

北九州市が設置する公立大学法人北九州市立大学は、日本でも有数の規模を誇る公立大学です。創立当初は文系学部のみでしたが、2001年の国際環境工学部新設により、特許管理や産学連携といった新たな業務が急増しました。研究成果を社会へ還元するための体制構築は、喫緊の課題でした。
特許・共同研究データが縦割りで散在し、研究
国際環境工学部設立後、特許、共同研究、奨学寄附金、研究広報などの情報は担当者ごとにWord、Excel、PDFで管理されており、形式や命名規則もバラバラでした。年度ごとに教員や企業の情報を追うたびに表記揺れに翻弄され、必要なデータを探し出すだけで半日以上を費やす状況が常態化していました。
スマートフォンアプリ感覚で設計でき、現場が自走する運用を確立
大学は「特許・共同研究・奨学寄附金・研究広報などの情報を一目で把握できるページがほしい」という要望を軸に、Salesforceの導入を決断しました。決め手となったのは、ドラッグ&ドロップで画面を設計できるノーコード開発の容易さでした。
Salesforceの開発パートナーが、数日のハンズオンで特許・共同研究・奨学寄附金・研究広報などの各オブジェクトを構築し、テストデータを投入したところ、担当者はその場で「これなら自分たちでも運用できる」と確信しました。特許の期限管理や年度別レポート、文部科学省への提出資料も直感的に作成でき、スマートフォンのアプリを操作するような感覚で画面を改良できる点が職員を魅了しました。
理事には専用ダッシュボードを配布し、企業訪問前に数クリックで連携履歴を確認できる体制を整えたことで、事務局の資料作成負荷は大幅に軽減されました。
大学に来たら真っ先に開くのが Salesforce の画面というほど、いまや欠かせない存在になっています
有薗 和子氏企画管理課, 公立大学法人北九州市立大学
要望がその場で形になるスピード感と柔軟性
Salesforceは、視覚的で直感的なレポート機能を備えており、他のローコードツールと比べても検索性と可読性が群を抜いています。項目単位でアクセス権を細かく設定できるため、機密情報を安全に保ちながら学外団体とも柔軟にデータ共有を進められる点が大きな優位性です。さらに、開発パートナーが大学側の要望をその場で画面に反映できるスピード感と、ドラッグ&ドロップだけでレイアウトや項目を調整できるノーコード開発の柔軟性が、導入後の内製化を強力に後押ししました。「こんな表示にしたい」と伝えた瞬間に形になる体験は、他社ツールでは得がたい価値として高く評価されています。
こうした優位性は、具体的な成果として数値に表れています。Salesforceの本格稼働後、情報検索や資料作成に要していた労力は従来の約1/10程度まで削減されました。この成功事例は全国の大学にも波及し、導入検討・推進の動きが相次いでいます。
北九州市立大学は、こうして築いたデータ基盤を活用し、産学連携の新たなモデルを創出しながら、データドリブンな大学経営へと歩みを進めています。