる失敗のパターンとその原因を整理し、マーケティングオートメーションを効果的に活用するための対処法について見ていきましょう。
マーケティングオートメーションは営業活動を効率化するためのツールですが、活用するには一定数の見込み顧客データが必要です。
名刺情報が十分に集まっていなかったり、メール配信が可能なリストが少なかったりすると、アプローチできる対象が限られてしまい、期待した成果につながりにくくなります。
そのため、まずはリード数を増やす取り組みを進めることが重要です。
具体的には、営業部門から名刺データを集めたり、過去の展示会やイベント、Web施策で取得した情報を整理したりするとよいでしょう。
MAツールを導入すればマーケティング業務の自動化は可能ですが、十分に活用するには新しい知識やスキルの習得が欠かせません。
社内に運用ノウハウを持つ人材がいない場合、機能をうまく使えず、結果として導入したツールが十分に活用されないままになってしまうおそれもあります。
ベンダーによるサポートや外部専門家の研修、社内勉強会などを活用し、担当者だけでなく組織全体でツールへの理解を深めていくことが重要です。
MAツールを効果的に活用するには、顧客データの管理が大切です。
データが重複していたり、情報の粒度にばらつきがあったりすると、正確な分析や適切な施策の実施が難しくなります。
結果的に、期待していたマーケティング効果を得られない可能性もあるでしょう。
こうした問題を防ぐためには、入力フォームの項目を見直したり、定期的にデータを整理したりするなどのデータクレンジングを行うことが大切です。
必要に応じて、作業を効率化できるツールの活用も検討するとよいでしょう。
マーケティングオートメーションを効果的に活用するには、Webサイト上の十分な量のコンテンツが必要です。
記事や資料などの情報が少ないと、リードの行動データを取得できても判断材料が不足し、見込み顧客の関心やニーズを正確に把握しにくくなります。
営業部門での優先度が上がらず、対応が後回しになる可能性もあります。
リード獲得や適切な評価を行うためにも、テーマごとに整理されたコンテンツを継続的に充実させることが大切です。
MAツールを導入しても、運用を担う人材が不足していると十分に活用できないことがあります。
日本企業ではマーケティング専門の部署や担当者がいないケースも多く、継続的な施策の実行が難しくなる場合があります。
マーケティングやインサイドセールス、営業が連携してリードに対応する体制も重要です。
必要に応じて外部コンサルタントやベンダーの支援を活用し、運用体制を整えてください。
BtoBとBtoCそれぞれのMA活用事例を紹介します。現在、自社が抱えている課題や問題と照らし合わせ、ぜひ参考にしてください。
東京、吉祥寺に本店を置く不動産会社の殖産ベスト株式会社では、MAツールのAccount Engagement(旧 Pardot) とSFAツールSales Cloud を同時に導入し、営業担当者1人あたりの売上を業界平均の1.6倍まで引き上げることに成功しています。
両ツールはDX化の中心施策として、2017年6月から導入されました。まず、従業員が個人管理していた情報が一元化され、全店舗の情報をリアルタイムで把握することが可能になりました。さらに、物件データの登録もツールを活用し、事務作業は大幅に減少。結果、残業はほぼゼロになり、営業担当者1人あたりの売上平均は約4,000万円と、業界平均の1.6倍まで増加しました。
さらにSales Cloudに蓄積されたデータをAccount Engagement(旧Pardot)で活用し、顧客のフィルタリングやナーチャリングを実施。週に5パターンのメールマガジンを発行し、顧客によってアプローチを変えました。これにより、メール経由の売上貢献額は約1,000万円から4年で約7,500万円まで増加しています。
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住宅メーカーであるトヨタホーム株式会社では、MAツールのMarketing Cloud と自社開発CRMを組み合わせることで、パートナーであるディーラーの顧客をフォローアップするプロセスを実現しました。
同社は元々DX化に取り組んでいて、2020年にはWebサイトをリニューアル。Webサイトから獲得した顧客情報を担当ディーラーに自動で振り分け、各ディーラーが対応する仕組みをとっていました。このプロセスの中で顧客との関係を管理するためにCRMが必要になり、自社でCRMを開発。メーカーとディーラー両方の意見を取り入れたことで、納得感の高いツールに仕上がりました。
