CRMの定義
CRMはCustomer Relationship Management(顧客関係管理)の略で、企業における既存顧客、潜在顧客とのあらゆる接点を管理するためのシステムです。目的はシンプルで、ビジネスを成長させるために顧客との関係を改善すること。CRMは、企業が顧客とのつながりを維持し、プロセスを合理化し、収益性を向上させるのに役立つテクノロジーです。
一般的に、CRMと言えばCRMシステムを指します。つまり、見込み顧客や既存顧客とのすべてのインタラクションを追跡するのに役立つソフトウェアです。ここでのインタラクションには、営業電話、カスタマーサービスのやり取り、マーケティングメールなどが含まれます。
CRMツールは、多くのソースからの顧客データと企業データを統合できるだけではありません。人工知能(AI)も駆使することで、マーケティング、営業、デジタルコマース、カスタマーサービスのやり取りなど、部門の垣根を越えて顧客のライフサイクル全体にわたって関係を適切に管理する際に効果を発揮します。
では、なぜCRMが重要なのでしょうか?誰がその恩恵を受けられるのでしょうか?詳しく見ていきましょう。
このガイドの内容
CRMは、企業における既存顧客と見込み顧客とのすべてのインタラクションを管理するシステムです。顧客との関係を改善し、プロセスを合理化し、成長を促進させるのに役立ちます。
CRM の対象ユーザー
CRMソフトウェアは、あらゆる規模の企業や業界で使用されています。顧客の活動を一元的に簡単に追跡し、部門間で共有する必要がある大企業、少ないリソースで多くのことを行う必要がある中堅・中小企業、俊敏性と効率性が求められるスタートアップ企業にとってメリットがあります。業界を問わずあらゆる企業、または非営利団体であっても、顧客とコミュニケーションを取り、従業員がそれらの顧客に関する情報を頼りにしている組織なら、CRMシステムが役立つはずです。
顧客関係管理ソフトウェアは、営業からサービス、IT、マーケティングなど、社内のほぼすべての部門にメリットをもたらします。規模の大小にかかわらず、簡単に始めることができます。
CRMシステムがビジネスにとって重要なのはなぜか?
ビジネスは複雑さを増しています。平均的な組織では約900種類ものアプリケーションを利用していますが、そのうち連携されているのはわずか29%にとどまります。
競合他社より一歩先を行くには、顧客中心の姿勢と適切なテクノロジーの導入が欠かせません。しかし、最新で信頼でき、かつ行動につなげられる情報を得るのは簡単ではありません。営業、カスタマーサービス、マーケティングなどの各部署やソーシャルメディアから流れ込んでくる膨大なデータを有用なビジネス情報へと変換するには、どうすればよいのでしょうか?
答えはもちろん「CRMソリューションを活用すること」です。ここからは、CRMデータベースの活用がビジネスにとって重要である理由をいくつかご紹介します。
信頼できる唯一の情報源
Salesforce CRMをはじめとする顧客関係管理ソフトには、明確に整理された統合顧客プロファイルを表示する機能があります。顧客の購入履歴、注文状況、未解決のカスタマーサービス案件などを、シンプルで安全、かつカスタマイズ可能な単一のダッシュボードで確認できます。このような情報は非常に価値があります。実際、82%のサービス担当者 が、顧客の期待はかつてないほど高まっていると回答しています。
信頼できる唯一の情報源があれば、顧客との過去のやり取りについて、電話、チャット、電子メール、ソーシャルメディアなど連絡手段を問わず、すべてを社内の全員が把握し、期待どおりのサービスを提供できるようになります。
管理システムについても、信頼できる唯一の情報源を持つことは、AIソリューションが顧客データにもとづいてインサイトを迅速に提示し、関連するアクションを実行するためには重要です。データがどこに存在していても、1つのCRMにシームレスに取り込むことができるため、コストも管理の手間もかかるデータパイプラインが不要になります。
コスト削減
信頼できる唯一の情報源を持つことで利点が得られるのは、顧客だけではありません。企業にとっても、情報が整理されることで収益につながる活動に専念できるという利点が生じます。営業チームは、見込み顧客と話をしたり、顧客と会ったり、貴重な情報を収集したりする中で、大量のデータを生成します。
通話メモ、顧客の連絡先、営業リードなどの情報すべてをアクセス可能な1か所に保存することで、チーム全体でミスの防止と生産性の向上につながります。こうした管理コストは、デジタルワーカーの導入でさらに削減できます。データ入力を自動化し、運用オーバーヘッドを最小限に抑え、営業メールの作成、レポートの生成、リードのフォローアップなどの反復的な手作業を削減できるためです。
