広島県共済は、広島県内の中小企業者に向けた共済事業を行う組合です。
3月末時点での組合員数は約6万5000名。法人企業だけでなく、商店や個人事業主など地域に根ざした多様な事業者が加入しています。
「地域の中小企業を支えることが、地域経済や広島全体を支えること」という思いで、相互扶助の精神で事業を展開しています。
70年の歴史で培われた「口伝文化」が「強み」でもあり「課題」に
新型コロナ禍以降、物価や賃金の上昇、為替変動など、中小企業を取り巻く環境は大きく変化してきました。
「業績や賃金を伸ばすことができる大企業と、それが難しい企業との二極化が進んでいます。私たちの組合員の多くは原材料費の高騰や人手不足による事業継承など、内外に多くの悩みを抱え、価格添加や賃上げが用意でないなど、この影響を強く受けています」と常務理事の林大介氏は語ります。
こういった中、組合としても変化に沿った形で事業を推進していく必要がありました。
同組合では、長年にわたって「Face to Face」での代理所訪問を中心とした営業を重視してきました。
「効率よりも信頼関係を大切にする」「関係構築のためにあえて非効率なこともやっていく」という姿勢は、同組合の強みでもある一方で、業務の非効率化や紙中心の運用が課題にもなっていました。
稟議書は紙で作成・押印し、郵送による案内も多く、職員の負担も大きなものでした。
組合員の年齢層も比較的高く、電子化への移行には「丁寧な配慮」が求められていました。
営業担当者はそれぞれが紙やExcelで契約情報を管理し、記録がバラバラに存在していました。
「お客様との過去のやりとりや提案履歴が、担当者の頭の中にしか残っていない。属人的な管理によって顧客像が見えづらくなっていました」(林氏)
創立70年の歴史の中で培われた「口伝文化」が、「強み」でもありながら、同時に「課題」でもあったのです。
「拡張性」と「将来性」、そして「伴走するパートナーの存在」 が決め手
こうした課題を背景に、同組合はSalesforce Financial Services Cloud(FSC)の導入を決断しました。
「最初にご提案いただいたとき、正直とても新鮮に感じました。『私たちの既存の顧客管理システムの課題を解決できる可能性がある』と思い、役員にも早期に提案しました」
とDX推進プロジェクトリーダーの西村智恵氏は振り返ります。
同組合が重視したのは、「営業活動の可視化」と「将来的なシステム統合」の両立でした。
「FSCなら、単なる営業管理だけでなく、将来的に業務システムそのものを統合できる可能性があると感じました」(林氏)
数あるSFA製品の中で、広島県共済がSalesforceを選んだ理由は「拡張性」と「将来性」、そして「伴走するパートナーの存在」でした。
Salesforceの価値は、システムだけでなく“人”にあります。導入段階から、本当に親身に寄り添ってくれました。課題を一緒に整理し、「最後まで伴走します」と言ってくださったことが、私たちにとって大きな安心につながりました。Salesforceは単なるツールではなく、“共に歩むパートナー”です
林 大介 氏常務理事, 広島県中小企業共済協同組合
導入から約1か月。まだ慣れの段階ではありますが、すでに変化が見え始めています。
営業担当者が活動記録を入力し、日々の動きをチーム全体で共有できるようになりました。
「以前は口頭での共有が中心でしたが、今は形として残ります。活動がリアルタイムで“見える化”され、動きが以前よりもスムーズになっています」(林氏)
営業現場の“見える化”が進み、職員間の連携も強化され、「営業と管理をつなぐプラットフォーム」としての価値が、少しずつ組織全体に浸透しつつあります。
今後は業務システムのFSC統合を進め、より一貫した情報管理を目指していくといいます。
「他社の営業管理ツールでは実現できない、業務システムの統合という未来を描けるのがFSCの魅力です。今後は、FSCを中心に業務全体を回す仕組みを構築していきたいです」(林氏)
その言葉からは、Salesforceが、単なるツールではなく「組織変革の基盤」として活用され始めている現状が垣間見られます。
「どうしても私たちは、県内で単体で事業をしている組合なので、システム面では世の中の進歩に遅れを感じることがあります。
でも、Salesforceという世界的な企業の製品を使うことで課題を解決し、代理所や組合員に対するサポートをより厚くできると感じています。
今後も組合事業を安定して支える存在として、そして広島を盛り上げるパートナーとして共に成長していきたいですね」
そう語る林氏の言葉には、組合が描く未来への確かな信念が込められています。