

ツネイシカムテックスは広島県福山市を拠点に、廃棄物の収集運搬、中間処理、リサイクル、最終処分までをワンストップで提供しています。科学技術の進歩に伴い変化し続ける廃棄物に対応するため技術開発にも取り組み、サーキュラーエコノミーを支える重要な役割を担っています。
また、アナログで行ってきた業務をデジタル化するため、Salesforceを中心としたDX化を積極的に推進しています。中でもQRコードを活用した廃棄物個体管理システムは、受入から処理に至る各工程において、“何が、どこにあり、いつ処理されたのか”といったステータス管理を可能にし、業界から注目されています。システムの開発において、パートナーとなった株式会社ウフル(以下、ウフル)の知見も生かされています。
「Salesforceに情報を集約し、活用する」を目標に、DX推進という言葉のない時代からアナログ業務の脱却に踏み切り、システムの構築と蓄積したデータの活用を推進。人と紙で動かしていたプロセスをシステム化することに成功しました。営業や現場担当者へのヒアリングを重ね、長い時間をかけて“みんなで作った”システムが誕生したことになります。
現場のやることは増えたが、価値の高い情報を得られる
QRコード読み取りによる廃棄物の個体管理は、現場の業務を増やすことになりましたが、何度も重ねたヒアリングや改善プロセスによって理解を得ることができました。現場で必要な情報のレポートを作る人が出てくるなど、現場主導の情報活用が進んだことなども追い風になりました。現場での活用定着も今回のプロジェクトの成果のひとつです。
ビジネス規模が倍増してもバックオフィスの工数は変わらない
導入前と比較すると、北関東から九州までをカバーする営業担当者の数はほぼ倍増。案件登録数も2倍程度になりました。しかし、営業活動をサポートするバックオフィス人員はほぼ変化なし。それでも工数削減により、余裕をもって対応ができています。Salesforceベースのシステムの導入の成果を試算したところ、年間1,100時間の工数削減に寄与しているという結果が出ています。
搬入車両管理システムも運用開始
以前、場内への誘導係は搬入車両の情報を手書きメモで確認して搬入順を確定、無線で受入担当者に連絡していました。デジタル化により、誘導係はタブレットで車両情報の確認や搬入順の登録ができるようになり、その情報は受入担当者のハンディターミナルにも共有されます。これにより受付から搬入指示までスムーズな連携が可能になりました。
埼玉、常石工場にも展開へ
ツネイシカムテックスでは、工場によって取り扱う廃棄物の種類や処理方法も異なり、プロセスや管理すべき情報も違います。そのため、単純な横展開はできませんが、福山工場の仕組みをベースに各工場で必要な要件を構築し、最適なシステムに改良しています。すでに開発はほぼ完了しており、現場へのトレーニングなどを経て本格運用を開始する予定です。
同業界を対象とする導入支援を本格化
ツネイシカムテックスとウフルは、今回のプロジェクトで得られた知見を広く同業界へと展開すべく、産業廃棄物処理の効率化を支援する廃棄物情報管理プラットフォームの提供を共同で行っています。ウフルは、QRコードによる廃棄物個体管理、見積書の自動作成、承認プロセスのデジタル化など、業務のDX化につながるトータルな支援を提供しています。
廃棄物業界は、まだアナログなイメージを持たれがちです。そのイメージを払拭し、業界全体を盛り上げるために、今回のプロジェクトの成果を同業者へ展開していきたいです。
辻田 寛子氏環境事業部受入課(兼)グループ新規事業室, ツネイシカムテックス株式会社
※ 本事例は2024年8月時点の情報です