また、営業担当者が会社を辞めると、その人が持つ顧客情報や商談メモがCRMに保存されていない限り、永遠に失われてしまうかもしれません。
CRMシステムを使用することで、管理作業が減り、顧客との個人的な関係構築に集中する時間が増え、売上の増加につながります。
すべてのチームを連携させる
CRMで情報を共有することによってチーム間の連携が高まり、全員の仕事がスムーズに進むようになります。
たとえば、マーケティング担当者はCRMツールを活用することで、キャンペーンの管理やカスタマージャーニーのリードを、データにもとづくアプローチで行うことができます。CRMソフトウェアを使えば、すべての商談やリードの状況が把握でき、問い合わせを営業につなげる流れも明確になります。その後、コマースチームはWebサイトでパーソナライズされたオファーを顧客に提供できるようになり、一方でカスタマーサービスは、顧客から問い合わせがあった時点ですでにその履歴を把握できています。
AIでカスタマージャーニーを加速
CRMとエージェント型AIの力を組み合わせることで、非常に大きな効果を得ることができます。顧客に関するインサイトをすばやく取得し、あらゆるやり取りをパーソナライズできます。特に、指示と割り当てられたガードレールにもとづいて自律的にアクションを実行できるAIエージェントを活用すると、従業員の生産性が大幅に向上します。
デジタル労働力は、サービスに関する問い合わせの対応、フォローアップのスケジュール設定、カスタムCRMレポートの生成などができるため、生産性をさらに高めます。AIエージェントは、営業メールやマーケティングメッセージの作成、商品説明の作成やローカライズなど、時間や手間のかかる作業をスピードアップさせるツールです。こうした作業すべてから解放されたチームは、より意義のある業務に集中できるようになります。
AI搭載CRMを導入することにより、四半期ごとの売上目標、eコマースの売上、マーケティングメールの送信に最適なタイミングなどの予測について、従業員はさらに精度の高い情報を得ることができます。
Salesforceの商品に触れて、AIエージェントで業務を革新する企業向けに構築された実際のユースケースやソリューションをじっくりご覧いただけます。
CRMのメリットとは?
CRMソフトウェアを使用することには多くのメリットがあります。特に、CRMをAIや信頼できるデータと組み合わせると、その効果は絶大です。代表的なものをいくつかご紹介します。
収益の向上
CRMプラットフォームを導入することで、ビジネス全体で具体的なメリットが得られることが証明されています。具体的には、従業員の時間の節約、業務効率化、新たな機会の発見、そして顧客サービスの向上が挙げられます。Salesforce製品を活用して、世界中のあらゆる規模の企業が次のような成果を上げています。
営業部門の改善
マーケティング部門の改善
カスタマーサービス部門の改善
デジタルコマース部門の改善
ITとテクノロジー部門の改善
出典:Salesforceの2025年度カスタマーサクセス指標調査に関するグローバルハイライト。データは9か国の30,616社のお客様から集計したものです。
AIと自動化によるトレンドの特定と業務の効率化
AIとインテリジェントなAIエージェントを活用したエージェンティック・エンタープライズになることは、ビジネスの成長につながります。従業員の効率を向上させ、顧客対応を強化し、これまで気づかなかった新たなビジネスチャンスを発見することができます。AIエージェントは従業員の生産性を高め、顧客により良いサービスを提供するサポートをします。例えば、24時間365日の自律的カスタマーサービス、見込み顧客へのエンゲージメント、パーソナライズした商品レコメンデーションなど、多岐にわたる機能を提供します。
AI自動化を会社全体に導入することで、複雑なマルチユーザープロセスをシンプルなワークフローに合理化するなどの効果が生まれ、従業員の業務効率化がさらに進みます。さらに、Slackのような生産性向上につながる統合型プラットフォームを活用すれば、従業員はワークフローの中で直接コラボレーションし、プロセスを自動化できます。CRMとSlackにおけるAIを組み合わせることで、アプリの切り替えを防ぐ自動同期、自然言語によるエンタープライズレベルの検索、即時の会話サマリーとダイジェストによって、時間節約につながる機会がさらに増えます。
カスタマーサポートの質の向上
現代の顧客は、昼夜問わず、いつでも自分に合ったスピーディなサポートを求めています。CRMシステムを導入すれば、そのような期待に応える高品質なサービスを提供することが可能です。サービス担当者は、過去のすべてのやり取りの記録にすぐにアクセスできるため、迅速で的確な回答やサービスを提供することができます。
商品とサービスの改善
