

日本生命は生命保険業界を代表する企業として、社会と企業のサステナビリティの両立に取り組み、デジタル変革と働き方改革を加速させています。また、グループ企業であるニッセイ情報テクノロジーがIT面でサポートするなど、保険業務の枠を超えた多様な領域へのイノベーションを進めています。
問い合わせ件数が急増。従来のシステムでは限界に
日本生命のITヘルプデスクでは、デジタル化に伴うIT機器の増加により、従業員からのIT関連問い合わせが急増した結果、回答時間の増加などの課題を抱えていました。しかし、従来のシステムは改修コストやスケーラビリティに限界があり、人員を増やすにも高コストやIT人材の確保といった大きな障壁に直面していました。このままでは顧客対応にまで悪影響が及ぶ恐れがあるため、単純な人員増強だけに頼らない新たなITサポート体制の構築が急務となっていました。
「Salesforce Employee Service」で質問の照会数は約半減
この課題を解決するために、日本生命では「Salesforce Employee Service」を核とした「ITエントランス」を導入し、入力内容に合わせてFAQが自動表示される「Case Deflection(ケース デフレクション)」やチャットボット「えっちゃん」を活用して従業員が自己解決できる仕組みを整備しました。
導入にあたっては、プロジェクト初期段階からIT部門と業務部門が連携して段階的にテストを重ねたことで、大きなトラブルなく稼働を開始。このプロジェクトではグループ企業であるニッセイ情報テクノロジーが技術面をサポートし、大きな役割を果たしました。
結果、自己解決率が飛躍的に向上し、旧システムでは月平均1,017回ほどだったFAQ参照数が、「ITエントランス」ではその18倍の1万8,887回に急増。従業員が「ITエントランス」から自然な動線で自己解決できるようになりました。
さらに、FAQのみで解決できる質問の照会は月151件から85件へと減少し、オペレータの負担も大幅に軽減されました。簡易な改修も内製化が進んでコストダウンに成功。こうした成果により、人員増強に頼らずともサステナブル(持続可能)な運用体制が確立されました。
「Salesforce Employee Service」を導入したことで、ITヘルプデスク以外の領域にも拡張しやすくなり、リモートワークへの対応も視野に入れられるようになりました。従来のシステムでは対応が難しかったことも実現可能になったため、これまで見えにくかった未来が明るく開け、より柔軟な働き方や従業員体験の改善を実現できるという期待が高まっています。
山本 悦子 氏IT統括部 調査役, 日本生命保険相互会社
SalesforceはSaaSとしての基盤を提供するだけでなく、エキスパートコーチングを通じてカスタマーサクセスを実現する包括的なプログラムも提供しています。今回のプロジェクトでも大きく寄与し、従業員が新しいシステムに早期に馴染みやすいよう実践的なノウハウをサポートしました。このプログラムではAgentforceをはじめとした最新技術もカバーしており、ITエントランスメンバーとAIエージェントが連携して業務を推進することで、“労働力革命”に向けた基盤も整いつつあります。
これまでの仕組みでは、些細な修正でも数百万円のコストと長い時間が必要でした。しかし、「Salesforce Employee Service」を導入したことで、運用部門がローコード・ノーコード開発を駆使して素早く対応できるようになり、想像以上のスピードとコスト削減を実現できています。
白波瀬 泰則 氏UX運用事業部UX運用B チーフマネジャー, ニッセイ情報テクノロジー株式会社