しかし、CRMにはMA機能が搭載されておらず、これを補うためにMarketing Cloudを導入。CRMに蓄積された顧客情報をベースに「未フォロー顧客をなくす」という目的を掲げ、リードナーチャリングに取り組みました。その結果、キャンペーンに申し込んだ顧客に対するメールは開封率40%以上、リンククリック率5%以上を実現するに至りました。
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オーダーメイドブランドを展開する株式会社オンワードパーソナルスタイルは、Salesforceを活用した「顧客カルテ」を導入し、次につながる体験価値の提供に成功しています。
採寸データや購入履歴などの基本的な情報のみならず、接客を通じて取得した各顧客の特性や嗜好など、顧客に関するあらゆるデータをService Cloud に一元化・可視化しました。来店のきっかけやスーツの着用用途、好みの色などのアンケートデータもひと目で把握できるため、担当スタッフでなくても、顧客の購買傾向や嗜好を踏まえた的確な商品を提案できます。
さらに、購入後の顧客体験価値の向上を目指し、Marketing Cloud も活用しています。顧客の属性や購入回数、購入金額などでセグメンテーションし、シナリオを組んでメールを出し分けられ、顧客ごとに最適化した情報発信が可能になりました。
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日本航空株式会社では、顧客とのメールによるコミュニケーションを改革するためにMarketing Cloud を導入しています。
以前は社内の複数の部署がそれぞれのリストからメールを送っていたため、1日で同じ顧客に複数のメールが届くこともありました。現状の改善のため、Marketing Cloudですべての顧客情報を統合し、より多く読まれた好感度の高いメールを制作した部署が配信頻度を高められるように改革しました。
結果、メールのコンテンツを読者の興味に適合させたものに改善すること、ターゲットを絞り込んで開封率を高める取り組みを活性化させることに成功したのです。
Web販売部では開封率がメールの開封率が4〜5%アップし、クリック率も0.1〜0.2%向上しました。
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マーケティングオートメーションについて、上記で解説した内容以外にも、さまざまな疑問をもつ方もいるでしょう。
最後に、マーケティングオートメーションに関してよく寄せられる質問と回答をまとめて紹介します。
マーケティングオートメーションは、一定数の見込み顧客を継続的に獲得できている企業ほど効果を発揮しやすい傾向があります。
顧客の興味関心を高めるコンテンツや、購買までの流れを整理したカスタマージャーニーが整備されていることも重要です。
さらに、マーケティング部門と営業部門の役割が明確で、リード育成の仕組みや顧客の行動データを把握できる体制が整っていると、状況に応じた適切なアプローチを行いやすくなります。
マーケティングオートメーションでは、見込み顧客の状況や行動に合わせて適切なタイミングでアプローチすることが大切です。
そのため、複数のチャネルや施策を組み合わせたシナリオ設計が欠かせません。
シナリオをあらかじめ設計しておくことで、マーケティング活動の流れを自動化でき、効率的に施策を実行できるようになります。
また、継続的に情報提供を行うことで、すぐに購入しない見込み顧客とも長期的な関係を築きやすくなります。
MAツールは多くの機能を備えていますが、導入直後からすべてを活用しようとすると設定や運用が複雑になり、担当者の負担が大きくなることがあります。
そのため、最初はメール配信やWebサイトのアクセス分析など、基本的な機能に絞って運用をはじめるのが成功のポイントです。
まずは小さくはじめて操作に慣れ、成果が見えはじめてから段階的に活用範囲を広げていくことで、無理なくMAツールを定着させやすくなります。
マーケティングオートメーション(MA)は、さまざまな機能を備える、高いポテンシャルを秘めたツールです。単体での運用はもちろん、SFAやCRMと連携することで、顧客獲得やLTV(顧客生涯価値)向上などをより効果的に実現できるでしょう。
そのためにも、MAを始めとしたデジタルツールを理解し、知識とノウハウを蓄積することが重要です。MAに何ができるか、何ができないのかをきちんと理解し、マーケティング戦略、営業戦略に役立ててください。
なお、SalesforceのMA「Marketing Cloud 」は、リアルタイムで一人ひとりに合わせた顧客体験の提供を可能にします。
顧客のあらゆるデータを統合し、AIが最適なマーケティング戦略を提案します。下記からデモ動画の視聴ができますので、マーケティングを効率的に実施したい方はぜひご覧ください。