優れたCRMシステムは、社内外のさまざまな情報源からデータを収集します。そのため、個々の顧客に関する情報を提供するだけでなく、組織の「リスニングエンジン」として機能します。AIを活用することで、世間の人が貴社について持っている印象や意見を、これまでとは比較にならないレベルで把握できます。そうした情報をもとに、商品やサービスを改善し、問題を早期に発見し、潜在的なニーズのギャップを特定することが可能になります。
CRM システムの機能
CRMシステムは、既存顧客や見込み顧客の連絡先情報の保存、商談の特定、カスタマーサービスにおける問題の記録、マーケティングキャンペーンの管理などの機能が一元化されており、社内の関係者が利用できます。こうした管理を可能にするために、CRMは既存顧客や見込み顧客のメールアドレス、電話番号、SNSアカウント、過去のやり取りなどの情報を、安全で使いやすいデジタル記録として整理します。
CRMは新規顧客の発掘と商談の成立、顧客満足度の維持にも役立ちます。自動化機能を備えており、取引先に関するニュースなどの情報も素早く収集し、関係者全員に最新情報を共有します。AIエージェントはチームの延長として機能し、CRMデータを使用してカスタマージャーニー全体でアクションを実行できます。
CRMは、企業における既存顧客と見込み顧客とのすべてのインタラクションを管理するシステムです。顧客との関係を改善し、プロセスを合理化し、成長を促進させるのに役立ちます。
CRMの主な機能
顧客関係管理(CRM)ソフトウェアは、社内だけでなく社外の顧客とも円滑にコミュニケーションを取るためのツールとして利用できます。詳しく見ていきましょう。
柔軟性、セキュリティ、コストに優れたクラウドCRM
かつてのCRMとは異なり、今日のCRMソフトウェアはクラウド上に存在します。そのため、いつでもどこでも安全に顧客データを保存してアクセスできます。言い換えると、全従業員がリアルタイムで同じ情報を共有し、どこにいてもデータを更新できるということです。モバイルCRMを使用すると、情報にいつでもアクセスできます。
クラウドCRMに移行することで、CRMの導入も容易になります。コストのかかるハードウェアのメンテナンスが不要になり、ITチームが担当するソフトウェア管理も、バージョン管理にわずらわされず、アップデートのスケジュールを組む必要もないため負担が軽減されます。クラウドベースのCRMでは使用するシート数や機能に応じた料金プランが用意されており、ビジネスの成長に合わせて追加できるため、CRMの拡張もプランの変更で簡単にできます。
クラウドへの移行は、CRMのあり方を大きく変えました。誰もが場所を問わずあらゆるデバイスで作業できるため、コラボレーションの強化とコストの削減が実現しています。セキュリティも強化され、顧客データや企業データが常に安全に保たれるようになりました。
顧客ビューの一元化
CRMソフトウェアを活用すれば、見込み顧客や既存顧客に関する情報を一元管理し、日々の顧客の活動やインタラクションを効率的に管理できます。マーケティングの場合、ターゲットを絞ったデジタルマーケティング キャンペーンとジャーニーを通じて、適切なタイミングで適切なメッセージを見込み顧客に届けることが可能になります。営業担当者はパイプラインを把握しやすくなり、業務のスピードと効率を向上させ、予測の精度も高められます。
コマースチームは、オンライン注文からカーブサイド・ピックアップまで、さまざまなeコマースをすばやく立ち上げ、拡張することができます。一般消費者(B2C CRM)にも法人顧客(B2B CRM)にも対応可能です。そしてサービス担当者は、オフィス、自宅、現場のどこからでも、あらゆるチャネルで顧客のニーズに対応できます。
他のアプリとの連携
前述のように、平均的な企業では約900種類ものアプリを利用していますが、その多くは連携されていません。CRMプラットフォームは、顧客関係の構築に役立つ他の業務アプリと連携 できます。CRMの連携機能を使えば、ドキュメント署名、会計、請求書管理、消費者アンケート調査など、普段使用しているビジネスツールと連携させて顧客の全体像を把握できます。
信頼できるAIが組み込み済み
最新のCRMシステムには、組み込み型のインテリジェンス機能と信頼できるAIが搭載されています。これらは顧客データを活用して、データ入力、リードやサービスケースのルーティングなどの管理タスクを自動化するカスタマイズ可能な予測型の生成AIエクスペリエンスを提供します。そのため、ガバナンスとセキュリティを中核とした責任ある信頼できるAIを使用することが重要です。これにより、AIエージェントは明確なガイドラインの範囲内で動作し、データプライバシーを維持できます。
AIが秘める可能性をビジネスの現実に変えるための実用的なロードマップをご覧いただけます。
CRMの費用
