

KDDIは、My au、au PAY、My UQ mobileなど、数十種類のスマートフォンアプリ(以下、サービス)を運用しています。これまでは、サービス別にMA基盤を稼働させるスタイルで運用していたため、サービス横断型の施策を打てないなどの問題がありました。そこで、Salesforce Marketing CloudおよびData Cloudを採用して「新MA基盤」を構築し、1つのMA基盤上ですべてのサービスを動かす方向へと転換。重要な施策から順次移行し、現時点で同時実行施策数を200から600と3倍にするなど、多くの成果を得ることができました。ジオフェンスの活用やAIを利用したパーソナライズなど、新たな展開も実行段階に入っており、顧客体験向上に向けた取り組みをさらに加速させています。
1つのMA基盤を利用していても、サービスごとに別のやり方で運用するスタイルではサービス横断型の1to1マーケティング施策は実現できません。KDDIは、Salesforceを新たなMAの基盤として、データおよびプロセスを統合的に管理することで、顧客のアクションを丁寧にとらえ、最適なタイミングで最適なアプローチをするための土台を整えました。
CoE(Center Of Excellence)を設けてサービス横断施策を加速
これまでは、サービス別に部署があるイメージで、サービスの成果を最大化する施策については各部でノウハウを蓄積していました。一貫性のあるマルチチャネルコミュニケーションを実践するためにCoEを設置したことで、各部のノウハウの全体共有が加速。顧客体験という視点に立ってCoEが主導し、各部が協力して複数のサービス横断型施策を実行に移せるようになりました。
AI活用を本格化
Salesforceを採用した理由の1つにAIの活用があります。現在、AIを活用し、Who(だれが)、What(何を)、When(いつ)という切り口で配信時間とアプローチの最適化に向けたテストを実施中。AIの活用によってCTR3倍の差があるという傾向が見えてきています。この結果をセグメント作成に活用し、顧客に不要な施策が届かないようにできます。今後はWhere(どのサービスで)の最適化にもチャレンジしていく予定です。
顧客を「あたためる」アプローチでより親しまれやすく
実行施策数が増えたことで、キャンペーンを「実施のお知らせ」から「事前の告知」へと変更しました。前述のチャージキャンペーンは、興味のありそうな層を絞り込んで事前に告知し、キャンペーン前にチャージしておいてもらうなどの顧客行動につなげました。また、サービスと関係の深いコンテンツをよく見ている方をアプリダウンロードに誘導する施策では、アプリのダウンロード数を2倍に引き上げることに成功しています。
これからは、今まで以上に顧客理解の解像度を高め、きめ細かくコンテンツを出し分けることで、3000万人のお客さま一人一人に寄り添っていけるようにしたいと考えています。すべては顧客のため。
八木沢 大樹 氏パーソナル事業本部 マーケティング本部 DXデザイン部 副部長, KDDI株式会社
※ 本事例は2024年5月時点の情報です