

西園寺公望を学祖とする歴史ある立命館大学と学生の約半数が留学生という国際色豊かな立命館アジア太平洋大学(以下、APU)などを運営する学校法人立命館。同校では、2030年までの中期計画として、次世代研究大学を目指し、日本の大学の課題としている研究成果と社会実装の結びつきを強化するために、イノベーション・創発人材の育成に注力しています。そのためには、個別最適化された学生支援が重要ですが、学生情報は大学側の各部署に閉じた形で共有化がされていない状況でした。一方、留学生比率が多く卒業後に全世界で活躍する人材が財産であるAPUでしたが、留学生の獲得状況や現地協定校のステータス可視化、一元的な卒業生データベースを構築できていないことが課題でした。そこで、学校法人としてシステムの共通化を視野に、学生管理プラットフォームとしてSalesforceを導入しました。
系列校の学生・生徒・児童の情報を共通システムで管理する意義は大きく、今後は、入学前から卒業後まで一気通貫で支援できるマネジメントプラットフォームに成長させていきます。
浅田 智史 氏総合企画部 総合企画課 教育・研究DX担当 課長, 学校法人立命館
立命館大学では、学生や卒業生情報を一元管理し共有化することで、個別最適な学生支援を実現。同時に職員の煩雑だった校務効率を向上させたほか、今後は蓄積した学生情報をTableauで分析し、エビデンスベースでの施策展開を目指しています。APUでは卒業生管理を実現しましたが、立命館大学の学生管理の仕組みを横展開することで、入学前から卒業後まで一気通貫で見られるプラットフォームとして成長させる予定です。
Salesforceによるアジャイル型開発の実践
今回、Salesforceの選定理由の1つには、アジャイル開発の推進がありました。学生のニーズの変化やステークホルダーも多く権限制御なども複雑な設定が必要になる校務システムとしては、SaaSでありながら柔軟性もあるSalesforceが効果的でした。スクラッチで構築するよりも一定の品質が担保されることで、スピーディな開発が展開できたと評価されています。
DX人材の育成にもSalesforceのアドバンテージ
DX人材育成の資格制度やTrailhead、ハンズオントレーニングなどの学習体制が整備されていることも高く評価されています。森田氏はIT未経験ながら2年間で4つのSalesforce認定資格を取得し、アドミニストレーターとしてリリース済機能の運用保守及び、学内におけるSalesforce導入プロジェクトのマネジメントを担当しています。Salesforce未経験者が迅速に機能の理解ができ、操作習得が可能であると実感しています。
柔軟なシステム連携によるメリット
同校では、データレイクをMicrosoftのAzure上で構築。Azure上からSalesforceへ学生情報や業務データを夜間連携で流す仕組みを構築しています。こうした場面でCSV連携になりがちな課題も、Salesforceの機能開発やツールが充実していたことでスムーズに解決できました。
学校法人として系列大学のシステム共有化を実践できた意義
学校法人として、系列大学間で学生情報基盤を同じプラットフォームで開発・導入したことは明確な狙いがありました。現在、オンラインシラバスや学生ポータルなどを同時に開発し各大学の特色に合わせた調整を行うことでスピード展開を実現。職員交流や移動にも対応するほか、広くデータが共有できる意味でEBPMの推進にも役立てられると考えています。
Salesforceをマネジメントプラットフォームへ
管理するデータの範囲と種類を広げていくと同時に、生成AIを活用した職員の校務効率化も検討しています。また、Marketing Cloudの活用も検討されており、単純なマーケティング用途のみならず、学生が学園生活を良好に送れているかのファクトチェックのような使い方をするアイデアも。入学前から卒業後までの一気通貫のマネジメントプラットフォームとなることが期待されています。
※ 本事例は2024年11月時点の情報です