

旭川赤十字病院は、28診療科、520床を擁する北海道旭川市の急性期病院です。救命救急センターを有し、ドクターヘリ基地病院として道北圏域では救急医療の中核を担っています。医師の働き方改革が求められる中で、病院全体の業務負担の軽減を早くから進めてきました。RPA(ロボティックプロセスオートメーション)を導入し、人間が実行していた作業を機械が代替したり、電子カルテ入力に音声入力を採用したりするなど、先進的な取り組みを進めています。他方、医療の現場や事務作業からさまざまなデータを抽出できるようになる中で、それを支えるデータ活用・分析のインフラにはExcelでは限界がありました。なんらかの手立てが必要と考えるなか、2018年に正式にTableauの導入を決定。現在は、事務部 経営戦略室の4名で経営方針の策定や各診療科のデータ活用を支援しています。
Tableauのデータはビジュアルがわかりやすく、経営幹部に状況が伝わりやすくなりました。結果として意思決定が速くなっています。
脇田 嵩大 氏事務部 経営戦略室 経営戦略係長, 日本赤十字社 旭川赤十字病院
近年、病院経営や診療科の体制変革では、数値化した指標を見て判断が必要となっており、非常に多くのデータをかけ合わせた分析が必要となっています。根拠になるデータも増え続けていて、表計算ソフトの分析では対応しきれなくなっていました。また、会議の場で求められた新しい視点に対応して、その場でパラメーターを変えるなどして提示することは困難で、分析にさらなるスピード感を求められていました。
ムービーから静止画を取り出すようにドリルダウン
導入当初、操作研修を経て実際にデータ作成に至った際には、少ない手数で自由に可視化できることが何よりも驚きだったと言います。また、会議の場で求められた新しい視点に対して、Tableauではその場でパラメーターを変えて提示できました。従来のExcelで分析した結果が静止画だとすれば、Tableauのダッシュボードはまるでムービー。必要に応じて静止画を取り出すような感覚で利用できます。
定量的な面からだけでなく、業務負担の軽減にも効果
Tableau導入の効果は定量的なものだけでなく、業務の負担軽減にも大きく表れています。会議の場で必要なデータを即座に可視化できるので、持ち帰りがなくなり、再度会議を開催する時間や労力、調整などが不要になりました。ビジュアルが分かりやすいことから幹部にも状況が伝わりやすくなり、結果として意思決定が速くなっていると言います。
部門を越えたデータ分析環境や人材育成の検討を進める
Tableauを活用したデータ分析を有効に活用している旭川赤十字病院。現在は、経営戦略室で作成した定例データを各部門に配布していますが、今後はデータ活用推進や業務改善につなげるため、院内の各部門でTableauを見られる環境やスキルの整備を目指しています。人材面においても、経営戦略室や各部署での人材育成も視野に検討を進めています。
現場でデータ分析の恩恵を受けられるよう、活用環境の整備に注力
将来的には、電子カルテを開いたらTableauの画面も開き、データの閲覧や分析が可能な環境を整えていくなど、現場でTableauによるデータ活用や分析の恩恵を受けられるよう、活用環境の整備に注力を続けていく考えです。
※ 本事例は2024年4月時点の情報です