顧客関係管理ソフトウェアは、ビジネスに大きなインパクトを与えることができます。だからといって、コストが大きくなるとは限りません。あらゆるビジネスに対応する、さまざまなCRMの料金プランが用意されています。CRMは、必要な製品やサービス、企業の規模や業種、そして各部門のニーズに応じてカスタマイズできます。中堅・中小企業でも大企業でも、始めるのは簡単です。
さらに、Salesforceは30日間無料でお試しいただけます。また、AIエージェントがどのような効果をもたらすのか、ROI試算ツールでご確認いただけます。
CRMとはよくある質問
CRMは、顧客関係管理(customer relationship management)の略です。企業が既存顧客や見込み顧客との関係やインタラクションすべてを管理するためのテクノロジーです。CRMシステムは、企業がカスタマーサービス関係を改善し、顧客を維持し、売上増加を促進できるよう支援します。
重要なCRM機能には、連絡先管理、営業パイプライン追跡、マーケティングキャンペーンのカスタマーサービスツール自動化、レポート作成とアナリティクス、AI機能、モバイルアクセス、サードパーティソフトウェアとの連携などがあります。また、ビジネスニーズに合わせてCRMオプションをカスタマイズする機能も必要です。
AIを活用したCRMは、AIエージェントとエージェント型AIを使用して、顧客データを自律的に分析し、行動と顧客のニーズを予測し、最適な次のステップを提案し、定型的タスクを自動化し、パーソナライズされた顧客体験を提供できます。また、機械学習を使用してリアルタイムのインサイトとアナリティクスを提供し、パフォーマンスを継続的に向上させ、チームがデータにもとづく意思決定を行えるよう支援します。AI搭載CRMは、非常にインテリジェントなアシスタントだと考えてください。
CRMは、すべての情報を一元的に把握し、顧客データを信頼できる唯一の情報源に合理化することで、一貫したコミュニケーションと容易なコラボレーションを実現します。 営業、マーケティング、コマース、サービスの各チームは、顧客の全履歴を確認できるため、より多くの情報にもとづいたやり取りや部門間のシームレスな引き継ぎが可能になります。
CRMは、営業パイプラインの全体像を明確に把握できるように提示し、リード管理やデータ入力やフォローアップなどのタスクを自動化することで、営業活動を促進します。正確な予測を可能にし、データにもとづく実用的なインサイトを提供し、生産性と顧客維持率を向上させます。AI機能は、最適な見込み顧客を特定し、最適なアウトリーチ時間を提案し、パーソナライズされたメッセージのレコメンドを行います。さらに、アウトリーチを実行し、リードとのミーティングをスケジュールすることもできます。
CRMは、担当者が顧客の全履歴に簡単にアクセスできるようにすることで、問題をより迅速に解決し、複数のチャネルでのコミュニケーションをサポートできるため、カスタマーサービスが向上します。AIエージェントは、顧客と対話してサービスの回答を提供し、最も困難なタスクを人間の担当者に引き継ぐこともできます。人間の担当者は、AIを使用して解決策を提案し、応答を生成し、通話メモを提供できます。
CRMの主要なタイプには、運用、分析、コラボレーション、戦略の4つがあります。顧客とのインタラクション管理において焦点を当てる側面がそれぞれのタイプによって異なります。運用タイプのCRMはビジネスプロセスを自動化して合理化し、分析タイプのCRMはインサイトを得るためのデータ分析に特化し、コラボレーションタイプのCRMは部門間のコミュニケーションと情報共有を促進し、戦略タイプのCRMは顧客をビジネス戦略全体の中心に据えます。
最適なCRMを選ぶには、考慮すべき特長や機能がいくつかあります。まず、会社の規模、業界要件、予算、連携のニーズ、成長計画について考えます。次に、機能面として、使いやすさ、カスタマイズ可能なオプション、モバイルアクセス、AI機能、ベンダーサポートなどを評価します。最終決定を下す前に、無料トライアルを利用してさまざまなプラットフォームを試してみることをお勧めします。
CRMのコストは、機能、ユーザー数、ベンダーによって大きく異なります。導入、トレーニング、カスタマイズの費用などを含めた総所有コストで検討してください。詳細については、CRMの価格や全Salesforce製品の価格をご確認ください。
CRMの導入には、いくつかのステップがあります。たとえば、適切なプラットフォームを選択するためのビジネスニーズと目標の評価、ソフトウェアのカスタマイズとデータの移行の戦略立案、システムのテスト、システムを効果的に使用するためのチームのトレーニングなどがあります。複雑な導入については、認定コンサルタントまたはCRMパートナーとの連携を検討し、継続的なユーザーへの定着と最適化を図ってください。
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