3. 従来の8割の人員で年間約1,800案件を処理、少なくとも約900時間の時短を実現
Salesforceを導入したAISolは、まずSalesforceを活用し、全社員が1つのシステムで情報を共有できるように案件情報を蓄積しました。その上で、Chatterで案件ごとの連絡をするようにしています。現在はコーディネート事業本部のみですが、関連部門への情報共有や決裁にはChatterを活用しSalesforce上でスピーディに合意形成できるようにしています。「こうした仕組みを構築できなければ、そもそも年間1,800件程度の共同研究・技術コンサルティング案件をこなすことは現実的ではない」と関口氏は語ります。
実際、Salesforceの導入前に一時的にExcelで案件を管理した際には業務が混乱したとAIST Solutions コーディネート事業本部の大嶋裕子氏は振り返ります。
「案件数は300件程度でしたが、それでも50名前後の連携担当者がいるため、同じExcelのファイルにいっぺんにアクセスすると翌日にはファイルが壊れている状況が続きました。それが、Salesforceであれば、安定的に運用できます。過去の類似案件を探す際にも既存システムでは年度ごとにまとめたファイルを1つずつ開けていかなければなりません。Salesforce上で横断的に検索ができることで利便性が格段に高まりました」(大嶋氏)
このほかにも、Salesforce導入による生産性向上を実感しています。産総研時代は、部門ごとに業務管理システムを運用しており、1つの契約を締結するために連携担当者が契約担当者や知財担当者などにメールで個別に手続きの進捗状況などの連絡をしていました。この業務フローが煩雑で連携担当者に相当な負荷がかかっていました。
現在はSalesforceという1つのプラットフォームで情報を共有でき、Chatterで決裁も実行できるため、作業負荷が大幅に軽減したのです。
「例えば案件ごとに、秘密保持契約担当部門や共同研究を管理する契約部門に個別メールを送ると仮定しましょう。あくまで肌感覚ですが、こうした“お伺い&確認”の作業に1案件につき30分は費やしています。Chatterを使えばこの時間は限りなく無くなります。単純計算で1,800件×30分=900時間を削減できるのです」(宮嶋氏)
また、産総研では業務改革の一環として業務の削減や集約化、簡素化等の取り組みを推進しており、全国に分散していた民間企業との契約機能をAIST Solutionsが一手に担っています。その中で、Salesforceの導入をはじめ、業務のスリム化により産総研時代とほぼ同じ数の案件を従来よりも少ない人員で対応できているため、生産性は確実に向上しています。
しかも、システムの導入・運用管理を担当する宮川氏は、産総研では人事や知財管理の部署にいて、システム管理はまったくの未経験でした。しかし、Salesforceであれば初心者でも直感的にシステムを構築できます。「Trailheadといった教育ツールが充実していることやコミュニティでの情報も多く、学習機会が充実している点もありがたかったです」(宮川氏)
現在はユーザーの声を反映させながら、1か月に1回のペースで改修を繰り返して微調整を進めています。宮川氏は「管理者としては使いやすいユーザー・インターフェース(UI)を心がけています。すでにSalesforceなしでは業務管理ができないぐらいにまで浸透しました」と笑います。